※本記事は、リックソフト株式会社 の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
リックソフトは、「イノベーションをおこしてあらゆる人の可能性を最大化する」をミッションに掲げ、顧客のビジネス課題解決を支援するツールソリューション事業を展開しています。同社グループは、グローバルで評価の高いデジタルツール群を活用し、プロジェクトの工程管理や課題管理を支援しています。
単体従業員数は125名、連結従業員数は136名です。同社グループのセグメントはツールソリューション事業の単一です。
同社は東京、名古屋を拠点としてツールソリューション事業を展開しており、海外子会社であるRicksoft, Inc.が米国を拠点に自社開発プロダクトをグローバルに販売しています。
同社グループは、グロースエクスパートナーズ株式会社との業務提携、合弁会社「株式会社アルターデザインコンサルティング」の設立、BiPlus Vietnam Software Solutions Joint Stock Companyとの資本業務提携など、成長戦略を推進しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
リックソフトは、従業員の成長と多様な働き方を重視し、柔軟な制度を積極的に導入している企業です。個々の能力を最大限に引き出し、ワークライフバランスを支援する環境が整えられています。人材育成にも力を入れ、持続的な成長を目指す姿勢がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
リックソフトでは、平均年齢が30代後半であり、比較的若手から中堅層が中心となって活躍している傾向が見られます。平均勤続年数は5.0年となっており、組織の成長とともにキャリアを築く機会が期待できる環境です。従業員数は単体で125名、連結で136名と、一人ひとりの存在感が大きい組織規模となっています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,501,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.0年 |
| 平均年齢 | 38.3歳 |
| 単体従業員数 | 125人 |
| 連結従業員数 | 136人 |
| 単体のグループ内比率 | 91.9% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
リックソフトは、「イノベーションをおこして、あらゆる人の可能性を最大化する」というミッションのもと、事業の持続的成長とミッション実現のために人材の育成と労働環境の整備に注力しています。2023年8月にはミッション・ビジョン・バリューを刷新し、これに紐づく新人事制度を2024年3月より運用を開始しました。この制度を通じて、会社の成長と従業員の成長が両立できることを目指しています。
また、従業員の多様な働き方に対応するため、リモートワーク、フレックスタイム制、時短勤務制度といった柔軟な制度を運用し、定着させています。今後は、個々人のエンゲージメント向上と生産性の最大化を同時に追求することで、成長とワークライフバランスの実現を図り、優秀な人材の獲得に努める方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 45.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 67.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 83.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 86.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期雇用労働者) | 36.2% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 45.5% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 67.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
リックソフトは、グローバルで評価の高いデジタルツールと、それらを活用するための専門サービスを提供し、企業のイノベーションと生産性向上を支援しています。お客様のビジネス課題に対し、調査・分析から運用まで一貫したサービスを提供することで、デジタル環境の最適化をサポートしています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは「イノベーションをおこしてあらゆる人の可能性を最大化する」をミッションに掲げ、ツールソリューション事業を主軸としています。この事業では、単に海外の便利なソフトウェアを販売するだけでなく、顧客の課題解決や要望に応えるため、ソフトウェアの導入環境構築、機能追加(カスタマイズ)、ユーザー研修、運用代行といった多岐にわたるサービスを組み合わせて提供しています。特にAtlassian社のソフトウェアの販売実績が最も大きく、操作性の良さやAI機能の充実により利用者層を広げています。
同社グループの事業は、提供する製品・サービスの内容により「テクノロジーソリューション」「プロフェッショナルサービス」「自社プロダクト」の3つに区分されます。テクノロジーソリューションでは、主にAtlassian社のソフトウェアの提案とライセンス販売を行い、新規導入時と更新時にライセンス費用を得ています。プロフェッショナルサービスでは、Atlassian社ソフトウェアを導入した顧客に対し、技術的な専門サービス(SIサービス、運用サポート、マネージドサービスなど)を提供し、個別見積りや契約期間に応じた役務提供費用、クラウド運用代行費用を収益としています。自社プロダクトでは、Atlassian製品の拡張機能となるアドオン製品を自社開発し、Atlassian Marketplaceで販売しており、新規購入時や更新時にライセンス費用を受領しています。海外子会社であるRicksoft,Inc.は米国を拠点に、自社開発プロダクトをグローバルに販売しており、海外ユーザーの要望を取り入れた製品強化を進めています。同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が大部分を占めており、特定の顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年2月期) | 売上高(2026年2月期) |
