セントラル警備保障 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セントラル警備保障 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セントラル警備保障は東京証券取引所プライム市場に上場し、常駐警備や機械警備などのセキュリティ事業と、建物総合管理を行うビル管理・不動産事業を主力としています。直近の業績は、大型施設の新規警備開始などにより増収となった一方、のれんの減損損失や訴訟和解金の計上等により最終減益となりました。


※本記事は、セントラル警備保障株式会社の有価証券報告書(第54期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セントラル警備保障ってどんな会社?


同社は常駐警備や機械警備を中心としたセキュリティ事業と、建物の総合管理を担うビル管理・不動産事業を展開しています。

(1) 会社概要


1966年に東京都中央区で常駐警備を主たる事業として設立されました。1972年に機械警備を主目的とする合弁会社を設立、1988年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2004年に市場第一部へ指定替えとなりました。1997年には東日本旅客鉄道と業務提携を結び、近年は複数社のM&Aにより事業を拡大しています。

同社グループの従業員数は連結で7,150名、単体で3,995名です。筆頭株主は事業提携先である東日本旅客鉄道で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は投資事業有限責任組合となっています。

氏名 持株比率
東日本旅客鉄道 26.40%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.40%
光通信KK投資事業有限責任組合 4.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役執行役員社長は市川東太郎氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
市川東太郎 代表取締役執行役員社長 1988年東日本旅客鉄道入社。同社鉄道事業本部運輸車両部長、代表取締役副社長などを経て、2023年同社取締役、執行役員副社長に就任。2024年5月より現職。
澤本尚志 取締役会長 1979年日本国有鉄道入社。東日本旅客鉄道常務取締役、JR東日本ビルテック代表取締役社長を経て、2017年同社取締役、執行役員副社長に就任。2024年5月より現職。
堀場敬史 取締役専務執行役員警務本部本部長兼沖縄統括担当 1982年同社入社。横浜支社長、警務統括部長兼警送部長などを歴任。執行役員、取締役常務執行役員を経て、2021年警務本部本部長に就任。2025年5月より現職。
楠木啓之 取締役常務執行役員営業本部本部長兼西日本統括担当 1986年住友商事入社。米国住友商事不動産部門などを経て、2022年住商リアリティ・マネジメント常務取締役。2024年同社入社。2025年5月より現職。
増崎昌子 取締役常務執行役員人事総務本部本部長兼広報部長 1999年同社入社。管理本部人事部課長、経営企画部広報宣伝・IR室次長などを歴任。2022年執行役員広報部長を経て、2025年5月より現職。
田端智明 取締役監査等委員(常勤) 1979年警察庁入庁。青森県警察本部長、警視庁組織犯罪対策部長などを歴任。2012年同社入社。2018年常任監査役を経て、2023年5月より現職。


社外取締役は、後藤啓二(元内閣官房内閣参事官)、檜山竹生(エイビット代表取締役社長)、唐津真美(高樹町法律事務所設立)です。

2. 事業内容


同社グループは、「セキュリティ事業」および「ビル管理・不動産事業」を展開しています。

セキュリティ事業


同事業は、顧客施設内の常駐警備や機械警備、貴重品等の運輸警備に加え、防犯カメラ等の設置工事や機器販売を行うセキュリティサービスを提供しています。オフィスビルや大型商業施設、鉄道関連施設など、幅広い顧客に安全・安心な環境を提供しています。

常駐・機械・運輸警備では顧客との契約期間に応じた警備料を受領し、工事・機器販売では商品の引き渡し時に収益を計上します。運営は主に同社のほか、関西シーエスピー、新安全警備保障、特別警備保障などの子会社群が担当しています。

ビル管理・不動産事業


同事業は、清掃業務や電気設備の保安・法定点検等を中心とする建物総合管理サービスと、オフィスビルや賃貸マンションなどの不動産貸付業を提供しています。ビルの維持管理から収益物件の運用まで、不動産に関わる幅広いニーズに対応しています。

