※本記事は、株式会社ハローズ の有価証券報告書(第68期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハローズってどんな会社?
同社は、瀬戸内沿岸部において24時間営業を主体とした食品スーパーマーケットを展開する流通小売企業です。
■(1) 会社概要
1958年に広島県府中市で設立されました。1988年にCIを導入してハローズに社名変更し、1994年より24時間営業を開始しました。2001年の岡山県を皮切りに、香川、愛媛、徳島、兵庫、山口の各県へ順次進出し、ドミナント出店を推進しています。2004年にジャスダック市場に上場し、2015年に東証一部(現プライム市場)へ市場変更を果たしました。
現在、従業員数は単体で1,437名です。筆頭株主は同社の関連会社であるサンローズで、第2位は創業家で代表取締役社長を務める佐藤利行氏、第3位は事業会社のイオンです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| サンローズ | 22.80% |
| 佐藤利行 | 11.70% |
| イオン | 8.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性3名の計15名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は佐藤利行氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤利行 | 代表取締役社長 | 1971年同社入社。1991年より代表取締役社長。ハローズ財団理事長などを経て、サンローズおよびサンローズ興産代表取締役より現職。 |
| 佐藤太志 | 取締役副社長営業担当兼開発部管掌 | 1975年同社入社。事業管理部長、商品本部長などを経て、さんミラーズ代表取締役より現職。 |
| 花岡秀典 | 専務取締役管理本部長兼総務部長兼BCP担当 | 1979年岡野食品産業入社。1981年同社入社。店舗運営部部長などを経て、サンポラリス代表取締役より現職。 |
| 髙橋正名 | 専務取締役商品ライン本部長兼商品統括部長兼販売企画部管掌 | 1981年同社入社。商品部部長、物流企画部長などを経て現職。 |
| 末光憲司 | 常務取締役店舗運営ライン本部長兼店舗業務支援室長 | 1984年同社入社。店舗運営本部店舗運営部長、四国地区長などを経て現職。 |
| 佐藤新三 | 常務取締役商品ライン本部副本部長兼商品企画部長 | 2011年同社入社。倉敷地区長などを経て、藤屋代表取締役社長より現職。 |
| 砂田健二 | 取締役管理本部副本部長兼人事教育部長 | 1996年同社入社。管理本部人事教育部長などを経て、同社指名報酬委員より現職。 |
| 大原崇典 | 取締役総合企画室長 | 1999年同社入社。経営企画室長などを経て現職。 |
| 上原瑞江 | 取締役(非常勤)コーポレートブランディング担当 | 2001年トレンド・プロ入社。2022年より同社プロジェクトディレクターを経て現職。 |
社外取締役は、藤井義則(ビズリンク・アドバイザリー代表取締役)、池田千明(板野法律事務所弁護士)、尾崎和正(元トマトビジネス社長)、岡本均(元トマト銀行理事総務部長)、杉山愼策(元マテルジャパン社長)、富山栄子(開志創造大学副学長)です。
2. 事業内容
同社グループは、商品小売事業(食品スーパーマーケット)を展開しています。
同社は、瀬戸内沿岸部(広島、岡山、香川、愛媛、徳島、兵庫、山口)の主要都市において、24時間営業を主体とした食品スーパーマーケット事業を展開しています。売場面積600坪型および450坪型の標準化された店舗をドミナント出店し、青果、鮮魚、惣菜、精肉、一般食品や日用雑貨などを顧客へ提供しています。
収益源は、店舗での商品販売による代金や、自社プライベートブランド「ハローズセレクション」の販売収入です。また、スーパーマーケットを核として異業種と複合化した近隣購買型ショッピングセンターによる収益も得ています。これらの店舗運営や商品の製造・物流・販売は、主に同社が事業主体として行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去4年間の業績推移を見ると、継続的な新規出店や既存店舗の売上増加を背景に、売上高および経常利益ともに毎期着実な成長を遂げています。特に当期は売上高2,257億円、経常利益126億円に達しており、利益率も5%台を安定して維持し、増収増益のトレンドが続いています。
| 項目 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,741億円 | 1,954億円 | 2,108億円 | 2,257億円 |
| 経常利益 | 91億円 | 109億円 | 123億円 | 126億円 |
| 利益率(%) | 5.2% | 5.6% | 5.8% | 5.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 62億円 | 86億円 | 89億円 | 90億円 |
■(2) 損益計算書
売上高および売上総利益は、新規出店や既存店舗の好調により増加傾向にあります。売上総利益率は25%前後で推移しており、営業利益も堅調に増加し、安定した収益構造を確保していることがうかがえます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,048億円 | 2,194億円 |
| 売上総利益 | 526億円 | 558億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.7% | 25.4% |
| 営業利益 | 123億円 | 125億円 |
