クリーク・アンド・リバー社 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クリーク・アンド・リバー社 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場。映像・ゲーム等のクリエイティブ分野を中心に、医療・会計・法曹等の専門分野でエージェンシー事業やプロデュース事業を展開しています。2025年2月期の業績は、売上高503億円で前期比増収となった一方、営業利益は36億円で減益となりました。


※本記事は、株式会社クリーク・アンド・リバー社 の有価証券報告書(第35期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. クリーク・アンド・リバー社ってどんな会社?


クリエイティブ分野を中心に、専門能力を持つプロフェッショナルのエージェンシー事業等を展開する企業です。

(1) 会社概要


1990年に設立され、マーケティングコンサルティング会社としてスタートしました。1992年に映像クリエイター・エージェンシー事業を開始し、その後ゲームや出版等へ領域を拡大しました。2000年にナスダック・ジャパン(現スタンダード市場)へ上場し、2016年には東京証券取引所市場第一部(現プライム市場)銘柄に指定されています。2001年の韓国現地法人設立を皮切りに、中国や米国にも拠点を構え、グローバル展開を進めています。

連結従業員数は2,580名、単体では1,342名体制です。筆頭株主はグループ会社のシー・アンド・アールで、第2位は創業者の井川幸広氏です。第3位には同じ住所にあるソース・デザイン社が名を連ねています。

氏名 持株比率
シー・アンド・アール 28.89%
井川幸広 8.90%
ソース・デザイン社 8.71%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.7%です。代表取締役会長(CEO)は井川幸広氏、代表取締役社長(COO)は黒崎淳氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
井川幸広 代表取締役会長(CEO) 1990年3月同社設立、代表取締役社長。2023年5月より現職。シー・アンド・アール代表取締役、メディカル・プリンシプル社取締役会長等を兼任。
黒崎淳 代表取締役社長(COO) 2005年10月同社入社。2013年5月取締役、ジャスネットコミュニケーションズ代表取締役社長。2023年5月より現職。
青木克仁 取締役(CMO) 2001年5月同社入社。デジタルコンテンツ・グループ担当執行役員等を経て、2023年5月より現職。forGIFT代表取締役等を兼任。
後藤野人 取締役 2004年5月同社入社。デジタル・コミュニケーション・グループ担当執行役員等を経て、2020年5月より現職。
松本研二 取締役 2011年7月同社入社。ライツ・マネジメント・グループ担当執行役員、ANIFTY代表取締役社長等を経て、2023年5月より現職。
下義生 取締役 1981年4月日野自動車入社。同社社長、会長を経て、2024年4月同社顧問。2024年5月より現職。


社外取締役は、澤田秀雄(エイチ・アイ・エス最高顧問)、藤延直道(元テレビ東京専務)、渡辺尚(元パソナグループ副社長)、田子みどり(コスモピア社長)、石村満(元HSBC証券常務)です。

2. 事業内容


同社グループは、「クリエイティブ分野(日本)」「クリエイティブ分野(韓国)」「医療分野」「会計・法曹分野」および「その他」事業を展開しています。

クリエイティブ分野(日本)


映像、ゲーム、Web、広告・出版等の領域において、クリエイターを対象としたエージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開しています。テレビ番組の企画制作やゲーム開発、Webコンテンツ制作などを行っています。

収益は、クライアントからの制作受託費や派遣契約に基づく対価、知的財産のライセンス料等から得ています。運営は主に同社が行うほか、クレイテックワークス、ウイング、シオン等の連結子会社が各専門領域を担当しています。

クリエイティブ分野(韓国)


日本と同様に、映像、ゲーム、Web、出版等のクリエイティブ領域において、エージェンシー事業やライツマネジメント事業を展開しています。特にテレビ業界への人材派遣や、デジタルコミック(WEBTOON)のオリジナルコンテンツ開発に注力しています。

収益は、現地クライアントからの人材サービス対価やコンテンツ販売収益等から得ています。運営は、現地の連結子会社であるCREEK & RIVER KOREA Co., Ltd.およびCREEK & RIVER ENTERTAINMENT Co., Ltd.が行っています。

医療分野


「民間医局」のブランドで、医師を対象としたエージェンシー事業を展開しています。医師紹介や、研修医・医学生向けの合同説明会「レジナビFair」の開催、臨床研修情報サイトの運営などを行っています。

収益は、医療機関や自治体等からの医師紹介手数料やイベント出展料、広告掲載料等から得ています。運営は、連結子会社のメディカル・プリンシプル社およびコミュニティ・メディカル・イノベーションが行っています。

会計・法曹分野


公認会計士、税理士、弁護士等を対象としたエージェンシー事業を展開しています。人材紹介、人材派遣、紹介予定派遣に加え、事業承継やM&A支援サービスなども提供しています。

収益は、会計事務所や法律事務所、一般企業等からの人材紹介手数料や派遣料金等から得ています。運営は、連結子会社のジャスネットコミュニケーションズおよびC&Rリーガル・エージェンシー社が行っています。

