※本記事は、株式会社東京個別指導学院 の有価証券報告書(2025年2月期、2024年3月1日 ~ 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東京個別指導学院は、「やればできるという自信」「チャレンジする喜び」「夢を持つ事の大切さ」という教育理念のもと、個別指導事業を中心に、子どもたちの目標達成を支援しています。教育環境やニーズの変化に対応し、自走サイクルの醸成を価値のコアに据え、多様なソリューションを展開しています。
単体従業員数は586名、連結従業員数は592名です。
主な国内グループ会社は、HRBC、ベネッセホールディングス(持株会社)、ブルーム1などです。
また、2025年4月1日には、ベネッセコーポレーションの進研ゼミ個別指導教室事業を会社分割により統合し、首都圏での教室規模とサービスラインナップの拡充を図っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社東京個別指導学院は、教育事業を営む企業として、従業員の成長を事業成長の軸と捉え、人を大切にする企業文化を築いています。多様な人財が個性や能力を十分に発揮できる組織風土づくりに注力しており、柔軟な働き方やキャリア形成支援を通じて、従業員が長く安心して働ける環境を目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も安定していることから、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境にあると考えられます。単体従業員数が連結従業員数に占める割合も高く、同社がグループの中核を担う組織であることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,485,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.2年 |
| 平均年齢 | 37.7歳 |
| 単体従業員数 | 586人 |
| 連結従業員数 | 592人 |
| 単体のグループ内比率 | 99.0% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、教育事業の根幹である人財の成長が社会の未来をつくると捉え、お客様や講師、従業員の成長を支援しています。成長戦略として、独自の人財育成施策や従業員ロイヤリティ向上の取り組みを強化し、持続的な事業成長に向けた人的資本への投資に注力しています。
人財育成においては、講師・全従業員が働きがいを実感して成長できるよう支援し、自ら考え、学び、行動する「自走サイクル」の醸成を通じて、顧客から信頼される自律型人財の採用・育成・把握・管理を推進しています。講師に対しては、教室運営に関する計画立案や改善活動、リーダーシップ・対話力向上プログラム、就職活動支援、教職志望者支援、特定分野専門性向上研修など、多様な学びと挑戦の機会を提供しています。社員に対しては、オンライン学習環境の整備、マネージャー層へのリーダーシップ・マネジメント研修、提案活動に対する表彰制度などを通じて、自律的な学びと専門性・マネジメント力の向上を支援しています。
社内環境整備では、「人を大切にすること」を基本とし、多様な人財が個性や能力を十分に発揮できる組織風土・文化づくりに尽力しています。新卒社員の早期成長と活躍に向けた環境整備、女性活躍推進のための育児休暇や時短勤務制度、年次有給休暇積立制度の拡充、中途採用者の積極的な登用、高齢者の就業機会確保のための再雇用制度などを推進しています。また、モチベーションサーベイの実施、全社員を対象とした情報共有の場の定期開催、労働時間の適正な管理、年次有給休暇の取得促進、フレックスタイム制や在宅勤務、副業認可を含む働き方改革も推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 23.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 69.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 94.0% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 正規雇用女性従業員比率 | 34.2% |
| 女性教室長比率 | 18.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東京個別指導学院は、個別指導塾事業を基幹とし、子どもたちの目標達成を支援する教育サービスを提供しています。教育理念に基づき、生徒一人ひとりの自走サイクル醸成を重視した事業展開を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「やればできるという自信 チャレンジする喜び 夢を持つ事の大切さ」という教育理念を掲げ、個別指導事業を中心に多様なソリューションを展開しています。個別指導塾事業は、首都圏、関西、東海、九州エリアに教室を展開しており、ベネッセサイエンス教室やベネッセ文章表現教室も運営しています。文章表現教室はオンライン教室への統合を進めています。
また、同社グループは社会人教育にも事業領域を広げ、HRBC株式会社との共創を通じてサービスの複線化を推進しています。顧客との丁寧なコミュニケーションや、一人ひとりの目標達成に向けたオリジナル学習カリキュラム、講師の指導・サポートを通じて、入会者の増加と退会率の低下につながっています。
教務コンテンツ開発の推進として、公立高校受験・定期テスト対策の「理社サポート講座」や「年内入試対策講座」の改良、校内塾事業の拡大に取り組んでいます。組織基盤の向上では執行役員体制を敷き、ベネッセコーポレーションの「進研ゼミ個別指導教室事業」の統合も予定しています。教室DX化の推進や、最適なエリアへの新規開校と商圏が重複する教室の統廃合も行い、効率的な運営を目指しています。
