※本記事は、株式会社ジェイグループホールディングスの有価証券報告書(第25期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジェイグループホールディングスってどんな会社?
ジェイグループホールディングスは、多業態の飲食店展開を中心とした事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1997年に有限会社ジェイプロジェクトとして設立され、2000年に居酒屋の展開を開始しました。2006年に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場し、2012年に持株会社化して現在の社名に変更しています。直近では2025年にエッジオブクリフ&コムレイドなどを、2026年にはマウンテンコーヒーを子会社化して事業を拡大しています。
従業員数は連結432名、単体383名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である有限会社ニューフィールド、第2位は個人株主の松永圭司氏、第3位は創業者の新田二郎氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| (有)ニューフィールド | 15.74% |
| 松永圭司 | 2.65% |
| 新田二郎 | 2.43% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役会長は新田二郎氏、代表取締役社長は林裕二氏です。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 新田二郎 | 代表取締役会長 | 名古屋レジャー開発代表取締役等を経て、1997年にジェイプロジェクトを設立し代表取締役社長。2022年より現職。 |
| 林裕二 | 代表取締役社長 | ジェイプロジェクトに入社後、東京支店長や営業担当の常務取締役などを歴任。2026年より現職。 |
| 林芳郎 | 取締役副社長 | ジェイプロジェクトに入社後、経営企画や店舗開発を担当する専務取締役等を歴任。2020年より現職。 |
| 猿渡弘太 | 取締役 | 大和証券入社後、クリエイトワークス代表取締役などを経て、2025年ジェイグループホールディングス入社。同年より現職。 |
| 玉田貴彦 | 取締役(監査等委員) | 朝日監査法人に入社後、2006年にジェイグループホールディングス入社。税理士事務所開設などを経て2023年より現職。 |
社外取締役は、安達幸子(元ビクター音楽産業)、細野順三(ソルト・コンソーシアム社外監査役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飲食事業」「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。
■飲食事業
居酒屋「芋蔵」「博多かわ屋」やカフェ「猿Cafe」、レストランなどを多業態で展開しています。立地特性や顧客層に応じた最適な業態を開発する「個店主義」に基づき、お客様のニーズに対応した店舗づくりを行っています。
飲食の提供や接客サービスによる収益を主な収益源としています。運営は主にジェイグループホールディングス、ボカディレクション、かわ屋インターナショナルなど複数のグループ企業が行っています。
■不動産事業
テナントビルや社員寮などの不動産の賃貸および管理業務等を提供しています。飲食事業とのシナジーを活かした物件を積極的に開発し、飲食フロアの一括プロデュースなどで付加価値を高めています。
テナント等からの不動産の賃貸収入等を収益源としています。運営はジェイグループホールディングスおよびジェイアセットが行っています。
■その他の事業
FC加盟店に向けて食品等の卸売業を行っています。FC加盟店の増加に伴う売上規模の向上に取り組んでいます。
卸売による販売代金を収益源としています。運営は主にジェイフィールド、かわ屋インターナショナル、ボカディレクションなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高は47億円から130億円へと大きく拡大し、回復基調にあります。経常利益は赤字から黒字に転換し、直近では4億円の黒字を安定して計上しています。当期利益も同様に黒字を維持しており、収益力の改善が伺えます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 47億円 | 80億円 | 104億円 | 107億円 | 130億円 |
| 経常利益 | -19億円 | -9億円 | 3億円 | 4億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | -40.4% | -11.3% | 2.9% | 3.3% | 2.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -6億円 | -20億円 | 2億円 | 3億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は107億円から130億円へと増加し、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は67.2%から64.8%へとやや低下したものの、営業利益は増加しており、増収効果によって営業利益水準を確保していることが読み取れます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 107億円 | 130億円 |
| 売上総利益 | 72億円 | 85億円 |
| 売上総利益率(%) | 67.2% | 64.8% |
| 営業利益 | 4億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 3.5% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が30億円(構成比37%)、地代家賃が13億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
飲食事業は既存店舗の修繕やリニューアルが奏功し増収となっています。不動産事業は不動産の売却を実施したことで大幅な増収を達成しました。その他事業は減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 飲食事業 | 101億円 | 113億円 |
| 不動産事業 | 4億円 | 15億円 |
| その他 | 2億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 107億円 | 130億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業活動で生み出した資金で借入の返済と投資を賄う「健全型」となっています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 16億円 |
| 投資CF | -4億円 | -3億円 |
| 財務CF | -2億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は15.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「たくさんの“ありがとう”を集めよう」を創業精神とし、「幸福創造販売企業」を目指しています。これは、食を通じてお客様への幸せな空間の提供、社会への幸福の提供、社員への成長機会の提供を実現するという考え方に基づいています。
■(2) 企業文化
同社は、「人を育てること」を企業としての使命とし、「人間力」による企業の成長に取り組んでいます。「jGroup30の人柄」や「10マインド」を掲げ、お客様に笑顔を届け、感謝される行動様式を大切にする文化が醸成されています。
■(3) 経営計画・目標
同社は経営の効率性を高め、企業価値の増大を図るため、以下の数値を目標として掲げています。
* 売上高経常利益率3.0%の達成
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は食文化を通じたサービス業の総合企業を目指し、個々の立地に最適な業態を開発する個店主義を推進します。また、不動産事業におけるプロジェクト出店を通じて投資コストの抑制と収益確保を図ります。さらに、商品開発やWEB販促の強化、オペレーションの効率化によりグループ全体の生産性向上に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人間力」による成長を重視し、人を育てる土壌づくりに努めています。新卒採用を積極的に実施して継続的な教育を進めるとともに、出店増や管理体制充実に向けたキャリア採用も行っています。性別や国籍を問わない人材登用やフレキシブルワーカー制度による働き方の多様化も推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 36.5歳 | 8.5年 | 4,350,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.8% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 47.1% |
| 男女賃金差異(正規労働者) | 74.4% |
| 男女賃金差異(非正規労働者) | 95.5% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用の女性比率(27.8%)、中途採用者の女性比率(24.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 外食業界の動向
原材料費の高止まりや人件費・物流費等の上昇により、厳しい環境が続くことが予想されます。周辺の商業施設との競合等で集客力が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 金利変動の影響
同社グループは設備投資資金を主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債への依存度が高い状況です。そのため、金利が上昇した場合には、資金調達コストが増加し業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 出退店に伴う費用と損失
新規出店や業態変更時には消耗品や販売促進費が一時的に発生します。また、不採算店舗の撤退時には固定資産除却損や違約金が生じる可能性があり、これらの発生状況により業績に影響を及ぼす可能性があります。



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