リソー教育グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 リソー教育グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リソー教育グループは東証プライム市場に上場し、「TOMAS」をはじめとする完全個別指導を中心とした学習塾事業、家庭教師派遣、幼児教育などを展開しています。直近の業績では、各事業での堅調な集客により増収を達成したものの、地代家賃や人件費等の固定費の増加が影響し、営業利益および経常利益は減益となっています。


※本記事は、株式会社リソー教育グループの有価証券報告書(第41期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リソー教育グループってどんな会社?


完全個別指導の進学塾「TOMAS」をはじめ、高品質な教育サービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は1985年に理想教育研究所として創業され、完全個室の1対1の個人教授システムを開発しました。2001年に東証二部へ上場し、翌2002年には東証一部に指定されています。2024年5月にヒューリックの連結子会社となり、2025年9月には持株会社体制への移行に伴い現在の社名へ変更されました。

同社グループは連結で1183名、単体で132名の従業員を擁しています。筆頭株主は事業会社のヒューリックで、第2位は資本業務提携を行う学校法人駿河台学園、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
ヒューリック 51.01%
学校法人駿河台学園 6.06%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 3.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は天坊真彦氏です。社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
天坊 真彦 取締役社長(代表取締役) 1995年3月同社入社。専務取締役や名門会代表取締役会長などを歴任。2025年3月TOMAS取締役会長。2022年1月より現職。
久米 正明 取締役副社長 協和銀行、新光証券等を経て2011年同社顧問。ドイツ証券営業本部副会長や同社執行役員CFOを経て、2019年5月より現職。
上田 真也 専務取締役 1996年1月同社入社。リソー教育企画代表取締役社長などを経て、2020年1月同社代表取締役専務。2025年5月より現職。
西浦 三郎 取締役(非業務執行) 富士銀行常務執行役員などを経て、ヒューリック代表取締役社長に就任。同社代表取締役会長を務め、2022年5月より現職。


社外取締役は、佐藤敏郎(公認会計士・税理士)、小西徹(弁護士)、小野田麻衣子(女優・大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「学習塾事業」「家庭教師派遣教育事業」「幼児教育事業」「学校内個別指導事業」「人格情操合宿教育事業」および「その他」事業を展開しています。

学習塾事業


「生徒の個性・個人差に的確に対応できる教育」を理念とし、全室ホワイトボード付きの完全1対1の進学個別指導システムによる高品質な教育サービスを首都圏を中心に提供しています。
収益源は生徒や保護者から受け取る授業料などの教育サービス利用料であり、本事業の運営はTOMASが担当しています。

家庭教師派遣教育事業


100%プロの社会人講師が個別指導を行う進学学習指導を全国区で展開しています。医学部受験を専門とする個別指導予備校やオンライン指導による高品質な教育サービスも提供しています。
収益源は各家庭や生徒から受け取る指導料などのサービス利用料であり、本事業の運営は名門会が担当しています。

幼児教育事業


名門幼稚園や名門小学校への受験指導を中心に展開しています。また、仕事と受験の両立を支援する託児事業や、忙しい家庭に代わり放課後をサポートする文武両道型の学童事業なども提供しています。
収益源は保護者から受け取る受験指導料や各種託児・学童サービスの利用料であり、本事業の運営は伸芽会が担当しています。

学校内個別指導事業


これまで蓄積した進学個別指導のノウハウを活かし、全国の私立中学校や高等学校内において個別指導ブースを設置して学習支援サービスを提案・提供しています。
収益源は生徒の学習進捗管理や進学実績向上等の教育サービスに対する対価であり、本事業の運営はスクールTOMASが担当しています。

人格情操合宿教育事業


知識教育だけでは埋めきれない人格情操教育をカリキュラムに組み込んだ多彩な体験学習サービスや、サッカースクール、体操スクールなどを提供しています。
収益源は参加者やスクール生から受け取る体験学習費やスクール受講料であり、本事業の運営はプラスワン教育が担当しています。

その他


上記の報告セグメントには含まれないその他の関連事業を展開しています。
各種サービス提供等による収益を得ており、同社グループ内の各社が運営を担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移をみると、売上高は300億円から342億円へと毎期着実に増収を達成しています。一方、経常利益は20億円台半ばから30億円程度の間で推移しており、利益率は8〜10%の範囲で増減を繰り返す傾向にあります。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 300億円 315億円 322億円 334億円 342億円
経常利益 31億円 25億円 27億円 29億円 27億円
利益率(%) 10.2% 7.8% 8.2% 8.8% 8.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 22億円 16億円 11億円 28億円 9億円

