ジーフット転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社ジーフットの有価証券報告書(第55期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジーフットってどんな会社?
同社はイオングループに属し、フットウェアのスペシャリティショップなどを全国展開する靴小売企業です。
■(1) 会社概要
同社は1931年に創業し、1971年にツルヤ靴店として設立されました。2000年に名古屋証券取引所市場第二部に上場し、2005年にイオンと業務・資本提携を行いました。2009年にニューステップを吸収合併してジーフットに商号変更しています。2015年に東京証券取引所市場第一部に上場し、2022年の市場再編でスタンダード市場などへ移行しています。
現在の従業員数は連結で726名、単体で683名です。筆頭株主は親会社のイオンで、第2位は有限会社高田、第3位はイオンフィナンシャルサービスです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 61.90% |
| 有限会社高田 | 2.11% |
| イオンフィナンシャルサービス | 1.57% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長執行役員は木下尚久氏です。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木下尚久 | 代表取締役兼社長執行役員 | 1983年ジャスコ(現イオン)入社。イオンリテール等の要職を経て2019年に同社代表取締役社長に就任。2025年12月より現職。 |
| 上山功樹 | 取締役兼常務執行役員商品・マーケティング・EC事業担当 | 2001年ギャップジャパン入社、2006年イオン入社。イオングループ労働組合連合会の要職などを経て2026年5月より現職。 |
| 熊谷直義 | 取締役兼執行役員管理担当兼リスクマネジメント担当兼経営管理本部長 | 1990年ジャスコ入社。イオン及びグループ会社の経営管理部門を経て2024年に同社執行役員。2026年5月より現職。 |
| 濵田和成 | 取締役 | 1987年ジャスコ入社。イオンリテール支社長等を歴任し、2026年3月にイオン執行役サービス・専門店事業担当。同年5月より現職。 |
社外取締役は、川内由加(エムオーティクリエイション代表取締役)、石津卓(丸の内国際法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「靴等の販売」事業を展開しています。
■(1) アスビーおよび派生業態
人気ブランドの最新モデルを扱うフットウェアのスペシャリティショップ「アスビー」を展開しています。また、ファミリー層向けの「アスビーファム」や、子供靴専門の「アスビーキッズ」など、幅広いターゲット層に向けた専門店複合化を進め、集客力の向上を狙った店舗フォーマット改革を行っています。
収益源は、一般消費者からの靴やインポート雑貨などの商品販売代金です。事業の運営はジーフットが行っており、実店舗のほか、アプリを活用したEC事業による販売機会の拡大にも取り組んでいます。
■(2) グリーンボックス(GMS靴売場)
デイリーユースを意識した低価格商品から高品質なシューズまでを豊富にラインナップする地域密着型のフットウェアショップです。世の中のヘルス&ウェルネス志向やアクティブシニアのライフスタイルを見据え、コアなカテゴリーの売場の充実など、時代のトレンドに対応した売場づくりを行っています。
収益源は、消費者からの靴などの販売代金です。グリーンボックスはイオングループのGMS(総合スーパー)内の靴売場をジーフットが運営する形態をとっており、イオンリテールなどのショッピングセンター等に入居して店舗の賃借取引を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は店舗数の減少等により5期連続で減少傾向にあります。経常利益および当期利益は赤字が継続しており、直近では不採算店舗の整理等の事業構造改革を進めているものの、売上の計画未達や販促施策の強化による売上総利益率の低下が響き、赤字幅が拡大しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 663億円 | 657億円 | 646億円 | 600億円 | 569億円 |
| 経常利益 | -68億円 | -50億円 | -14億円 | -13億円 | -26億円 |
| 利益率(%) | -10.3% | -7.6% | -2.1% | -2.1% | -4.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -72億円 | -54億円 | -18億円 | -11億円 | -33億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に加えて、消費者による価格志向性の高まりに応じて販促施策を強化したことで売上総利益率が悪化しています。その結果、営業赤字幅が拡大する厳しい損益状況となっています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 600億円 | 569億円 |
| 売上総利益 | 264億円 | 244億円 |
| 売上総利益率(%) | 44.1% | 42.8% |
| 営業利益 | -8億円 | -24億円 |
| 営業利益率(%) | -1.3% | -4.2% |
販売費及び一般管理費のうち、賃借料が105億円(構成比39%)、給料及び手当が99億円(同37%)を占めています。売上原価は325億円で、大部分を商品の仕入が占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがマイナス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続する「勝負型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | -67億円 |
| 投資CF | 1億円 | -2億円 |
| 財務CF | 3億円 | 60億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されていません。財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は-7.3%と債務超過に陥っており、スタンダード市場の非製造業平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、創業以来「お客さま第一主義」をモットーとし、これを実践するために経営理念として「足元からのスタイル提案業」を掲げています。足元からのスタイルを提案するフットウェアの国内におけるリーディングカンパニーを目指し、持続的な成長と資本・資産効率を意識した経営を追求しています。
■(2) 企業文化
イオンの基本理念である「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という考えのもと、多様な人材が能力を発揮できる活力ある組織風土づくりを行っています。失敗を恐れることなく自己変革と新たな価値の創造に挑戦し、持続可能な社会の実現とグループの成長の両立を目指す文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、継続的な成長を果たすと同時に、資本・資産効率を意識した安定した経営を持続していくため、自己資本比率および1株当たり当期純利益を重視する経営目標を掲げています。現在の水準からこれらの指標の更なる向上を図ることを目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、業績回復と安定した経営基盤の再構築に向けた事業再生に取り組んでおり、以下の重点施策を推進しています。
・コンセアスビーの専門店化推進やテナントアスビーの新モデル確立による店舗・売場改革
・競争優位なプライベートブランド商品の創出とナショナルブランド商品戦略の明確化
・デジタルを活用した人材育成とリアル店舗ならではの強みを創出する働き方改革
・アプリなどを活用したEC事業の成長と拡大
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、労働力不足や働く価値観の変化に対応し、従業員が高いモチベーションを持ち活躍し続けられる多様なキャリアパスや働き方を実現する人材戦略を掲げています。女性、外国人、障がい者、中途採用者など多様な人材の採用・起用を進め、専門知識を習得できる社内認定資格制度や再雇用制度を導入して環境整備を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 43.3歳 | 15.6年 | 4,307,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 31.4% |
| 男性育児休業取得率 | 85.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.2% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 100.1% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業取得率全体(98.7%)、障がい者雇用率(3.9%)、基本理念への共感度(3.9)、エンゲージメントスコア(45.4)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 小売業界における持続的な低迷
日本の小売業界は個人消費の落ち込みや価格デフレ、熾烈な競争により低迷しており、今後の医療費等の負担増や海外情勢の不透明さが日本経済をさらに悪化させた場合、同社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) イオングループ内出店への依存
同社グループはイオングループのショッピングセンター等へ多数出店しています。業界環境の変化や再編等により、同グループの地位や集客力が変動した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 競争激化とお客さまの嗜好の変化
メーカーによる直営店の増加や異業種からの参入により競争が激化しています。また、ファッショントレンドの変化による影響を受けやすく、近隣への競合店出店やニーズに合った商品開発が行われなかった場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 継続企業の前提に関する重要な不確実性
同社グループは赤字が継続しており、一部借入の財務制限条項に抵触していることから継続企業の前提に重要な疑義が生じています。しかし、事業再生計画の推進や親会社からの経営支援の意向があるため、当面の事業活動の継続性に懸念はないと判断されています。



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