|---|---|---|
| テクノロジーソリューション | 7兆4,054億円 | 8兆8,635億円 |
| プロフェッショナルサービス | 9,145億円 | 1兆4,038億円 |
| 自社プロダクト | 7,239億円 | 6,252億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期にわたり一貫して増加傾向にあります。特に直近の当期においても、前期から大きく伸びています。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の当期で前期から減少する結果となりました。これは、中長期的な成長を見据えた戦略投資や事業基盤の強化に注力したことによるものと考えられます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 43.1億円 | 56.2億円 | 74.9億円 | 90.4億円 | 109億円 |
| 経常利益 | 4.5億円 | 5.7億円 | 6.8億円 | 4.6億円 | 3.6億円 |
| 経常利益率 | 10.5% | 10.1% | 9.0% | 5.1% | 3.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.3億円 | 4.2億円 | 2.7億円 | 3.6億円 | 2.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 74.54 | 94.39 | 59.18 | 78.64 | 58.70 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、事業規模の拡大や効率化の進展を示唆するものです。一方で、従業員1人あたり営業利益は、前期から当期にかけて減少しています。これは、売上原価や販売費及び一般管理費の増加が影響していると考えられ、給与手当や地代家賃の増加が主な要因として挙げられています。
| 指標 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 66.0百万円 | 80.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.3百万円 | 2.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
リックソフトは、安定した財務基盤を構築しており、事業活動で得た資金を効率的に運用している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
リックソフトの自己資本比率は当期で34.4%となっており、プライム市場の非製造業平均24.2%と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は当期で8.3%であり、プライム市場平均9.4%と比較するとやや低い水準です。手元資金を示す現金及び預金は当期で39.4億円となっており、潤沢な資金を確保している状況がうかがえます。これらの財務状況は、事業の安定性や将来の成長投資の余力に影響を与え、結果として雇用や給与の安定性にも関わってきます。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 30.3億円 | 33.2億円 |
| 自己資本比率 | 45.4% | 34.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.3% | 8.3% |
| 現金及び預金 | 33.0億円 | 39.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
リックソフトの本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に7.0億円の収入となりました。これは前期の3.8億円から増加しています。投資活動によるキャッシュフローは、当期に△0.3億円の支出となりました。これは前期の△1.4億円から支出が減少しています。
この結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、当期に6.6億円のプラスとなりました。前期の2.4億円から増加しており、同社グループが事業活動で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは、当期に資金の増減はありませんでした。前期は△0.9億円の支出でした。
これらのキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる財務状況であると言えます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.8億円 | 7.0億円 |
| 投資CF | △1.4億円 | △0.3億円 |
| 財務CF | △0.9億円 | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.4億円 | 6.6億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループのツールソリューション事業は、「Atlassian製品」を中心とした製品販売及びサービス提供に大きく依存しています。当連結会計年度における売上高に占めるAtlassianライセンスの売上は78.0%となっています。
競合他社の技術力やサービスの向上、海外の類似製品の日本国内への市場参入により競争が激化するリスクがあります。同社グループは、引き続き顧客のニーズを汲んだ製品・サービスの提供を進める方針です。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大を進めるにあたり、エンジニアを中心に営業を含めた優秀な人材の確保と育成を重要な課題と認識しています。また、Atlassian製品をはじめとする各ツールにおけるパートナーランク維持のため、認定技術資格者の確保も重要な指標となっています。
必要とする人材の安定的な確保ができなかった場合、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
リックソフトは、「イノベーションをおこして、あらゆる人の可能性を最大化する」というミッションを掲げ、社会の持続的成長に貢献することを目指しています。顧客の可能性を広げ、従業員一人ひとりの成長を重視する企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
