※本記事は、株式会社コメダホールディングス の有価証券報告書(第11期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. コメダホールディングスってどんな会社?
「珈琲所コメダ珈琲店」を全国に展開する持株会社です。「くつろぐ、いちばんいいところ」を提供し、フランチャイズシステムによる店舗拡大を続けています。
■(1) 会社概要
1968年に創業し、2014年に持株会社として設立されました。2016年に東京証券取引所市場第一部へ上場し、2019年には国内全47都道府県への出店を完了しました。2023年には国内外の店舗数が1,000店舗を突破するなど、順調に事業規模を拡大させています。
同社グループの連結従業員数は565名、単体では6名です。大株主は、資産管理業務を行う信託銀行が上位を占めており、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)、第2位は株式会社日本カストディ銀行(信託口)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 13.32% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 7.13% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口4) | 2.99% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は甘利 祐一氏が務めており、社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 甘利 祐一 | 代表取締役社長 | 三和銀行入行後、セガサミーHD等を経て、2020年コメダ取締役。2021年代表取締役副社長、2022年5月より現職。 |
| 清水 宏樹 | 常務取締役CFO | 太田昭和監査法人入所。コメダ社外監査役等を経て、2020年取締役CFO。2022年5月より現職。 |
| 山本 智英 | 取締役 | ダイワエクシード、ドトールコーヒー等を経て、2013年コメダ入社。営業本部長等を歴任し、2022年3月より現職。 |
社外取締役は、白畑 尚志(公認会計士)、堀 雅寿(元ポッカコーポレーション社長)、尾田 知亜記(弁護士)、松田 朋恵(株式会社ジェム・ボックス社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「喫茶店のFC事業」単一セグメントで事業を展開しています。
**喫茶店のFC事業**
「珈琲所コメダ珈琲店」および「おかげ庵」のブランドで、フルサービス型の喫茶店を全国にチェーン展開しています。顧客層は幅広く、モーニングサービスや看板メニュー「シロノワール」などを通じて「くつろぎ」の時間と空間を提供しています。郊外のロードサイド店舗を中心としつつ、都心部や海外への出店も進めています。
収益は主に、FC加盟店に対するコーヒー・パンなどの食材・資材の卸売、ロイヤルティ収入、店舗建物の転貸による賃貸収入、および直営店の運営収益からなります。運営は主に連結子会社の株式会社コメダが行っており、製造部門としてパン工場やコーヒー焙煎工場も有しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上収益は右肩上がりで増加しており、店舗網の拡大や既存店売上の回復が寄与しています。利益面では、原材料価格やエネルギーコストの高騰などの影響を受けつつも、高い利益率を維持しています。親会社の所有者に帰属する当期利益は、安定的に推移していますが、直近では微減となりました。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 288億円 | 333億円 | 378億円 | 432億円 | 471億円 |
| 税引前利益 | 54億円 | 72億円 | 80億円 | 87億円 | 86億円 |
| 利益率(%) | 18.7% | 21.5% | 21.1% | 20.1% | 18.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 36億円 | 49億円 | 54億円 | 60億円 | 58億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上収益は約38億円増加し、増収基調を維持しています。売上総利益率は約33%前後で推移しており、営業利益率も約19〜20%と高い水準を保っています。原材料費の上昇などのコスト増加要因はあるものの、売上拡大により営業利益額は微増となりました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 432億円 | 471億円 |
| 売上総利益 | 146億円 | 157億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.8% | 33.3% |
| 営業利益 | 87億円 | 88億円 |
| 営業利益率(%) | 20.2% | 18.7% |
販売費及び一般管理費のうち、人件費が24億円(構成比34%)、運賃が22億円(同31%)を占めています。また、売上原価については、人件費が29億円(売上原価に対する構成比9%)となっています。
■(3) セグメント収益
主力のFC事業では、新規出店や既存店売上の伸長により増収となりました。しかし、コーヒー豆や小麦粉などの原材料価格高騰やエネルギーコストの上昇、人件費の増加などが利益を圧迫したものの、価格改定などの対策により営業利益は微増を確保しました。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 喫茶店のFC事業(連結) | 432億円 | 471億円 | 87億円 | 88億円 | 18.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
コメダホールディングスは、営業活動により安定的に資金を生み出し、投資活動では将来に向けた設備投資や定期預金の運用を行っています。財務活動では、借入金の返済や株主への配当、自己株式の取得を通じて、財務基盤の強化と株主還元を図っています。これらの活動の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は増加しました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 114億円 | 112億円 |
| 投資CF | -20億円 | 6億円 |
| 財務CF | -82億円 | -95億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「私たちは“珈琲を大切にする心から”を通してお客様に“くつろぐ、いちばんいいところ”を提供します」という経営理念を掲げています。お客様を最優先に考え、居心地の良い店作り、食材の品質向上、快適な環境の維持に努めています。
■(2) 企業文化
50周年を機に「心にもっとくつろぎを」をミッションとし、「KOMEDA COMES TRUE. with YOU」を合言葉にしたサステナビリティ活動を推進しています。経営方針であるQSC(Quality, Service, Cleanliness)を進化させ、経済価値の向上と社会課題の解決の両立を目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
2026年2月期を最終年度とする中期経営計画「VALUES 2025」において、以下の数値目標を掲げています。
* 店舗数:1,200店舗
* EPS(1株当たり利益)年平均成長率:13%以上
* ROIC(投下資本利益率):11.5%以上
* 自己資本比率:40%以上
* 総還元性向:中期経営計画期間累計で50%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
スローガン「“くつろぎ”で、人と地域と社会をつなぐ」のもと、既存事業モデルの拡充、新しい共創価値の追求、財務価値の維持拡大に取り組んでいます。具体的には、QSCの向上による人材育成、国内外での出店拡大、DX推進による業務効率化、新業態開発やM&Aの推進などに注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材が活躍できる職場環境を目指し、ダイバーシティ経営を推進しています。「コメダ流おもてなし」を継承しつつ、多様なバックグラウンドを持つ人材の能力発揮を支援するため、働きやすい環境整備や公平な人事制度の構築、キャリア自律の支援に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 53.8歳 | 8.3年 | 10,752,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 30.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 51.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※提出会社における男性育児休業取得率および非正規雇用の男女賃金差異については、対象者がいない等の理由により数値の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(63.0%)、男性従業員育休取得率(62.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格の高騰と調達リスク
コーヒー生豆や小麦粉、油脂などの主要原材料は、気候変動や地政学的リスク、為替変動の影響を受けやすく、価格高騰や調達難が生じる可能性があります。これらは同社グループのコスト増加要因となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) フランチャイズ加盟店への依存
事業の大部分がFC加盟店によって運営されており、収益は加盟店への卸売やロイヤルティ収入に依存しています。個人消費の低迷やコスト増により多数の加盟店の経営が悪化し、事業継続が困難になった場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 人材の確保と育成
店舗数の拡大や機能の多様化に対応するため、有能な人材の確保が不可欠です。しかし、労働人口の減少や採用競争の激化により、十分な人材を確保・育成できない場合や人材流出が生じた場合、事業運営や成長戦略に支障をきたす恐れがあります。
■(4) システム障害と情報セキュリティ
受発注や店舗運営においてITシステムに依存しており、サイバー攻撃やシステム障害が発生した場合、業務の停滞や情報漏洩につながる可能性があります。これにより、社会的信用の失墜や損害賠償の発生など、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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