SFPホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SFPホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。居酒屋「磯丸水産」や「鳥良商店」等の飲食店の直営およびFC展開を主要事業としています。第15期連結会計年度の業績は、インバウンド需要の増加や人流回復により、売上高304億円(前期比4.5%増)、経常利益23億円(同2.0%増)の増収増益となりました。


※本記事は、SFPホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第15期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SFPホールディングスってどんな会社?

「磯丸水産」「鳥良商店」などの居酒屋業態を中心に展開する企業です。

(1) 会社概要

1984年に「鳥良」を創業し、2010年に現法人が旧サムカワフードプランニングを完全子会社化しました。2013年にクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携を行い、同社の連結子会社となります。2014年に東証二部へ上場し、2019年に東証一部へ市場変更しました。

同社グループは連結従業員数1,032名、単体67名の体制です。筆頭株主は親会社であるクリエイト・レストランツ・ホールディングスで58.93%を保有しています。第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)です。

氏名 持株比率
クリエイト・レストランツ・ホールディングス 58.93%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.64%
三井物産流通グループ 0.92%

(2) 経営陣

同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は佐藤誠氏です。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 誠 代表取締役社長 1986年銀座レストラン高松入社。1988年旧サムカワフードプランニング入社。同社商品本部長等を経て、2013年1月より現職。
木村 哲博 常務取締役 1993年サムカワフードプランニング入社。同社磯丸事業部長、商品本部長を経て、2025年5月より現職。
加藤 裕 常務取締役 1988年西洋フードシステム入社。1998年サムカワフードプランニング入社。同社鳥良事業部長、営業本部長等を経て、2025年5月より現職。


社外取締役は、長南伸明(公認会計士)、髙見由香里(株式会社ウィルウィル代表取締役)、柿田徳宏(けやき総合法律事務所共同パートナー)です。

2. 事業内容

同社グループは、「飲食事業」および「その他」事業を展開しています。

**鳥良事業部門**
手羽先唐揚を看板商品とする創業業態「鳥良」の系譜を継ぐ「おもてなしとりよし」や、「鳥良商店」を展開しています。専門性の高い鶏料理を提供し、一般消費者やビジネス層を主な顧客としています。

収益は、店舗に来店する顧客からの飲食代金が主な源泉です。運営は主にSFPホールディングスが行っています。

**磯丸事業部門**
魚貝・鮮魚を名物とし、活貝を目の前で焼くスタイルが特徴の「磯丸水産」や、食事処としても利用できる「磯丸水産食堂」を展開しています。駅前立地を中心に、幅広い客層をターゲットとしています。

収益は、直営店における顧客からの飲食代金のほか、一部地域で展開するフランチャイズ店からのロイヤリティ収入などが含まれます。運営は主にSFPホールディングスが行っています。

**その他部門**
「鉄板二百℃」「きづなすし」「五の五」「町鮨とろたく」など、多様な専門業態を展開しています。

収益は、顧客からの飲食代金となります。運営は主にSFPホールディングスが行っています。

**フードアライアンスメンバー**
熊本県を中心に「前川水軍」等を展開するジョー・スマイルや、長野県で「からあげセンター」等を展開するクルークダイニングなどの連結子会社による事業です。

収益は、各店舗における飲食代金となります。運営は株式会社ジョー・スマイルおよび株式会社クルークダイニングが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、2021年2月期は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け赤字となりましたが、その後は回復基調にあります。売上高はV字回復を遂げ、直近では300億円台に乗せました。利益面でも黒字転換後、安定して利益を確保しており、直近の経常利益率は7.5%となっています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 174億円 104億円 229億円 291億円 304億円
経常利益 -49億円 22億円 16億円 22億円 23億円
利益率(%) -28.1% 21.2% 6.9% 7.7% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -57億円 17億円 5億円 17億円 15億円

