※本記事は、株式会社クリーク・アンド・リバー社の有価証券報告書(第36期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. クリーク・アンド・リバー社ってどんな会社?
同社は、様々な分野のプロフェッショナルを対象としたエージェンシー事業等を展開しています。
■(1) 会社概要
1990年に設立され、マーケティングコンサルティング会社としてスタートしました。1992年に映像クリエイター・エージェンシー事業を開始し、その後ゲームやWebなど様々なクリエイティブ分野へと領域を拡大しました。2000年に大阪証券取引所に上場し、現在は多様な専門分野で事業を展開しています。
従業員数は連結で2,858名、単体で1,461名です。筆頭株主は事業会社のシー・アンド・アールで、第2位は創業者の井川幸広氏、第3位は事業会社のソース・デザイン社となっています。圧倒的なプロフェッショナルのネットワークを背景に、独創的かつ付加価値の高いサービスを提供しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| シー・アンド・アール | 28.89% |
| 井川幸広 | 8.90% |
| ソース・デザイン社 | 8.71% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.7%です。代表取締役会長(CEO)は井川幸広氏、代表取締役社長(COO)は黒崎淳氏が務めており、社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 井川幸広 | 代表取締役会長(CEO) | 1990年同社設立、代表取締役社長。2023年5月より代表取締役会長(CEO)。現職。 |
| 黒崎淳 | 代表取締役社長(COO) | 2005年同社入社。経営企画グループ等担当役員を経て、2023年5月より現職。 |
| 青木克仁 | 取締役(CMO) | 2001年同社入社。デジタルコンテンツグループ等担当を経て、2023年5月より現職。 |
| 後藤野人 | 取締役 | 2004年同社入社。ビジネスプロデュースグループ等担当を経て、2020年5月より現職。 |
| 松本研二 | 取締役 | 2011年同社入社。ライツマネジメントグループ等担当を経て、2023年5月より現職。 |
| 下義生 | 取締役 | 1981年日野自動車入社。同社代表取締役会長を経て、2024年5月より現職。 |
社外取締役は、澤田秀雄(エイチ・アイ・エス最高顧問)、藤延直道(元テレビ東京専務)、渡辺尚(元パソナグループ副社長)、田子みどり(コスモピア元社長)、石村満(元HSBC証券常務)です。
2. 事業内容
同社グループは、複数の報告セグメントおよびその他事業を展開しています。
■クリエイティブ分野(日本)
映像、ゲーム、Web、広告等のクリエイティブ領域で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー、プロデュース、ライツマネジメント事業を展開しています。テレビ局や一般企業に対して企画・制作の受託や人材紹介等を行っています。
収益は、人材の派遣・紹介手数料やコンテンツの制作受託料、電子書籍やオリジナル作品等の版権販売によるライセンス収入等から得ています。運営は同社および、クレイテックワークス、ウイング、シオン等のグループ各社が行っています。
■クリエイティブ分野(韓国)
韓国において、日本と同様にクリエイターを対象としたエージェンシー事業やプロデュース事業を展開しています。主にテレビ局への人材派遣やオリジナルコミックの企画・制作等を手掛けています。
収益は、テレビ局等からの人材派遣手数料やコミック制作等に伴う受託・ライセンス収入から得ています。運営は、韓国の現地子会社であるCREEK & RIVER KOREAおよびCREEK & RIVER ENTERTAINMENTが行っています。
■医療分野
「民間医局」のブランドを通じたドクター・エージェンシー事業を中心に展開しています。医師の紹介事業や医学生向けの研修病院合同説明会「レジナビFair」の開催、地域医療の周辺サービス等を提供しています。
収益は、医療機関からの医師紹介に伴う成功報酬や、説明会等のイベント出展料、医療周辺サービスの利用料から得ています。運営は、メディカル・プリンシプル社およびコミュニティ・メディカル・イノベーションが行っています。
■会計・法曹分野
会計士や弁護士などの専門的なプロフェッショナルを対象としたエージェンシー事業を中心に展開しています。セミナーの積極的な開催や関連団体との関係強化を通じ、企業や事務所に向けた人材紹介・派遣を行っています。
収益は、企業や会計事務所、法律事務所等からの人材紹介・派遣に伴う手数料から得ています。運営は、ジャスネットコミュニケーションズおよびC&Rリーガル・エージェンシー社が行っています。
■CRES分野
プロフェッショナルの知恵や経験を活かし、中小企業の事業承継や再生支援、M&Aアドバイザリー事業を展開しています。また、手帳やカレンダー等の企画・編集・出版事業も行っています。
収益は、事業承継やM&Aに伴うコンサルティング報酬・アドバイザリー手数料のほか、手帳や書籍等の販売収入から得ています。運営は、C&R EVERLASTING STORYおよび高橋書店等のグループ各社が行っています。
■その他の事業
IT、AI・DX、ファッション、建築、アグリカルチャーなど、多様な分野でのプロフェッショナル・エージェンシー事業を展開しています。また、VR製品の販売やデータマーケティング、飲食店の運営等も手掛けています。
収益は、各専門分野における人材紹介・派遣手数料や、製品の販売・サービス利用料から得ています。運営は、リーディング・エッジ社、インター・ベル、Idrasysなどのグループ各社がそれぞれ担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
同社の連結業績は、長期的に増収トレンドを維持しています。特に直近の事業年度では、主力分野の好調や新たなグループ企業の連結子会社化などが寄与し、売上高は600億円を突破しました。経常利益も過去最高を更新するなど、順調な成長が確認できます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 418億円 | 441億円 | 498億円 | 503億円 | 614億円 |
| 経常利益 | 34億円 | 40億円 | 41億円 | 37億円 | 48億円 |
| 利益率(%) | 8.2% | 9.1% | 8.3% | 7.3% | 7.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 22億円 | 29億円 | 27億円 | 23億円 | 41億円 |
直近の損益状況を見ると、売上高の大幅な増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。利益率の高いサービスの成約長期化や先行投資の影響はあったものの、増収効果により営業利益は大きく伸長し、営業利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 503億円 | 614億円 |
