※本記事は、株式会社イオンファンタジー の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
イオンファンタジーは、イオングループ及びその他のディベロッパーが運営するショッピングセンター内で、ファミリー向けアミューズメント施設やプレイグラウンド施設を展開しています。同社グループは、国内、中国、アセアン地域で遊戯施設の設置運営を行っています。
単体従業員数は902名、連結従業員数は3,955名です。事業セグメントは国内事業、中国事業、アセアン事業の3つです。
主な国内グループ会社は、イオン(純粋持株会社)などです。
国内においてはイオンファンタジーがイオングループ及びその他のディベロッパーが運営するショッピングセンター内で、ファミリー向けアミューズメント施設やプレイグラウンド施設を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
イオンファンタジーは、アミューズメント施設運営を主軸とする企業です。同社グループでは、従業員を「人財」と捉え、多様な働き方を尊重し、育成に力を入れていることが特徴です。
従業員がいきいきと働ける環境づくりを目指し、様々な制度や施策を通じて、長期的なキャリア形成を支援する方針が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期的に安定して勤務する傾向があると考えられます。多様な人財の確保と育成に注力し、働きやすい環境づくりを進めていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,968,374円 |
| 平均勤続年数 | 15年9ヶ月 |
| 平均年齢 | 44歳10ヶ月 |
| 単体従業員数 | 902人 |
| 連結従業員数 | 3,955人 |
| 単体のグループ内比率 | 22.8% |
同社グループは、親会社であるイオン株式会社およびその主要国内関係会社で設立している確定給付型の企業年金基金制度と、確定拠出年金制度、退職金前払制度を設けています。一部の連結子会社においても確定給付型の退職給付制度を採用しています。
退職給付債務は11.7億円、年金資産は16.1億円となっています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
イオンファンタジーは、持続的な成長の原動力は「人財」であると認識しており、人財育成を極めて重要視しています。特にグローバル企業として、多様な価値観を活かす「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」の推進を重要な戦略と捉え、積極的に取り組んでいます。
性別・国籍・年齢・キャリアを問わず優秀な人財の採用・起用を積極的に行い、事業の多角化に必要な専門人財の確保も強化しています。障がい者雇用にも注力し、安心して継続的に働ける環境を整備することで、法定雇用率をはるかに上回る雇用を維持しています。
教育制度においては、各職位に必要なマネジメントスキルと各職務に必要な専門知識を習得する機会を提供し、自ら考え行動し成長し続けられる人財の育成を目指しています。会社主催の研修に加え、自己啓発に意欲を持つ従業員が職位や雇用形態に関係なく学べる「イオンファンタジー自己啓発プログラム」を構築し、受講費用を全額会社が負担しています。また、キャリアコンサルタント国家資格保持者によるキャリア支援も行い、自律的なキャリア形成ができる風土づくりに取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 52.2% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女間の賃金格差(社員) | 75.8% |
| 男女間の賃金格差(パートタイマー) | 108.8% |
| 男女間の賃金格差(合計) | 77.8% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 基本理念への共感度 | 3.81 |
| エンゲージメントスコア・レーティング | 53.6 (BB) |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
イオンファンタジーは、ショッピングセンター内でファミリー向けアミューズメント施設やプレイグラウンド施設を運営する企業です。国内外で多様な遊びの場を提供し、収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主にファミリー向けアミューズメント施設やプレイグラウンド施設の運営を通じて収益を得ています。ショッピングセンターを訪れる家族連れを主要な顧客層とし、遊戯機械の利用料や景品、商品の販売が収益の柱となっています。
同社グループは「国内」「アセアン」「中国」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。
国内事業
国内事業では、イオングループ及びその他のディベロッパーが運営するショッピングセンター内で、ファミリー向けアミューズメント施設やプレイグラウンド施設を展開しています。収益は、プライズゲーム機やメダルゲーム機、時間制遊具などの遊戯機械売上高、カードや玩具、飲食物などの商品売上高、飲料等自動販売機の運営委託に係る手数料収入である委託売上高、その他から得ています。運営は、イオンファンタジーが行っています。当期は売上高・営業利益・経常利益ともに3期連続で過去最高を更新しており、好調に推移しています。
アセアン事業
アセアン事業は、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムにおいて、ショッピングセンター内で遊戯施設の設置運営を行っています。プレイグラウンドを主力事業としており、収益は、遊戯機械売上高、商品売上高、委託売上高から得ています。運営は、AEON FANTASY (MALAYSIA) SDN.BHD.、AEON Fantasy (Thailand) Co.,Ltd.、AEON FANTASY GROUP PHILIPPINES,INC.、PT. AEON FANTASY INDONESIA、AEON FANTASY VIETNAM CO.,LTD.が行っています。当期は売上高が4期連続で過去最高を更新しましたが、既存店の収益低下により営業利益は減少となりました。
中国事業
