※本記事は、カネ美食品株式会社の有価証券報告書(第56期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. カネ美食品ってどんな会社?
カネ美食品は、弁当や寿司、惣菜の製造・販売を通じ、中食市場でテナント事業と外販事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
カネ美食品は1971年にスーパーマーケットに惣菜店舗を出店することを目的として設立されました。1980年にはコンビニエンスストア向けの納品を開始して外販事業をスタートさせています。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2025年にはパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの連結子会社となりました。
従業員数は単体で1,121名です。筆頭株主は親会社であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスで、第2位は食品卸売事業などを手がける日本アクセス、第3位は主要取引先であるファミリーマートとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス | 40.32% |
| 日本アクセス | 7.71% |
| ファミリーマート | 4.35% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は今井善広氏です。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 今井善広 | 代表取締役社長 | 1987年ユニーに入社し、食品本部長などを歴任。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスやユニーの役員を経て、2025年5月より現職。 |
| 江森優 | 代表取締役専務執行役員業務統括 | 2000年ドン・キホーテに入社。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスのグループ広告部責任者などを経て、2025年5月より現職。 |
| 伊藤佳司 | 取締役執行役員テナント事業統括(兼)営業戦略室長 | 1999年同社に入社し、中京第5運営部長やテナント事業本部長などを歴任。2026年3月より現職。 |
| 中島大介 | 取締役執行役員外販事業統括 | 1994年同社に入社し、京都工場長や第3生産統括部長、外販事業本部長などを歴任。2026年3月より現職。 |
| 腰和則 | 取締役執行役員外販事業統括補佐 | 1993年ユニーに入社し、食品本部プロセスセンター管理部長などを歴任。同社執行役員社長付を経て、2025年5月より現職。 |
| 小西貴文 | 取締役執行役員商品政策本部長 | 2010年ドン・キホーテに入社。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスのフレッシュフードデリカカテゴリーリーダーなどを経て、2025年5月より現職。 |
| 濱村健太 | 取締役 | 2000年ドン・キホーテに入社。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスのデリカMD開発本部本部長などを経て、2025年5月より現職。 |
| 高野哲朗 | 取締役 | 1986年伊藤忠商事に入社し、監査部長代行などを歴任。日本アクセスの取締役常務執行役員などを経て、2023年5月より現職。 |
| 片桐三希成 | 取締役 | 2000年ドン・キホーテに入社し、支社長を歴任。UDリテール代表取締役社長、ユニー取締役副社長などを経て、2025年5月より現職。 |
| 白井恭幸 | 取締役常勤監査等委員 | 1990年ユニーに入社。同社経営企画室長や商品企画本部長、コンプライアンス担当などを経て、2023年5月より現職。 |
社外取締役は、池田桂子(日本弁護士連合会副会長)、佐藤雅弘(元名古屋国税局・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「テナント事業」および「外販事業」を展開しています。
■テナント事業
同社はスーパーマーケットなどの商業施設等に総合惣菜店舗、寿司専門店舗および洋風惣菜店舗を出店し、寿司や惣菜等の製造、販売を行っています。また、外食店舗として回転寿司の「回転割烹 寿司御殿」の運営も行っています。
収益は、製造した寿司や惣菜の販売による代金から得ています。運営は同社が行っており、主な出店先として親会社グループであるユニー、UDリテール、ドン・キホーテ、長崎屋の店舗などに展開しています。
■外販事業
同社は、顧客との契約に基づいて、コンビニエンスストアの加盟店向けに弁当、おにぎり、惣菜等の製造および納品を行っています。東海、関東、関西などのエリアに工場を展開して生産体制を構築しています。
収益は、コンビニエンスストアへの製品の納品による販売代金から得ています。運営は同社が行っており、主要な取引先としてファミリーマートの加盟店向けに製品を供給しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大を続けてきましたが、直近では生産拠点の再編等の影響により減収となっています。利益面でも増益基調から一転し、直近2期間は原材料価格の高騰や一時的なコスト増加などにより減益傾向で推移しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 776億円 | 811億円 | 871億円 | 905億円 | 867億円 |
| 経常利益 | 21億円 | 27億円 | 32億円 | 31億円 | 29億円 |
| 利益率(%) | 2.7% | 3.4% | 3.7% | 3.4% | 3.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 13億円 | 17億円 | 19億円 | 19億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
前期間と当期間の損益構成を比較すると、売上高は減少したものの、売上総利益率はほぼ同水準を維持しています。しかし、販売費及び一般管理費等の負担により、営業利益および営業利益率は低下する結果となりました。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 905億円 | 867億円 |
