※本記事は、株式会社幸和製作所 の有価証券報告書(2026年2月期、2025年3月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
幸和製作所は、介護用品・福祉用具の製造・販売、介護サービス、およびインターネットを介した介護用品・福祉用具の販売を主たる事業としています。同社グループは、高齢者や要介護者の歩行を支援するシルバーカー、歩行車、杖などを中心に、幅広い生活支援用品を提供しています。
単体従業員数は50名、連結従業員数は211名です。セグメントは介護用品・福祉用具製造販売事業、介護サービス事業、EC事業の3つです。
主な国内グループ会社は、ネクストケア・イノベーション.3.5(EC事業)、幸和ライフゼーション.3(介護サービス事業)、シクロケア.3(介護用品・福祉用具製造販売事業)などです。
同社グループは、前連結会計年度にパーソンケアをグループ化し、介護サービス事業の売上基盤を強化しました。また、2024年には新ブランド「AURULA(アウルラ)」を立ち上げ、デザイン性重視の製品を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社幸和製作所は、介護用品・福祉用具の製造販売、介護サービス、EC事業を展開しており、人々の生活を支える事業を通じて社会に貢献しています。同社グループは、従業員の働きやすさと生産性の向上を重要な経営戦略と位置付け、持続的な成長を目指しています。このような方針は、転職を検討する方にとって、安定した環境で長く活躍できる可能性を示唆しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が40代前半、平均勤続年数が9年を超えており、比較的落ち着いた年齢構成と高い定着率が見られます。これは、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,058,000円 |
| 平均勤続年数 | 9年1ヶ月 |
| 平均年齢 | 41歳1ヶ月 |
| 単体従業員数 | 50人 |
| 連結従業員数 | 211人 |
| 単体のグループ内比率 | 23.7% |
同社は退職金規程に基づく確定給付型の退職一時金制度と確定拠出型年金制度を採用しています。これらの制度は国内の従業員に適用されます。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定拠出制度への当連結会計年度の要拠出額は8百万円、退職給付に係る負債の期末残高は0百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人的資本の強化を重要な経営戦略と位置付け、従業員の働きやすさと生産性の向上を両立することを重点課題としています。職場環境整備を推進し、業務プロセスの見直しを通じて業務の標準化と簡素化を図っています。
これにより、作業負荷の軽減やヒューマンエラーの削減を実現し、業務品質の向上に寄与しています。これらの取り組みを基盤として、従業員の主体性と生産性の向上に取り組み、人的資本の価値向上に向けた施策を推進しています。
有価証券報告書には、人事制度の具体的な設計思想や給与・賞与の決定方針に関する詳細な記載はありません。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 83.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
幸和製作所は、高齢者や要介護者の日常生活を支えるための製品とサービスを提供する同社グループです。介護用品・福祉用具の製造販売を主軸に、介護保険制度を活用したレンタル事業、そしてインターネットを通じた販売も手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、高齢化社会のニーズに応えるべく、多岐にわたる介護関連事業を展開しています。主力は介護用品・福祉用具の製造販売であり、歩行補助具から生活支援用品まで幅広い製品を提供しています。これらの製品は、量販店や介護サービス事業者を通じて、また自社ブランドとして展開され、利用者の自立した生活をサポートしています。
また、介護保険制度に基づいた福祉用具のレンタルサービスも提供しており、利用者の状況に応じた適切な用具の貸与を通じて収益を得ています。さらに、インターネットを活用した通信販売事業も展開し、多様なチャネルで顧客にアプローチしています。
同社グループの売上は、主に国内の外部顧客からのものが大半を占めており、海外売上高の比率は低い傾向にあります。一方で、仕入れにおいては円安の影響によるコスト増加が見られるなど、為替変動が事業に影響を与える側面もあります。特定の顧客への売上集中も見られ、パナソニックエイジフリー株式会社が主要な取引先の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2025年2月期) | 売上高(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 介護用品・福祉用具製造販売事業 | 55.0億円 | 54.2億円 |
| EC事業 | 7.8億円 | 7.0億円 |
| 介護サービス事業 | 94百万円 | 2.8億円 |
介護用品・福祉用具製造販売事業
この事業では、シルバーカー、歩行車、杖といった歩行補助具を中心に、入浴・排泄・服薬支援などの生活支援用品を製造・販売しています。収益は、これらの福祉用具の販売から得ています。運営は、幸和製作所、東莞幸和家庭日用品有限公司、シクロケアが行っています。
直近では、主力商品である歩行車や入浴関連製品の販売は堅調に推移しました。しかし、円安による仕入れコストの増加や物流費の高騰、海外子会社の工場移転に伴う一時的な経費増加の影響により、セグメント利益は減少しました。
介護サービス事業
この事業では、介護保険法に基づいた福祉用具の貸与(レンタル)サービスを提供しています。収益は、要介護者や要支援者への福祉用具のレンタル料から得ています。運営は、幸和ライフゼーション、パーソンケアが行っています。
