※本記事は、株式会社ありがとうサービスの有価証券報告書(第27期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ありがとうサービスってどんな会社?
リユース店や飲食店のフランチャイズ運営を中心に、地方創生事業も展開する多様な事業を持つ企業です。
■(1) 会社概要
2000年に四国地区でモスバーガーを展開する目的で設立されました。2005年に吸収合併を経てありがとうサービスへ商号変更し、2006年にはリユース事業を譲受しました。2012年にJASDAQに上場し、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。
従業員数は連結で318名、単体で185名です。筆頭株主はイモトカンパニーで、第2位はありがとうサービス従業員持株会です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イモトカンパニー | 34.66% |
| ありがとうサービス従業員持株会 | 5.61% |
| 吉田 知広 | 3.09% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長兼会長は井本雅之氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 井本 雅之 | 代表取締役社長兼会長 | 2000年10月同社代表取締役社長に就任。2023年4月より現職。 |
| 立花 玲 | 取締役HR本部担当 | 2007年4月同社入社。2024年3月取締役リユース事業部HR担当を経て、2026年5月より現職。 |
| 志岐 雄一 | 取締役管理本部長 | 2006年8月同社に財務・経理部長として入社。2018年5月より現職。 |
社外取締役は、田中庸介(弁護士法人田中法律事務所代表社員)、宮本昌樹(Kii company代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「リユース事業」「フードサービス事業」「地方創生事業」を展開しています。
■リユース事業
ハードオフ、オフハウス、ホビーオフ、ブックオフなどのリユース店舗を運営し、一般消費者からパソコン、衣料品、書籍などを買取り、販売しています。
収益源は店舗でのリユース品の販売代金です。主にハードオフコーポレーションやブックオフコーポレーションのフランチャイジーとして同社が運営しています。カンボジアやタイでは子会社が運営しています。
■フードサービス事業
モスバーガー、トマト&オニオンなどの飲食店舗を運営し、一般顧客向けに飲食サービスを提供しています。独自のオリジナルブランド店舗も展開しています。
収益源は店舗での飲食代金です。主にモスフードサービス等のフランチャイジーとして同社が店舗運営を行っています。
■地方創生事業
温浴宿泊施設や生産物販売施設を運営し、地域資源を活かしたサービスを提供しています。
収益源は施設の宿泊料や飲食サービス、生産物の販売代金です。同社が主体となって今治市などの愛媛県内で施設を運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は5期連続で増加しており、直近の売上高は114億円に達しています。経常利益も毎年順調に増加しており、収益性は安定した成長傾向を示しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 88億円 | 92億円 | 97億円 | 106億円 | 114億円 |
| 経常利益 | 6.0億円 | 7.1億円 | 8.3億円 | 9.5億円 | 10.3億円 |
| 利益率(%) | 6.7% | 7.8% | 8.5% | 9.0% | 9.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.2億円 | 2.1億円 | 2.6億円 | 3.8億円 | 3.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高と売上総利益はともに増加しており、堅調な事業拡大が伺えます。営業利益率も8%台を維持しており、安定した本業の稼ぐ力を保っています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 106億円 | 114億円 |
| 売上総利益 | 70億円 | 75億円 |
| 売上総利益率(%) | 66.0% | 65.8% |
| 営業利益 | 8.8億円 | 9.4億円 |
| 営業利益率(%) | 8.3% | 8.2% |
販売費及び一般管理費のうち、雑給が19億円(構成比28%)、家賃地代が11億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
すべてのセグメントで増収となっており、特に主力のリユース事業が全体を牽引しています。地方創生事業やフードサービス事業も堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| リユース事業 | 78億円 | 86億円 |
| フードサービス事業 | 24億円 | 25億円 |
| 地方創生事業 | 3.3億円 | 3.6億円 |
| 連結(合計) | 106億円 | 114億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入返済を行いながら投資も手元資金で賄う優良な状態です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.6億円 | 10.7億円 |
| 投資CF | -6.2億円 | -2.9億円 |
| 財務CF | 1.2億円 | -5.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.3%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も51.8%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「世のため人のため」を経営理念とし、「お客様から、ありがとうを言っていただく」「会社を学びと成長の舞台とする」「十分な収益を上げ続け、世の中に教育とスポーツを通じ貢献する」の3つを経営目的に掲げて事業を展開しています。
■(2) 企業文化
同社は「私たちはひとをつくる会社です」を基本方針とし、人材の育成を重視しています。教育に十分な時間をかけ、人材育成力を磨き込んで人材づくりを行うことが、中長期的な経営基盤となると同時に企業ブランドを高めると考えています。
■(3) 経営計画・目標
効率性を重視し、環境変化に変幻自在に対応できる強い財務体質を作り上げるために、売上高経常利益率を重視しています。当期の売上高経常利益率は9.1%でしたが、今後は以下の目標を掲げています。
* 売上高経常利益率:10%
■(4) 成長戦略と重点施策
フランチャイズ事業では本部との連携を深め、店舗の拡大と店舗力の強化を図ります。リユース事業ではリアル店舗の出店を加速させ、海外既存店の強化も行います。フードサービス事業では新規出店体制を構築し、地方創生事業では成長に資する事業へ重点的に投資します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材育成力の向上を重視し、社内研修や外部研修を定期的に実施しています。また、多様な価値観を持つ人材を採用し、パート・アルバイトから正社員への登用制度も設けており、各人が能力を発揮できる職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 41.1歳 | 10.4年 | 4,229,462円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.5% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 89.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 84.9% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 104.5% |
※男性育児休業取得率について、同社は公表義務の対象ではないため、有報には記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) フランチャイズ契約の制約
各フランチャイズ本部との契約に基づき事業を展開しているため、本部の方針変更や契約解除が生じた場合、営業停止や社会的信用の低下を招き、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の育成および確保の難しさ
サービス業であるため人材の質が重要ですが、店舗責任者等の育成が計画通りに進まない場合や、必要な人材が十分に確保できない場合、店舗運営に支障をきたすリスクがあります。
■(3) 中古品の仕入れの不安定性
リユース事業では一般消費者からの買取りに依存しているため、市場動向や競合の状況により、十分な質と量の仕入れが確保できない場合や在庫が増加するリスクがあります。
■(4) 法的規制や食品衛生問題
古物営業法や食品衛生法などの規制を受けており、万一これらに抵触して営業許可の取消しや、食中毒などの重大な事故が発生した場合、業績や社会的信用に深刻な影響を与える可能性があります。



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