ワイズテーブルコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ワイズテーブルコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ワイズテーブルコーポレーションは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、「XEX」などの高級レストランや「PIZZA SALVATORE CUOMO」等のカジュアルレストランを展開する企業です。直近の業績は、インバウンド需要の増加や客単価引き上げが寄与し、増収と大幅な営業増益を達成しています。


※本記事は、ワイズテーブルコーポレーションの有価証券報告書(第27期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ワイズテーブルコーポレーションってどんな会社?


高級レストラン「XEX」やカジュアルイタリアン「PIZZA SALVATORE CUOMO」を展開する外食企業です。

(1) 会社概要


1987年にゼックスが設立され、1999年にワイズテーブルコーポレーションが設立されました。2001年にゼックス等と合併し「XEX ATAGO GREEN HILLS」を開店しています。2004年に東証マザーズに上場し、「PIZZA SALVATORE CUOMO」のフランチャイズ事業を開始しました。2026年には山の上ホテルを子会社化し、和食事業の強化を図っています。

従業員数は連結で514名、単体で514名です。筆頭株主は創業者の金山精三郎氏で、第2位はアサヒビール、第3位は代表取締役社長の船曵睦雄氏となっています。

氏名 持株比率
金山精三郎 41.92%
アサヒビール 1.84%
船曵睦雄 1.84%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は船曵睦雄氏が務めており、取締役9名のうち社外取締役は2名です。

氏名 役職 主な経歴
船曵睦雄 代表取締役社長執行役員全体統括 1998年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。フレッシュネス代表取締役社長などを経て、2020年より現職。
金山精三郎 代表取締役会長執行役員 1987年ゼックス設立、代表取締役に就任。同社代表取締役社長などを経て、2020年より現職。
贄田賢英 取締役副社長執行役員サルヴァトーレ事業 1987年ゼックス入社。同社常務取締役執行役員などを経て、2024年より現職。
稲塚晃裕 取締役副社長執行役員XEX関東地区 パークタワーホテル等を経て2015年同社入社。ICONIC LOCATIONS JAPAN代表取締役などを経て、2024年より現職。
高村泰弘 常務取締役執行役員店舗企画、FC事業 2003年レインズインターナショナル入社。同社上席執行役員などを経て、2023年より現職。
上沼靖 取締役執行役員関西東海地区 2000年P-3入社。同社執行役員などを経て、2024年より現職。
武本尚子 取締役執行役員管理部門 2001年日本政策投資銀行入行。ジョンマスターオーガニックグループ等を経て、2022年より現職。


社外取締役は、林哲治郎(元第一リース社長)、庄司靖(元パルマSVC社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「XEXグループ」および「カジュアルレストラングループ」などの報告セグメントと「その他」事業を展開しています。

XEXグループ


複合店舗である「XEX」をはじめとする高級レストラン事業を展開しています。安心・安全な食材にこだわり、クオリティの高い料理を上質な空間で提供しており、国内外の富裕層やインバウンド顧客などを主なターゲットとしています。

収益源は、直営店における顧客からの飲食代金です。同社および持分法適用会社のICONIC LOCATIONS JAPANが店舗の運営を行っています。

カジュアルレストラングループ


「PIZZA SALVATORE CUOMO」をはじめとするカジュアルイタリアンレストランを展開しています。デリバリー営業やカフェ業態など多様なニーズに対応した店舗モデルを展開し、幅広い顧客層にサービスを提供しています。

収益源は、直営店およびデリバリーでの飲食代金のほか、フランチャイズ店からの加盟金やロイヤリティ、食材等の販売代金です。運営は主に同社が行っています。

その他の事業


飲食業界の海外進出における事業支援などを目的に、人材派遣事業および有料職業紹介事業を展開しています。

収益源は人材紹介や派遣に伴う手数料ですが、現在同社はその他の事業を休止しており、連結子会社のパートナーワイズも休眠状態となっています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


新型コロナウイルスの影響から回復し、インバウンド需要の増加や既存店の客単価引き上げ施策が奏功して売上高は5期連続で増加傾向にあります。利益面でも増益基調が続いており、直近では前年に実施した大型店の全面改装費用の剥落などにより経常利益も増加しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 81億円 98億円 113億円 121億円 130億円
経常利益 3億円 1億円 3億円 2億円 3億円
利益率(%) 3.7% 1.5% 2.8% 2.0% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 -1億円 0.4億円 2億円 1億円

