セントラル警備保障 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セントラル警備保障 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のセントラル警備保障は、常駐・機械・運輸警備を中心としたセキュリティ事業を展開する企業です。直近決算では、常駐警備や機器販売が伸長し売上高は714億円と増収、経常利益も微増の46億円を確保しましたが、特別利益の反動減などにより最終利益は減益となりました。


※本記事は、セントラル警備保障株式会社 の有価証券報告書(第53期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セントラル警備保障ってどんな会社?


同社は、JR東日本との強固な提携関係を持つ、国内大手の総合セキュリティサービス企業です。

(1) 会社概要


同社は1966年に常駐警備を目的として設立されました。1972年には機械警備会社を合弁で設立し、後に吸収合併しています。1997年に東日本旅客鉄道と業務提携契約を締結し、関係を強化しました。2004年には東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしています。近年では2024年に阪急阪神ハイセキュリティサービスの常駐警備事業を承継するなど、事業基盤の拡大を進めています。

2025年2月28日時点の連結従業員数は6,916名、単体では3,997名です。筆頭株主は同社と業務提携関係にある鉄道事業会社で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は情報通信サービス等を行う事業会社となっています。

氏名 持株比率
東日本旅客鉄道 25.50%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.38%
光通信 4.28%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役執行役員社長は市川東太郎氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
市川 東太郎 代表取締役執行役員社長 1988年東日本旅客鉄道入社。同社執行役員鉄道事業本部運輸車両部長、常務執行役員、代表取締役副社長を経て、2023年同社に入社し執行役員副社長に就任。2024年5月より現職。
澤本 尚志 取締役会長 1979年日本国有鉄道入社。東日本旅客鉄道常務取締役、JR東日本ビルテック代表取締役社長を経て、2017年同社執行役員副社長、2018年代表取締役執行役員社長に就任。2024年5月より現職。
堀場 敬史 取締役専務執行役員 1982年同社入社。横浜支社長、警務統括部長、取締役執行役員総務部長、取締役常務執行役員人事総務本部長などを歴任。2025年5月より現職。
楠木 啓之 取締役常務執行役員 1986年住友商事入社。同社国内営業推進・開発部長、住商リアリティ・マネジメント取締役常務執行役員などを経て、2024年9月同社入社。2025年5月より現職。
増崎 昌子 取締役常務執行役員 1999年同社入社。管理本部人事部課長、人事総務本部広報部長、執行役員人事総務本部広報部長などを歴任。2025年5月より現職。
田端 智明 取締役監査等委員(常勤) 1979年警察庁入庁。神奈川県警察本部長、警察大学校特別捜査幹部研修所長などを経て2012年同社入社。取締役常務執行役員警務本部長などを歴任し、2023年5月より現職。


社外取締役は、後藤啓二(元警察庁・弁護士)、檜山竹生(株式会社エイビット代表取締役社長)、唐津真美(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「セキュリティ事業」および「ビル管理・不動産事業」を展開しています。

(1) セキュリティ事業


施設内の常駐警備、警報機器による機械警備、貴重品の運輸警備、および防犯機器の設置工事・販売を行っています。主な顧客は法人や公共機関、一部個人を含み、社会インフラやオフィスビル、商業施設などの安全を守るサービスを提供しています。

警備請負契約に基づく警備料や、機器販売・工事代金を収益源としています。運営は、同社のほか、連結子会社の関西シーエスピー、新安全警備保障、エスシーエスピー、長野県パトロール、特別警備保障、CSP東北、東亜警備保障などが地域や専門分野に応じて行っています。

(2) ビル管理・不動産事業


清掃業務や電気設備の保安業務を中心とする建物総合管理サービス、およびオフィスビルや賃貸マンション等の不動産賃貸を行っています。建物の維持管理を通じて、快適な環境を提供する事業です。

