ありがとうサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ありがとうサービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。ハードオフやブックオフ等のリユース事業、モスバーガー等のフードサービス事業をフランチャイズで運営するほか、地方創生事業も展開。直近の業績は、既存店の好調や新規出店により売上高106億円、経常利益10億円となり、増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社ありがとうサービス の有価証券報告書(第26期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ありがとうサービスってどんな会社?


リユースショップや飲食店のフランチャイズ運営を主軸に、地方創生事業も手がける愛媛県拠点の企業です。

(1) 会社概要


2000年にモスバーガー展開のため設立され、2006年にリユース事業を譲り受けて事業を拡大しました。2012年にJASDAQ(現スタンダード)へ上場を果たし、2016年にはカンボジアに子会社を設立して海外進出を開始しました。近年では、2020年以降に温浴施設の運営など地方創生事業を本格化させています。

連結従業員数は317名、単体では191名です。筆頭株主は法人株主のイモトカンパニー、第2位は従業員持株会、第3位は社長の井本雅之氏です。

氏名 持株比率
イモトカンパニー 34.66%
ありがとうサービス従業員持株会 5.27%
井本雅之 2.67%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長兼会長は井本雅之氏です。社外取締役比率は約28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
井本雅之 代表取締役社長兼会長 2000年10月同社代表取締役社長に就任。2023年4月より現職。
大橋和也 常務取締役フードサービス事業本部長 2000年10月同社取締役営業部長。フードサービス営業部長等を経て2022年7月より現職。
立花玲 取締役リユース事業部HR担当 2007年4月同社入社。リユース担当事業部長兼営業サポート室長等を経て2024年3月より現職。
志岐雄一 取締役管理本部長 2001年4月同社取締役管理本部長。財務・経理部長等を経て2018年5月より現職。
長野正 取締役ワールドサーキュレイト事業担当 2006年8月同社入社。MOTTAINAI WORLD CO.,LTD.代表取締役等を経て2024年5月より現職。


社外取締役は、田中庸介(弁護士法人田中法律事務所代表社員)、宮本昌樹(温泉道場取締役副社長執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リユース事業」「フードサービス事業」および「地方創生事業」を展開しています。

(1) リユース事業


ハードオフ、オフハウス、ホビーオフ、ブックオフ等のフランチャイズ加盟店として、愛媛県、山口県、九州各県、沖縄県等で店舗を運営しています。また、海外ではカンボジアやタイでリユースショップを展開しています。

中古品の買取・販売による収益が主たる収益源です。運営は同社および連結子会社のMOTTAINAI WORLD CO., LTD.(カンボジア)、MOTTAINAI WORLD (THAILAND)CO.,LTD.(タイ)が行っています。

(2) フードサービス事業


モスバーガー、トマト&オニオン等のフランチャイズ加盟店として、愛媛県、香川県、高知県で店舗を運営しています。また、独自のオリジナルブランドとして「馳走家とり壱」や「かつれつ亭」なども展開しています。

一般顧客への飲食サービスの提供による売上が収益源です。運営は主に同社が行っています。

(3) 地方創生事業


愛媛県今治市や西予市などで、温浴宿泊施設や道の駅などの指定管理・運営を行っています。また、独自ブランドである「ハム工房古都」にてハム・ソーセージの製造販売も行っています。

施設の利用料、宿泊料、物販収入などが収益源です。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間において、売上高、経常利益ともに増加傾向にあります。特に直近の2025年2月期は売上高が106億円を超え、利益面でも過去最高水準を更新するなど、順調な成長が続いています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 85億円 88億円 92億円 97億円 106億円
経常利益 3.3億円 6.0億円 7.1億円 8.3億円 9.5億円
利益率(%) 3.9% 6.7% 7.8% 8.5% 9.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.5億円 2.4億円 3.0億円 3.6億円 5.0億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も増加しています。売上総利益率は約65%前後と高い水準を維持しており、営業利益率も前期の7.5%から8.3%へと改善傾向にあります。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 97億円 106億円
売上総利益 63億円 70億円
売上総利益率(%) 65.1% 65.7%
営業利益 7億円 9億円
営業利益率(%) 7.5% 8.3%