(2) 損益計算書


増収効果に加えて客単価の引き上げや業務効率化が寄与し、売上総利益率は改善しています。人件費や販促費用の増加はあったものの、増収効果が吸収し、営業利益も前期比で大幅な増益を達成しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 121億円 130億円
売上総利益 24億円 28億円
売上総利益率(%) 19.9% 21.7%
営業利益 1億円 2億円
営業利益率(%) 1.0% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が8億円(構成比31%)、給料及び手当が6億円(同21%)を占めています。また、売上原価においては、労務費が39億円(構成比38%)、原材料費が33億円(同33%)を占めています。

(3) セグメント収益


XEXグループは、夏場に客数の伸び悩みがあったものの、前年の新規出店や休業店舗の通常営業復帰が寄与し増収となりました。カジュアルレストラングループも、客単価の引き上げやデリバリー営業での外部サービス活用による注文件数の増加が牽引し、売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
XEXグループ 49億円 54億円
カジュアルレストラングループ 72億円 77億円
連結(合計) 121億円 130億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業となっています。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は17.4%で市場平均を下回っています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 3億円 5億円
投資CF -3億円 -4億円
財務CF -2億円 -0.8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、安心・安全を第一に考えた食材にこだわり、味がよく体にもよいクオリティの高い料理を上質な空間で提供できる店舗作りを行い、顧客に高付加価値を継続的に提供することを基本方針としています。食事をするだけでなく、愉しく心地よい時間を過ごしてもらうことを大切にしています。

(2) 企業文化


同社は、ホスピタリティに溢れたサービスとハイグレードな空間演出、厳選された素材と職人の技を一体として提供し、顧客に至高の時間を過ごしてもらうことを重視しています。従業員一人ひとりが、マニュアルや既成概念にとらわれることなく、それぞれの個性を活かして輝くことができる環境づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、「売上高」および「営業利益」を重要な経営指標として位置付けています。持続的な成長のため、既存店の売上高を維持するとともに、経営の効率化による利益率の向上を目標に掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


高付加価値化を最優先課題とし、優秀な人材の確保・育成や店舗設備への投資による提供価値の向上を図ります。また、国内外で需要の高い和食事業を重点領域に位置付け、新規子会社とのシナジー創出や職人の育成を推進します。カジュアル領域では、収益性を重視した新規出店やデリバリーの強化に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人的資本の充実を重要課題と位置付け、人材の確保・定着と育成に取り組んでいます。外国人人材の採用・育成による多様性の向上や、中途採用の強化を進めています。また、出産や育児、介護などライフステージの変化に合わせて働き続けられる柔軟な勤務形態や、ワーク・ライフ・バランスの改善を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 36.2歳 7.0年 4,825,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.8%
男性育児休業取得率 57.1%
男女の賃金の差異(全労働者) 74.9%
男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 76.3%
男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 101.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ブランド関連のリスク


商標権の模倣や第三者の知的財産権侵害、またライセンス供与を受けている店舗の契約終了により、店舗のブランド力や認知度が低下し、売上高が減少する可能性があります。同社は外部の弁理士を活用した情報収集や、ライセンサーとの関係強化に努めています。

(2) 出店・退店と直営店の収益性


直営店の賃貸借契約終了や中途解約による損失発生、収益性の著しい低下による減損損失の計上リスクがあります。また、新規出店時の事業計画が未達となり、初期費用を回収できない可能性があります。同社は店舗の収益性維持と事業計画の精度向上を図っています。

(3) 食材調達と価格高騰


天候不順や国際情勢、為替などの影響により、主要な食材の安定調達が困難になることや、仕入価格が高騰するリスクがあります。これに対し、同社は需給状況の継続的な情報収集、提供メニューや使用食材の見直し、サプライヤーとの関係強化により影響の回避を図っています。

(4) 人手不足と店舗運営コストの増加


深刻な人手不足により店舗運営に必要な人材を確保できない場合や、人材確保のための給与水準引き上げ、水道光熱費などの店舗運営コストが高騰するリスクがあります。同社は従業員の待遇改善による採用強化や定着率の向上、設備の省エネ化による生産性改善に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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