※本記事は、カネ美食品株式会社 の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
カネ美食品は、弁当・寿司・おにぎり・惣菜などの製造・販売を主たる業務としています。スーパーマーケット等へのテナント出店や外食店舗の運営、コンビニエンスストアへの製品納品を通じて事業を展開しています。
単体従業員数は1,121名です。セグメントはテナント事業、外販事業の2つです。
カネ美食品は、弁当・寿司・おにぎり・惣菜等の製造・販売を主たる業務としています。テナント事業ではスーパーマーケット等への出店、外販事業ではコンビニエンスストアへの納品を行っています。
カネ美食品は2025年8月にパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの連結子会社となり、第二の創業ともいえる大きな転換点を迎えています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
カネ美食品は、食を通じて人々の生活を豊かにすることを目指す企業です。従業員の皆さんが安心して長く働けるよう、安定した給与水準と働きやすい環境づくりに力を入れています。多様な人材がそれぞれの能力を発揮できるよう、様々な制度や取り組みを進めていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長期的にキャリアを築ける環境が整っている傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、経験豊富な人材が多数在籍し、安定して働き続けている様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,215,576円 |
| 平均勤続年数 | 18年3ヶ月 |
| 平均年齢 | 42歳1ヶ月 |
| 単体従業員数 | 1,121人 |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は40.6億円、年金資産は53.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、人財戦略の目指す姿として「一人ひとりが自ら考え行動し、継続して成果を上げる」「常に知恵と感性で創意工夫し、チャレンジする従業員」を掲げています。競争力・将来性のある企業を目指し、多角的に制度構築・運用を進めています。
2023年3月より人事制度を刷新し、人事評価は取締役・執行役員を委員とする「人事委員会」で適正化や目線合わせを行っています。昇格・再チャレンジ、任用・解任についても同委員会で決定しており、多面評価を通じて自己理解と自己成長を促しています。
また、従業員のワークライフバランス確立に向けて、多様性の確保(女性活躍、育児と仕事の両立)と働きやすい職場環境整備(有給取得、柔軟な働き方)を方針としています。人財の確保と育成は経営上の重要課題と認識しており、採用率と定着率の向上を図るため、服装や髪色ルールの緩和など、従業員の多様性や個性を認める柔軟な働き方を可能とするルール変更も実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 61.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 100.2% |
多様性・登用
各項目における比率は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定に基づき、関係省庁へ報告した当事業年度末時点に係るものです。正規雇用労働者は正社員、サポート社員、嘱託社員を示し、パート・有期雇用労働者はパートタイマーおよびアルバイトを示しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用した労働者に占める女性比率(全ての労働者) | 73.5% |
| 採用した労働者に占める女性比率(正規雇用労働者) | 43.9% |
| 採用した労働者に占める女性比率(パート・有期雇用労働者) | 74.3% |
育児・介護支援
各項目における比率は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定に基づき、関係省庁へ報告した当事業年度末時点に係るものです。正規雇用労働者は正社員、サポート社員、嘱託社員を示し、パート・有期雇用労働者はパートタイマーおよびアルバイトを示しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇の取得率(全ての労働者) | 86.7% |
| 年次有給休暇の取得率(正規雇用労働者) | 70.8% |
| 年次有給休暇の取得率(パート・有期雇用労働者) | 91.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
カネ美食品は、弁当・寿司・おにぎり・惣菜などの食品製造・販売を主軸とする企業です。同社は、テナント事業と外販事業の二つの柱で収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
カネ美食品は、弁当・寿司・おにぎり・惣菜などの製造・販売を主な事業としています。親会社である株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの子会社として、グループ全体の惣菜戦略において重要な役割を担っています。収益は主に、自社店舗での販売と、外部の小売店への商品供給から得ています。
テナント事業
テナント事業では、自社工場で製造した内製商品の導入を強化し、生産性向上と機会損失の低減を図っています。店内調理の強みを活かした「出来立て・作りたて」の商品提供や、販促物の強化により顧客満足度を高めています。洋風惣菜店舗「eashion(イーション)」では、商品の見直しと価格戦略により客単価が上昇し、百貨店やエキナカ店舗でのインバウンド需要増加も売上伸長に貢献しました。
収益は、主に自社で運営する店舗での弁当・寿司・惣菜などの販売から得ています。運営は、カネ美食品が行っています。前年同期間に比べ売上高は増加し、利益も大きく伸びています。
