ハブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、英国風PUBチェーンの運営を主力事業としています。直近の決算では、人流回復やスポーツイベント放映等が寄与し、売上高は前期比増収、各利益項目も大幅な増益を達成しており、業績は回復基調にあります。


※本記事は、株式会社ハブ の有価証券報告書(第27期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハブってどんな会社?


英国風PUB「HUB」および「82」ブランドを展開し、キャッシュ・オン・デリバリーシステムでの飲食提供を行う企業です。

(1) 会社概要


同社は1998年、ダイエーグループの事業会社として設立され、英国風PUB「HUB」の営業を譲り受けて事業を開始しました。2006年に大阪証券取引所ヘラクレス市場へ上場を果たし、2010年にはロイヤルホールディングスが資本参加して持分法適用関連会社となりました。その後、2024年に株式会社MIXIが筆頭株主となり、新たな資本関係のもとで事業を展開しています。

現在、同社は単体で306名の従業員を抱える企業です。大株主の構成は、筆頭株主がデジタルエンターテインメント事業などを手掛ける事業会社で、第2位は外食産業の大手事業会社となっており、これら企業との連携も視野に入れた経営が行われています。

氏名 持株比率
MIXI 20.02%
ロイヤルホールディングス 14.83%
久世 8.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は太田 剛氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
太田 剛 代表取締役社長 1983年入社。営業部長、事業統括本部長等を経て2009年より現職。
井上 泉佐 常務取締役営業本部長 1991年入社。店舗開発部長、HUB事業部長、営業管掌等を経て2021年より現職。
高見 幸夫 常務取締役管理本部長 1989年入社。商品企画部長、経営企画部長、社長室長等を経て2021年より現職。
土屋 雅嗣 取締役営業部長 1999年入社。HUB事業部長、管理本部長、企画開発本部長等を経て2024年より現職。


社外取締役は、西野 敏隆(Eye to I コンサルティング開業代表)、西尾 修平(HiOLI代表取締役会長)、松本 里絵(日本パブリックリレーションズ協会副理事長)です。

2. 事業内容


同社は、「英国風PUB事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

英国風PUB事業


同社は、英国PUB文化を日本に普及させることを目的とし、英国風PUBチェーンを運営しています。主なブランドとして、若年層をターゲットとした「HUB」と、大人の世代をターゲットとした「82(エイティトゥ)」を展開しており、ビールやカクテルなどのドリンク、フィッシュ&チップスなどのフードを提供しています。

収益は、来店客への飲食提供による代金として受け取ります。特徴的な「キャッシュ・オン・デリバリーシステム」(前払会計)を採用しており、ノーチャージで気軽に利用できるスタイルを確立しています。運営はハブが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高はコロナ禍の影響を受けた時期からV字回復を遂げ、直近では100億円規模に達しています。利益面でも、赤字計上の時期を経て黒字化を果たし、直近2期は連続して経常利益・当期純利益ともにプラスを維持するなど、収益性の改善が進んでいます。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 38億円 24億円 76億円 98億円 106億円
経常利益 -16億円 -12億円 -6億円 3億円 4億円
利益率(%) -41.1% -50.9% -7.4% 2.6% 4.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -28億円 1億円 -3億円 3億円 5億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。営業利益率も改善しており、本業の収益力が回復傾向にあることが読み取れます。コストコントロールと売上回復が相まって、利益を生み出しやすい体質へと変化しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 98億円 106億円
売上総利益 69億円 75億円
売上総利益率(%) 70.6% 70.5%
営業利益 3億円 5億円
営業利益率(%) 2.8% 4.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が29億円(構成比41%)、地代家賃が16億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、直近では東日本エリアを中心に売上が伸長しています。人流の回復やインバウンド需要の取り込み、スポーツイベントの放映などが奏功し、増収となりました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
英国風PUB事業 99億円 107億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ハブ社の当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて減少しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益の計上や減価償却費の計上等があったものの、売上債権の増加により、前事業年度に比べて収入額が減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出がありました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済による支出が大きくなりました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 6億円 4億円
投資CF -3億円 -3億円
財務CF -10億円 -12億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、英国PUB文化を日本において広く普及させ、「感動文化創造事業」を展開することを経営目的としています。店舗で生まれる小さな感動を積み上げ、地域になくてはならないコミュニティーが形成されるリアルの「場」を創造し続けることで、日本の暮らし・社会をより一層豊かなものにすることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「正直な経営」を基本姿勢とし、常に公平・公正・公開を心がけています。また、「常に変革する経営」として、風通しのよい風土で全員参画型のイノベーション創出を重視するとともに、「従業員重視の経営」を掲げ、理念実現の主役である従業員を大切にする文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は創業50年にあたる2030年に向けて「創業50年ビジョン」として200店舗体制の構築を掲げています。中期経営計画(2025-2027)の最終年度には、以下の数値目標を設定しています。

* 売上高:146億円
* 営業利益:7.1億円
* 経常利益:6.6億円
* 店舗数:140店舗

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「挑戦」をテーマとした中期経営計画のもと、新たな出店戦略「SmasH47」を掲げ、47都道府県をターゲットとした店舗網の拡大を目指しています。また、仕入コスト削減やメニューの差別化、サービスクオリティの向上により顧客満足度を高める方針です。

* 週刊誌価格(500円以下)メニューの拡充
* 駅・空港・商業施設内への出店推進
* 「ハブ大学」を通じた人財育成

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人財」を最重要資産と位置づけ、新卒・中途採用に加え、アルバイトからの社員登用を積極的に行っています。育成面では企業内大学「ハブ大学」を通じて教育プログラムを提供し、自立した個人の育成を図るとともに、従業員が働きやすい職場環境の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(約598万円)を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 34.9歳 9.8年 4,911,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.6%
男性育児休業取得率 83.3%
男女賃金差異(全労働者) 61.9%
男女賃金差異(正規雇用) 73.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 93.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(68.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新規出店について


同社は独自の出店基準を満たす物件を選定していますが、条件に合う物件が見つからない場合、計画通りの出店ができず業績に影響する可能性があります。また、出店後の環境変化による収益低下での減損損失や、退店時の固定資産除却損、違約金等の発生リスクがあります。

(2) 法的規制について


飲食店営業として食品衛生法の規制を受けており、食中毒事故等が発生した場合は営業停止等の処分を受ける可能性があります。また、食品リサイクル法や風営法等の規制も受けており、規制強化への対応費用発生や、法令違反による営業停止等が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人財の確保について


同社の成長には優秀な人財の確保が不可欠ですが、採用環境の変化等により必要な人財を十分に確保できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、労働関連法令の改正や労働市場の変化により人件費等の負担が増加するリスクもあります。

(4) 原材料価格の変動について


天候不順や為替相場の変動、その他様々な要因により食材等の原材料価格が高騰した場合、コスト負担が増加し、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。