中国事業は、中国においてショッピングセンター内で遊戯施設の設置運営を行っています。収益は、遊戯機械売上高、商品売上高から得ています。運営は、永旺幻想(中国)児童遊楽有限公司が行っています。当期は不採算店舗の整理や経費削減により営業損失は改善しましたが、競争激化や閉店の影響で売上高は減少しています。
同社グループは海外事業も展開しており、当連結会計年度では営業外収益に為替差益を計上しており、為替変動の影響を受けています。同社グループの売上高は国内事業が大部分を占める構造となっています。
| セグメント | 売上高(2025年2月期) | 売上高(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 国内 | 692億円 | 752億円 |
| アセアン | 132億円 | 152億円 |
| 中国 | 48.3億円 | 28.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は過去5期にわたり増加傾向にあります。経常利益は変動が見られましたが、当期は大幅な増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、過去には損失を計上した期もありましたが、当期は黒字に転換しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは安定してプラスを維持しており、本業による資金創出力があることを示しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 602億円 | 727億円 | 818億円 | 872億円 | 933億円 |
| 経常利益 | △33.9億円 | 13.2億円 | 44.9億円 | 34.4億円 | 73.6億円 |
| 経常利益率 | △5.6% | 1.8% | 5.5% | 3.9% | 7.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △45.1億円 | △33.8億円 | 13.1億円 | △18.2億円 | 27.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △228.07 | △170.82 | 66.50 | △91.87 | 141.09 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に、前期から当期にかけて増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。
これらの指標の改善は、組織全体の効率化や収益体質の強化が進んでいる傾向が見られます。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.9百万円 | 23.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.9百万円 | 1.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
イオンファンタジーは、事業活動で得た資金を積極的に将来への投資に回している状況です。これにより、持続的な成長を目指すフェーズにあることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は12.2%となっており、プライム市場の非製造業平均と比較すると低い水準です。一方で、ROE(自己資本利益率)は38.8%と、プライム市場平均を大きく上回る高い水準を示しています。手元資金である現金及び預金は78.2億円に増加しており、資金の流動性を確保している状況です。これらの財務状況は、同社グループが事業活動を通じて収益性を高めつつ、将来の成長に向けた投資余力を維持していることを示しています。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 68.4億円 | 80.1億円 |
| 自己資本比率 | 12.3% | 12.2% |
| ROE(自己資本利益率) | △24.4% | 38.8% |
| 現金及び預金 | 61.7億円 | 78.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは116.0億円のプラスとなりましたが、前期と比較して減少しています。これは主に減価償却費や減損損失の計上による資金増加があった一方で、売上預け金の増加や為替差益の計上、法人税等の支払による資金減少が影響しています。
投資活動によるキャッシュフローは、新規出店や既存店活性化投資に伴う有形固定資産の取得により、148.6億円のマイナスとなり、前期よりもマイナス幅が拡大しています。この結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは32.6億円のマイナスとなりました。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純増額や長期借入れによる収入が増加したことで、47.3億円のプラスに転じています。同社グループは本業で資金を生み出しつつ、積極的な成長投資を行っている状況であり、資金調達によって投資を賄っていることがうかがえます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 123.5億円 | 116.0億円 |
| 投資CF | △108.6億円 | △148.6億円 |
| 財務CF | △28.4億円 | 47.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 14.9億円 | △32.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、日本のアミューズメント業界における市場規模の減少や少子化問題により、施設利用者の減少が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ショッピングセンター内での遊戯施設運営において、競合他社の出店加速による競争激化が、出店戦略や業績に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、「安全・安心な店作り」を実現するため、子どもたちへの接客やイベント提供、迅速なオペレーションができる人材の採用・育成を重要な課題としています。人材確保が困難な雇用環境において、必要な人材を確保できない場合、店舗運営に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