(2) 損益計算書


直近の売上高は前年比で増加し342億円を計上しましたが、売上総利益は横ばいにとどまりました。これに伴い売上総利益率および営業利益率は低下し、営業利益ベースでも減益となっています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 334億円 342億円
売上総利益 91億円 91億円
売上総利益率(%) 27.1% 26.4%
営業利益 29億円 27億円
営業利益率(%) 8.8% 7.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が19億円(構成比30%)、広告宣伝費が12億円(同19%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高をみると、主力である学習塾事業や幼児教育事業が安定的に推移しているほか、学校内個別指導事業および家庭教師派遣教育事業がそれぞれ増収を牽引しました。すべてのセグメントにおいて前年を上回る売上高を計上しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
学習塾事業 177億円 179億円
家庭教師派遣教育事業 49億円 52億円
幼児教育事業 57億円 58億円
学校内個別指導事業 34億円 37億円
人格情操合宿教育事業 16億円 17億円
その他 0.2億円 0.2億円
連結(合計) 334億円 342億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 25億円 20億円
投資CF -8億円 -12億円
財務CF 18億円 -17億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.8%といずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「すべては子どもたちの未来のために」という企業理念のもと、子どもや保護者の要望を的確に把握し、常に教育力の向上に努めるとともに、顧客の声に誠実かつ迅速に対応して業務の改善を図り、子どもたちの素晴らしい未来づくりのために全力で努力することを掲げています。

(2) 企業文化


「生徒の個性・個人差は千差万別。その個人差に的確に対応できる教育こそが本物の教育であり、理想の教育である」という考え方を大切にしています。高品質な本物の教育サービスを提供し、徹底した差別化戦略によって日本を代表するオンリーワン企業を目指す文化が浸透しています。

(3) 経営計画・目標


2027年2月期を初年度とする3ヵ年の新中期経営計画において、最終年度となる2029年2月期に以下の連結業績目標を掲げています。

・売上高:391億円
・営業利益:36億円
・経常利益:36億円
・親会社株主に帰属する当期純利益:22億円

(4) 成長戦略と重点施策


持株会社体制のもと、グループシナジーの最大化による顧客生涯価値(LTV)の向上や、DX推進・生成AI活用による業務効率化を急務としています。また、映像授業コンテンツの全国展開、オンライン個別指導のフランチャイズ展開、教育特化型ビル「こどもでぱーと」によるワンストップサービスの提供など、新規および成長領域への戦略的投資を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


生徒の個性に合わせた教育サービスを提供する同社グループでは「人」が最大の経営資源であるとしています。「働く人の成長なくして企業の成長なし」という考えのもと、一人ひとりが誇りを持って仕事に取り組める会社を目指し、ジョブ・リターン制度の導入など、多様性を尊重する社内環境整備と人的資本経営を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 41.6歳 10.4年 7,321,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 27.5%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 73.4%
男女賃金差異(正規雇用) 67.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 91.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 少子化や受験改革等の社会情勢変化


国内の経済状況や物価変動、少子化の進行、大学入試改革や入試形態の多様化などが業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は教育サービスの品質を高め、同業他社との差別化や最新の入試改革への対応を図ることで影響の軽減に努めています。

(2) 講師等にかかる人材確保と育成


質の高い教育サービスの提供と計画的な教室展開を進めるため、講師をはじめとする人材の確保と育成が不可欠です。採用環境の急激な変化によって必要な人材が十分に確保できない場合、事業の成長や業績に支障をきたすおそれがあります。

(3) 戦略的な校舎展開における物件確保


首都圏を中心とした新校開校や既存校の拡大・リニューアルを計画していますが、建築資材の高騰や工期遅延などで適切な物件を確保できない場合、計画通りの展開ができず、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報システムとサイバーセキュリティ


生徒や保護者の個人情報を管理し、教育サービスのデジタル化を推進しているため、サイバー攻撃やシステム障害等によって個人情報の漏洩やサービスの中断が生じた場合、社会的信用の失墜や損害賠償等により業績に影響が及ぶ懸念があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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