費用面ではシステム保守費用や外注費の削減、講師の適正配置を進める一方で、教室設備増強、マーケティング投資、優秀な講師人材獲得、人材投資を積極的に行っています。同社グループの事業は個別指導塾事業が主たるものであり、海外での売上高はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期間で緩やかな増加傾向にあります。直近の連結会計年度では、売上高は前期と比べて増加となりました。
経常利益は、過去5期間で変動が見られ、直近の連結会計年度では前期と比べてわずかな減少となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期から増加しており、賃上げ促進税制の適用も影響しています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 191億円 | 225億円 | 218億円 | 217億円 | 222億円 |
| 経常利益 | 6.5億円 | 24.0億円 | 18.3億円 | 16.2億円 | 16.1億円 |
| 経常利益率 | 3.4% | 10.7% | 8.4% | 7.5% | 7.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.5億円 | 15.8億円 | 12.5億円 | 9.6億円 | 10.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 4.66 | 29.07 | 23.02 | 17.67 | 19.14 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、直近の連結会計年度で前期からわずかな増加となりました。これは、従業員一人ひとりの貢献が売上高の増加に結びついていることを示しています。
一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は、直近の連結会計年度で前期からわずかな減少となりました。これは、売上高の増加に対して、コスト構造の変化や投資が影響している可能性を示唆しています。
| 指標 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 37.2百万円 | 37.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.8百万円 | 2.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
東京個別指導学院グループは、安定した財務基盤を築いています。本業で着実に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いながら、手元資金を厚くしている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は高い水準を維持しており、強固な財務体質を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も十分に確保されており、事業活動を安定的に継続できる基盤があると言えます。
| 指標 | 2024年2月期(前期) | 2025年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 84.4億円 | 87.2億円 |
| 自己資本比率 | 72.0% | 70.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.4% | 12.1% |
| 現金及び預金 | 68.1億円 | 77.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローはプラスで推移しており、本業で安定的に資金を生み出している状況です。投資活動によるキャッシュフローは、新規開校や設備投資などにより資金を使用しています。財務活動によるキャッシュフローは、主に配当金の支払いにより資金を使用しています。
これらのキャッシュフローの状況から、同社グループは本業で得た資金を元手に、事業の成長に必要な投資を行いながら、株主への還元も行っていることが示されています。手元資金も十分に確保されており、安定した経営基盤のもとで事業を継続していく方針がうかがえます。
| 項目 | 2024年2月期(前期) | 2025年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 19.8億円 | 19.0億円 |
| 投資CF | △2.6億円 | △2.0億円 |
| 財務CF | △9.8億円 | △7.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 17.1億円 | 17.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、少子化による学齢人口の減少や、大学入試改革などの教育環境の変化、業界内での競争激化に直面しています。このような状況下で、人財育成事業などを中心とした事業の複線化を推進し、他社との差別化に努めています。
事業の複線化が計画通りに進まない場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、約1万人を超えるアルバイト講師を雇用しており、優秀な講師の継続的な採用と育成が事業展開上の重要な課題となっています。もし、これらの人財確保や育成が困難になった場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東京個別指導学院は、「やればできるという自信 チャレンジする喜び 夢を持つ事の大切さ」という教育理念を掲げ、一人ひとりに寄り添う教育サービスを提供しています。子どもたちの目標達成を支援し、将来と今をつなぐ最も信頼される存在となることを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
