ハローズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハローズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。瀬戸内エリアを中心に24時間営業の食品スーパーマーケットを展開する。2025年2月期の営業収益は2108億円、経常利益は123億円で、積極的な出店戦略と既存店の堅調な推移により増収増益を達成している。


※本記事は、株式会社ハローズ の有価証券報告書(第67期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハローズってどんな会社?

同社は、瀬戸内エリアを中心に24時間営業の食品スーパーマーケットを展開する流通小売企業です。

(1) 会社概要

1958年に広島県府中市で府中スーパーマーケットとして設立され、1988年にハローズへ社名変更しました。1994年より24時間営業を開始し、独自のビジネスモデルを確立しました。2002年の店頭登録を経て、2015年に東証一部へ市場変更し、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。

2025年2月現在、従業員数は単体で1,388名です。筆頭株主は関連会社のサンローズで、第2位は代表取締役社長の佐藤利行氏、第3位は大手流通グループのイオンとなっています。

氏名 持株比率
サンローズ 22.80%
佐藤利行 11.60%
イオン 8.50%

(2) 経営陣

同社の役員は男性12名、女性3名(うち監査等委員を含む)の計15名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は佐藤利行氏が務めています。なお、社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤利行 代表取締役社長 1971年入社。1991年より社長。ハローズ財団理事長、西条プラザ社長等を兼任。
佐藤太志 取締役副社長営業担当兼開発部管掌 1975年入社。商品本部長、管理本部長等を経て2009年副社長。さんミラーズ代表取締役を兼任。
花岡秀典 専務取締役管理本部長兼BCP担当 1981年入社。店舗運営部部長、商品本部長等を経て2021年専務取締役。サンポラリス代表取締役を兼任。
髙橋正名 専務取締役商品ライン本部長兼商品統括部長兼販売企画部管掌 1981年入社。商品部部長、物流企画部長等を経て2021年専務取締役。
末光憲司 常務取締役店舗運営ライン本部長兼店舗業務支援室長 1984年入社。店舗運営部長、四国地区長等を経て2021年常務取締役。
佐藤新三 常務取締役商品ライン本部副本部長兼商品企画部長 2011年入社。倉敷地区長、商品企画部長等を経て2023年取締役。2025年常務取締役。
砂田健二 取締役管理本部副本部長兼人事教育部長 1996年入社。人事教育部長を経て2021年取締役。
大原崇典 取締役総合企画室長 1999年入社。経営企画室長を経て2023年取締役。
上原瑞江 取締役(非常勤)コーポレートブランディング担当 2001年トレンド・プロ入社。2025年同社取締役。


社外取締役は、藤井義則(公認会計士・税理士)、池田千明(弁護士)です。

2. 事業内容

同社グループは、「商品小売」事業を展開しています。

**商品小売事業**
広島、岡山、香川、愛媛、徳島、兵庫、山口の各県において、24時間営業を主体とした食品スーパーマーケットを運営しています。一般消費者を対象に、青果、鮮魚、精肉、惣菜、ドライ食品などを販売しており、600坪型や450坪型の標準化された店舗によるドミナント出店を推進しています。

収益は、店舗での商品販売による代金や、自社開発のショッピングセンターにおけるテナントからの賃貸収入などで構成されています。運営は主にハローズが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上収益(営業収益)は毎期順調に増加しており、成長基調にあります。経常利益に関しても、売上の拡大に伴い安定して増加傾向を示しています。利益率も5%台後半から6%前後で推移しており、安定した収益性を維持しています。当期利益も増加傾向にあり、堅実な成長を続けています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
営業収益 1,519億円 1,634億円 1,741億円 1,954億円 2,108億円
経常利益 76億円 87億円 91億円 109億円 123億円
利益率(%) 5.0% 5.3% 5.2% 5.6% 5.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 55億円 59億円 62億円 86億円 89億円

(2) 損益計算書

直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移しており、安定した商品利益率を確保しています。営業利益も増収効果により増加しており、営業利益率も改善傾向にあります。全体として、事業規模の拡大と収益性の維持・向上が図られています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 1,899億円 2,048億円
売上総利益 488億円 526億円
売上総利益率(%) 25.7% 25.7%
営業利益 109億円 123億円
営業利益率(%) 5.7% 6.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が191億円(構成比41.4%)、地代家賃が51億円(同11.1%)を占めています。