リックソフトグループは、「イノベーションをおこして、あらゆる人の可能性を最大化する」ことをミッションとしています。すべての人が新たな可能性を見いだし、社会が持続的に成長し続ける未来の実現を目指しています。
同社グループは、事業ドメインを従来の「価値ある道具(ツール)の提供」から「顧客に合わせた付加価値を提供」へと拡張し、事業成長を推進しています。国内では先進テクノロジ提供戦略、段階的拡大(ランド・アンド・エクスパンド)の販売戦略、顧客専門チーム戦略を通じて差別化を図っています。グローバル市場ではAtlassianエコシステムを活用し、自社開発プロダクトの海外展開を進める方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
リックソフトグループは、事業の持続的成長とミッション実現のため、人材の育成と労働環境の整備に努めています。2023年8月にはミッション・ビジョン・バリューを刷新し、2024年3月からは新しいミッションに紐づいた新人事制度を運用しています。
従業員の多様な働き方に対応するため、リモートワーク、フレックスタイム制、時短勤務制度を運用・定着させています。個々人のエンゲージメント向上と生産性の最大化を同時に追求し、優秀な人材の獲得に継続的に取り組んでいます。
同社は性別に関わらない実力主義を徹底しており、ライフイベントに左右されないキャリア形成支援を継続する方針です。仕事と育児の両立を支援する組織文化の醸成にも努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
リックソフトグループは、継続的な成長を目指す上で、事業基盤の強化と優秀人材の確保を重要な課題としています。デジタルトランスフォーメーション(DX)や人工知能(AI)といった先進テクノロジを取り入れ、高い技術力を持つ人材の確保が急務であると認識しています。
この課題に対し、新人事制度の運用や多様な働き方に対応する制度の定着を進めています。認定資格の取得や生成AIの活用を組織的に推進し、専門性の高いプロフェッショナル集団としての地位確立を目指しています。
組織規模の拡大に合わせ、産業医・衛生委員会の活性化やメンタルヘルスケアを徹底し、強固な職場環境の構築に注力しています。経営管理体制の強化も重点テーマであり、内部統制の構築や企業コンプライアンス意識の向上に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
リックソフトは、監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能強化と経営の効率化・監督機能の強化をコーポレート・ガバナンスの重要課題としています。同社グループは「イノベーションをおこして、あらゆる人の可能性を最大化する」ことをミッションに掲げています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
リックソフトの株主構成を見ると、筆頭株主はHS株式会社であり、同社グループの経営を支える主要な株主となっています。複数の事業会社や機関投資家が上位株主として名を連ねており、多様な主体によって資本が構成されていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| HS | 44.44% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信 | 7.02% |
| SBI証券 | 3.86% |
| 大貫 浩 | 3.32% |
| 服部 典生 | 2.49% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.57%です。代表取締役は大貫浩氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大貫 浩 | 代表取締役 | 1995年日本電気入社、1998年個人事業主として活動。2005年リックソフト有限会社(現 同社)設立、代表取締役就任。2016年米国法人Ricksoft, Inc.設立、Vice President就任より現職。 |
| 服部 典生 | 取締役 | 1989年東海テクノシステム入社。1999年エイチ・エス・ディー有限会社設立。2016年同社と合併、同社執行役員就任。2017年同社取締役就任より現職。 |
| 加藤 真理 | 取締役人事総務部ゼネラルマネージャー | 1991年三菱銀行入行。1996年太田昭和監査法人入所。2003年加藤公認会計士事務所設立。2019年同社社外取締役(監査等委員)就任。2021年同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、早川智也氏(プロジェクト・オーシャン代表取締役・非常勤取締役)、岡田善男氏(さくらケーシーエス常勤監査役・常勤監査等委員)、青木理惠氏(青木公認会計士事務所開設・監査等委員)、官澤康平氏(法律事務所ZeLo入所・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、透明性・健全性の向上と意思決定の迅速化を図っています。社外取締役は独立した立場から取締役会の意思決定の監督・監査を行い、経営の健全性確保に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
リックソフトの役員報酬は、取締役(監査等委員である取締役を除く)に対しては基本報酬、業績連動報酬、譲渡制限付株式報酬で構成されています。業績連動報酬の指標には連結売上高成長率とEPS(1株当たり利益)成長率が用いられています。監査等委員である取締役を含む社外取締役の報酬は、独立性と客観性を保つため固定報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 90百万円 | 29.9百万円 |
| 社外取締役 | 4名 | 15百万円 | 3.8百万円 |
役員報酬の総額は1億516万円で、対象となる役員は7名です。1人あたりの平均報酬は15.0百万円となっています。
なお、上記の他、2026年5月28日開催の第24期定時株主総会をもって退任する取締役1名に対して、25,000千円の特別慰労金の支給が予定されており、2025年2月期に役員退職慰労引当金繰入額として計上されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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