パレモ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

パレモ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証メイン上場。レディースアパレル「Re-J&SUPURE」や300円雑貨「illusie300」等を全国展開する専門店チェーン。当連結会計年度は、猛暑や暖冬の影響に加え、物価高による節約志向の高まり等から減収減益となり、当期純損失を計上しました。


※本記事は、パレモ・ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第40期、自 2024年2月21日 至 2025年2月20日、2025年5月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. パレモ・ホールディングスってどんな会社?


レディースアパレルや生活雑貨の専門店を全国のショッピングセンター等にチェーン展開する企業グループです。

(1) 会社概要


1984年にユニーの「ギャルフィット事業部」から分社化し設立されました。2004年にJASDAQへ上場し、2012年には株式会社鈴丹を吸収合併して事業を拡大しました。2017年に持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しています。2021年には西松屋チェーンが筆頭株主となりました。

連結従業員数は127名、単体従業員数は20名です。筆頭株主は子供服・ベビー用品店を展開する事業会社である西松屋チェーンで、第2位はGMOクリック証券、第3位は個人株主となっています。西松屋チェーンとは資本関係があります。

氏名 持株比率
西松屋チェーン 17.36%
GMOクリック証券 3.30%
内藤 征吾 2.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名、計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は香西雅弘氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
香西 雅 弘 代表取締役社長 1986年株式会社鈴丹入社。パレモ執行役員アパレル事業部長、常務取締役等を経て、2021年同社代表取締役社長に就任。2025年5月より現職。
増 田 仁 敬 取締役社長室長 1988年株式会社鈴丹入社。パレモアパレル事業本部部長、社長室長兼監査室長、執行役員社長室長等を経て、2025年5月より現職。
笹 野 信 行 取締役管理担当兼経理管理部長 2006年東建コーポレーション入社。2021年パレモ入社、経理管理部長、執行役員管理担当等を歴任。2025年5月より現職。


社外取締役は、永田昭夫(公認会計士)、田村富美子(株式会社パソナ エキスパート・BPO事業本部理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「小売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 小売事業


レディースアパレル商品や雑貨を販売するために、複数のブランドを設け、全国のショッピングセンターで専門店をチェーン展開しています。顧客層は10代後半から40代の女性を中心としており、アパレルでは「Re-J&SUPURE」「Ludic Park」、雑貨では「illusie300」などのブランドを展開しています。

収益は、一般消費者への商品販売による代金です。運営は、主に連結子会社である株式会社パレモが行っています。また、株式会社バロックジャパンリミテッドの「Azul by moussy」ブランドのフランチャイズ店舗展開や、自社ECサイト「パレモバ」を通じたインターネット販売も行っています。

(2) その他


小売事業以外の事業として、商品の納品代行業務を行っています。グループ内の物流に関連する業務などを担っています。

収益は、納品代行業務に対する対価です。運営は、連結子会社である株式会社ビックスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。利益面では、第38期に黒字転換を果たし、第39期も黒字を維持しましたが、当連結会計年度(第40期)においては減収に伴い利益が縮小し、最終損益は赤字に転落しました。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 183億円 179億円 175億円 159億円 150億円
経常利益 -13.2億円 -6.7億円 5.8億円 3.4億円 1.6億円
利益率(%) -7.2% -3.8% 3.3% 2.1% 1.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -18.8億円 -13.9億円 5.9億円 4.2億円 -0.5億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も減少しました。一方、販売費及び一般管理費も抑制されていますが、売上総利益の減少をカバーしきれず、営業利益率は低下しました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 159億円 150億円
売上総利益 83億円 79億円
売上総利益率(%) 51.9% 52.5%
営業利益 3.6億円 2.1億円
営業利益率(%) 2.3% 1.4%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が33億円(構成比42%)、賃借料が20億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の小売事業において、物価上昇による消費者の節約志向や、前年の外出需要拡大の反動などにより売上が減少しました。その他事業(納品代行業務)は微増となりました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
小売事業 158億円 149億円
その他 1.6億円 1.6億円
連結(合計) 159億円 150億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

パレモ・ホールディングスは、借入金の返済を財務活動の主な支出としています。営業活動では、売上債権や棚卸資産の減少が資金増加に寄与しましたが、仕入債務の減少がそれを上回りました。投資活動では、店舗の改装や保証金の差入、無形固定資産の取得により支出が増加しました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 5.7億円 3.6億円
投資CF -0.8億円 -2.2億円
財務CF -5.8億円 -10.5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「パレモ信条」を経営理念として掲げています。これは、お客様の声を大切にし、明るく前向きな職場をつくり、魅力あるブランドを提案することなどを定めたものです。また、多様化する顧客の個性に応える専門店企業を目指し、常に「旬」の店作りを行い、時代の変化に対応した新業態開発に挑戦することを基本方針としています。

(2) 企業文化


「パレモ信条」に基づき、「夢のある、感動できる」企業を目指しています。具体的には、高い目標に果敢に挑戦する姿勢や、仲間と共に感動を通じて輝かしい明日を創造することを重視しています。現状にとどまらず、時代の変化に対応して変化し続けることを是とする文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループでは、店舗営業力の評価基準として以下の指標を目標に定めています。

* 既存店売上高前年比:100%超

(4) 成長戦略と重点施策


アパレルと雑貨の収益二本柱体制の確立を最重要課題としています。アパレルではECを含む成長分野への投資拡大による「再成長」を、雑貨では商品供給力強化と店舗特性に合わせた品揃えによる「再生」を目指しています。また、Z世代向けブランドの拡充や、実店舗とECの相互送客(OMO)の推進、物流子会社を活用した在庫効率の改善にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


深刻な人手不足に対応するため、賃金の引き上げや処遇改善、店舗作業の削減など労働環境の改善を進めています。また、性別や国籍などを問わず多様な人材が活躍できるダイバーシティを推進しており、新たな事業に挑戦できる人材の確保や、将来を見据えた次世代リーダーの育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 51.1歳 24.0年 6,292,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 24.3%
男性労働者の育児休業取得率 0.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 41.8%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 79.3%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 115.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 出店及び退店に関するリスク


同社グループの店舗のほとんどはショッピングセンター内の賃借テナントであり、施設の集客力変化や法規制の影響を受けます。また、定期賃貸借契約の増加により、契約期間満了時に再契約できない場合、退店を余儀なくされ業績に影響が出る可能性があります。

(2) 店舗賃借の契約に関するリスク


店舗の大半でデベロッパー等の賃貸人に保証金を差し入れています。賃貸人の破産や倒産等の事由により、この差入保証金が回収不能となった場合、同社グループの財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 固定資産の減損会計に関するリスク


店舗の収益性が低下し、営業損益が継続して赤字となるなどで投資回収が見込めなくなった場合、減損損失を計上する必要があります。ショッピングセンターの環境変化等により対象店舗が増加すれば、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) 競合に関するリスク


アパレル・雑貨業界には多くの競合企業が存在します。同社が出店するショッピングセンター内に競争力のある他社が出店した場合や、顧客ニーズへの対応で他社に劣後した場合、集客や販売に影響が生じ、業績が悪化する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。