| 売上総利益 | 186億円 | 223億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.0% | 36.4% |
| 営業利益 | 36億円 | 49億円 |
| 営業利益率(%) | 7.2% | 8.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が60億円(構成比34%)、地代家賃が12億円(同7%)を占めています。
セグメント別に見ると、クリエイティブ分野(日本)が全体の収益を牽引し、増収増益に貢献しています。また、CRES分野は新たな企業のグループ化により売上高・利益ともに急拡大しました。一方、クリエイティブ分野(韓国)やその他の事業では、先行投資等の影響により営業損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益(2026年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| クリエイティブ分野(日本) | 352億円 | 395億円 | 25億円 | 29億円 | 7.3% |
| クリエイティブ分野(韓国) | 31億円 | 31億円 | -0.1億円 | -0.4億円 | -1.3% |
| 医療分野 | 53億円 | 58億円 | 11億円 | 14億円 | 24.9% |
| 会計・法曹分野 | 24億円 | 23億円 | 1.2億円 | 1.0億円 | 4.3% |
| CRES分野 | 0.5億円 | 62億円 | 0.4億円 | 6.4億円 | 10.3% |
| その他 | 42億円 | 44億円 | -1.3億円 | -1.1億円 | -2.4% |
| 調整額 | -5億円 | -6億円 | -0.2億円 | -0.1億円 | - |
| 連結(合計) | 503億円 | 614億円 | 36億円 | 49億円 | 8.0% |
同社のキャッシュ・フローは、本業で安定的なキャッシュを生み出しながら、借入等の資金調達によって事業拡大や投資を積極的に進める積極型の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 30億円 | 21億円 |
| 投資CF | -18億円 | -0.4億円 |
| 財務CF | -4億円 | 17億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は23.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「人の能力は、無限の可能性を秘めています。私たちは、その能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献します。」を統括理念として掲げています。プロフェッショナルの生涯価値の向上と、クライアントの価値創造への貢献を追求し、あらゆるステークホルダーから信頼される企業として、社会的責任を果たしていくことを経営目標としています。
■(2) 企業文化
同社グループは、プロフェッショナルとともに成長し、その叡智を組み合わせることで新たな価値を生み出すという姿勢を重視しています。専門的な技術を有するプロフェッショナルに対する多様なニーズに応えるべく、各セグメントにおいて専門性を高めるとともに、セグメントを超えた取り組みを加速させ、グループとしての付加価値創出を図る文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、収益力の向上を図るため、売上高営業利益率を経営指標とするとともに、キャッシュ・フローを重視した経営を行っています。中長期的にはさらに、資本の効率性および収益性を重視したROIC(投下資本利益率)を目標指標として掲げています。
* 売上高613億円
* 営業利益50億円
* 営業利益49億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社はビジネスクリエイションカンパニーとしてのステータス確立を目指し、4つの基本戦略を推進しています。プロフェッショナル分野のさらなる深耕、人材をベースとしたプロデュース事業の展開、異分野の掛け合わせによる事業展開に加え、経営人材を含む営業資産を組み合わせた事業承継やM&Aを推進し、持続的かつ多層的なグループ価値の最大化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、「経営資産は人」「戦略は人」という考えのもと、多様な人材が自らの可能性を最大限に引き出せるよう、人材育成投資や社内環境整備を推進しています。組織開発と人材開発の両軸で体系化された教育体制を構築し、階層別研修やOJT、自己啓発支援を通じて、理念の浸透と多様な働き方におけるエンゲージメントの向上に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与は東京証券取引所プライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 32.9歳 | 5.9年 | 4,882,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 29.2% |
| 男性育児休業取得率 | 42.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 80.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.1% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 73.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(2.67%)、従業員健康診断受診率(97.5%)、取締役会への参加(98.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人材サービスにおける法的規制の変更
同社グループが提供する人材サービスは労働者派遣法や職業安定法などの労働関連法令により規制を受けており、法令の変更や新法令の制定、解釈の変更等が生じた場合に、事業が制約を受ける可能性があります。
■(2) プロフェッショナル情報に関する管理リスク
サービス提供にあたり多くのプロフェッショナルの個人情報を管理しており、外部からの不正アクセスや人的ミス等による個人情報の流出が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償などを招く可能性があります。
■(3) システムトラブルや災害による業務中断
インターネット等による業務処理が増大しており、コンピュータウイルスの侵入や各種システムトラブル、自然災害等によりシステムがダウンした場合、情報の消失等により業務が一時的に滞る可能性があります。
■(4) 優秀なプロフェッショナル人材の確保と育成
事業の拡大に伴い継続的な人材の採用と育成を実施していますが、採用の不振や退職者の増加等により優秀な人材を確保することができない場合、同社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。



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