※本記事は、株式会社トレジャー・ファクトリー の有価証券報告書(第30期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トレジャー・ファクトリーってどんな会社?
総合リユースショップ「トレジャーファクトリー」を中核に、服飾専門やスポーツ・アウトドア専門など多様な業態を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1995年に設立され、東京都足立区に第1号店を開店しました。2007年にマザーズへ上場し、2014年には東証一部(現プライム市場)へ市場変更を果たしています。その後、カインドオルやピックアップジャパン等の子会社化を進めるとともに、タイや台湾へ海外進出し、事業エリアと業態の拡大を続けています。
現在の連結従業員数は1,255名(単体1,009名)です。筆頭株主は創業者の野坂英吾氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。創業者が経営の舵を取りつつ、安定した株主構成のもとで事業運営が行われています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 野坂 英吾 | 33.43% |
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 9.13% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 6.54% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名、計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は野坂英吾氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 野 坂 英 吾 | 取締役社長(代表取締役) | 1995年5月に同社(当時は有限会社)を設立し、代表取締役社長に就任。以来、トップとして経営を牽引し、2016年からはアルプス技研の社外取締役も務めるなど、経営者として豊富な経験を持つ。 |
| 野 坂 淳 | 専務取締役 | 1998年に入社後、事業本部長、管理本部長、システム部長、営業部長などを歴任。事業運営の要職を経て2012年に専務取締役に就任し、現在は同社の経営全般を支えている。 |
| 小 林 英 治 | 取締役管理統括 | 1998年にコンサルティング会社に入社後、2002年に同社入社。財務経理部長、管理部長、総務部長、経営企画室長などを歴任し、2025年3月より現職。管理部門の中枢を担う。 |
社外取締役は、鈴木信夫(千代田第一工業株式会社代表取締役社長)、宮本久美子(和田倉門法律事務所マネージングパートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「リユース事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) リユース事業
総合リユースショップ「トレジャーファクトリー」をはじめ、服飾専門の「トレファクスタイル」、ブランド古着の「ブランドコレクト」、スポーツ・アウトドア専門などの店舗を展開しています。一般顧客や業者から中古品を仕入れ、実店舗および自社ECサイト等を通じて販売しています。
収益は主に一般顧客等への商品販売による代金です。運営は主にトレジャー・ファクトリーが行っていますが、ブランド古着分野では株式会社カインドオル、静岡県エリアでは株式会社ピックアップジャパン、ゴルフ用品では株式会社GKファクトリー、海外ではタイおよび台湾の現地法人がそれぞれ運営を担っています。
■(2) その他
レンタル事業「Cariru」、不動産事業「トレファク不動産」、システム事業などを展開しています。レンタル事業ではドレス等のファッションアイテムを提供し、不動産事業では不用品処分と不動産売却を一括で請け負うサービスを行っています。
収益はレンタル利用料、不動産仲介手数料、システム開発費などから得ています。運営はレンタルおよび不動産事業をトレジャー・ファクトリーが、システム開発事業を株式会社トレファクテクノロジーズが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は187億円から422億円へと倍増以上の成長を遂げています。特にここ数年は毎期20%前後の増収を続けており、事業規模が急速に拡大しています。利益面でも、2021年2月期は低水準でしたが、その後は順調に回復・成長し、直近では経常利益率9.7%と高い収益性を維持しています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 187億円 | 233億円 | 282億円 | 345億円 | 422億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 11億円 | 26億円 | 34億円 | 41億円 |
| 利益率(%) | 0.9% | 4.5% | 9.3% | 9.8% | 9.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 4億円 | 13億円 | 16億円 | 19億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は59%台と高い水準を維持しており、リユースビジネスの収益性の高さがうかがえます。営業利益率は9%台後半で安定しており、事業拡大と利益確保のバランスが取れた経営が行われています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 345億円 | 422億円 |
| 売上総利益 | 209億円 | 249億円 |
| 売上総利益率(%) | 60.6% | 59.1% |
