※本記事は、株式会社銚子丸 の有価証券報告書(第48期、自 2024年5月16日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 銚子丸ってどんな会社?
同社は、千葉・東京・埼玉・神奈川でグルメ回転寿司「すし銚子丸」などを直営展開する企業です。「職人の握る寿司」にこだわり、高品質な商品を提供しています。
■(1) 会社概要
1977年に千葉市で株式会社オールとして設立され、玩具店・飲食店経営を開始しました。1987年に回転寿司業態に進出し、1998年にはグルメ回転寿司「すし銚子丸」の1号店を開設しました。2005年に現社名へ変更し、2007年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2024年には米国に合弁会社を設立し、海外展開を開始しています。
現在の従業員数は単体で511名です。筆頭株主は役員及びその近親者が議決権の過半数を所有する会社で、第2位は同社取締役です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社オール・エム | 31.39% |
| 堀地 かなえ | 22.51% |
| 堀地 元 | 2.06% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は石井憲氏です。社外取締役比率は55.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石井 憲 | 取締役社長(代表取締役) | 京樽代表取締役社長などを経て2023年入社。2025年より現職。 |
| 石田 満 | 取締役特別顧問 | オーケー取締役、ウェアハウス代表取締役を経て2014年入社。2025年より現職。 |
| 堀地 元 | 専務取締役 | 1992年入社。事業部長、常務取締役営業本部長などを経て現職。 |
| 堀地かなえ | 取締役 | 有限会社オール・エム取締役などを経て2024年より現職。 |
社外取締役は、柴野智政(T’s Planning代表)、永井俊秀(元千葉県庁総務部次長)、登三樹夫(登公認会計士事務所代表)、粟谷しのぶ(弁護士)、大塚万紀子(株式会社ワーク・ライフバランス取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「寿司事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 寿司事業
千葉県、東京都、埼玉県、神奈川県において、グルメ回転寿司「すし銚子丸」を中心とした店舗を展開しています。また、立ち寿司業態の「江戸前すし百萬石」、テイクアウト専門店、新業態の「鮨Yasuke」なども運営しています。
主な収益源は、一般顧客への飲食サービスの提供による対価です。すべて直営店による運営を行っており、運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績は、売上高が回復傾向にありましたが、当期は決算期変更に伴う9ヶ月決算となったため、単純な比較では数値が減少しています。しかし、利益面では経常利益率6%台を維持しており、一定の収益性を確保しています。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 170億円 | 193億円 | 214億円 | 174億円 |
| 経常利益 | 17億円 | 8億円 | 17億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 9.9% | 4.1% | 8.1% | 6.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 6億円 | 11億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
2期間の傾向を見ると、売上高の規模は異なりますが、売上総利益率は約61%の水準を維持しています。営業利益率については、当期は6.1%となっており、前期の8.0%と比較してやや低下しています。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 214億円 | 174億円 |
| 売上総利益 | 131億円 | 107億円 |
| 売上総利益率(%) | 61.2% | 61.4% |
| 営業利益 | 17億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 8.0% | 6.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が49億円(構成比51%)、地代家賃及び賃借料が12億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
報告セグメントは寿司事業のみです。当期は決算期の変更により対象期間が短縮されていますが、174億円の売上高を計上しています。
| 区分 | 売上(2024年5月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| 寿司事業 | 214億円 | 174億円 |
| 連結(合計) | 214億円 | 174億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFで得た資金を借入返済に充てつつ、設備投資も自己資金の範囲内で行う健全型に近い状態ですが、当期は自己株式取得により財務CFのマイナス幅が大きくなっています。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 24億円 | 6億円 |
| 投資CF | -18億円 | -10億円 |
| 財務CF | -1億円 | -18億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「人間の生命を支える最も基本的な飲食を通し、より多くのお客様に、よりおいしく・よりよいサービス・より速く、をもって私達の『真心』を提供し、お客様の『感謝と喜び』を頂くことを私達の使命と致します。」という経営理念を掲げています。
■(2) 企業文化
同社は、「すし銚子丸」の強みである「職人の握る寿司」「本まぐろ」「光物」「目利き」「おもてなしの舞台」をより強化・特化することを重視しています。「銚子丸劇場」をテーマに掲げ、顧客に楽しんでもらうための徹底的な商品品質へのこだわりと、おもてなしの充実に努める文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は、事業を継続的に発展させていくために、安定した財務基盤を維持しつつ、売上高を着実に増加させ、適正な利益の確保を図ることを目指しています。そのために、売上高経常利益率、自己資本比率、ROEを重要な経営指標として位置付け、その向上に努めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、既存業態の徹底的な磨き上げ、未展開エリアへの出店や新業態の展開、DX戦略によるオペレーション効率化とマーケティング強化、人財戦略としての採用・育成・リテンション、そして米国での合弁会社設立による海外事業展開を重点施策として掲げています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「採用」「育成」「リテンション」を3つのテーマとし、優秀な人財の確保を推進しています。適正な採用と配置転換による育成、キャリアデベロップメントプログラムや新評価制度の導入を進めるとともに、女性が働きやすい環境整備や管理職登用にも積極的に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 43.7歳 | 10.5年 | 5,214,782円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.5% |
| 男女賃金差異(正規) | 72.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 84.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性正社員比率(15.3%)、女性店長人数(4人)、65歳以上の社会保険適用従業員雇用数(133人)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食材価格の変動リスク
同社は寿司事業のみの単一事業を営んでいるため、水産物や米等の原材料価格の変動や、市場流通量の減少に伴う欠品等が業績に影響を及ぼす可能性があります。特に主要品目であるまぐろ等は、世界情勢や為替、漁獲状況等の影響を受けやすくなっています。
■(2) 人件費・光熱費等の上昇
労働人口減少による採用難や賃金上昇圧力、世界的なエネルギー危機を背景とした燃料価格の高騰、円安による物価上昇などの影響により、人件費や光熱費等の諸経費が急激に上昇した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 食の安全性に関するリスク
生鮮食材を取り扱う業態として、食中毒事件等の発生は重大なリスクとなります。特に近年増加傾向にあるアニサキス等の寄生虫による問題や、同業他社での食中毒発生による業界全体への不安感の波及が、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。



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