(2) 損益計算書

売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善傾向にあります。営業利益も増加し、利益率も7.2%と堅調です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 291億円 304億円
売上総利益 207億円 215億円
売上総利益率(%) 71.1% 70.9%
営業利益 20億円 22億円
営業利益率(%) 7.0% 7.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が45億円(構成比23.4%)、雑給が42億円(同21.9%)、地代家賃が37億円(同18.9%)を占めています。

(3) セグメント収益

鳥良事業部門、磯丸事業部門、その他部門ともに売上高は前期比で増加しました。特にその他部門は新規出店や業態転換により伸長しました。フードアライアンスメンバー(子会社)は一部退店の影響等により減収となりました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
鳥良事業部門 52億円 53億円
磯丸事業部門 176億円 185億円
その他の部門 43億円 47億円
フードアライアンスメンバー 20億円 20億円
連結(合計) 291億円 304億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、その範囲内で投資活動を行いつつ、財務活動によるキャッシュ・フローがマイナス(借入返済や配当支払い)となっていることから、「健全型」と言えます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 22億円 21億円
投資CF -8億円 -5億円
財務CF -60億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「時流を先見した『こだわり』の限りなき追求」という経営理念を掲げています。また、「一人でも多くのお客様に喜びと感動を与え共に幸せになろう」というミッションのもと、店舗展開を進めています。

(2) 企業文化

「日本を豊かにする『食』の専門店集団を目指す」というビジョンを掲げており、専門性の高い飲食店をひとつひとつ丁寧に増やしていくことを目指しています。

(3) 経営計画・目標

同社は、持続的な成長を実現するため、主に大都市圏の駅前一等立地の路面に主力業態である「磯丸水産」と、次の主力となり得る「大衆酒場」業態を中心に展開し、経常利益額の最大化を図ることを目指しています。
* 2026年2月期 売上高:325億円
* 2026年2月期 営業利益:25億円
* 2026年2月期 経常利益:26億円

(4) 成長戦略と重点施策

中期的な戦略として、顧客ニーズに応えた新業態の開発、着実な新規出店、店舗運営力の強化によるオーガニックな成長に取り組む方針です。また、全国展開を見据え、地方都市での直営およびフランチャイズ形態での出店を推進します。インフレ対応としてメニュー見直しや価格改定を行い、人手不足に対しては賃上げ等の待遇改善や特定技能外国人の採用・育成強化を進め、生産性向上を図ります。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は、挑戦し続ける人材こそが変化に対応しステークホルダーの期待に応えられると考え、チャレンジを尊重する社風と自律的な教育・研修を提供しています。また、多様な人材が能力を発揮できるよう、相互尊重のある職場環境や制度の整備を推進しています。具体的には、人事制度の見直しや賃上げによる待遇改善、外国人従業員の育成・支援体制強化などに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 45.5歳 14.0年 6,493,000円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.5%
男性育児休業取得率 55.5%
男女賃金差異(全労働者) 51.7%
男女賃金差異(正規雇用) 60.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 93.8%


※データは単体のものです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 消費者嗜好の変化及び競合について

外食業界は参入障壁が低く競合が厳しいため、市場ニーズや消費者嗜好の変化が予想以上に進んだ場合や、競合店舗の増加により競争が激化した場合には、各業態の集客力が低下し、経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 人財の確保及び育成について

店舗展開には人材の確保・育成が不可欠ですが、外食業界全体で人手不足が続いています。採用環境の変化等により必要な人材が確保できなくなった場合、営業時間の短縮や出店計画の遅れ等が生じ、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 出退店政策について

新規出店に際しては立地や採算性を検討していますが、条件に合う物件が確保できない場合や、出店後の環境変化により計画通りの収益が得られない可能性があります。また、不採算店舗の退店や業態転換を行う際、減損損失や原状回復費用等が発生するリスクがあります。

(4) 食材の安全性、調達について

食の安全性が問われる中、食材に問題が生じた場合や、天候不順、国際情勢、物流コスト上昇等の外的要因により食材の安定調達が困難になったり仕入コストが上昇したりした場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。