外販事業
外販事業では、親会社である株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスグループ店舗への納品が増加しています。鉄道系コンビニエンスストアへの納品も順調に推移していますが、主要コンビニエンスストア向けの納品は減少しました。生産体制の強化として、冷凍設備や原体野菜から加工する設備の導入を進めています。
収益は、主に小売店やコンビニエンスストアへの弁当・惣菜などの商品供給から得ています。運営は、カネ美食品が行っています。前年同期間に比べ売上高は減少しており、セグメント損失を計上しました。
同社の販売実績を見ると、ユニー株式会社と株式会社ファミリーマートへの販売が全体の大きな割合を占めています。ユニー株式会社への販売は全体の34.0%、株式会社ファミリーマートへの販売は30.3%となっており、特定の取引先への収益集中が見られます。
| セグメント | 売上高(2025年2月期) | 売上高(2026年2月期) |
|---|---|---|
| テナント事業 | 459億円 | 474億円 |
| 外販事業 | 446億円 | 392億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
カネ美食品の直近の業績は、売上高と利益の両面で前年同期間から減少しました。売上高は減少傾向にあり、経常利益と当期純利益も同様に減少しています。これは、原材料価格の高騰や労働コストの増加、消費者の節約志向の高まりといった厳しい経営環境に加え、生産体制再編に伴う一時的なコスト増加が影響しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
カネ美食品の財務状況は、事業活動で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている段階を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が高く、安定した状態を示しています。これは、事業活動におけるリスク耐性が高いことを意味します。手元資金も一定の水準を保っており、事業運営の安定性に寄与しています。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 290億83百万円 | 298億85百万円 |
| 自己資本比率 | 77.7% | 77.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 6.1% |
| 現金及び預金等 | 189億25百万円 | 157億75百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期から減少したものの、プラスを維持しています。これは、売上債権の増減額が減少した一方で、その他流動資産や流動負債の増減額が増加したことなどが主な要因です。
投資活動によるキャッシュフローは、定期預金の預入や有形固定資産の取得による支出が増加したことで、前期から支出が増加しています。これにより、事業の成長に向けた積極的な投資が行われている状況がうかがえます。
財務活動によるキャッシュフローは、自己株式の取得による支出が増加したことで、前期から支出が増加しています。これらの資金の流れから、同社は事業で得た資金を成長投資に充てている段階であり、将来的な事業拡大を目指していることが示されています。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 29億21百万円 | 16億46百万円 |
| 投資CF | △20億66百万円 | △37億21百万円 |
| 財務CF | △3億72百万円 | △10億75百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 8億55百万円 | △20億75百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の業績は、テナント店舗を出店している総合スーパーや、製品を納入しているコンビニエンスストア加盟店舗の出店政策に影響を受ける可能性があります。また、仕入先上位3社への仕入割合が2026年2月期で76.0%となっており、特定の企業への仕入依存度が高い状況です。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、持続的な成長のために人財の確保と育成を経営上の重要な課題と認識しています。労働集約的な事業であるため、採用競争力の低下や離職による人員不足が経営上の重大なリスクとなる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
カネ美食品は、「”おいしさ”でこころを動かす」というパーパスを掲げ、お客様に食を通じて感動を提供することを目指しています。この価値観のもと、日々の経営活動を行っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、「”おいしさ”でこころを動かす」というパーパスを経営の基本方針としています。株主・投資家およびお客様の満足度向上に努め、永続的な発展と企業価値の向上を目指しています。
具体的には、「品質」「清潔」「接客」の追求を重視し、これらの要素を通じてお客様に最高の「おいしさ」体験を提供することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、お客様に「次もカネ美食品で」と思っていただけるよう、美味しいことはもちろん、安心・安全・健康への配慮を欠かさないことを大切にしています。品質、清潔、接客、納期の厳守といった項目においても期待を裏切らないことに注力し、企業として高いハードルを設定することが差別化であると考えています。