その他


IT、ファッション、食、建築、AI/DX等の専門分野におけるエージェンシー事業やプロデュース事業、新規事業開発を行っています。VR製品の販売やAIシステムの開発、アパレル・食分野でのサービス提供など多岐にわたります。

収益は、各専門分野におけるクライアントからのサービス対価や製品販売収益等から得ています。運営は、リーディング・エッジ社(IT)、インター・ベル(ファッション)、VR Japan、Idrasys(AI)等の連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。一方、利益面では、経常利益・当期純利益ともに第33期をピークに直近2期は減少傾向にあり、増収減益のトレンドとなっています。利益率は低下傾向にあります。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 373億円 418億円 441億円 498億円 503億円
経常利益 25億円 34億円 40億円 41億円 37億円
利益率(%) 6.7% 8.2% 9.1% 8.3% 7.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 11億円 16億円 20億円 18億円 17億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高は増加しているものの、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しています。売上総利益率はほぼ横ばいですが、営業利益率は低下しており、コスト負担が増していることが読み取れます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 498億円 503億円
売上総利益 186億円 186億円
売上総利益率(%) 37.4% 36.9%
営業利益 41億円 36億円
営業利益率(%) 8.2% 7.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が52億円(構成比34.9%)、地代家賃が10億円(同6.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のクリエイティブ分野(日本)は微増収となりましたが、一部大手ゲームパブリッシャーの案件縮小等が影響しました。その他事業は大幅な増収となり成長を牽引しています。一方、韓国事業は減収、医療および会計・法曹分野は横ばいから微減となりました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
クリエイティブ分野(日本) 350億円 352億円 29億円 25億円 7.2%
クリエイティブ分野(韓国) 36億円 31億円 -0.4億円 -0.1億円 -0.3%
医療分野 54億円 53億円 13億円 11億円 20.4%
会計・法曹分野 25億円 24億円 2億円 1億円 4.8%
その他 34億円 42億円 -2億円 -0.8億円 -2.0%
調整額 -4億円 -5億円 0.0億円 -0.2億円 -
連結(合計) 498億円 503億円 41億円 36億円 7.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。営業活動によるキャッシュ・フローは、人材採用や新規事業への投資といった成長戦略の資金源として活用されます。投資活動においては、現時点で重要な資本的支出は予定されていません。財務活動では、自己資金や営業活動によるキャッシュ・フローを優先しつつ、M&A等で資金需要が発生した場合には金融機関からの調達も検討します。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 33億円 30億円
投資CF -35億円 -18億円
財務CF -6億円 -4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人の能力は、無限の可能性を秘めています。私たちは、その能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献します。」を統括理念として掲げています。あらゆるステークホルダーから信頼される企業グループとして、社会的責任を果たしていくことを経営目標としています。

(2) 企業文化


「プロフェッショナルの生涯価値の向上」と「クライアントの価値創造への貢献」を追求する文化があります。クリエイティブや医療、IT等の各分野において独創的かつ付加価値の高いサービスを提供することで、企業価値の最大化を図り、社会の繁栄と活性化の一翼を担うことを目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、「プロフェッショナルとともに事業を創造することにより、豊かな社会を創る」ことをテーマに掲げ、中長期的な成長を目指しています。2026年2月期に向けた経営指標として、以下の数値を目標としています。

* 売上高:600億円
* 営業利益:50億円
* 営業利益率:8.3%

(4) 成長戦略と重点施策


「プロフェッショナル50分野構想」を掲げ、事業領域の拡大と新規サービスの創出を推進しています。特にAIやXR(VR/AR/MR)等の新市場でのサービス基盤確立や、グローバル展開を加速させる方針です。また、経営人材の育成やコーポレート・ガバナンスの強化にも取り組み、グループ全体の価値向上に努めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材こそが最大の資産」との考えのもと、多様な人材が能力を最大限発揮できる環境整備を推進しています。プロフェッショナルネットワークの拡充に加え、社員の教育制度充実や積極的な採用を行い、経営理念を具現化できるリーダーの育成や経営人材の創出に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 32.5歳 4.9年 4,767,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 24.8%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.9%
男女賃金差異(正規) 65.9%
男女賃金差異(非正規) 94.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(2.58%)、従業員健康診断受診率(98.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制


人材サービス事業は労働者派遣法や職業安定法等の規制を受けており、法令の変更や新設により事業運営に制約を受ける可能性があります。関連法令の動向を注視し、適切に対応することでリスク管理を行っています。

(2) 情報管理


多くの個人情報を扱っているため、外部からの不正アクセスや人的ミスによる情報流出のリスクがあります。プライバシーマークの取得や管理責任者の設置、社員教育等を通じて管理体制の維持・強化に努めています。

(3) システム障害


事業の多くが通信ネットワークに依存しており、システムダウンや復旧遅延が発生した場合、業務が滞る可能性があります。定期的な点検やセキュリティ強化、非常用発電設備の契約等により、事業継続性の確保を図っています。

(4) 市場環境と競争


専門職へのニーズは高いものの、競合他社の増加により競争が激化しています。採用難やネットワーク拡大の遅れが生じた場合、事業計画に影響を与える可能性があります。独自ノウハウの蓄積や多角化により競争優位性の確保に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。