※本記事は、パレモ・ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第41期、自 2025年2月21日 至 2026年2月20日、2026年5月13日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. パレモ・ホールディングスってどんな会社?
同社はレディースアパレルや生活雑貨の専門店を全国のショッピングセンターでチェーン展開しています。
■(1) 会社概要
1981年にユニーの事業部として発足し、1984年に分社化してパレモを設立しました。2004年にジャスダックへ上場し、2012年には鈴丹を吸収合併しました。2016年にユニーグループから独立し、2017年に持株会社体制へ移行して現在の社名に変更しました。2021年より西松屋チェーンが主要株主となっています。
現在の従業員数は連結で118名、単体で20名です。筆頭株主は事業会社の西松屋チェーンで、第2位は個人の森美穂氏、第3位は金融機関のSBI証券です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 西松屋チェーン | 17.40% |
| 森美穂 | 3.43% |
| SBI証券 | 3.19% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は香西雅弘氏が務めており、社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 香西雅弘 | 代表取締役社長 | 1986年鈴丹入社。同社執行役員等を経て、2012年パレモ執行役員に就任。その後アパレル事業部長等を歴任し、2021年同社代表取締役社長に就任。パレモ・ホールディングス取締役を経て、2025年より現職。 |
| 増田仁敬 | 取締役社長室長 | 1988年鈴丹入社。パレモ・ホールディングスアパレル事業本部部長、社長室長、監査室長、執行役員社長室長などを経て、2025年より現職。 |
| 笹野信行 | 取締役管理担当 | 2006年東建コーポレーション入社。2021年パレモ入社。パレモ・ホールディングス経理管理部長、執行役員管理担当などを経て、2025年パレモ取締役に就任。2026年より現職。 |
社外取締役は、永田昭夫(公認会計士永田昭夫事務所所長)、田村富美子(元パソナ専務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売事業」および「その他」事業を展開しています。
■小売事業
10代後半から40代の女性をメイン顧客層としたレディースアパレル商品や、幅広い年齢層の女性をターゲットとした生活雑貨、バッグ、服飾雑貨を販売しています。複数のブランドを設け、全国のショッピングセンターでチェーン展開するほか、FC事業やEC事業を通じた商品販売も行っています。
一般消費者への商品販売による対価を主な収益源としています。自社ブランドのリアル店舗展開に加え、フランチャイズ店舗の展開や自社ECサイトでのインターネット通信販売も手がけています。当事業の運営は主にパレモが行っています。
■その他
グループ内の物流機能などを担う事業として、商品の納品代行業務を提供しています。グループ内の店舗運営や商品供給を円滑に行うためのインフラとしての役割を果たしています。
グループ内の商品の納品を代行することによる対価を収益源としています。事業基盤を支える当事業の運営は、物流子会社であるビックスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は店舗のスクラップ&ビルドや外部環境の変化に伴い、減少傾向にあります。経常利益は黒字を維持しているものの、利益率は1%から3%台で推移しています。当期純利益は前期に一時的な赤字を計上しましたが、当期はわずかながら黒字に転換し、底打ちの兆しが見られます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 179億円 | 175億円 | 159億円 | 150億円 | 141億円 |
| 経常利益 | -7億円 | 6億円 | 3億円 | 2億円 | 2億円 |
| 利益率(%) | -3.8% | 3.3% | 2.1% | 1.1% | 1.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -34億円 | 6億円 | 4億円 | -0.4億円 | 0.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い、売上総利益も減少していますが、売上総利益率は52%台と安定した水準を維持しています。営業利益率も1%台前半で推移しており、収益構造に大きな変化は見られません。全体として事業規模は縮小傾向にあるものの、一定の利益水準を確保しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 150億円 | 141億円 |
| 売上総利益 | 79億円 | 74億円 |
| 売上総利益率(%) | 52.5% | 52.7% |
| 営業利益 | 2億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 1.4% | 1.3% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が30億円(構成比42%)、賃借料が19億円(同26%)を占めています。
■(3) セグメント収益
報告セグメントは小売事業のみですが、主力のアパレルおよび雑貨事業で構成されています。全体的に消費者の節約志向の高まりなどの影響を受け、小売事業は減収となりました。一方、物流業務などを担うその他事業は堅調に推移し、わずかながら増収となっています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 小売事業 | 149億円 | 139億円 |
| その他 | 2億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 150億円 | 141億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CF、投資CF、財務CFのすべてがマイナスとなる「末期型」の傾向を示しています。本業での資金流出に加え、投資の継続と借入金の返済が重なり、手元資金が減少している状況です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | -1億円 |
| 投資CF | -2億円 | -3億円 |
| 財務CF | -10億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.4%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は25.2%で、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「パレモ信条」を掲げ、「お客様の声を大切にする」「魅力あふれるブランドを提案する」などの価値観のもと、暮らしに夢と感動を提案する存在感のある専門店企業を目指しています。また、現状の業態にとどまらず、時代の変化に対応して新たな業態の開発に積極的に取り組むことを使命としています。
■(2) 企業文化
「明るく楽しく前向きに主体性ある職場をつくる」「自らの努力で高い目標に果敢に挑戦する」「仲間と感動を通して輝かしい明日を創造する」という行動規範を重視しています。顧客一人ひとりの個性や嗜好に応えるため、常に顧客に喜ばれる「旬」のお店づくりを追求しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、既存店売上高前年比を店舗営業力の評価基準としてとらえており、100%を上回る目標を定めております。また、中期経営計画において数値目標を掲げていましたが、外部環境の変化により一旦取り下げ、現在は安定的な収益基盤の確立に注力しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
アパレルと雑貨による収益の二本柱体制の確立を最重要課題とし、既存店舗の活性化や気候変動に対応したMD改革を推進しています。また、新規出店やEC分野への積極的な投資による成長を目指すとともに、Z世代向けブランドの拡充や、オンラインとオフラインの融合(OMO)施策の推進に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
急激な環境変化を捉え、将来の成長を見据えた変革を実現するため、人材の確保・育成・活用を推進しています。賃金の引き上げや処遇改善を進めるとともに、従業員の働き方改革を通じて労働環境の改善を図っています。また、多様性を尊重し、幅広い人材が能力を発揮できるダイバーシティの推進にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 52.2歳 | 24.8年 | 6,080,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 24.6% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 40.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 79.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 108.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ショッピングセンターの集客力への依存
同社の店舗のほとんどはショッピングセンター内のテナント出店であり、デベロッパーの商環境変化や集客力の影響を直接的に受けます。また、定期賃貸借契約の期間満了時に更新ができない場合や、デベロッパーの倒産等により差入保証金が回収不能となる事態が生じた場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) ファッションサイクルと流行の急激な変化
同社は流行に左右されやすいアパレル商品を多く扱っており、定期的に発生する処分損失が業績変動の要因となります。売れ筋商品の早期把握やタイムリーな追加投入により市場変化に対応する体制を整えていますが、予測を超える急激なトレンドの変化が生じた場合、業績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) 店舗収益の悪化に伴う減損損失の発生
同社は「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、営業損益が継続して赤字となるなど回収が見込めない店舗については減損損失を計上しています。スクラップ&ビルドを進めていますが、外部環境の変化により収益が悪化し、減損対象の店舗が増加した場合、財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 競合他社との差別化と販売競争の激化
アパレルおよび雑貨事業の各ブランドにおいて競合する企業が多数存在します。同社は商品供給体制の構築やMD改革等により他社との差別化を図っていますが、同一のショッピングセンターに競争力のある他社が出店し、顧客ニーズを十分に取り込めなかった場合、販売が低迷し業績に影響を及ぼす可能性があります。



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