※本記事は、株式会社銚子丸 の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
銚子丸は、「すし銚子丸」を中心ブランドとするグルメ回転寿司業態を展開しています。同社は、より上質な商品とサービスをお得感のある価格帯で提供し、寿司事業のみの単一セグメントとなっています。
単体従業員数は514名です。セグメントは寿司事業の1つです。
銚子丸は、「すし銚子丸」を中心ブランドとして直営店のみによる多店舗展開を行っています。同社は寿司事業のみの単一セグメントです。
同社は前事業年度より決算日を5月15日から2月末日に変更しました。また、米国市場での新たな価値創造を目指し、合弁会社SUSHI-TEN USA Inc.がカリフォルニア州に1号店を出店しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
銚子丸は、寿司事業を主軸とする企業であり、従業員の定着と成長を重視する働き方が特徴です。給与水準は業界や企業規模に応じた傾向が見られ、多様な人材の育成と活用に力を入れています。従業員が長く安心して働ける環境づくりを目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,234,079円 |
| 平均勤続年数 | 10.9年 |
| 平均年齢 | 44.3歳 |
| 単体従業員数 | 514人 |
同社は2019年11月より、従業員の退職給付に充てるため、選択型確定拠出年金制度を採用しています。確定拠出型年金は、会社が拠出した資金を従業員が自ら運用する制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
銚子丸は、経営理念の実現に向けて、顧客や地域に感謝され喜ばれる人材の育成に努めています。良質な外食体験を提供することで、お客様だけでなく、従業員一人ひとりが接客業の喜びを感じ、人としても成長できる循環を目指しています。
すべての社員が、採用から退職までの各ステージで満足度を高められる社内環境の整備を方針としています。具体的には、人財育成方針として、劇団員一人ひとりが成長し、お客様の感謝と喜びが増大するような循環を達成することを目標としています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。パート・有期労働者はフルタイム換算した人員数に基づいて算出されており、賃金は賞与を含み、通勤手当は除かれています。正規雇用労働者については、約8割が男性労働者であり、そのほとんどが寿司職人であるため、女性の寿司職人が少ないことが男女の賃金差異の最大の要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 82.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 96.7% |
人的資本に関する指標及び目標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性正社員比率 | 17.0% |
| 女性店長人数(人) | 3人 |
| 65歳以上の社会保険適用従業員雇用数(人) | 126人 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
銚子丸は、「すし銚子丸」を中心ブランドとして、グルメ回転寿司業態を直営店で多店舗展開しています。同業他社の低価格回転寿司店との差別化を図り、より上質な商品とサービスを、お得感のある価格帯で提供することを強みとしています。
同社は寿司事業のみの単一セグメントで事業を展開しています。職人の握る寿司、本まぐろ、光物、目利き、おもてなしの舞台といった強みを磨き上げ、お客様にとって魅力的な商品の開発を進めています。まぐろの希少部位メニューや季節ごとのイベント、グランドメニューのリニューアルを通じて、顧客体験の向上を図っています。
新規出店や都心型の新業態開発にも積極的に取り組んでおり、店舗網の拡大を進めています。また、テーブル決済機能やECアプリを公式「縁アプリ」に追加することで、お客様の利便性向上と集客アップを図るDX推進にも注力しています。人材確保の強化やキャリアデベロップメントプログラムの構築、女性活躍推進のための環境整備など、人財強化施策も進められています。
さらに、米国市場における新たな価値創造にも挑戦しており、合弁会社を通じてカリフォルニア州に1号店を出店し、今後の店舗展開を計画しています。同社の売上高は、主に日本国内の外部顧客への寿司事業の販売から得られています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社は前事業年度より決算日を変更しており、当事業年度と比較対象となる前事業年度の期間が異なるため、前事業年度との比較は記載されていません。当事業年度における日本の経済は緩やかな回復基調で推移したものの、物価高による消費者の節約志向や原材料・エネルギー価格の高騰、労働力不足など、引き続き厳しい経営環境が続いています。
このような状況の中、同社は既存業態の磨き上げ、新規出店と新業態開発、DX推進、人財の確保、米国市場における新たな価値創造といった中期的な経営課題に対する重点施策に取り組んできました。これらの施策の結果、当事業年度の売上高は堅調に推移し、営業利益、経常利益、当期純利益を計上しています。なお、不採算店舗の減損損失を計上しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
