ティーケーピー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ティーケーピー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場の同社は、遊休不動産を活用した貸会議室やホテル運営を行う空間再生流通事業を主力とします。当期よりリリカラやノバレーゼを連結化し事業領域を拡大。売上高は592億円(前期比62.0%増)、営業利益は59億円(同28.4%増)と大幅な増収増益を達成し、過去最高を更新しました。


※本記事は、株式会社ティーケーピー の有価証券報告書(第20期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ティーケーピーってどんな会社?


遊休不動産を活用した貸会議室・ホテル運営を中核に、インテリアやブライダルなど空間に関わる総合サービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


2005年に設立し「TKP貸会議室ネット」の運営を開始しました。2013年には「TKPホテル&リゾート」ブランドを立ち上げ、宿泊事業へ本格参入。2017年に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。近年はM&Aを加速させ、2024年にリリカラとノバレーゼを相次いで子会社化し、2025年には「fabbit」事業を承継しました。

連結従業員数は2,897名、単体では1,212名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるリバーフィールド、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。創業者が代表を務めており、オーナーシップの強い経営体制となっています。

氏名 持株比率
リバーフィールド 52.73%
日本カストディ銀行(信託口) 6.39%
井門コーポレーション 6.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.8%です。代表取締役社長CEO兼COOは河野 貴輝氏です。社外取締役比率は71.4%です。

氏名 役職 主な経歴
河野 貴輝 代表取締役社長CEO兼COO 伊藤忠商事、日本オンライン証券出向、イーバンク銀行(現楽天銀行)取締役営業本部長を経て、2005年同社設立し代表取締役社長。2022年より現職。
中村 幸司 取締役CFO 監査法人トーマツを経て、2006年同社入社。管理部長、取締役COOなどを歴任し、2020年より現職。


社外取締役は、元谷 芙美子(アパホテル社長)、小林 栄三(元伊藤忠商事会長)、曽我部 義矩(元ケン・コーポレーション監査役)、長與 明子(公認会計士)、古瀬 智子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「空間再生流通事業」、「リリカラ事業」、「ノバレーゼ事業」を展開しています。

(1) 空間再生流通事業


遊休不動産を活用して付加価値を加え、貸会議室、ホテル、宿泊研修施設、バンケット等として提供することで空間を再生する事業です。フレキシブルスペース、料飲・バンケット、イベントプロデュース、BPO等のサービスも展開しています。

主な収益源は、法人顧客等からの会議室室料、オプション料、宿泊料、飲食代金、イベント制作費等です。運営は同社および連結子会社が行っています。

(2) リリカラ事業


壁装材、カーテン、床材を中心とする内装材商品の仕入・販売を行うインテリア事業と、オフィス空間等の設計・施工・管理を行うスペースソリューション事業、不動産投資開発事業を展開しています。

収益源は、代理店や内装工事業者への商品販売代金、オフィス移転や内装工事に伴う請負代金、不動産仲介手数料等です。運営はリリカラが行っています。

(3) ノバレーゼ事業


挙式・披露宴の企画・運営を行うブライダル事業と、レストラン特化型事業を展開しています。婚礼衣裳のレンタル・販売や、平日における婚礼施設のレストラン営業なども行っています。

収益源は、婚礼顧客からの挙式・披露宴代金、衣裳レンタル料、レストラン利用客からの飲食代金等です。運営はノバレーゼが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は、コロナ禍の影響を受けた時期を経て、直近では経済活動の正常化やM&A効果により大幅な増収基調にあります。経常利益もV字回復を果たし、当期は売上高とともに過去最高を更新しました。当期純利益については、前期に計上された税効果会計の影響の反動等により減益となっています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 431億円 447億円 505億円 365億円 592億円
経常利益 -23億円 -16億円 31億円 49億円 58億円
利益率(%) -5.4% -3.5% 6.1% 13.3% 9.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -13億円 -24億円 -98億円 59億円 36億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに増加しました。営業利益率はやや低下したものの、事業規模の拡大により利益額は伸長しています。積極的なM&Aや事業拡大に伴い、販売費及び一般管理費も増加傾向にあります。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 365億円 592億円
売上総利益 139億円 215億円
売上総利益率(%) 38.0% 36.3%
営業利益 46億円 59億円
営業利益率(%) 12.6% 10.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が52億円(構成比33%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の空間再生流通事業は、オフィス回帰による対面需要の回復やインバウンド需要を取り込み増収増益となりました。当期より連結化されたリリカラ事業とノバレーゼ事業が加わったことで、連結全体の売上規模が大きく拡大しました。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
空間再生流通事業 - 422億円 - 55億円 13.0%
リリカラ事業 - 171億円 - 4億円 2.6%
連結(合計) 365億円 592億円 46億円 59億円 10.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ティーケーピーのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは増加しており、事業活動を通じて安定的に資金を生み出していることがうかがえます。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは大きく支出超過となっており、これは設備投資や有価証券への投資を積極的に行っていることを示唆しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入による収入と返済、自己株式の取得などにより支出超過となっています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 37億円 51億円
投資CF -50億円 -213億円
財務CF 7億円 -13億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「空間再生流通企業(遊休資産を再生し、シェアリングすることで社会に価値を創造する)」を経営の基本方針として掲げています。遊休資産を再生し、社会ニーズに応じた新たな価値を創造することで社会への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


「サステナビリティ方針」に基づき、事業を通じて持続可能な社会の実現を目指す文化があります。既存事業のノウハウを活かしつつ、海外からの人・企業の流入を商機と捉え、提携やM&Aにより付加価値向上を図るなど、変化に柔軟に対応し成長を追求する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


売上高の拡大に注力するとともに、コスト最適化による利益体質と資本効率の向上を図ることを目標としています。その経営成果の指標として、具体的な数値目標への言及はありませんが、営業利益とROE(自己資本利益率)の向上を目標として活動しています。

(4) 成長戦略と重点施策


貸会議室を中心としたフレキシブルスペース事業を中核に、周辺サービスの拡充と高付加価値化を目指しています。また、不動産開発機能の強化により効率的な出退店を行い、ポートフォリオを最適化します。さらに、事業基盤とシナジーのある企業への政策投資やM&Aを戦略的に実行し、グループ全体の企業価値向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様な人材の確保」と「職場環境の整備」を主テーマとしています。社会環境の変化に対応するため、新卒・通年採用を強化し、各部門に最適な人材を獲得することを目指しています。また、有能な人材の確保と従業員育成を徹底し、イノベーションの創発と企業価値の向上を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 36.5歳 4.3年 4,214,501円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.3%
男女賃金差異(正規雇用) 78.3%
男女賃金差異(非正規) 88.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率目標(30%以上・2030年まで)、男性育児休業取得率目標(85%以上・毎年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 固定資産の減損


事業用資産やM&Aにより取得したのれん等の無形資産について、当初想定した収益が見込めない場合、減損処理が必要となり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に買収事業においてシナジー効果が得られない場合や、予期せぬ問題が発覚した場合にリスクが高まります。

(2) 原料価格の高騰


同社グループが運営する施設、レストラン、ブライダル、インテリア事業等において、食材、水道光熱費、内装材などの価格が高騰したり調達が困難になったりした場合、利益率の低下やサービス提供への支障が生じる可能性があります。

(3) フレキシブルスペース事業の物件確保


不動産市況等の影響により、新規物件を計画通りに確保できない場合や、既存物件の賃貸借契約を延長できない場合、事業計画の達成に影響が出る可能性があります。オーナーの再開発計画等により退去を余儀なくされるリスクもあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。