※本記事は、ワイズテーブルコーポレーション の有価証券報告書(第26期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ワイズテーブルコーポレーションってどんな会社?
同社は、融合レストラン「XEX」やナポリピッツァの「Salvatore Cuomo」等を運営する企業です。
■(1) 会社概要
1999年に有限会社として設立され、翌年に株式会社へ組織変更しました。2001年に旗艦店「XEX ATAGO GREEN HILLS」を開業し、2004年に東証マザーズへ上場を果たしました。同年、カジュアル業態のフランチャイズ展開を開始しています。2018年には持分法適用会社を設立し、翌年「CÉ LA VI TOKYO」をオープンしました。2022年の市場再編に伴い、東証スタンダード市場へ移行しています。
同社グループ(連結)および同社(単体)の従業員数は494名です。株主構成については、筆頭株主は創業者であり代表取締役会長の金山精三郎氏で、第2位は事業会社のアサヒビール、第3位は代表取締役社長の船曵睦雄氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 金山精三郎 | 41.92% |
| アサヒビール | 1.84% |
| 船曵睦雄 | 1.84% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役会長は金山精三郎氏、代表取締役社長は船曵睦雄氏が務めています。なお、社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金山 精三郎 | 代表取締役会長執行役員 | 1987年ゼックス設立。2000年同社代表取締役社長。2020年より現職。 |
| 船 曵 睦 雄 | 代表取締役社長執行役員全体統括 | マッキンゼーを経て2000年入社。フレッシュネス社長等を歴任し、2020年より現職。 |
| 贄 田 賢 英 | 取締役副社長執行役員サルヴァトーレ事業 | 1987年ゼックス入社。SALVATORE CUOMO JAPAN専務等を経て2024年より現職。 |
| 稲 塚 晃 裕 | 取締役副社長執行役員XEX関東地区 | パークハイアット東京等を経て2015年入社。ICONIC LOCATIONS JAPAN代表を経て2024年より現職。 |
| 高 村 泰 弘 | 常務取締役執行役員店舗企画、FC事業 | レインズインターナショナルを経て2005年入社。2023年より現職。 |
| 上 沼 靖 | 取締役執行役員関西東海地区 | 2003年同社入社。執行役員、上席執行役員を経て2024年より現職。 |
| 武 本 尚 子 | 取締役執行役員管理部門 | 日本政策投資銀行、モルガン・スタンレー証券等を経て2008年関連会社入社。2022年より現職。 |
社外取締役は、林哲治郎(元第一生命保険常務)、庄司靖(元あおぞら銀行、現マイナビブリッジ社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「XEXグループ」「カジュアルレストラングループ」および「その他の事業」を展開しています。
■(1) XEXグループ
高級レストランの運営を行うセグメントです。「XEX(ゼックス)」をはじめ、「The Kitchen Salvatore Cuomo」などのブランドを展開しています。また、持分法適用会社を通じて「CÉ LA VI TOKYO」の運営も行っています。高付加価値な料理とサービス、上質な空間を提供することを特徴としています。
収益は、来店客からの飲食代金等を主な源泉としています。運営は、同社および持分法適用会社のICONIC LOCATIONS JAPANが行っています。
■(2) カジュアルレストラングループ
カジュアルな価格帯のレストラン運営およびフランチャイズ事業を行うセグメントです。主力ブランド「PIZZA SALVATORE CUOMO」を中心に、「Paul Bassett」などのカフェ業態も展開しています。本場ナポリの味をカジュアルに楽しめる店舗作りを行っています。
収益は、直営店における飲食代金のほか、フランチャイズ加盟店からのロイヤルティ収入、食材等の販売代金、加盟金等から構成されています。運営は主に同社が行っています。
■(3) その他の事業
人材派遣事業および有料職業紹介事業を行うセグメントです。飲食業界における人材支援等を目的として設立されました。
現在は事業を休止しており、主な運営会社であるパートナーワイズも休眠状態となっています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年2月期はコロナ禍の影響で大幅な赤字を計上しましたが、その後は回復基調にあります。売上高は順調に拡大し、直近の2025年2月期には121億円に達しました。利益面では黒字化を達成し維持していますが、利益率は1~3%台で推移しており、収益性の向上が課題となっています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 83億円 | 81億円 | 98億円 | 113億円 | 121億円 |
| 経常利益 | -14億円 | 3.0億円 | 1.5億円 | 3.1億円 | 2.5億円 |
| 利益率(%) | -16.7% | 3.7% | 1.5% | 2.8% | 2.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -14億円 | 2.9億円 | -1.3億円 | 0.4億円 | 1.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しましたが、営業利益は減少しました。これは、売上原価および販売費及び一般管理費の増加によるものです。売上総利益率はほぼ横ばいで推移していますが、販管費の負担増により営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 113億円 | 121億円 |
| 売上総利益 | 23億円 | 24億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.0% | 19.9% |
