ティーケーピー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ティーケーピー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場するティーケーピーは、貸会議室やホテルなどを運営する空間再生流通事業を中核とする企業です。近年はリリカラやノバレーゼ、エスクリなどを相次いで子会社化し、事業領域を拡大しています。直近の業績は売上高1144億円、経常利益91億円と大幅な増収増益を達成し、成長を続けています。


※本記事は、株式会社ティーケーピーの有価証券報告書(第21期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ティーケーピーってどんな会社?


貸会議室を中心とする空間再生流通事業を主力とし、インテリアやブライダル事業へも領域を拡大する企業です。

(1) 会社概要


2005年に設立され、ポータルサイト「TKP貸会議室ネット」の運営を開始しました。2017年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場しています。その後、M&Aを積極的に推進し、2024年にリリカラやノバレーゼ、2025年にエスクリを相次いで連結子会社化し、多角的に事業を拡大しています。

同社グループの従業員数は連結で3,801名、単体で1,368名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長CEOを務める河野貴輝氏の資産管理会社とみられるリバーフィールドで、第2位は井門コーポレーション、第3位は信託業務を行う日本カストディ銀行です。

氏名 持株比率
リバーフィールド 53.48%
井門コーポレーション 6.68%
日本カストディ銀行(信託口) 5.78%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長CEOは河野貴輝氏が務めており、社外取締役の比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
河野 貴輝 代表取締役社長CEO 伊藤忠商事、イーバンク銀行(現楽天銀行)取締役営業本部長等を経て、2005年に同社を設立し代表取締役社長。2025年より現職。
長尾 宗尚 取締役COO 監査法人や外資系証券を経て、アリコジャパン(現メットライフ生命保険)執行役員等を歴任。2025年より現職。
中村 幸司 取締役CFO 監査法人トーマツを経て2006年に同社入社。取締役管理部長、取締役COO等の要職を経て、2020年より現職。


社外取締役は、元谷芙美子(アパホテル代表取締役社長)、小林栄三(伊藤忠商事名誉理事)、曽我部義矩(元アイフル取締役)、長與明子(長與公認会計士事務所所長)、古瀬智子(弁護士法人東京フレックス法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「空間再生流通事業」「リリカラ事業」「ノバレーゼ・エスクリ事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

空間再生流通事業


遊休不動産を活用し、貸会議室やシェアオフィス等のフレキシブルオフィス、ホテル・宿泊研修施設、料飲・バンケット等を提供する事業です。立地や用途に応じたマルチブランド展開で、法人顧客の会議、セミナー、研修、懇親会など多様な空間ニーズに応えるサービスをワンストップで展開しています。

会議室や宿泊施設の利用料、飲食代、イベントプロデュース料などから収益を得ています。運営はティーケーピーおよび複数の連結子会社が行っており、変動賃料による運営受託契約などの仕組みも取り入れながらリスクを抑制しつつ高稼働を実現しています。

リリカラ事業


壁装材、カーテン、床材を中心とする内装材商品の仕入・販売を行うインテリア事業や、オフィス空間等のインテリア設計・施工、家具等の提案・販売を行うスペースソリューション事業、および買取再販や物件の保有・賃貸を行う不動産投資開発事業を展開しています。

独自開発した内装材の代理店等への販売代金や、内装工事等の請負代金、不動産の売買・賃貸収入などが主な収益源です。運営は連結子会社であるリリカラが中心となって行っており、オフィスやホテルなどの非住宅分野における空間需要の獲得を図っています。

ノバレーゼ・エスクリ事業


挙式・披露宴のプロデュースや婚礼衣裳のレンタル・販売を行うブライダル事業をはじめ、宴会・一般飲食を提供するレストラン特化型事業、飲食店等の内外装工事や設計監理等の建築不動産関連事業を展開しています。両社のブランド力や運営ノウハウを融合させています。

結婚式やレストランの利用料、衣裳のレンタル・販売代金、内外装工事等の請負代金などから収益を得ています。運営は連結子会社のノバレーゼおよびエスクリ等が行っており、同社のBtoB領域の法人需要とも組み合わせることで施設稼働の効率化を進めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高はコロナ禍の影響などで変動があったものの、直近ではM&Aの効果も大きく寄与し、大幅な増収となっています。経常利益も順調に拡大しており、高い収益性を維持しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 447億円 505億円 365億円 592億円 1144億円
経常利益 -16億円 31億円 49億円 58億円 91億円
利益率(%) -3.5% 6.1% 13.3% 9.8% 8.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -2億円 -98億円 59億円 36億円 110億円

