※本記事は、キャンドゥ の有価証券報告書(第31期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. キャンドゥってどんな会社?
100円ショップ「Can★Do」を全国にチェーン展開し、日用雑貨や加工食品の販売を行う企業です。
■(1) 会社概要
同社は1993年に設立され、フランチャイズシステムの確立とともに事業を拡大しました。2000年に株式を店頭登録し、2004年には東証一部へ上場を果たしました。その後、2022年に流通大手であるイオンの子会社となり、イオングループの一員として新たな成長フェーズに入っています。
現在の連結従業員数は573名(単体552名)です。筆頭株主は親会社である流通大手のイオンで、第2位は資産管理会社のケイコーポレーション、第3位は同社代表取締役社長の城戸一弥氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 37.27% |
| ケイコーポレーション | 13.79% |
| 城戸 一弥 | 10.92% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.8%です。代表取締役社長は城戸一弥氏が務めています。社外取締役比率は約42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 城戸 一弥 | 代表取締役社長 | 2007年入社。経営企画室長、取締役を経て2011年より現職。アクシス代表取締役社長を兼任。 |
| 望月 園枝 | 取締役商品企画本部 本部長 | 東京スタイル執行役員等を経て2013年入社。商品部部長などを歴任し、2025年よりDX・業務改革推進担当も兼務。 |
| 吉田 昭夫 | 取締役非常勤 | 1983年ジャスコ入社。イオンモール社長、イオン代表執行役社長などを経て、2022年より現職。 |
| 岡田 浩史 | 取締役(常勤監査等委員) | 1997年入社。内部監査室長、経理財務部財務課長などを歴任し、2019年より現職。 |
社外取締役は、草島智咲(ウイズソフィア代表取締役)、飯田直樹(弁護士)、中川ゆき子(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日用雑貨及び加工食品の小売店舗チェーン展開事業」を展開しています。
■(1) 小売事業(直営店)
主力の100円ショップ「Can★Do」を直営店として運営し、一般消費者に日用雑貨や加工食品を販売しています。イオングループの商業施設内への出店や、ライフスタイル提案型ショップ「New Can★Do」の展開など、顧客ニーズに合わせた店舗作りを行っています。
収益源は、来店客への商品販売による売上代金です。運営は主にキャンドゥが行っており、商品の企画・調達から販売までを一貫して手がけています。
■(2) 卸売事業(FC・海外)
国内のフランチャイズ(FC)加盟店や、海外の小売業者に対して商品を卸売りしています。FC店に対しては、商品供給に加えて店舗運営ノウハウの提供や指導も行っています。
収益源は、FC加盟店や海外取引先への商品卸売代金およびロイヤリティ収入等です。運営はキャンドゥが行うほか、子会社のアクシスが日用雑貨の卸売業を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は800億円台で推移しており、直近では834億円と過去5期の中で比較的高い水準にあります。利益面では、経常利益が9億円となり前期の3億円から回復傾向にありますが、当期純損益は2億円の赤字となりました。ただし、前期の12億円の赤字からは大幅に縮小しており、損益改善の兆しが見られます。
| 項目 | 2021年11月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 731億円 | 932億円 | 804億円 | 834億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 6億円 | 3億円 | 9億円 |
| 利益率 | 1.4% | 0.7% | 0.4% | 1.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.9億円 | -3.4億円 | -11.7億円 | -1.6億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は約30億円増加し、売上総利益率も改善しています。販管費は増加しましたが、増収効果と利益率の改善により、営業利益は前期の2億円から8億円へと大きく伸長しました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 804億円 | 834億円 |
| 売上総利益 | 296億円 | 317億円 |
| 売上総利益率(%) | 36.9% | 38.0% |
| 営業利益 | 2億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 0.3% | 1.0% |
販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が98億円(構成比32%)、給与手当・雑給等の人件費関連が約108億円(同35%)を占めており、店舗運営に関わる固定費の負担が大きい構造となっています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、商品区分別の売上動向を見ると、主力の「日用雑貨」が堅調に推移し、前期比で増収となりました。「加工食品」は減少しましたが、全体としては増収を確保しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 日用雑貨 | 686億円 | 730億円 |
| 加工食品 | 117億円 | 103億円 |
| その他 | 1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 804億円 | 834億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラスを維持し、その範囲内で投資活動を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー構造です。本業で稼いだ現金を、店舗の新規出店や改装などの設備投資に充てています。
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのプラス幅は棚卸資産の増減等の影響を受けます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -9.0億円 | 19億円 |
| 投資CF | -21億円 | -25億円 |
| 財務CF | 27億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-1.6%で市場平均(スタンダード7.2%)を下回っています。財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.5%で、これも市場平均(スタンダード非製造業48.5%)を下回る水準です。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「100円ですべての人を幸福にする」を使命とし、「100円のすばらしさに誇りを持ち、どこまでも追求する」という価値観のもと、老若男女すべての人に利用されるブランドを目指しています。ビジョンとして「信頼No.1」を掲げ、顧客からの信頼獲得を最重視した経営を行っています。
■(2) 企業文化
「量から質への転換」を行動基準として定着させ、100円の価値を追求する文化があります。また、人材育成においては「新しいことに果敢に挑戦し、新たな価値を創造するとともに、自らの意思と努力によって自己実現を目指す人材」を求めており、挑戦を推奨する組織風土の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
イオングループ入りを経て策定した中長期経営計画「CanDo×AEON五ヶ年計画」の達成に向け、「お客さま満足の最大化」を追求しています。
* 営業利益率:5%以上
* 自己資本当期純利益率(ROE):10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「五ヶ年事業計画」の実現に向け、「販路の拡大」「商品・ブランドの差別化」「企業価値の向上」の3つを軸に戦略を推進しています。特に、「発信」をテーマとしたライフスタイル提案型ショップ「New Can★Do」の確立や、イオングループとのシナジー活用による販売機会の拡大、セルフレジ導入などDXによる生産性向上に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
従業員個々人の成長と自己実現を組織の原動力と位置づけ、働きがいのある環境整備を進めています。グループシナジーを生かした教育体系の構築や、ジョブローテーションによる成長促進を行うほか、女性管理職比率30%以上を目標とするなど、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 44.0歳 | 17.2年 | 4,489,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.1% |
| 男性育児休業取得率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.6% |
| 男女賃金差異(正規) | 82.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 100.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(55.6)、障がい者雇用率(2.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出退店政策に関するリスク
同社の直営店はインショップ形式の比重が高く、出店先である量販店の経営方針や環境変化の影響を受けやすい構造です。また、FC店においては法人フランチャイジーによる多店舗展開が中心であるため、これらの経営状況が悪化した場合、同社の出退店計画や業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 商品在庫リスク
積極的な出店に伴い商品在庫が増加傾向にあります。POSデータを活用した在庫管理や商品の改廃を行っていますが、消費者の嗜好変化への対応遅れや市場縮小などが起きた場合、滞留在庫が発生し、評価損の計上などにより業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 為替相場の変動
商品の多くは国内ベンダーから調達していますが、ベンダー自身は海外生産を行っているため、円安などの為替変動は調達コストの上昇を通じて間接的に同社の業績に影響します。また、子会社による直接貿易においては、為替変動の影響を直接受けるリスクがあります。
■(4) 情報セキュリティに関するリスク
POSシステムや社内ネットワークなどのITシステムにおいて、サイバー攻撃やシステム障害が発生した場合、店舗運営の停止や情報漏洩につながる恐れがあります。これらは売上の減少や社会的信用の失墜を招き、業績に重大な影響を与える可能性があります。



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