| 営業利益 | 1.8億円 | 1.2億円 |
| 営業利益率(%) | 1.6% | 1.0% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が7.3億円(構成比32%)、給料及び手当が4.4億円(同19%)、広告宣伝費が3.8億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
XEXグループはインバウンド需要の取り込み等により増収増益となりました。カジュアルレストラングループも増収増益を達成しましたが、全社費用の増加等の影響を受け、連結全体での利益率は低下しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| XEXグループ | 46億円 | 49億円 | 4.0億円 | 4.2億円 | 8.5% |
| カジュアルレストラングループ | 67億円 | 72億円 | 6.8億円 | 7.2億円 | 10.0% |
| その他 | - | - | -0.0億円 | -0.0億円 | - |
| 調整額 | - | - | -8.9億円 | -10.2億円 | - |
| 連結(合計) | 113億円 | 121億円 | 1.8億円 | 1.2億円 | 1.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の儲けを示す営業CFはプラスを維持し、その範囲内で投資活動と借入金の返済を行っており、「健全型」のキャッシュ・フロー状態と言えます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.9億円 | 2.9億円 |
| 投資CF | -1.2億円 | -3.2億円 |
| 財務CF | -5.2億円 | -2.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は47.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は14.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、安心・安全な食材にこだわり、美味しく健康的なクオリティの高い料理を上質な空間で提供することを基本方針としています。この取り組みを通じて、顧客に対して継続的に高い付加価値を提供することを目指しています。
■(2) 企業文化
マニュアルや既成概念にとらわれず、従業員一人ひとりが個性を活かして成長することを人材育成の基本としています。ホスピタリティ溢れるサービスとハイグレードな空間、厳選素材と職人の技を一体として提供し、顧客に至高の時間を提供することを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長のため、「売上高」と「営業利益」を重要な経営指標として位置付けています。既存店売上の維持と経営効率化による利益率向上を目指しています。また、サステナビリティに関する指標として以下の目標を掲げています。
* 人時売上高:2027年2月期までに2024年2月期比10%増
* 管理職に占める女性労働者の割合:2027年2月期までに2024年2月末比2.0ポイント増
■(4) 成長戦略と重点施策
高付加価値化による収益性改善、インバウンド需要の取り込み、和食事業の強化、カジュアルイタリアンの出店拡大を重点施策としています。特にホテル内出店や観光地への展開を進めるとともに、人材不足・コスト高騰への対応として待遇改善や業務効率化に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を企業価値の源泉と捉え、特定技能人材の積極採用や中途採用の強化により多様性の向上を図っています。また、柔軟な勤務形態や転居支援制度などを整備し、ライフステージの変化に応じた働きやすい環境づくりと定着率の向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 36.5歳 | 6.9年 | 4,738,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 11.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 79.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 81.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期) | 98.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ブランド価値の毀損リスク
同社グループの店舗ブランドにおいて、商標権の管理不備による模倣や、第三者の知的財産権侵害のリスクがあります。また、主要ブランドの一部はライセンス契約に基づいて運営されており、契約終了により店舗名が使用できなくなる可能性があります。これらはブランド力や売上の低下を招く恐れがあります。
■(2) 出店・退店に伴う損失リスク
直営店の賃貸借契約終了や中途解約に伴う違約金、原状回復費用が発生する可能性があります。また、店舗の収益性が著しく低下した場合や退店を決定した場合には減損損失が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。出店時の事業計画未達による投資回収の遅れもリスク要因です。
■(3) 店舗運営コストの上昇リスク
主要食材の価格高騰や水道光熱費等の増加が利益を圧迫するリスクがあります。これらは天候不順、国際情勢、為替変動などの外部要因に大きく左右されます。メニューや食材の見直し、省エネ設備の導入などで対策を講じていますが、完全に回避することは困難です。
■(4) 人材確保と人件費上昇のリスク
外食業界全体での人手不足が深刻化しており、店舗運営に必要な人材の確保が困難になる可能性があります。また、人材確保のための給与水準引き上げが必要となり、人件費が増加して収益性を圧迫するリスクがあります。待遇改善や生産性向上により対策を進めています。



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