トレジャー・ファクトリー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トレジャー・ファクトリー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トレジャー・ファクトリーは東京証券取引所プライム市場に上場しており、リユースショップの運営などを展開しています。直近の業績トレンドは、店舗販売や買取の好調により継続的な増収増益を達成しており、堅調な成長基調を維持しています。主力事業に加え、周辺サービスによる収益の拡大にも注力しています。


※本記事は、トレジャー・ファクトリーの有価証券報告書(第31期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. トレジャー・ファクトリーってどんな会社?


生活ニーズに密着した多業態のリユースショップを展開し、循環型社会の推進を担う企業です。

(1) 会社概要


1995年の設立以降、リユースショップを継続的に展開し、2007年に東証マザーズへ上場しました。その後事業領域を広げながら成長を続け、近年は海外展開も推進しています。2016年にタイへ進出し、2022年には台湾での事業も開始しました。また、M&Aも積極的に行い、様々な専門リユース業態を取り込んでいます。

現在の従業員数は連結で1,434名、単体で1,168名となっています。大株主については、筆頭株主は創業者の野坂英吾氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位も同じく資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
野坂 英吾 33.39%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.56%
日本カストディ銀行(信託口) 5.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は野坂英吾氏が務めており、取締役5名のうち社外取締役が2名を占めています。

氏名 役職 主な経歴
野坂 英吾 取締役社長(代表取締役) 1995年有限会社トレジャー・ファクトリー設立、代表取締役社長。1999年同社を改組し代表取締役社長。アルプス技研社外取締役を経て現在に至る。
野坂 淳 専務取締役 1998年入社。2003年専務取締役管理本部長兼システム部長、2011年専務取締役営業部長などを歴任し、2017年より現職。
小林 英治 取締役管理統括 プライスウォーターハウスコンサルタントを経て2002年入社。財務経理部長、管理部長、経営企画室長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、鈴木信夫(千代田第一工業社長)、宮本久美子(和田倉門法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リユース事業」および「その他」事業を展開しています。

リユース事業


衣料や家電、家具、ブランド品、スポーツ用品など多岐にわたるリユース品(中古品)の買取・販売を行っています。店舗での販売に加え、インターネットを通じた販売や、引越と買取をワンストップで提供するサービスなども展開し、主に一般顧客を対象としています。

顧客への商品販売代金が主な収益源です。運営はトレジャー・ファクトリーのほか、カインドオルやピックアップジャパンなどの子会社が、それぞれの専門性に特化した業態の店舗を展開して行っています。

その他


ファッションレンタルサービスや、不用品の処分から不動産の売却までを一括で請け負う不動産事業、およびシステム開発事業などを展開しています。多様なニーズに対応し、主力事業を補完するサービスを提供しています。

顧客からのレンタル料や仲介手数料、システム開発料などが主な収益源です。運営はトレジャー・ファクトリーのほか、トレファクテクノロジーズなどの子会社がそれぞれの事業領域を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間は継続的な増収増益基調が続いています。店舗出店と買取チャネルの拡充が奏功して売上高は着実に拡大を続け、利益水準も着実に向上しており、非常に堅調な成長を達成しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 233億円 282億円 345億円 422億円 486億円
経常利益 11億円 26億円 34億円 41億円 49億円
利益率(%) 4.5% 9.3% 9.8% 9.7% 10.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 13億円 16億円 19億円 32億円

(2) 損益計算書


売上高および各段階利益ともに順調に伸長しています。売上総利益率と営業利益率は高い水準で安定して推移しており、収益性を確保しながら事業規模を拡大していることが伺えます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 422億円 486億円
売上総利益 249億円 287億円
売上総利益率(%) 59.0% 59.1%
営業利益 40億円 48億円
営業利益率(%) 9.6% 9.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が92億円(構成比38.4%)、賃借料が50億円(同20.8%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のリユース事業において、既存店の堅調な推移や新規出店の効果により売上高が順調に伸長しています。周辺サービスを担うその他事業も増収となっており、グループ全体で着実に規模を拡大しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
リユース事業 412億円 474億円
その他 10億円 12億円
連結(合計) 422億円 486億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態である「積極型」に分類されます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 28億円 32億円
投資CF -19億円 -20億円
財務CF -5億円 7億円


企業の収益力を測るROEは27.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.0%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


リユース事業を核に生活ニーズに密着した分野で積極的に事業展開を進め、継続的かつ安定的な成長を目指しています。従業員が能力を最大限に発揮することで大きな成果を生み出す組織を志向し、循環型社会の実現への貢献を使命としています。

(2) 企業文化


「世の中の新たな当たり前を創り出す」をミッションステートメントに掲げています。多種多様な商材を扱い変化する顧客ニーズに対応するため、マニュアルだけに頼らない柔軟な思考・行動ができる自律型人材の育成を重んじる文化が特徴です。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画において、継続的な事業成長を見据えた以下の数値目標を設定しています。

・2027年2月期:売上高543億円、営業利益50.6億円、営業利益率9.3%
・2028年2月期:売上高620億円、営業利益56.8億円、営業利益率9.2%
・2029年2月期:売上高710億円、営業利益63.8億円、営業利益率9.0%

(4) 成長戦略と重点施策


リユース事業の成長、新規事業への投資、海外市場での成長、M&A、DX投資の5つを軸としています。年間30から40店ペースでのリアル店舗拡充やEC販売との連携を進めるとともに、アメリカ等への新規地域進出による基盤拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


出店拡大に対応するため、新卒採用や中途採用に加え、パート・アルバイトからの社員登用に積極的に取り組んでいます。従業員のライフプランに合ったキャリア形成を実現するため、社内公募制度やカムバック制度、時短勤務制度などの環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 30.3歳 5.3年 5067877円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 78.2%
男女賃金差異(全労働者) 56.2%
男女賃金差異(正規雇用) 77.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 114.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社員採用に占める女性比率(27.4%)、障がい者雇用率(3.9%)、一月当たりの平均残業時間(19.3時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 中古品仕入と商品確保の難航


中古品は新品と異なり仕入数量の調整が難しいため、商品を安定的に確保することが経営上重要です。景気動向やフリマアプリ等の競合出現により、買取価格の上昇や仕入数量の不足が生じた場合、店舗運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) ブランド品等のコピー商品流入


ブランド品や腕時計などを取り扱う事業特性上、買取品としてコピー商品が持ち込まれるリスクが潜んでいます。真贋判定のための専門部門やマニュアルを整備していますが、大きなトラブルが発生した場合には信用低下を招く恐れがあります。

(3) 出店物件の確保と店舗の収益性


直営店の出店において、望む時期に適切な条件の物件を確保できず新規出店が遅れるリスクがあります。また、出店した店舗の業績が低迷した場合や契約終了により退店を余儀なくされた場合、減損損失や閉鎖損失が発生する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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