※本記事は、SFPホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第16期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. SFPホールディングスってどんな会社?
同社グループは、居酒屋業態を中心に専門性の高い飲食店を展開する外食企業です。
■(1) 会社概要
同社は2010年にサンフランシスコ・ホールディングスとして設立されました。翌年、創業事業である「鳥良」等を運営する旧サムカワフードプランニングを吸収合併し、SFPダイニングへ商号を変更しました。2014年に東証二部へ上場し、2017年に現在のSFPホールディングスへ商号変更しています。2019年にはジョー・スマイルなどを子会社化して事業を拡大しました。
同社グループの従業員数は連結で1,149名、単体で50名です。筆頭株主は親会社であるクリエイト・レストランツ・ホールディングスで、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| クリエイト・レストランツ・ホールディングス | 58.92% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.27% |
| 三井物産流通グループ | 0.92% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は佐藤誠氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 誠 | 代表取締役社長 | 1986年銀座レストラン高松入社。旧サムカワフードプランニング取締役等を経て、2013年1月より現職。 |
| 木村 哲博 | 常務取締役 | 1993年旧サムカワフードプランニング入社。SFPホールディングス商品本部長等を経て、2025年5月より現職。 |
| 加藤 裕 | 常務取締役 | 1988年旧西洋フードシステム入社。SFPホールディングス鳥良事業部長、営業本部長等を経て、2025年5月より現職。 |
| 石井 祐輔 | 取締役(監査等委員) | 1998年ラックランド入社。クリエイト・レストランツ・ホールディングス内部監査室長等を経て、2024年5月より現職。 |
社外取締役は、長南伸明(公認会計士長南伸明事務所代表)、髙見由香里(ウィルウィル代表取締役)、柿田徳宏(けやき総合法律事務所共同パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飲食事業」の単一セグメントですが、複数の事業部門を展開しています。
■(1) 鳥良事業部門
創業業態である「おもてなしとりよし」や「鳥良商店」を展開し、手羽先唐揚を看板商品とした鶏料理を中心とする居酒屋業態です。幅広い顧客層に対してこだわりの料理と空間を提供しています。
各店舗における顧客からの飲食代金が主な収益源です。当部門の店舗運営は、子会社であるSFPダイニングが行っています。
■(2) 磯丸事業部門
水槽から引き揚げたばかりの活貝や鮮魚を名物とする「磯丸水産」や「磯丸水産食堂」を展開し、駅前立地で海辺の磯料理屋の楽しさを提供しています。
顧客からの飲食代金に加え、一部フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ等が収益源となります。直営店の運営およびフランチャイズ展開はSFPダイニングが行っています。
■(3) その他部門・フードアライアンスメンバー
大衆酒場「五の五」や「町鮨とろたく」のほか、地方都市展開を中心とする「からあげセンター」「前川珈琲店」などの多様な業態を運営しています。
各店舗での飲食代金が収益源です。運営はSFPダイニングのほか、子会社であるジョー・スマイルおよびクルークダイニングがそれぞれ担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高はコロナ禍の影響を受けた時期を経て回復基調にあり、当期は311億円に達しています。一方、利益面では原材料価格の高騰や物価高の影響により、利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 104億円 | 229億円 | 291億円 | 304億円 | 311億円 |
| 経常利益 | 22億円 | 16億円 | 22億円 | 23億円 | 18億円 |
| 利益率(%) | 21.2% | 6.9% | 7.7% | 7.5% | 5.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 19億円 | 1.1億円 | 9.1億円 | 9.2億円 | 16億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増収となったものの、食材価格等の高騰により売上原価が増加し、売上総利益率は小幅に低下しました。さらに販売管理費も増加したことで、営業利益は前期を下回る結果となりました。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 304億円 | 311億円 |
| 売上総利益 | 215億円 | 218億円 |
| 売上総利益率(%) | 70.9% | 70.0% |
| 営業利益 | 22億円 | 17億円 |
| 営業利益率(%) | 7.2% | 5.5% |
販売費及び一般管理費(201億円)のうち、給料及び手当が48億円(構成比24%)、雑給が44億円(同22%)、地代家賃が38億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は飲食事業の単一セグメントですが、部門別の売上実績は以下の通りです。磯丸事業部門が主力であり、全体の半数以上を占めています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 鳥良事業部門 | - | 54億円 |
| 磯丸事業部門 | - | 180億円 |
| その他部門 | - | 53億円 |
| フードアライアンスメンバー | - | 23億円 |
| 連結(合計) | 304億円 | 311億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 21億円 | 14億円 |
| 投資CF | -5億円 | -10億円 |
| 財務CF | -8億円 | -13億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も68.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「時流を先見した『こだわり』の限りなき追求」を経営理念に掲げ、「一人でも多くのお客様に喜びと感動を与え共に幸せになろう」をミッションとしています。日本を豊かにする「食」の専門店集団を目指し、専門性の高い飲食店を丁寧に増やしていく方針です。
■(2) 企業文化
何事もあきらめず挑戦をし続ける人材を重視し、チャレンジを尊重する社風を大切にしています。年齢、性別、国籍などに関わらず、個の多様性を活かしてそれぞれの能力を最大限に発揮し、役割や地位を超えて尊重しあえる職場環境づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
特定の数値目標(売上高等)より、経常利益額の最大化を図ることを経営の重視指標としています。またサステナビリティの観点から以下の目標を定めています。
・2030年までにCO2排出量を50%削減(2023年度実績比)
・2027年2月期に女性管理職比率11.8%を達成
・男性の育児休業取得率55%を維持
■(4) 成長戦略と重点施策
顧客ニーズに応えた新業態の開発や店舗運営力の強化によるオーガニックな成長と、地方都市での出店を進めます。また、インフレに伴う物価高・人件費上昇に対しては、商品規格の見直し、グループでの共同購買、価格転嫁を含めたメニュー価格の最適化に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
店舗運営体制の整備と人材の獲得・育成を重要課題と位置付けています。人事制度の見直しや賃上げを通じた待遇改善により人材流出を防ぐとともに、特定技能1号試験に合格した外国人を積極的に採用し、多言語マニュアルの整備等のサポート体制で早期戦力化を図ります。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 45.7歳 | 12.7年 | 5,657,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.4% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 58.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 62.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 102.9% |
※男性育児休業取得率については有報内で「-」と記載されています。
また、同社は「従業員の状況」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、連結従業員の女性管理職比率(9.1%)、連結従業員の男性育児休業取得率(50.0%)、連結従業員の男女賃金差異全労働者(81.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 消費者嗜好の変化と競争激化
外食業界は参入障壁が低く、価格競争が激しい環境にあります。同社は市場ニーズを捉えた店舗づくりで差別化を図っていますが、競合店舗の増加や消費者嗜好の想定以上の変化が進んだ場合、各業態の集客力が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 店舗運営における人材不足
サービスの提供には人材の確保が不可欠であり、同社は待遇改善や外国籍従業員の積極採用に取り組んでいます。しかし、採用環境の変化等により必要な人材が確保できなくなった場合、営業時間の短縮や計画的な出店が困難になるリスクがあります。
■(3) 食材調達のコスト高騰と安全性
食材の安全性が問われる中、万が一食中毒等が発生した場合は信用低下や営業停止などの事態を招く恐れがあります。また、天候不順、エネルギー価格や物流コストの上昇により食材の仕入れコストが急騰した場合、収益性が圧迫されるリスクがあります。



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