建物総合管理ではサービス提供期間等に応じた委託料を受け取り、不動産賃貸では契約期間にわたり賃貸収入を計上します。建物管理はCSPビルアンドサービス、関西シーエスピー等が、不動産賃貸はCSPビルアンドサービスなどが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5年間で約691億円から約787億円へと順調に拡大傾向にあります。一方で経常利益は44億円から56億円のレンジで推移し、利益率はやや低下傾向にあります。親会社株主に帰属する当期利益は一時的な特別損益の影響もあり、変動が見られます。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 691億円 648億円 680億円 714億円 787億円
経常利益 56億円 44億円 45億円 46億円 47億円
利益率(%) 8.2% 6.9% 6.7% 6.4% 6.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 37億円 26億円 54億円 32億円 25億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、大型施設の新規警備開始やM&Aの効果等により売上高が約73億円増加しました。これに伴い売上総利益も拡大しましたが、処遇改善による人件費増加等で販管費も増加したため、営業利益の伸びは小幅にとどまっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 714億円 787億円
売上総利益 157億円 170億円
売上総利益率(%) 22.0% 21.6%
営業利益 43億円 45億円
営業利益率(%) 6.1% 5.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が45億円(構成比36%)、法定福利費が9億円(同7%)を占めています。売上原価については、警備委託料が173億円(売上原価に対する構成比35%)、給料が131億円(同27%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるセキュリティ事業は、常駐警備の新規獲得や臨時警備、画像関連システムの好調などにより増収増益となりました。ビル管理・不動産事業は、建物総合管理サービス等の堅調な推移により増収となったものの、コスト増等により減益となっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
セキュリティ事業 696億円 768億円 40億円 42億円 5.4%
ビル管理・不動産事業 18億円 20億円 4億円 3億円 16.6%
連結(合計) 714億円 787億円 43億円 45億円 5.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業で得たキャッシュを将来の成長に向けた設備投資やM&Aに充てつつ、借入金の返済や自己株式取得等の株主還元も手元資金で賄っている「健全型」のキャッシュ・フロー状況となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 29億円 56億円
投資CF -29億円 -52億円
財務CF -32億円 -17億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「仕事を通じ社会に寄与する」「会社に関係するすべての人々の幸福を追求する」という創業の理念を掲げています。この志のもと、セキュリティ事業を中核として、顧客から信頼される良質なサービスを提供することにより、社会の安全に貢献することを経営の基本方針として定めています。

(2) 企業文化


同社は、創業の理念とともに、全社員が共有するコアバリューとして「厳粛なる規律」「鞏固なる責任」「脈々たる創意」「渾然たる融和」「確乎たる矜持」という社訓を定めています。この価値観をベースに、顧客に寄り添い、安全・安心な社会づくりに向けて日々の業務に取り組む企業文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


ブランドコンセプトを「Creative Security Partner(CSP)」とする中期経営計画「想い2030 ~連携して実現する~」(2026年2月期~2030年2月期)を推進し、事業規模の拡大と収益力の向上を目指しています。

* 売上高:900億円
* 営業利益:54億円
* 営業利益率:6.0%

(4) 成長戦略と重点施策


持続的な成長を実現するため、常駐警備および機械警備の変革を進め、次世代警備サービスの提供を図ります。具体的には、AIカメラや画像解析技術と人的警備を融合した高度なセキュリティプラットフォームの導入拡大や、ドローンを活用した新事業領域への展開などを推進し、人と技術の最適な融合による企業価値の向上に努めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、社員一人ひとりが生き生きと働きチャレンジを続けることが持続的成長の原動力であると考え、多様な人材が働きがいを実感できる職場づくりを推進しています。教育や資格取得の充実と昇進制度の最適化を図るとともに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを通じて、全ての社員が能力を十分に発揮できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 45.6歳 15.3年 5,086,949円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.3%
男性育児休業取得率 81.5%
男女賃金差異(全労働者) 74.4%
男女賃金差異(正規雇用) 77.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 50.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法規制に関するリスク


セキュリティ事業の実施にあたっては、警備業法および関係法令の規制を受けています。また、機械警備での機器設置工事に伴う建設業法や、現金輸送業務に伴う貨物自動車運送事業法等の適用も受けており、法令違反等により行政処分を受けた場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 情報管理およびプライバシー保護に関するリスク


警備業務の過程で顧客の機密情報や個人情報を取り扱うため、徹底した管理体制や社員教育を行い、ISO/IEC27001(ISMS)認証の取得など情報管理を強化しています。万一、外部への情報漏洩事故が発生した場合、企業の信用失墜や損害賠償を通じて業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 深刻な人材確保に関するリスク


良質な警備サービスを継続的に提供するには優秀な人材の確保と育成が不可欠ですが、少子高齢化や他業界との採用競争の激化により、必要な人材が確保できなくなる可能性があります。同社は処遇改善や多様な人材の活躍推進に努めていますが、労働力不足が深刻化した場合、事業の成長が阻害される恐れがあります。

(4) 警備および基幹システムに関するリスク


機械警備の信号処理や契約管理等の業務は、統合的な基幹システムに依存しています。自然災害やサイバー攻撃等によるシステム障害、あるいは改修時の不具合などが発生した場合、警備サービスの提供に支障をきたし、同社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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