銚子丸の事業は、職人の握る寿司を提供するグルメ回転寿司業態であり、従業員一人ひとりのサービス品質や技術が収益に直結する特性を持っています。そのため、従業員一人あたりの収益性や生産性は、企業の効率性や収益体質を測る上で重要な指標となります。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
銚子丸は、本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元に資金を残している状態です。財務基盤は堅固であり、事業運営における安心感につながる状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は72.2%となっており、非製造業のプライム市場平均(24.2%)と比較して高い水準です。また、現金及び預金等は44億40百万円と手元資金も厚く、安定した財務基盤を構築していることがうかがえます。これらの状況は、同社が事業運営において資金繰りの面で安定していることを示しています。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | - | 72.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 40億3百万円 | 44億40百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、それを成長投資に充てている状況です。営業活動によるキャッシュフローは20.8億円の収入となっており、これは税引前当期純利益や減価償却費の計上などによるものです。投資活動によるキャッシュフローは△12.8億円の支出となっており、有形固定資産や無形固定資産の取得、関係会社株式の取得など、将来に向けた投資を積極的に行っていることを示しています。
財務活動によるキャッシュフローは△3.7億円の支出であり、短期借入金の返済や配当金の支払いなどが行われています。フリーキャッシュフローは8.0億円のプラスとなっており、事業活動で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態です。この資金の流れは、同社が安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 20.8億円 |
| 投資CF | - | △12.8億円 |
| 財務CF | - | △3.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | 8.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社が属する外食産業は、多様化するニーズの中で競争が激化しています。寿司業界においても大手チェーン店の出店や異業種からの参入により競争が激化しており、外食市場の縮小や競合激化が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、同社は寿司事業のみの単一事業を営んでいるため、水産物や米などの原材料の市場価格変動や流通量の大幅な減少、消費者の嗜好の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は店舗数増加等による業容と組織の拡大において、これを担う人材の量的・質的な確保及び育成が重要な課題であると認識しています。労働市場の逼迫や労働法令の改正により人件費が増加した場合、または新規出店を担う人材確保及び育成ができない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
銚子丸は、食を通じてお客様に「真心」を提供し、「感謝と喜び」をいただくことを使命とする会社です。お客様への「おもてなし」を充実させ、企業価値の向上を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「人間の生命を支える最も基本的な飲食を通し、より多くのお客様に、よりおいしく・よりよいサービス・より速く、をもって私達の『真心』を提供し、お客様の『感謝と喜び』を頂くことを私達の使命と致します」という経営理念を掲げています。この理念を全従業員に徹底し、お客様への「おもてなし」を充実させることで企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としています。
回転寿司業界におけるグルメ回転寿司及び立ち寿司業態に属する同社は、「より良い食材を新鮮で食べ応え充分な状態で市場価格よりも断然お得感のある価格帯で」提供することを目指しています。その実現のために、産地の開拓、素材の吟味、商品開発など独自の商品力向上に邁進し、立ち寿司により近い技術の向上に取り組むことを経営戦略としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、経営理念を全従業員に徹底し、お客様への「おもてなし」を充実させることを重視しています。サステナビリティに関する考え方として、日本の食文化、特に魚食文化と海洋環境を守り育てることを社会的責任の一つと捉えています。
サステナビリティ経営の強化のため、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、環境部会、食文化部会、人財部会を中心に重要課題を協議検討しています。人財育成においては、経営理念を実現し、顧客や地域の皆様に感謝され喜ばれる人財の育成に努めています。劇団員一人ひとりが接客業の喜びを感じ、人としても成長していく循環を達成することを目指しています。
