**キャンドゥ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態**
※本記事は、株式会社キャンドゥの有価証券報告書(第32期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. キャンドゥってどんな会社?
日用雑貨及び加工食品の小売店舗チェーン展開事業を営み、100円ショップ等を運営する企業です。
■(1) 会社概要
1993年12月に100円ショップのチェーン展開を目的として設立されました。1994年1月にフランチャイズシステムを確立して店舗網を拡大し、2003年に東京証券取引所市場第二部、2004年には同市場第一部へ上場を果たしました。2022年1月にイオンの公開買付けにより同社の子会社となっています。
現在の従業員数は連結で559名、単体で537名です。筆頭株主は親会社であるイオンで、第2位は資産管理会社とみられるケイコーポレーション、第3位は代表取締役社長である城戸一弥氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 37.26% |
| ケイコーポレーション | 13.78% |
| 城戸一弥 | 10.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.9%です。代表取締役社長は城戸一弥氏が務めており、社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 城戸一弥 | 代表取締役社長 | 2007年同社入社。経営企画室長等を経て、2011年2月より現職。 |
| 望月園枝 | 取締役DX・業務改革推進担当 | 1988年東京スタイル入社。2013年同社入社。商品戦略室長等を経て、2025年5月より現職。 |
| 吉田昭夫 | 取締役(非常勤) | 1983年現イオン入社。イオンモール社長等を経て、2022年2月より現職。 |
| 岡田浩史 | 取締役(常勤監査等委員) | 1997年同社入社。内部監査室長等を経て、2025年5月より現職。 |
社外取締役は、草島智咲(ウイズソフィア代表取締役)、飯田直樹(黒田法律事務所パートナー弁護士)、中川ゆき子(中川公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売店舗チェーン展開事業」を単一の報告セグメントとして事業を展開しています。
■小売店舗チェーン展開事業
同社グループは、日用雑貨及び加工食品の小売店舗チェーン展開事業を単一のセグメントとして展開しています。主力ブランド「Can★Do」などの直営店において一般消費者向けに商品を販売するほか、フランチャイズ(FC)加盟店への商品卸売、さらには海外の小売業者への卸販売も手がけています。
収益は、直営店舗における日用雑貨や加工食品の小売販売代金、およびFC加盟店や海外小売業者からの卸売代金から構成されています。事業の運営は、商品の企画と調達、店舗運営を担うキャンドゥと、日用雑貨の卸売業を担う子会社のアクシスが共同で行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は店舗数の増加等により順調に拡大傾向にあります。一方で経常利益は各種コストの増加もあり一時的に低迷していましたが、直近の期では収益構造の見直しや店舗の生産性向上が寄与し、大幅な増益を達成しました。これに伴い、当期利益も黒字に転換しています。
| 項目 | 2021年11月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 731億円 | 932億円 | 804億円 | 834億円 | 871億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 6億円 | 3億円 | 9億円 | 15億円 |
| 利益率(%) | 1.4% | 0.7% | 0.4% | 1.1% | 1.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.4億円 | -3.7億円 | -13.1億円 | -2.5億円 | 2.4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期の損益構成を見ると、売上高の増加に加えて、原材料高騰下でも原価率改善の取り組みが奏功し、売上総利益率が0.5ポイント上昇しています。また、販売費及び一般管理費においても効率化が進み、営業利益率は前期間の1.0%から1.8%へと改善しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 834億円 | 871億円 |
| 売上総利益 | 317億円 | 335億円 |
| 売上総利益率(%) | 38.0% | 38.5% |
| 営業利益 | 8.5億円 | 15.3億円 |
| 営業利益率(%) | 1.0% | 1.8% |
販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が101億円(構成比32%)、雑給が90億円(同28%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは小売店舗チェーン展開事業の単一セグメントであるため、全社売上高の推移を示しています。当期はグループ出店を軸とした高効率店舗の展開などにより、増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 小売店舗チェーン展開事業 | 834億円 | 871億円 |
| 連結(合計) | 834億円 | 871億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の営業活動によるキャッシュ・フローはプラス、投資活動によるキャッシュ・フローはマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローはプラスとなっており、営業で利益を出し、借入等によって積極的な投資を行う局面にあることが読み取れます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 19億円 | 44億円 |
| 投資CF | -25億円 | -22億円 |
| 財務CF | -2億円 | 4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.2%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.9%となり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は企業理念として、「100円のすばらしさに誇りを持ち、どこまでも追求する」という価値観と、「老若男女すべての人に利用してもらえるブランドにする」という志すべき所を掲げています。さらに「100円ですべての人を幸福にする」ことを使命とし、「信頼No.1」のビジョンの実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、行動規範に則った公平性・透明性・納得性を確保した企業活動を重視しています。コンプライアンスを遵守したうえで業績目標の達成を土台とし、企業価値の向上と地域社会への貢献を経営の最重要課題と位置づけ、従業員一人一人が倫理観に従って誠実に行動することを目指しています。
■(3) 経営計画・目標
新たな中期計画において、最終年度である2031年2月期に連結売上高1,000億円、店舗数1,605店舗を目指す数値を掲げています。また、目標とする経営指標として、以下の数値を採用しています。
* 営業利益25億円(営業利益率2.5%)
* 経常利益25億円(経常利益率2.5%)
* 当期純利益10億円(当期純利益率1.0%)
* 営業利益率5%以上、自己資本当期純利益率(ROE)10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
中期計画に基づき、「販路の拡大」「商品・ブランドの差別化」「企業価値の向上」の3つの成長戦略を推進しています。具体的には、新フォーマットの進化やイオングループとの連携による積極的な店舗展開、お客さまのニーズに応える商品開発のほか、デジタル化による業務プロセス改革を通じた生産性向上に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、持続的な成長の原動力を従業員の成長と自己実現と位置づけ、挑戦する組織風土の醸成や教育費への積極的投資を推進しています。また、多様な人材が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、時短勤務やファミリーサポート休暇の導入、健康経営の推進など、働きがいを向上させる職場環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 44.9歳 | 18.1年 | 4,739,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 20.0% |
| 男性育児休業取得率 | 60.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 84.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 100.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(61.0)、障がい者雇用率(2.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出退店政策の影響
同社の直営店はインショップの比重が高く、フランチャイズは法人による多店舗展開が中心です。そのため、出店先の大手量販店やフランチャイジーの店舗政策や経営環境が悪化した場合や、既存店の退店に伴う費用・損失が発生した場合には、同社の業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 為替相場や調達コストの変動
商品は大部分を国内ベンダーから調達していますが、ベンダー側が海外で生産・調達しているため、為替変動が間接的にコストに影響します。また、原油価格高騰による電気料金の上昇や物流コストの変動が生じた場合、店舗運営や商品調達の費用が膨らみ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 商品在庫の滞留
積極的な出店に伴い商品在庫数も増加傾向にあります。POSデータを活用した在庫管理や改廃の実施によりコントロールを図っていますが、消費者の購買動向への対応が遅れ、多額の滞留在庫が発生した場合には、同社の財務状況および業績に影響を与える可能性があります。



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