当期は営業人員の拡充や組織体制の再構築、パーソンケアのグループ化によるシナジー効果により、売上は大幅に増加しました。しかし、セグメント損失は継続しています。
EC事業
この事業では、インターネットを通じて車いす、シルバーカー、歩行車などの介護用品・福祉用具の通信販売を行っています。収益は、インターネットを介した製品の直接販売から得ています。運営は、ネクストケア・イノベーションが行っています。
直近では、これまでの広告費投下や販売促進の効果が落ち着いたことにより、売上高は減少しました。これに伴い、セグメント利益も減少しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で概ね横ばいから微増の傾向を示しています。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、直近2期において減少傾向にあります。特に当期は、売上高は微増となったものの、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から減少となりました。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 57.2億円 | 62.7億円 | 64.0億円 | 63.7億円 | 63.9億円 |
| 経常利益 | 5.5億円 | 6.7億円 | 9.4億円 | 8.3億円 | 6.7億円 |
| 経常利益率 | 9.5% | 10.6% | 14.6% | 13.0% | 10.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4.0億円 | 4.4億円 | 7.1億円 | 6.2億円 | 4.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 88.57 | 88.58 | 154.70 | 144.89 | 102.96 |
当期の営業利益の減少は、運賃や物流費の高騰など、販売費及び一般管理費の増加が主な要因となっています。経常利益も営業利益の減少に連動して減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益については、営業利益の減少に加え、投資有価証券売却損の計上も影響しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。これは、業務効率化の推進や主力製品の販売堅調が寄与していると考えられます。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しており、売上高の増加に対してコスト増が利益を圧迫している状況がうかがえます。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 29.2百万円 | 30.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.7百万円 | 3.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
幸和製作所は、本業で安定した資金を生み出し、財務基盤を堅固にしています。事業活動で得た資金を投資に充てながらも、手元に余剰資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から上昇し、67.4%となっています。これはプライム市場上場の製造業平均と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)も13.5%と、プライム市場平均を上回る水準です。手元資金である現金及び預金は13.3億円を確保しており、事業運営に必要な流動性を維持しています。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営を継続していることを示しています。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 30.0億円 | 35.3億円 |
| 自己資本比率 | 59.7% | 67.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 23.1% | 13.5% |
| 現金及び預金 | 16.9億円 | 13.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが6.8億円のプラスとなっています。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費、棚卸資産の減少などが主な増加要因です。投資活動によるキャッシュフローは△4.4億円の支出超過となり、有価証券の取得や定期預金の預入による支出が主な要因となっています。これにより、事業活動で得た資金を投資に充てている状況です。
財務活動によるキャッシュフローは△4.7億円の支出超過であり、短期借入金の純減少やリース債務の返済、配当金の支払いなどが主な要因です。結果として、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは2.4億円のプラスを維持しています。本業で安定的に資金を生み出し、投資も行いつつ、余剰資金を確保していることから、同社グループは安定した事業運営を継続していると言えます。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.6億円 | 6.8億円 |
| 投資CF | 38百万円 | △4.4億円 |
| 財務CF | △5.5億円 | △4.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 10.0億円 | 2.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業は、介護保険制度に大きく影響を受けています。介護保険制度の変更により、需要動向が変化し、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、特定の取引先であるパナソニックエイジフリー株式会社への販売割合が21.2%を占めています。取引方針の変更によっては、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの生産体制は、海外の生産子会社で量産する体制を敷いています。しかし、労働力の不足や人件費の高騰など、予期せぬ事象により事業の遂行に問題が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