顧客からの管理料や、賃借人からの賃料を収益源としています。建物総合管理は主にCSPビルアンドサービス、関西シーエスピー、長野県パトロールなどが運営し、不動産賃貸業にはCSPビルアンドサービス、長野県パトロールが従事しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は600億円台後半から700億円台へと緩やかな拡大基調にあります。利益面では、経常利益が40億円台から50億円台の間で推移しており、安定した収益力を維持しています。当期純利益は、特別利益の計上額などにより年度ごとの変動が見られます。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 674億円 691億円 648億円 680億円 714億円
経常利益 50億円 56億円 44億円 45億円 46億円
利益率(%) 7.4% 8.2% 6.9% 6.7% 6.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 25億円 30億円 22億円 49億円 27億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、利益率はわずかに低下しています。販売費及び一般管理費も増加傾向にあり、営業利益率は横ばいで推移しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 680億円 714億円
売上総利益 154億円 157億円
売上総利益率(%) 22.7% 22.0%
営業利益 43億円 43億円
営業利益率(%) 6.3% 6.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が43億円(構成比38.1%)、減価償却費が7億円(同6.3%)を占めています。売上原価においては、人件費や警備機器の減価償却費などが主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


セキュリティ事業が売上高の大部分を占めており、常駐警備や工事・機器販売の伸長により増収となっています。ビル管理・不動産事業も安定的に推移しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
セキュリティ事業 662億円 696億円 39億円 40億円 5.7%
ビル管理・不動産事業 18億円 18億円 4億円 4億円 20.1%
調整額 △6億円 △6億円 △0億円 0億円 -
連結(合計) 680億円 714億円 43億円 43億円 6.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ現金を借入金の返済や配当支払いに充てつつ、将来のための投資も行っている健全型(+, -, -)のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 53億円 29億円
投資CF 63億円 -29億円
財務CF -29億円 -32億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.4%でプライム市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.0%でプライム市場非製造業平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「仕事を通じ社会に寄与する」「会社に関係するすべての人々の幸福を追求する」という「創業の理念」を掲げています。セキュリティ事業を中核として、顧客から信頼される良質なサービスを提供することで、社会の安全に貢献することを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


同社グループは、「Creative Security Partner」(CSP)をブランドコンセプトとし、「私たちは『Creative Security Partner』として、安全・安心・快適な社会基盤を提供します」を標語として定めています。また、社訓として「厳粛なる規律」「鞏固なる責任」「脈々たる創意」「渾然たる融和」「確乎たる矜持」を掲げています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中期経営計画「想い2030 ~連携して実現する~」を推進しています。最終年度である2030年2月期に向けて、以下の経営目標を設定しています。

* 売上高:900億円
* 営業利益:54億円
* 営業利益率:6.0%

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画の達成に向けて、TAKANAWA GATEWAY CITYをはじめとした再開発案件への次世代警備サービスの提供や、M&Aによる事業エリアの拡大を推進しています。また、人件費上昇に対応するための処遇改善や、再生可能エネルギーの導入などサステナビリティ活動にも注力しています。

* 次世代警備サービスの提供:人と技術(セキュリティプラットフォーム「梯」、画像サービス、ロボット等)を融合。
* エリア戦略:M&Aを通じた未進出エリア(山梨県等)での事業強化。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は社員を最も大切な財産「人財」と捉え、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進しています。「試験制度」による昇格、「研修制度」による能力開発、「キャリア支援制度」による希望の実現を通じて、社員が能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。また、人権方針を制定し、差別やハラスメントのない風土醸成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 45.1歳 16.2年 4,889,864円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.5%
男性育児休業取得率 92.9%
男女賃金差異(全労働者) 74.7%
男女賃金差異(正規雇用) 77.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 47.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性係長級比率(12.7%)、有給休暇取得率(89.4% ※2023年度実績)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法規制に関するリスク


同社グループのセキュリティ事業は警備業法や建設業法、貨物自動車運送事業法などの規制を受けています。業務管理や社員教育を徹底していますが、法令違反により営業停止等の行政処分を受けた場合、グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 情報管理及びプライバシー保護に関するリスク


業務上、顧客の機密情報や個人情報を取り扱っています。ISMS認証の取得や社内規則の整備により管理を徹底していますが、万が一情報漏洩が発生した場合は、信用失墜により業績に影響を与える可能性があります。

(3) 人材確保に関するリスク


労働集約的な側面を持つ警備サービスにおいて、少子化による労働力不足は重要な課題です。必要な質と量の人員を確保できなくなった場合、事業継続に支障をきたす可能性があります。同社は採用活動や処遇改善、女性活躍推進などに注力しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。