| 営業利益 | 33億円 | 40億円 |
| 営業利益率(%) | 9.7% | 9.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が79億円(構成比38%)、賃借料が44億円(同21%)を占めています。店舗運営と人材への投資が主なコスト要因となっています。
■(3) セグメント収益
リユース事業は、既存店の堅調な推移と新規出店、EC販売の伸長により大幅な増収増益となり、全社の成長を牽引しています。その他事業もレンタル需要の回復等により増収となりましたが、広告宣伝費の増加などにより減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| リユース事業 | 337億円 | 412億円 | 48億円 | 61億円 | 14.7% |
| その他 | 8億円 | 10億円 | 1億円 | 0.2億円 | 1.7% |
| 調整額 | - | - | -16億円 | -20億円 | - |
| 連結(合計) | 345億円 | 422億円 | 33億円 | 40億円 | 9.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。(※注:直近はプラスですが、過去の傾向や在庫ビジネスの特性を踏まえた補足です)
現在のキャッシュ・フローの状態は、本業でしっかりと現金を稼ぎつつ、それを将来のための投資や借入金の返済に充てている「健全型」と言えます。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 28億円 |
| 投資CF | -19億円 | -19億円 |
| 財務CF | 4億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は28.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.0%で市場平均を上回っています(プライム市場非製造業平均との比較)。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、リユース事業を核として生活ニーズに密着した分野で積極的に事業展開を進め、継続的かつ安定的な成長を目指しています。また、従業員が能力を最大限発揮することで大きな成果を生み出す組織を目指し、これらの取り組みを通じて循環型社会の実現に貢献することを経営の方針としています。
■(2) 企業文化
「世の中の新たな当たり前を創り出す」をミッションステートメントに掲げ、多様な価値観を持つ従業員一人ひとりの挑戦、成長、創意工夫を重視しています。自ら状況に合わせて思考・行動できる自律型人材を求め、マニュアルだけに頼らない柔軟な店舗運営を推奨する風土があります。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画において、以下の数値目標を掲げています。
* 2028年2月期 売上高:589億円
* 2028年2月期 経常利益:56.9億円(利益率9.7%)
* 2028年2月期 親会社株主に帰属する当期純利益:38.5億円
* 年間出店数:35~40店
■(4) 成長戦略と重点施策
成長に向けた5つの経営方針として、「リユース事業の成長」「新規事業への投資」「海外市場での成長」「M&Aによる成長」「DX投資による成長」を掲げています。店舗網の拡大に加え、リユース周辺事業や海外(タイ・台湾等)への展開、IT・AI活用の推進により、収益基盤の拡大とイノベーションの創出を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
年間30店前後の出店を見据え、自律型人材の確保と育成を重視しています。新卒採用に加え、中途採用やパート・アルバイトからの正社員登用を積極的に推進しています。また、教育研修部門による研修内容の充実を図り、確保した人材の早期戦力化と定着化に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 30.6歳 | 5.5年 | 4,991,760円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 46.1% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 54.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 117.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社員採用に占める女性比率(22.7%)、一月当たりの平均残業時間(20.2時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 中古品の仕入について
中古品ビジネスでは商品の安定確保が重要ですが、仕入数量の調整が難しく、景気動向や競合、個人間売買アプリ等の影響を受けやすい特性があります。仕入価格の高騰や数量不足が生じた場合、既存店業績や新規出店に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) コピー商品の買取リスク
ブランド品を取り扱う中で、コピー商品が持ち込まれるリスクがあります。民間団体への加盟や専門部署による真贋判定などの対策を講じていますが、万が一コピー商品に関するトラブルが発生した場合、社会的信用の低下により業績に影響が出る可能性があります。
■(3) 店舗の出店・閉店について
積極的な出店を進める中で、希望する時期や条件での物件確保ができない場合、出店計画に遅れが生じる可能性があります。また、新店舗の業績低迷や既存店の収益性悪化により減損損失や店舗閉鎖損失が発生した場合、財務状況に影響を与える可能性があります。



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