販売費及び一般管理費のうち、人件費(給与手当、雑給等の合計)が約25億円(構成比41%)、家賃地代が11億円(同18%)を占めています。売上原価の約70%は商品の仕入によるものです。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収となりました。主力のリユース事業は海外展開や既存店の好調により大幅な増益を達成しました。フードサービス事業も増益となりましたが、地方創生事業は先行投資やエネルギーコスト増加の影響で損失幅が拡大しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
リユース事業 71億円 78億円 12億円 13億円 17.0%
フードサービス事業 24億円 24億円 1億円 2億円 7.2%
地方創生事業 3.0億円 3.3億円 -1.7億円 -2.1億円 -65.0%
連結(合計) 97億円 106億円 7億円 9億円 8.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.3%で市場平均をわずかに下回っています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 8億円 9億円
投資CF -6億円 -6億円
財務CF -1億円 1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは「世のため人のため」を経営理念とし、3つの経営目的を掲げています。それは、「お客様からありがとうを言っていただく」、「会社を学びと成長の舞台とする」、「十分な収益を上げ世の中に教育とスポーツを通じ貢献する」ことです。これらの理念のもと、リユース、フードサービス、地方創生の3事業を展開しています。

(2) 企業文化


同社は「私たちはひとをつくる会社です」を基本方針とし、事業の本質であるサービス業において重要な人材の育成を重視しています。また、経営目的の一つとして「会社を学びと成長の舞台とする」を掲げ、従業員一人ひとりが成長できる環境づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


同グループは効率性を重視し、環境変化に対応できる強い財務体質を構築するため、売上高経常利益率を重要指標としています。当期の実績は9.0%ですが、これを10%とすることを目標としています。

* 売上高経常利益率:10%

(4) 成長戦略と重点施策


フランチャイズ事業では本部との連携強化による店舗拡大と個店力強化を図りつつ、独自業態の比率を高めることで経営基盤の安定化を目指します。リユース事業では九州地方での出店や海外展開を推進し、フードサービス事業ではモスバーガーの出店体制強化や製造小売の複合型店舗の準備を進めます。地方創生事業では、鈍川温泉エリアの活性化など行政・地域との協業を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「ひとをつくる会社」を基本方針とし、人材育成を最重要視しています。社内研修や外部研修に時間をかけ、パート・アルバイトを含めた教育を徹底しています。また、多様性の確保を重視し、性別や年齢を問わず能力を発揮できる環境整備を行うとともに、パート・アルバイトからの正社員登用も積極的に推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 40.4歳 9.3年 4,122,349円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 84.8%
男女賃金差異(正規) 79.8%
男女賃金差異(非正規) 102.7%


※男性育児休業取得率は、規定による公表義務の対象ではないため記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性労働者の割合(目標:20%以上)、男性の平均勤続年数に対する女性の平均勤続年数比率(実績:116.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) フランチャイズ契約依存リスク


同社グループの主力事業であるリユース事業やフードサービス事業は、ハードオフコーポレーションやモスフードサービス等とのフランチャイズ契約に基づいています。契約違反等による契約解除や、各本部の方針変更、ブランドイメージの毀損等は、同社グループの事業継続や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保・育成リスク


サービス業である同社グループにとって、人材の質と量は事業運営の要です。店舗責任者等の育成が計画通りに進まない場合や、必要な人材を十分に確保できない場合、店舗運営に支障をきたし、業績に悪影響を与える可能性があります。特に労働関連法規制の変化や労働環境の変化への対応も課題となります。

(3) 中古品仕入の変動リスク


リユース事業においては、一般消費者からの買取が主な仕入ルートとなります。新品市場の動向や競合の出店状況により買取状況が変動するため、安定的な仕入が保証されているわけではありません。商品不足による機会損失や、過剰仕入による在庫リスク・ロス率の上昇が発生する可能性があります。

(4) 法的規制・コンプライアンスリスク


リユース事業は古物営業法、フードサービス事業は食品衛生法などの規制を受けています。法令違反による許可の取り消しや営業停止処分、あるいは食中毒事故等の発生は、社会的信用の失墜や損害賠償請求を招き、業績に深刻な影響を与える可能性があります。また、個人情報の漏洩リスクも存在します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。