幸和製作所は、高齢者の生活の質向上と持続可能な社会への貢献を目指し、介護用品・福祉用具の開発・製造・販売を行う企業です。使う人が幸せを感じる製品創りを追求し、「生活価値創造企業」としての進化を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
幸和製作所の経営理念は「私たちは、明日の笑顔のため、全ての人に愛と感動と勇気を与えます。私たちは、使う人が幸せを感じる、また心が豊かになる製品創りを目指します。」です。同社グループは、この理念のもと、介護用品および福祉用具の開発・製造・販売を通じて、高齢者の生活の質(QOL)向上と持持続可能な社会への貢献を目指しています。
中期経営計画では「既存事業の変革と拡大」「業務の効率化」「ブランド価値の再設計」の3方針を中核に据えています。これらの取り組みを通じて、「生活価値創造企業」としての進化と中長期的な企業価値向上に努めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念に基づき、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。顧客、取引先、従業員、株主、地域社会、環境との良好な関係を構築・維持し、サステナビリティを重視した経営を実践する企業風土です。
人的資本の強化を重要な経営戦略と位置付け、従業員の働きやすさと生産性の向上を両立することを重点課題としています。業務の標準化と簡素化による作業負荷軽減やヒューマンエラー削減、快適で安心な職場環境整備にも継続的に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、永続的な発展のための経営基盤強化に向けて、いくつかの重要な経営課題に取り組んでいます。具体的には、「組織機能の向上および人材の育成」を課題と認識し、グループ内の組織機能の関連性強化と継続的な向上を目指しています。
OJTを中心とした能力開発に加え、社内外の研修活用による基礎能力向上、労働環境の見直しや有給取得率向上といった人的資本への投資を積極的に実施しています。また、サステナビリティに関する取り組みとして、働きやすさや従業員満足度を客観的に把握できる指標の整備・高度化を進め、人的資本の強化に向けた人材育成施策を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
幸和製作所では、取締役会と監査等委員会が設置されており、社外取締役も参画する体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
幸和製作所の株主構成を見ると、筆頭株主は秀一であり、過半数を超える株式を保有しています。また、代表取締役社長である玉田秀明氏も上位株主の一人として名を連ねており、創業家や関連会社が経営に大きな影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 秀一 | 54.99% |
| 玉田 秀明 | 5.95% |
| ヨシダ トモヒロ | 3.63% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 3.60% |
| 野村證券 | 1.42% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は玉田秀明氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 玉田 秀明 | 代表取締役社長 | 1996年4月に同社に入社し、1997年12月に同社取締役に就任しました。2002年5月には幸和(香港)有限公司の董事兼総経理を務め、2005年5月より同社代表取締役社長に就任し、現職です。 |
| 玉田 栄一 | 取締役会長 | 1987年10月に同社を設立し代表取締役社長に就任しました。2002年5月には幸和(香港)有限公司の董事を務め、2017年5月より同社取締役会長に就任し、現職です。 |
| 植田 樹 | 取締役 | 2010年4月に同社に入社し、2018年6月には同社執行役員営業本部長を務めました。2020年6月より同社取締役に就任し、現職です。 |
| 玉田 秀一 | 取締役(新任) | 2023年11月に同社に入社しました。 |
社外取締役は、加藤伸隆氏(加藤会計事務所所長・監査等委員)、白坂一氏(弁理士法人白坂所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社です。社外取締役は、専門的な知見に基づき客観的かつ中立的な立場で、経営全般に対する監督・提言を行う役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
幸和製作所の役員報酬は、固定報酬である基本報酬と、連結当期純利益に連動する業績連動報酬で構成されています。これにより、企業価値の持続的な向上へのインセンティブを高める設計となっています。非金銭報酬は現在予定されていません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.8億円 | 60.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.0百万円 |
なお、報酬等の対象となる役員の員数は、本書提出日現在の役員の員数とは異なる場合があります。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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