| 営業利益率(%) | 6.0% | 5.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が208億円(構成比41.8%)、地代家賃が54億円(同11.0%)、減価償却費が51億円(同10.3%)を占めています。売上原価のうち、当期商品仕入高が1,642億円(同100.4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は商品小売事業の単一セグメントであるため、全社の売上高および利益を記載しています。新規出店効果や既存店舗における改装、販売政策による客数増加などが寄与し、堅調な業績を達成しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益(2026年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 商品小売事業 | 2,048億円 | 2,194億円 | 123億円 | 125億円 | 5.7% |
| 連結(合計) | 2,048億円 | 2,194億円 | 123億円 | 125億円 | 5.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 159億円 | 262億円 |
| 投資CF | -138億円 | -140億円 |
| 財務CF | -52億円 | -25億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.2%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.0%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「食を通して好循環型の社会をめざす」という基本理念に基づき、事業を展開しています。また、「地域社会の生活文化向上に貢献する」「従業員の幸せづくり人づくりをする」「お取引先様との共存共栄をはかる」「成長発展のため利益を確保する」という4つの経営理念を掲げ、多様化する顧客ニーズに応えながら持続的な事業拡大に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社は、「和して向上 日々感謝」という社訓を掲げています。また、安全で安心な商品を安価に安定供給する体制を実現するため、製造・物流・販売の総括的マネジメントを重視しています。顧客のライフスタイルに合わせた24時間トータルオペレーションシステムを徹底し、明るく快適な店づくりを推進する文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、長期ビジョンとして「西日本5000億円構想」を掲げ、瀬戸内沿岸部を中心とした広域でのドミナント化を推進しています。また、中期経営計画「瀬戸内2814計画」において、以下の数値目標を設定しています。
・2030年2月期までに140店舗体制の構築
・営業収益2,800億円の達成
・自己資本利益率(ROE)10%以上
・売上高経常利益率4~5%の実現
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、商圏内のドミナント化を確立し、商圏人口3万人を基準とした売場面積600坪型および450坪型の標準化店舗を出店する戦略を進めています。また、異業種と複合化した近隣購買型ショッピングセンターの開発や、プライベートブランド商品の開発強化に取り組んでいます。さらに、各種業務システムの高度運用による労働生産性の向上とローコスト・オペレーションの確立に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員一人ひとりの成長がサステナビリティへの取り組みを継続するために最も重要であると考え、人材育成に力を注いでいます。各種研修プログラムの充実や店長・副店長の早期育成を図るとともに、業績評価制度や報奨金制度等のインセンティブを導入してモチベーションの向上を促しています。また、パートタイム社員の戦力化や、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 34.9歳 | 11.3年 | 5,116,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 男性育児休業取得率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 58.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 76.1% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 100.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率の2028年目標(15.0%)、男性育児休業取得率の2028年目標(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店戦略と法規制に関するリスク
同社は、一定の条件を満たす物件を対象に出店を進めていますが、条件に合致する物件が確保できない場合や開発コストが増大する可能性があります。また、大規模小売店舗立地法の規制や審査状況等により、出店計画の見直しが迫られ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 経営環境と競争激化リスク
食品スーパーマーケット業界では、人口減少等による市場縮小や異業種を含めた競争激化が進行しています。消費者の生活防衛意識の高まりによる購買力の低下や、商品調達価格の上昇などが収益性を悪化させる懸念があります。また、食品の安全性に関する問題が発生した場合、顧客からの信頼が低下するリスクがあります。
■(3) 商品開発と衛生管理リスク
同社はプライベートブランド商品の開発や食品の衛生管理に注力していますが、商品が顧客のニーズに合致しなくなった場合や、予期せぬ事故・食中毒などが発生した場合、ブランドに対する信頼失墜や売上の低迷を招き、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
■(4) 24時間営業に関するリスク
同社は24時間営業を主体として展開しており、地域住民の理解を得ながら事業を進めています。しかし、今後の環境変化や法規制の強化などにより、24時間営業が困難になった場合、物流や作業体制の大幅な変更が必要となり、コストの増加を通じて業績に影響を及ぼす懸念があります。



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