イオンファンタジーは、「こどもたちの夢中を育み、“えがお”あふれる世界をつくる。」というパーパスを掲げ、子どもとそのファミリーの笑顔を追求する企業です。持続的な成長と社会貢献を両立させることを目指し、事業を展開しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「こどもたちの夢中を育み、“えがお”あふれる世界をつくる。」というパーパスを制定しています。このパーパスの実現に向けた企業の方向性を示す「ビジョン」を改定しました。
顧客への提供価値を従来の「子どもが楽しい」から「親も子どもも楽しい」へと範囲を拡大し、事業を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、持続的に成長していくための原動力は「人財」であると認識しています。従業員がいきいきと働ける組織づくりを進めることを重視しています。
「すべてのファンタジーピープル(イオンファンタジーで働くすべての人々)が仕事もあそびも夢中になれる会社」を長期目標としています。具体的には、「ダイバーシティの推進」「えがおを支える専門人財の育成」「意欲ある人が自ら成長していける仕組みづくり」「経営者育成」に取り組んでいます。
特に、多様な価値観を活かす「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」の推進を重要な戦略と捉え、積極的に取り組んでいます。また、サステナビリティ方針を策定し、「こどもたちの未来への貢献」「従業員がいきいきと働ける組織づくり」「地域社会とのコミュニケーションの深化」「脱炭素社会、循環型社会、生物多様性保全の実現」「コーポレート・ガバナンスの強化」の5つのマテリアリティ(重要課題)を設定しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、新たな「新中期経営計画(2026年~2030年)」を推進しています。この計画では、「社会トレンドに対応した国内主力事業の強化」「海外における既存店の顧客価値及び競争力向上」「事業多層化を前提とした企業価値向上」を経営課題としています。
重点方針としては、「国内事業の成長路線回帰」「事業/業態間のシナジー追求」「メリハリのある海外事業戦略」「事業ポートフォリオ経営の進化」「収益貢献に直結するDX戦略」を推進しています。
さらに、サステナビリティ方針並びにマテリアリティに基づく活動を継続し、持続可能な社会への貢献と企業価値向上の両立に向け邁進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役制度を採用しており、取締役会が経営方針の決定と職務執行の監視を担っています。また、経営の監督機能と業務執行機能を明確にし、業務執行のスピードアップと経営の効率化を図るため、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主はイオンであり、発行済株式の過半数を超える株式を保有しています。その他、信託銀行などが上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 60.48% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 3.65% |
| CACEIS BANK, LUXEM BOURG BRANCH/UCITS-FULL TAX(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店) | 1.04% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性8名・女性3名)で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長は藤原徳也氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤原 徳也 | 代表取締役社長 | 2000年3月同社入社、2013年5月同社取締役、2021年5月同社代表取締役社長より現職。 |
| 藤原 信幸 | 取締役会長 | 2004年5月同社入社、2017年5月同社取締役、2021年5月同社代表取締役会長、2023年5月同社取締役会長より現職。 |
| 井関 義徳 | 取締役兼専務執行役員管理統括兼リスクマネジメント担当 | 1995年4月株式会社ダイエーレジャーランド(現同社)入社、2019年5月同社取締役、2025年5月同社取締役兼専務執行役員管理統括兼リスクマネジメント担当より現職。 |
| 田村 純宏 | 取締役兼執行役員海外事業責任者 | 1993年12月ジャスコ株式会社(現イオン株式会社)入社、2012年5月同社取締役、2026年3月同社取締役兼執行役員海外事業責任者より現職。 |
社外取締役は、山下真実氏(株式会社ここるく代表取締役・指名・報酬諮問委員会委員長)、草島智咲氏(株式会社ウィズソフィア代表取締役・指名・報酬諮問委員会委員)、齋藤政彦氏(元Fuji Xerox Malaysia Sdn.Bhd.社長・指名・報酬諮問委員会委員)です。
同社は監査役制度を採用しており、取締役7名(うち社外取締役3名)で取締役会を構成しています。社外取締役および社外監査役を選任することで、経営への監視機能を強化し、独立・公正な立場からの職務執行に対する監視が期待されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、基本報酬、業績報酬(会社業績報酬と個人別業績報酬)、株式報酬型ストックオプションで構成されています。報酬額の決定は、社外取締役が委員長を務め過半数を占める指名・報酬諮問委員会での協議を経て、取締役会に答申されることで客観性と透明性を確保しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 98百万円 | 24.6百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 38百万円 | 6.4百万円 |
なお、報酬等の総額は千円未満を切り捨てて表示されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。