(3) セグメント収益

同社は商品小売事業の単一セグメントですが、地域別の販売実績を見ると、主力の広島県や岡山県での売上が堅調に推移しています。特に山口県では新規出店により大幅な増収となっています。各地域においてドミナント戦略が奏功し、全体としての売上拡大に寄与しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
広島県 604億円 637億円
岡山県 513億円 546億円
香川県 216億円 235億円
愛媛県 134億円 148億円
徳島県 175億円 185億円
兵庫県 252億円 275億円
山口県 5億円 22億円
合計 1,899億円 2,048億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ハローズは、順調に利益を獲得しており、キャッシュ・フローに特段の問題はありません。

営業活動では、事業活動から得られた資金が増加しており、これは主に本業での利益増加によるものです。投資活動では、出店候補地の取得や新店舗建設への投資が増加しています。財務活動では、借入金の返済や配当金の支払いが行われました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 132億円 159億円
投資CF -72億円 -138億円
財務CF -56億円 -52億円

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は「地域社会の生活文化向上に貢献する」を経営理念の第一に掲げ、「食を通して好循環型の社会をめざす」という基本理念に基づき事業を展開しています。また、従業員の幸せづくりや取引先との共存共栄、成長発展のための利益確保も重視しています。

(2) 企業文化

同社は社訓として「和して向上 日々感謝」を掲げています。多様化する顧客ニーズに積極的に応えながら、事業拡大に取り組む姿勢を重視しています。24時間営業を主体とし、地域社会のインフラとしての役割を果たすことに使命感を持った組織風土がうかがえます。

(3) 経営計画・目標

同社は長期ビジョンとして「西日本5000億円構想」を掲げ、広島、岡山、四国、兵庫、山口エリアでのドミナント化を推進しています。また、2026年2月期からの中期経営計画「瀬戸内2814計画」では、以下の目標を設定しています。
* 2030年2月期までに140店舗体制
* 営業収益2,800億円

(4) 成長戦略と重点施策

標準化した600坪型および450坪型の店舗によるドミナント出店を継続し、商勢圏でのシェア拡大を目指します。ビジネスモデルの進化として、24時間トータルオペレーションシステムや製造・物流・販売の一括管理体制を強化します。また、既存店の改装やPB商品「ハローズセレクション」の開発、物流効率化にも注力し、競争優位性を確保する方針です。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は人材育成を最重要課題の一つとし、階層別の教育体制整備や昇格制度、報奨金制度等のインセンティブ導入によりモチベーション向上を図っています。新卒・パート社員の積極採用に加え、多様な人材の確保と育成、ワークライフバランスの推進にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 34.7歳 10.9年 4,989,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.8%
男性育児休業取得率 47.4%
男女賃金差異(全労働者) 56.2%
男女賃金差異(正規雇用) 74.2%
男女賃金差異(非正規) 97.5%

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店戦略について

同社は瀬戸内エリアを中心に店舗網を拡充していますが、希望する出店条件に合致する物件が見つからない場合や、大規模小売店舗立地法に基づく審査状況、規制の変更等により、出店計画の見直しや開発コストの増大が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 経営環境について

食品スーパーマーケット業界は個人消費との結びつきが強く、経済環境悪化による購買力低下や天候不順、競合他社との競争激化が売上や収益に影響する可能性があります。また、食中毒や食品偽装など食の安全性に関する問題が発生した場合、消費者の信頼を損なう恐れがあります。

(3) 人材の確保と育成について

事業拡大には優秀な人材の確保が不可欠ですが、労働人口の減少や採用競争の激化により人材確保が困難になる可能性があります。また、最低賃金の引き上げや社会保険制度の改正等による人件費の増加が、同社の業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(4) システムトラブルについて

24時間営業や物流システムを支える情報システムにおいて、自然災害やサイバー攻撃等による障害が発生した場合、店舗運営に支障をきたす恐れがあります。また、業務委託先の継続性等の問題により重要なインフラに影響が出る可能性もあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。