(2) 損益計算書


直近の業績では、売上高が約2倍に急拡大するとともに、売上総利益や営業利益も大幅な増益を達成し、好調な推移を示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 592億円 1144億円
売上総利益 215億円 484億円
売上総利益率(%) 36.3% 42.3%
営業利益 59億円 103億円
営業利益率(%) 10.0% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が100億円(構成比26%)を占めています。

(3) セグメント収益


中核の空間再生流通事業が堅調に売上と利益を伸ばすとともに、新たに連結子会社化したリリカラ事業やノバレーゼ・エスクリ事業が連結業績の拡大に大きく貢献しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
空間再生流通事業 422億円 522億円 55億円 67億円 12.8%
リリカラ事業 171億円 330億円 4億円 9億円 2.7%
ノバレーゼ・エスクリ事業 - 291億円 - 27億円 9.3%
連結(合計) 592億円 1144億円 59億円 103億円 9.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがプラスとなっており、営業CFと資金調達、そして資産の売却等により得た資金で事業成長のための再構築や投資を行う再建・転換型の局面といえます。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 51億円 140億円
投資CF -213億円 18億円
財務CF -13億円 150億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は29.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「空間再生流通企業(遊休資産を再生し、シェアリングすることで社会に価値を創造する)」という企業理念を掲げています。事業を通じて持続可能な社会の実現を目指し、空間に限らず多様な資源に新たな役割を与えることで社会ニーズに応え、課題解決に貢献する価値創造に努めています。

(2) 企業文化


同社は、変化し続ける社会情勢や事業環境を的確に捉え、各事業の特性を活かした戦略を中長期的な視点から立案・実行する姿勢を持っています。株主や顧客、取引先、従業員との信頼関係構築を重視し、透明・公正かつ果断な意思決定と効率的な業務執行を行う体制を築くことを目指しています。

(3) 経営計画・目標


各事業領域における売上高の拡大に注力するとともに、コスト最適化や経営資源の効率的活用を図り、グループ全体の利益体質、キャッシュ創出力、および資本効率の向上を目指しています。経営成果を測る重要な指標として、営業利益とROE(自己資本利益率)を掲げて活動しています。

(4) 成長戦略と重点施策


フレキシブルオフィス事業を中核としつつ、料飲や宿泊研修などの周辺サービスを展開し、インテリアやブライダル等の事業領域でも専門性を活かした空間価値向上を進めます。M&Aや政策投資を戦略的に実行して事業基盤を強化し、各社が持つ経営資源を相互活用したグループ全体でのシナジー創出を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループが持続的に成長していくため、各事業の専門性を支える多様な人材の確保と育成が重要であると認識しています。各社の事業特性に応じた採用や育成を進めるとともに、教育体制の充実と適材適所の配置を通じて組織力の向上に努める方針を掲げています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 36.2歳 4.4年 4,261,408円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 80.9%
男女賃金差異(正規雇用) 83.0%
男女賃金差異(パート・有期) 87.8%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、コンプライアンス研修受講率(100%)、情報セキュリティ研修受講率(100%)、1人あたりの研修時間(56.3時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 固定資産の減損リスク


M&Aにおいて、買収した事業で継続的な需要維持が困難な場合や、同社グループのサービスとの間でシナジー効果が得られない場合、買収時に発生したのれんや無形資産、有価証券等を減損する必要が生じるリスクがあります。

(2) 原料価格の高騰


同社グループが運営する施設やレストラン、ブライダル事業、インテリア事業において使用する食材や水道光熱費、内装材の価格が高騰したり調達が困難になったりした場合、利益率が圧迫される可能性があります。

(3) フレキシブルオフィス物件の確保難化


不動産市況などの要因により新規物件が計画どおりに確保できない場合や、既存物件の賃貸借契約が計画どおりに延長できない場合、成長計画や事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

ティーケーピーの転職研究 2026年2月期決算に見るキャリア機会

ティーケーピーの2026年2月期決算は、売上高1,143億円で過去最高を更新。エスクリ等の連結化とオンザページへの統合、日暮里アセットの流動化など、ダイナミックな構造改革が進行中。「なぜ今ティーケーピーなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。