東京個別指導学院は、「やればできるという自信 チャレンジする喜び 夢を持つ事の大切さ」という教育理念を掲げています。この理念のもと、一人ひとりに寄り添う教育サービスを提供し、子どもたち一人ひとりの目標達成を支援しています。
自走サイクルの醸成(自ら考え行動する力を育むこと)を提供価値のコアに据え、将来と今をつなぐ最も信頼された存在となることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
東京個別指導学院は、「人を大切にすること」を基本とし、多様な人財が個性や能力を十分に発揮できる組織風土・文化づくりに尽力しています。企業理念に基づき、講師・全従業員が働きがいを実感して成長できるよう支援しており、社員一人ひとりが自ら考え、学び、行動する「自走サイクル」の醸成を推進しています。
人財の登用・処遇においては、年齢や性別などに依らず、経験や特性、能力、意欲を判断の軸とした公正な評価を実施しています。また、法令遵守に基づく企業倫理とコーポレートガバナンスを経営上の重要課題と位置付け、すべてのステークホルダーへの価値向上に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
東京個別指導学院は、主力とする個別指導事業において、複数の経営課題に取り組んでいます。特に、人財育成の強化を重点テーマの一つとしており、ホスピタリティを基軸とした人財育成を強化するとともに、人事制度の変革を推進しています。
また、教室運営の生産性向上も重要な課題です。顧客価値を提供する人財の活力を向上させるため、労働環境や業務プロセスの改善・効率化を進め、教室DX化による付加価値向上と生産性向上を実現することを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東京個別指導学院は、社会に信頼される企業であり続けるため、コーポレートガバナンスを経営上の重要課題と位置付けています。変動する社会や経営環境に対応した迅速な意思決定と経営の健全性の向上を通じ、企業価値向上に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
東京個別指導学院の筆頭株主はベネッセホールディングスであり、同社グループの傘下にあることがうかがえます。主要な株主は事業会社や信託銀行が占めており、安定した資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ベネッセホールディングス | 61.90% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.51% |
| MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券) | 2.50% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は松尾茂樹氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松尾 茂樹 | 代表取締役 社長 | 1991年4月株式会社福武書店(現株式会社ベネッセホールディングス)入社。2015年12月ベルリッツ・ジャパン株式会社代表取締役社長兼CEO。2023年5月同社取締役。2024年5月より現職。 |
| 瀧川 敬司 | 取締役 | 1993年12月株式会社エジュテックジャパン入社。2019年3月同社取締役CEO。2024年5月同社取締役。2024年9月より同社取締役執行役員。 |
| 山口 文洋 | 取締役 | 2006年2月株式会社リクルート(現株式会社リクルートホールディングス)入社。2015年4月株式会社リクルートマーケティングパートナーズ代表取締役社長。2023年4月株式会社LITALICO代表取締役社長。2025年5月より同社取締役。 |
| 浜垣 剛 | 取締役 | 1983年3月鉄緑会(現株式会社東京教育研)設立。2009年3月株式会社東京教育研代表取締役。2025年5月より同社取締役。 |
社外取締役は、三箇功悦氏(アビームコンサルティング顧問)、長谷川秀樹氏(ロケスタ代表取締役社長)、平山景子氏(Blue Blossom創業者兼代表取締役)です。
同社は会社法上の機関設計として監査役会設置会社を選択しており、監査役及び監査役会が取締役の職務執行を監査しています。独立社外取締役は、その独立性の立場から業務執行の監督・助言機能、重要な意思決定及び利益相反の監督機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
東京個別指導学院の役員報酬は、基本報酬、業績連動賞与、および譲渡制限付株式報酬で構成されています。報酬決定の透明性・公平性・客観性を確保するため、独立社外取締役が委員長を務める取締役指名・報酬委員会が報酬等の方針を策定しています。社外取締役および監査役の報酬は基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 58百万円 | 9.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 21百万円 | 20.9百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 27百万円 | 3.8百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。取締役1名、監査役1名は無報酬です。
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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