ハブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハブは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、英国風PUBチェーン「HUB」や「82」の運営を主力事業としています。直近の業績は、各種スポーツ観戦の放映やイベントを軸とした集客施策に加え、新規出店も奏功し、売上高が増収、利益面でも増益を達成するなど、堅調な成長基調を維持しています。


※本記事は、株式会社ハブの有価証券報告書(第28期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハブってどんな会社?


英国風PUBの運営を通じて感動文化創造事業を展開する外食企業です。

(1) 会社概要


同社の前身は1980年3月に設立され、1998年5月にダイエーグループの持株会社の子会社として現在の法人が設立されました。同年9月に「HUB」15店舗の営業を譲り受け、事業を本格的にスタートさせています。2006年4月に大阪証券取引所ヘラクレス市場へ上場し、2024年8月にはMIXIが主要株主となるなど、資本体制の変化を経ながら店舗網を拡大してきました。

同社単体の従業員数は312名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は事業会社のMIXIで、第2位も事業会社であるロイヤルホールディングスとなっています。

氏名 持株比率
MIXI 20.02%
ロイヤルホールディングス 14.83%
久世 8.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は太田剛氏が務めており、社外取締役比率は30.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
太田剛 代表取締役社長 1983年ハブ(旧)入社。りきしゃまんハブ営業部長を経て、1998年同社取締役営業部長。専務取締役事業統括本部長等を経て、2009年より現職。
井上泉佐 常務取締役店舗開発本部長 1991年りきしゃまん入社。2005年同社店舗開発部長。HUB事業部長、取締役営業本部長等を経て、2026年より現職。
高見幸夫 常務取締役管理本部長 1989年キャプテンクック入社。2007年同社商品企画部長。取締役社長室長、取締役管理本部長等を経て、2021年より現職。
土屋雅嗣 取締役営業本部長兼 営業部長 1999年同社入社。経営企画室長、HUB事業部長、取締役企画開発本部長等を経て、2026年より現職。


社外取締役は、西野敏隆(Eye to I コンサルティング開業代表)、西尾修平(verde studios代表取締役)、松本里絵(エアサイド取締役)です。

2. 事業内容


同社は、「英国風PUB事業」の単一セグメントを展開しています。

英国風PUB事業


同社は、英国PUB文化を日本に広く普及させるため、関東や近畿エリアなどを中心に英国風PUBチェーンの「HUB」および「82(エイティトゥ)」を展開しています。ビールやカクテルなどの豊富なドリンクメニューと、フィッシュ&チップスに代表される独自アレンジのフードを提供しており、若い層から大人の世代まで幅広いターゲット層に親しまれています。

店舗を訪れる顧客に対して飲食物を提供し、代金を受け取ることで収益を上げています。会計システムには前払いの「キャッシュ・オン・デリバリーシステム」を採用し、スポーツ観戦や音楽イベントなどを通じてコミュニティ形成の場を創出しています。当該事業の運営は同社が単独で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績を見ると、売上高は継続的な出店や店舗の集客力向上により右肩上がりで成長しています。経常利益も赤字から黒字へと転換したのち順調に拡大を続けており、収益性の改善が明確に表れています。

項目 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 76億円 98億円 106億円 113億円
経常利益 -6億円 3億円 4億円 5億円
利益率(%) -7.4% 2.6% 4.1% 4.7%
当期純利益 -3億円 3億円 4億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も着実に拡大しています。原価や費用を適切にコントロールし、安定した利益水準を確保しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 106億円 113億円
売上総利益 75億円 80億円
売上総利益率(%) 70.5% 70.2%
営業利益 5億円 5億円
営業利益率(%) 4.3% 4.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が30億円(構成比40%)、地代家賃が16億円(同22%)を占めています。売上原価については、当期原材料仕入高が34億円(同101%)となっています。

(3) セグメント収益


事業全体の収益は堅調に推移しています。地域別では、主力となる東日本エリアを中心に増収を達成しており、西日本エリアでも同様に売上の拡大が確認できます。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
東日本 87億円 92億円
西日本 19億円 21億円
その他営業収入 1億円 1億円
連結(合計) 107億円 114億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フローです。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 4億円 9億円
投資CF -3億円 -6億円
財務CF -12億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.5%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も50.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「英国PUB文化を日本において広く普及させるため、英国風PUBを通じてお客様に感動を与える感動文化創造事業を展開する」を経営理念に掲げています。地域になくてはならないコミュニティの場として100年根付く「地縁店」を目指し、お客様の小さな感動を積み上げることで社会を豊かにすることを存在意義としています。

(2) 企業文化


経営の基本方針として、「正直な経営(オネスト)」「着実な経営」「常に変革する経営」「従業員重視の経営」を重視しています。特に、「ワイガヤでアイデアを出し合い、すぐに実行する」という風通しのよい風土を大切にし、全員参画で絶え間なくイノベーションを生み出すことを行動の軸としています。

(3) 経営計画・目標


創業50年にあたる2030年に向けて「創業50年ビジョン」として200店舗体制の構築を掲げており、中期経営計画(2025-2027)の最終年度には具体的な数値目標を設定して事業成長を推進しています。

* 売上高:146億円
* 営業利益:7億円
* 経常利益:7億円
* 店舗数:140店舗

(4) 成長戦略と重点施策


出店戦略「SmasH47」を軸に、全国47都道府県の駅や商業施設内への新規出店を推進しています。また、他社IPやスポーツコンテンツ、自治体とのタイアップを通じた新規顧客の獲得を図るとともに、デジタルマーケティングを活用してリピート促進に取り組むことで、既存店の集客力強化と企業価値の最大化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財」を最重要かつ最大の資産と考え、新卒採用のほか、地方での現地採用やアルバイトからの社員登用を積極的に推進しています。企業内大学「ハブ大学」を通じた独自の階層別教育や英国研修などを実施し、社内外で通用する自立した個人と活力ある組織を実現することで、中長期的な企業価値向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 34.9歳 9.8年 4,773,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.3%
男性育児休業取得率 92.9%
男女賃金差異(全労働者) 62.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 79.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 95.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(66.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新規出店や退店に関するリスク

店舗展開にあたっては同社独自の出店基準を満たす物件を条件としているため、基準に合致する物件が確保できない場合は計画通りの出店が遅れる可能性があります。また、外部環境の変化によって退店を余儀なくされた場合には、固定資産の除却損や違約金が発生するリスクがあります。

(2) 法的規制等への対応リスク

飲食店営業として食品衛生法の規制を受けており、万一食中毒などの事故が発生した場合には営業停止や許可取消の処分を受ける可能性があります。また、深夜営業に関しては風俗営業等の規制を受けており、これらに抵触した場合のペナルティが業績に影響を及ぼす恐れがあります。

(3) 単一業態への特化と競合リスク

英国風PUB事業という単一業態で事業を展開しているため、外食市場における顧客の消費動向や嗜好が変化した場合の影響を直接的に受けやすい構造にあります。また、類似したブランドやサービスを提供する競合店舗が増加した場合、競争激化により収益性が低下するリスクがあります。

(4) 優秀な人材の確保に関するリスク

継続的な成長を達成するためには、パートタイム労働者を含めた優秀な人材の確保が重要課題です。採用環境の変化によって必要な人材が十分に確保できない場合や、労働法制の変更によって従業員の処遇改善に伴うコストが大幅に増加した場合には、事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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