| 売上総利益 | 157億円 | 151億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.3% | 17.4% |
| 営業利益 | 31億円 | 28億円 |
| 営業利益率(%) | 3.4% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃配送料が41億円(構成比34%)、従業員給料及び賞与が32億円(同26%)を占めています。また、売上原価の内訳では、材料費が455億円(構成比65%)、労務費が175億円(同25%)を占めています。
■(3) セグメント収益
テナント事業は、内製商品の導入強化や洋風惣菜店舗での客単価上昇などにより増収増益となりました。一方、外販事業は、生産体制整備のための拠点政策や一時的なコスト増加の影響により減収となり、営業損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益(2026年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| テナント事業 | 459億円 | 474億円 | 21億円 | 29億円 | 6.1% |
| 外販事業 | 446億円 | 392億円 | 9億円 | -1億円 | -0.3% |
| 調整額 | -億円 | -億円 | 0億円 | -0億円 | -% |
| 連結(合計) | 905億円 | 867億円 | 31億円 | 28億円 | 3.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型と判定されます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 29億円 | 16億円 |
| 投資CF | -21億円 | -37億円 |
| 財務CF | -4億円 | -11億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「”おいしさ”でこころを動かす」というパーパスを掲げています。株主・投資家および顧客の満足度の向上に努めるとともに、「品質」「清潔」「接客」の追求を経営の基本方針として位置づけています。これにより、永続的な発展と企業価値を高めるための最善の努力をしていくことを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、パーパスを企業行動の原点とし、「安全・安心」を基盤としたうえで、単なる「食」の提供にとどまらない価値創造を重視しています。彩りや香り、食感といった五感に響く商品開発や、お買い得感と満足度を両立させた提案を通じて、多様化するニーズに応える“おいしさ”体験を創出する文化を根付かせています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、収益目標において売上高と経常利益を定量的な指標として重視しています。
* 2027年2月期 売上高 920億円
* 2027年2月期 経常利益 33億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、トップラインの拡大を不可欠な成長戦略とし、テナント事業および外販事業への積極的な投資を実施します。また、不採算部門の収益性を高めることで資本投下を伴わない成長も図ります。消費者ニーズの変化に対応するためのDX投資やマーケティング強化を通じて、新たな価値創造と企業価値の向上を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員一人ひとりが仕事に積極的に関わりチャレンジし続ける企業風土を醸成し、人材を最大限活用することを目的とした人事制度を運用しています。「一人ひとりが自ら考え行動し、継続して成果を上げる」「常に知恵と感性で創意工夫し、チャレンジする従業員」を目指す姿として掲げています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 42.1歳 | 18.3年 | 5215576円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.2% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 61.9% |
| 男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.9% |
| 男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 100.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者に占める女性比率(73.5%)、年次有給休暇の取得率(86.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 取引先の出店政策および経営戦略の影響
同社の業績は、テナント店舗の出店先である総合スーパーや、製品の納入先であるコンビニエンスストアの出店政策等の影響を受けます。同社はこれらの出店政策に追随して店舗や工場の新設を行っているため、取引先の戦略や所属する流通・コンビニエンス業界の動向により業績に影響が及ぶ可能性があります。
■(2) 特定の企業への仕入依存度
同社の主要原材料は生鮮品であり、テナント事業では店舗単位の小口仕入れとなるため、店舗毎への配送が可能な食品卸売業者からの仕入れ割合が高くなっています。同社全体での仕入先上位3社の合計に対する仕入れ割合は76.0%に達しており、これらの仕入先の動向が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 食品衛生関連事項
同社は食品衛生法に基づいた工場施設の整備や製造工程の管理運営を行い、食の安心・安全を不可避の課題として食品衛生管理体制の強化を図っています。しかし、社会問題化するような食の安心・安全に関する問題が発生した場合、状況によっては社会的信用度の低下や業績に影響を及ぼす可能性があります。



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