コメダホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コメダホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コメダホールディングスは東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場しています。主に「珈琲所コメダ珈琲店」などのブランドでフルサービス型の喫茶店の運営およびFC展開を国内外で行っています。直近の業績は、価格改定や新商品の投入、積極的な出店により増収増益となっています。


※本記事は、株式会社コメダホールディングスの有価証券報告書(第12期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. コメダホールディングスってどんな会社?

(1) 会社概要


1968年に喫茶店「コメダ珈琲店」を創業し、1975年に法人が設立されました。その後フランチャイズ展開を本格化し、2014年に持株会社であるコメダホールディングスが設立されました。2016年には上場を果たし、現在は台湾やシンガポールなどでの海外出店も加速しています。

連結従業員数は828名、単体では6名です。大株主の上位3名はすべて信託業務を行う金融機関が占めており、筆頭株主の日本マスタートラスト信託銀行が約11%の株式を保有しています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.24%
日本カストディ銀行(信託口) 4.83%
日本カストディ銀行(信託口4) 2.91%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長CEOは甘利祐一氏が務めています。社外取締役の比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
甘利 祐一 代表取締役社長CEO 三和銀行入行後、サミー常務取締役等を経て、2019年コメダ顧問に就任。2021年代表取締役副社長を経て、2026年3月より現職。
清水 宏樹 専務取締役CFO 太田昭和監査法人入所後、公認会計士登録。2014年コメダ社外監査役等を経て、2025年6月より現職。
山本 智英 取締役 大和実業入社後、ドトールコーヒー等を経て、2013年コメダ営業推進部長に就任。2019年5月より現職。


社外取締役は、牛膓栄一(元ロッテ代表取締役社長執行役員)、白畑尚志(公認会計士・元青山監査法人)、尾田知亜記(弁護士・しょうぶ法律事務所所属)、松田朋恵(フリーアナウンサー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内事業」および「海外事業」を展開しています。

(1) 国内事業


国内において「珈琲所コメダ珈琲店」や「おかげ庵」ブランドで、フルサービス型の喫茶店を展開しています。フランチャイズ加盟店に対し、物件選定や店舗設計、運営指導、食資材の製造・卸売などを行っています。そのほか、新業態やテイクアウト専門店などの直営店も運営しています。

収益は、主にフランチャイズ加盟店へのコーヒーやパンなどの食資材の卸売とロイヤルティから得ています。運営は主にコメダが行っており、一部直営店は琉球コメダやコメダコマースなどが担当しています。

(2) 海外事業


台湾、上海、香港、インドネシアにおいて「珈琲所コメダ珈琲店」ブランドのフランチャイズ事業および直営店の運営を行っています。また、シンガポールでは「Kaffe & Toast」などのブランドでカフェやタイ料理店を展開しています。

収益は、海外のフランチャイズ加盟店からのロイヤルティや卸売、および直営店での顧客からの飲食代金などから得ています。台湾では台灣客美多股份有限公司が、シンガポールではPOON RESOURCES PTE. LTD.が主に運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期にわたり売上収益は右肩上がりの成長を続けており、積極的な出店戦略や価格改定、期間限定商品の投入が寄与しています。一方、利益面でも増益傾向にあるものの、原材料価格やエネルギーコストの高騰などにより、利益率はゆるやかな低下傾向にあります。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上収益 333億円 378億円 432億円 471億円 572億円
税引前利益 72億円 80億円 87億円 86億円 93億円
利益率(%) 21.5% 21.1% 20.1% 18.3% 16.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 49億円 54億円 60億円 58億円 65億円

(2) 損益計算書


売上収益は前期比で大幅に増加したものの、原材料価格高騰の影響を受けて売上原価も増加しており、売上総利益率は低下しています。しかし、増収効果により営業利益の金額自体は増加を達成しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上収益 471億円 572億円
売上総利益 157億円 169億円
売上総利益率(%) 33.3% 29.4%
営業利益 88億円 94億円
営業利益率(%) 18.7% 16.5%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が25億円(構成比32.5%)、運賃が23億円(同30.2%)を占めています。

(3) セグメント収益


国内事業は価格改定の実施や期間限定商品の販売が好調で、増収増益となりました。海外事業はシンガポールの現地企業を連結子会社化したことなどで売上が大幅に増加しましたが、インドネシアでの減損損失計上などにより利益の伸びは小幅にとどまっています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期) 利益(2025年2月期) 利益(2026年2月期) 利益率
国内事業 457億円 514億円 110億円 115億円 22.4%
海外事業 14億円 59億円 1億円 1億円 2.4%
連結(合計) 471億円 572億円 88億円 94億円 16.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスで「健全型」に該当します。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 112億円 124億円
投資CF 6億円 -48億円
財務CF -95億円 -95億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.2%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「私たちは“珈琲を大切にする心から”を通してお客様に“くつろぐ、いちばんいいところ”を提供します」という経営理念を掲げています。お客様を最優先に考え、温かみのある居心地の良いお店作りや、食材の品質・信頼性の向上、清潔で快適な環境を保つことに努めています。

(2) 企業文化


コメダ式フルサービスの追求など、お客様体験価値の最大化を重視する文化があります。接客においては、自然で心のこもった温かみのあるサービスでお客様をおもてなしすることを目指しています。また、加盟店主体の地域密着活動や本部主導の出張授業など、地域とのつながりも大切にしています。

(3) 経営計画・目標


2030年度を最終年度とする中期経営計画「CONNECT 2030」において、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、以下の財務目標を掲げています。

* 営業利益:130億円(中期経営計画最終年度)
* EPS(1株当たり利益)年平均成長率:7.0%以上
* ROE(自己資本利益率):13.0%以上維持
* 総還元性向:中期経営計画期間累計で50.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


『“KUTSUROGI”で人と地域と世界をつなぐ』をスローガンに、新しい価値の共創を目指しています。「おかげ庵」の出店強化による50店舗以上体制の確立や、海外フランチャイズ展開の本格化、ASEANを中心とした新規国の開拓を進めます。また、DX推進とAI活用による生産性向上にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材こそが事業価値創出の基盤であると認識し、「くつろぎを創る人を支える」を重要課題に据えています。全社教育機関「コメダ大学」を通じた人材育成や、「コメダの匠」認定制度などによるスキル向上を図っています。また、多様な人材が活躍できる組織風土の醸成や、働きやすい職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 52.0歳 9.7年 11,005,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.7%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 34.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 57.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(63.3%)、男性従業員育休取得率(93.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営環境の変化と店舗展開


経済動向や消費者の嗜好の変化、原材料価格や人件費の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、主力であるFC展開において、建設資材の高騰などで加盟店の出店意欲が減退し、出店計画が遅れるリスクや、海外展開における地政学リスク・法規制の変更も懸念されます。

(2) 食の安全・安心に関するリスク


集団食中毒や異物混入などの衛生問題が発生した場合、企業に対する信用の失墜や売上減少につながるおそれがあります。また、アレルギー原因物質やカロリーの表示内容に重大な誤りがあった場合にも、重大な健康被害に発展し、社会的信用や経営成績に深刻な影響を与える可能性があります。

(3) フランチャイズ加盟店との関係性


店舗の大部分はFC加盟店によって運営されており、収益は食材の卸売とロイヤルティに大きく依存しています。人件費や光熱費の高騰、加盟者の高齢化や店舗の老朽化などによってFC加盟店の事業継続が困難となった場合、グループ全体の成長戦略や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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