フェリシモ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フェリシモ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場するフェリシモは、服飾や生活雑貨の定期的継続的な購入スタイル「定期便」を主体とした通信販売事業を展開しています。2026年2月期の連結業績は、顧客数の減少等により減収となったものの、バリューチェーン再編等による収益性の向上を背景に営業利益、経常利益ともに増益を達成しました。


※本記事は、株式会社フェリシモの有価証券報告書(第61期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フェリシモってどんな会社?


通信販売事業を主力とし、毎月1回商品をお届けする独自の「定期便」スタイルを特徴とする企業です。

(1) 会社概要


1965年の設立以来、ハンカチの頒布会システムによる通信販売を開始しました。1989年に商号をフェリシモに変更し、2004年に親会社を吸収合併しました。2006年に東証二部へ上場し、翌年に東証一部へ指定されました。近年では2021年に新社屋を建設して本店を移転するなど、事業基盤の整備を進めています。

同社グループの従業員数は連結で425名、単体で425名です。筆頭株主は目神山事務所で、第2位は一般財団法人フェリシモ財団、第3位は従業員等で構成されるフェリシモ共創会です。

氏名 持株比率
目神山事務所 11.27%
一般財団法人フェリシモ財団 8.42%
フェリシモ共創会 5.36%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は矢崎和彦氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
矢崎和彦 取締役社長(代表取締役) 1978年同社入社。取締役副社長等を経て、1987年4月より現職。
矢崎真理 代表取締役専務クラスター本部長 2008年同社入社。常務取締役等を経て、2026年1月より現職。
松本和子 常務取締役クラスター本部副本部長 1984年同社入社。執行役員経営企画室長等を経て、2021年5月より現職。
吉岡哲 取締役ビジネスプラットフォーム本部長 1995年同社入社。社長室長等を経て、2020年5月より現職。
宮本孝一 取締役経営企画室長コーポレートスタイルデザイン本部担当 2002年同社入社。執行役員を経て、2023年5月より現職。
小池弘之 取締役新事業開発本部長兼神戸ポートタワー事業本部長 1992年同社入社。執行役員新事業開発本部長等を経て、2025年5月より現職。


社外取締役は、藤田清文(弁護士)、豊島順子(NTT西日本地域プロデュースアドバイザー)、平井直人(ダイズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは通信販売事業を展開しています。

日本国内において服飾・服飾雑貨や生活関連品等の通信販売を行っています。販売は主として商品を毎月1回お届けする「フェリシモ定期便」と呼ばれる独自の仕組みで行っており、単に販売商品を案内するだけでなく、暮らしの夢やスタイルを伝えるカタログを商品と一緒にお届けし、独自の顧客体験を提供しています。

主な収益源は、一般生活者からの商品購入代金です。また、外部パートナーとの共創によるビジネスプロデュース事業や神戸ポートタワー事業等も展開しています。これらの事業運営は同社が行っており、注文受付から商品管理、発送までの業務を自社の受注・物流センターで集約して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は減少傾向にあるものの、利益面では底打ちからの回復傾向が見られます。2024年2月期には一時的に赤字を計上しましたが、バリューチェーンの再編等による収益性の向上に注力した結果、直近2期間は連続して増益を達成しており、収益体質の強化が進んでいます。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 337億円 322億円 296億円 294億円 292億円
経常利益 16億円 8億円 -6億円 2億円 5億円
利益率(%) 4.7% 2.5% -2.1% 0.8% 1.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 8億円 -7億円 2億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は微減となりましたが、バリューチェーンの再編による付加価値の向上により売上総利益率は改善しています。また、全ての領域でコストコントロールを徹底したことで、営業利益は大幅な増益となりました。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 294億円 292億円
売上総利益 159億円 159億円
売上総利益率(%) 53.9% 54.7%
営業利益 1億円 2億円
営業利益率(%) 0.2% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、広告費が37億円(構成比24%)、給与手当が31億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は通信販売事業の単一セグメントですが、品目別に見ると主力の「服飾・服飾雑貨」が減少した一方、「その他」がB2G事業の受託や神戸ポートタワー事業の集客強化策奏功により増加しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
服飾・服飾雑貨 206億円 197億円
生活関連品 65億円 65億円
その他 24億円 29億円
連結(合計) 294億円 292億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFと投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益と資産売却等による資金で借入返済等を進める改善型の局面にあると言えます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 7億円 8億円
投資CF -19億円 21億円
財務CF -1億円 -1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「しあわせ社会学の確立と実践」を経営理念として掲げています。永続的なしあわせ社会を創造することを目指し、事業領域としては「事業性」「独創性」「社会性」の3つが重なり合うところと定義しています。事業活動を通じて「ともにしあわせになるしあわせ」の実現を追求しています。

(2) 企業文化


同社は、中核価値に「ともにしあわせになるしあわせ」を掲げており、お客さまや社員一人ひとりの思いを集め、社会全体のしあわせをかなえる取り組みを重視しています。また、経営理念の実践を実効的にするための行動規範(コーポレート・スタイル)を制定し、グループ内への浸透を継続的に図る文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


2027年2月期の経営目標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高:303億円
* 営業利益:2.4億円
* 経常利益:3.3億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:3.0億円

(4) 成長戦略と重点施策


前期に確立した収益基盤を土台に「増収増益の常態化」の実現を目指し、「定期便事業の抜本的強化」と「次世代事業の創造」の両輪で成長を牽引します。定期便事業では、共感主導型マーケティングの徹底やデジタルメディアを通じた顧客体験の拡張を図ります。次世代事業では、外部との共創事業を積極的に推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「しあわせ社会学の確立と実践」という経営理念等に共鳴する多様な人材を採用しています。事業と顧客を創造できる人材育成に注力し、キャリア研修やマネジメント研修等を実施しています。若手のうちからプロジェクトリーダーに登用するなど中核人材の育成を進め、性別等に関わらない公正な評価を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 42.0歳 15.2年 6645514円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 37.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 56.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 80.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 60.3%


※男性育児休業取得率は、当事業年度中に該当する対象者がいないため「-」としています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料市況等の影響


通信販売という特性上、カタログコストと顧客への配送コストの販売費に占める比率が高くなっています。紙市況の影響によるカタログコストの変動や、国内の輸送コスト上昇による配送コストの変動、エネルギー価格の高騰による原価率の上昇が想定以上に発生した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) カントリーリスク


同社の取り扱う商品の多くは、主に中国を中心としたアジア地域において生産されています。また、将来的な事業のグローバル化を視野に入れ、同地域での販売活動を行っているため、これら地域に関係する地政学的リスク、信用リスク、市場リスクが顕在化した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 通信販売市場の動向


カタログを媒体とした通信販売の市場規模は減少傾向にあると推測されています。カタログの再編やECへの取り組み、新規事業の育成等により収益拡大を図っていますが、既存事業者との競合や新たな販売モデルの出現による消費動向の変化、主顧客層の消費低迷や少子化等が、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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