社内環境整備では、全ての銚子丸社員の社員人生に寄り添い、採用からハッピーリタイヤメントまでの各ステージで個々の社員満足度を高めることができる環境を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は「既存ブランドの商品・サービスを磨き上げ、より多くのお客様に銚子丸劇場を楽しんでいただく」をテーマに、様々な課題に取り組んでいます。既存業態の「すし銚子丸」では、「職人の握る寿司」「本まぐろ」「光物」「目利き」「おもてなしの舞台」を強化・特化し、「新鮮」「高品質」「安全」「安定供給」「お値打ち感」を追求しています。
DX戦略として、タッチパネルによるフルオーダー化で集積したデータから商品施策やサービスを確立し、ムリ・ムラ・ムダのないオペレーションと食材管理を実現しています。約73万人の「縁アプリ」顧客データを基に販売促進施策を実施し、ロイヤルカスタマー化を促進するとともに、AI活用で捻出した時間を「お客様へのおもてなし」や「創造的な活動」に充てることでサービス向上を図っています。
人財戦略では、「採用」「育成」「リテンション」をテーマに優秀な人財の確保を推進しています。キャリアデベロップメントプログラムと新しい評価制度を導入し、女性が働きやすい職場環境及びキャリアアップ支援体制の整備、女性正社員の採用強化、女性店長・管理職の積極的な登用に取り組んでいます。また、経営理念に基づくモデル店を具現化し、全従業員が体感・共感・共有できる研修環境を整備することで、幅広い人財が活躍できる土壌の形成と誰もが挑戦できる社風づくりに努めています。海外事業では、ロイヤルホールディングス、双日との合弁で米国にSUSHI-TEN USA Inc.を設立し、2025年12月の1号店出店を皮切りに、現地でのブランド認知強化と多店舗展開可能な成功モデルの確立を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
銚子丸は監査等委員会設置会社であり、取締役会を中心に監査等委員会、内部監査室、会計監査人等が連携する企業統治体制を採用しています。この体制により、経営の透明性と適法性の確保を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
銚子丸の株主構成を見ると、有限会社オール・エムが筆頭株主であり、個人株主である堀地かなえ氏、堀地元氏が上位に名を連ねています。堀地かなえ氏は同社の取締役も務めており、創業家またはその関連会社が主要な株主として同社の経営を支えていることがうかがえます。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社オール・エム | 31.31% |
| 堀地 かなえ | 22.45% |
| 堀地 元 | 2.07% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
銚子丸の役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は石井憲氏が務めています。社外取締役比率は75.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石井 憲 | 取締役社長 (代表取締役) | 1988年株式会社京樽入社後、同社執行役員商品本部長、株式会社吉野家ホールディングス執行役員などを歴任。2019年株式会社京樽代表取締役社長に就任。2023年同社入社、2025年5月より同社代表取締役社長より現職。 |
| 堀地かなえ | 取締役 | 2000年有限会社オール・エム取締役、2003年同社入社。株式会社オール・エフ代表取締役、株式会社グリーン・エステート代表取締役などを経て、2024年8月より同社取締役より現職。 |
社外取締役は、柴野智政氏(T's Planning代表・スターバックスコーヒージャパン戦略本部長)、齋藤正淑氏(垣本・齋藤税理士事務所代表・株式会社シナプス経営代表取締役)、永井俊秀氏(元公益財団法人千葉県文化振興財団理事長・監査等委員)、登三樹夫氏(登公認会計士事務所代表・税理士法人みなと東京会計代表社員・監査等委員)、粟谷しのぶ氏(水野泰孝法律事務所弁護士・ヤマシンフィルタ社外取締役・監査等委員)、守屋達雄氏(社会保険労務士法人プロジェスト代表社員・監査等委員)です。
銚子丸は監査等委員会設置会社であり、取締役会による経営の意思決定と、監査等委員である取締役による客観的・中立的な経営監視を両立させています。社外取締役は、専門的見地と豊富な経験に基づき、経営全般への助言や監督・監査を実施しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
銚子丸の役員報酬は、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く)に対しては固定報酬としての基本報酬と譲渡制限付株式による非金銭報酬で構成されています。一方、監査等委員である取締役と社外取締役には、その職務の性質を考慮し、基本報酬のみが支払われる仕組みです。譲渡制限付株式は、株主との価値共有を促し、中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして機能するよう設計されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.0億円 | 25.7百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 23百万円 | 4.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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