人財戦略では、「一人ひとりが自ら考え行動し、継続して成果を上げる」「常に知恵と感性で創意工夫し、チャレンジする従業員」を目指す姿として掲げています。従業員のワークライフバランス確立に向けて、女性活躍や育児と仕事の両立といった多様性の確保、有給取得や柔軟な働き方といった働きやすい職場環境整備を方針としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、国内中食市場における中長期的な縮小可能性と、過去数年間におけるトップラインの成長力不足を経営上の大きな課題と認識しています。この課題に対応するため、テナント事業および外販事業において、事業成長の源泉となる投資を積極的に実施する方針です。不採算部門の収益性向上による成長戦略も並行して図っています。
また、さらなる競合激化に対応するため、これまでの延長線上ではない新たな価値創造を戦略上で必要不可欠と捉えています。消費者ニーズや消費行動の変化に対応するためのDX投資や、データ分析に基づくマーケティング強化に努めています。サステナビリティに関する課題としては、フードロス削減と容器包装の資源循環を重要課題としており、今後は主要KPIの定義と算定方法を整備し、目標と実績の開示を行う予定です。人的資本においては、人財の確保と育成を経営上の重要な課題と認識し、採用率と定着率の向上を図るため、多様性や個性を認める柔軟な働き方を可能とするルール変更を実施しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
カネ美食品は、監査等委員会設置会社として、取締役会の業務執行権限を取締役に委任することで機動的な対応を可能にしています。また、取締役会での議決権を有する監査等委員を選任し、監督機能の強化を図っています。取締役会の任意の諮問機関として、指名・報酬委員会も設置されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
カネ美食品の株主構成は、事業会社が上位を占めている点が特徴です。筆頭株主はパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスであり、同社はカネ美食品の経営に大きな影響力を持つ主要な事業パートナーと考えられます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス | 40.32% |
| 日本アクセス | 7.71% |
| ファミリーマート | 4.35% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性11名・女性1名)で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は今井善広氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 今井 善広 | 代表取締役社長 | 1987年3月ユニー入社、2022年9月同社取締役食品統括、2025年5月同社代表取締役社長より現職。 |
| 江森 優 | 代表取締役 専務執行役員業務統括 | 2000年10月ドン・キホーテ入社、2019年6月パンパシフィック・インターナショナルホールディングス広告室(グループ広報)部責任者、2025年5月同社代表取締役専務執行役員業務統括より現職。 |
| 伊藤 佳司 | 取締役執行役員 テナント事業統括(兼)営業戦略室長 | 1999年1月同社入社、2023年5月同社取締役執行役員テナント事業本部長、2026年3月同社取締役執行役員テナント事業統括(兼)営業戦略室長より現職。 |
| 中島 大介 | 取締役執行役員 外販事業統括 | 1994年4月同社入社、2023年5月同社取締役執行役員外販事業本部長、2026年3月同社取締役執行役員外販事業統括より現職。 |
| 腰 和則 | 取締役執行役員 外販事業統括補佐 | 1993年3月ユニー入社、2021年5月同社取締役事業開発推進管掌(製造担当)、2025年5月同社取締役執行役員外販事業統括補佐より現職。 |
| 小西 貴文 | 取締役執行役員 商品政策本部長 | 2010年5月ドン・キホーテ入社、2023年5月パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスフレッシュフードデリカカテゴリーリーダー、2025年5月同社取締役執行役員商品政策本部長より現職。 |
| 濱村 健太 | 取締役 | 2000年3月ドン・キホーテ入社、2021年5月同社取締役事業開発推進管掌(運営担当)、2025年5月同社取締役より現職。 |
| 高野 哲朗 | 取締役 | 1986年4月伊藤忠商事入社、2022年4月日本アクセス取締役常務執行役員最高リスクマネジメント責任者、2023年5月同社取締役より現職。 |
| 片桐 三希成 | 取締役 | 2000年2月ドン・キホーテ入社、2019年4月UDリテール代表取締役社長、2025年5月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、池田桂子氏(池田総合法律事務所代表・監査等委員)、佐藤雅弘氏(佐藤雅弘税理士事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会での議決権を有する監査等委員を選任することで、取締役会における監督機能を強化しています。監査等委員である独立社外取締役が、専門的な見識から意見を述べ、取締役会のモニタリング機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
カネ美食品の取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬は、固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬としての賞与、および株式報酬で構成されています。社外取締役と監査等委員である取締役の報酬は、基本報酬と賞与のみで、株式報酬は支給対象外です。賞与の算定には通期の売上高と当期純利益が業績指標として選定されています。また、中長期的な企業価値向上への意識を高めるため、株式給付信託(BBT)を導入しています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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