ジオコード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジオコード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証スタンダード市場に上場し、Webマーケティング事業とクラウドセールステック事業を展開する企業です。直近の業績は、売上高が4.0%増、経常利益が24.9%増と増収増益でした。一方で、先行投資の影響等により営業利益は赤字となりましたが、営業外収益の計上で最終損益は増益を確保しています。


※本記事は、株式会社ジオコード の有価証券報告書(第21期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年05月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジオコードってどんな会社?


Webマーケティングと業務支援クラウドツールの提供を通じ、集客から成約までを支援する企業です。

(1) 会社概要


2005年に設立され、SEO対策事業を開始しました。2009年にはWeb広告事業、2012年にはクラウド勤怠管理ツール「ネクストICカード」、2015年には営業支援ツール「ネクストSFA」をリリースし、事業を拡大しています。2020年にはJASDAQ(現:東証スタンダード)への上場を果たしました。

従業員数は単体で128名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるディーグラウンドで、第2位は創業者で代表取締役社長の原口大輔氏、第3位は専務取締役の吉田知史氏となっており、経営陣が主要株主を占めるオーナーシップの強い構成です。

氏名 持株比率
ディーグラウンド 35.93%
原口大輔 22.37%
吉田知史 3.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は原口大輔氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
原口 大輔 代表取締役社長 2005年2月に同社(当時は有限会社)を設立し取締役に就任。2006年5月の組織変更に伴い代表取締役社長に就任し、以来現職。
吉田 知史 専務取締役 1994年等松・トウシュ・ロスコンサルティング(現アビームコンサルティング)入社。公認会計士登録後、監査法人勤務等を経て2018年1月に同社入社。同年2月より現職。
坂従 一也 取締役オーガニックマーケティング制作部長 2011年マクニカ入社。2014年3月に同社へ入社し、営業部長、営業推進部長、事業推進部長などを歴任。2017年8月に取締役に就任し、2025年3月より現職。


社外取締役は、大原 茂(元ウィルグループ代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「Webマーケティング事業」および「クラウドセールステック事業」を展開しています。

Webマーケティング事業


中堅・中小企業を主な顧客とし、SEO対策、Webサイト制作、Web広告運用などを一社完結で提供しています。検索エンジン経由でのアクセス増加から成約率向上まで、Webマーケティング領域の課題解決を総合的に支援します。

収益は、顧客から受け取るSEO対策費用、Webサイト制作費、Web広告の運用手数料などから構成されます。運営は主にジオコードが行っています。

クラウドセールステック事業


企業の働き方改革や生産性向上に貢献するクラウド業務支援ツールをSaaS形態で提供しています。主なサービスとして、営業支援ツール「ネクストSFA」や、勤怠管理・交通費精算・経費精算ツール「ネクストICカード」を展開しています。

収益は、顧客企業から受け取るクラウドサービスの利用料(サブスクリプション収入)が主となります。運営は主にジオコードが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は15億円前後で推移しており、直近では微増傾向にあります。利益面では、経常利益が変動しており、2024年2月期に大きく減少した後、2025年2月期には回復傾向が見られます。利益率は低水準で推移しており、収益性の向上が課題となっています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 30億円 35億円 15億円 15億円 16億円
経常利益 1.7億円 2.0億円 1.2億円 0.2億円 0.3億円
利益率(%) 5.7% 5.7% 7.9% 1.5% 1.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.1億円 1.3億円 0.8億円 0.1億円 0.2億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上総利益はほぼ横ばいで推移しています。販管費の増加により営業損益が悪化していますが、営業外収益等の影響により経常利益ベースでは改善しています。売上総利益率は50%台を維持しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 15億円 16億円
売上総利益 8億円 8億円
売上総利益率(%) 53.7% 51.5%
営業利益 -0.1億円 -0.3億円
営業利益率(%) -0.4% -1.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3億円(構成比41%)を占めています。売上原価においては、労務費が3億円(構成比44%)、外注費が2億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


Webマーケティング事業は売上が微増しましたが、利益は減少しました。クラウドセールステック事業は売上が約2割増加し成長していますが、先行投資の影響により損失が拡大しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
Webマーケティング事業 13億円 14億円 4億円 3億円 25.5%
クラウドセールステック事業 2億円 2億円 -0.0億円 -0.1億円 -4.6%
連結(合計) 15億円 16億円 -0.1億円 -0.3億円 -1.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金を示します。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却等による資金の増減を表します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等による資金の動きを示しています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 0.3億円 1.3億円
投資CF -0.1億円 -3.0億円
財務CF -1.1億円 -1.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「Webマーケティングとセールステックを活用し、顧客、社会にとって有益なサービスを創る。」という企業理念を掲げています。Web領域における有益なサービスの提供を通じて、世の中になくてはならない会社となることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、顧客と長期的な関係を構築可能な継続取引を重視し、安定した収益基盤の確立を目指しています。また、有益な新技術の活用を重要視し、サービス品質や機能の向上、業務改善につなげる姿勢を持っています。生成AIなどの最新技術を積極的に導入し、顧客の経営を攻守両面から支援することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、有益なサービスを提供し続け売上高の拡大に努めると同時に、適正な利益を生みだすことを重要視しており、以下の指標を重要な経営指標と位置付けています。

* 売上高
* 営業利益

(4) 成長戦略と重点施策


主力事業のWebマーケティングとクラウドセールステックを中心に、安定的かつ継続的な事業拡大を目指しています。また、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準への適合に向けて、業績向上と企業価値向上に取り組んでいます。

* Webマーケティング提供サービスの持続的な品質向上(アルゴリズム対応、AI活用)
* クラウド業務支援ツールの市場競争力の向上(機能強化、連携強化)
* 継続取引の強化による収益安定化
* 多様な販路の確立(オウンドメディア充実、大手企業との関係強化)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人的資本を最重要の経営資源と位置付けています。多様性ある人材を積極的に採用し、中核人材を適材適所で役職者へ登用するとともに、教育制度や研修体制を含め、入社した人材が長期にわたり活躍できる職場環境の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 34.2歳 4.3年 5,337,180円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.6%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 73.8%
男女賃金差異(正規雇用) 72.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 9.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(30.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット広告市場の動向


事業を展開するインターネット広告市場は成長を続けていますが、景気変動や広告主の戦略変更の影響を受けやすい傾向があります。景気や顧客動向に急激な変化が生じた場合、事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定の広告媒体社への依存


Webマーケティング事業は、GoogleやLINEヤフーが提供する広告媒体に大きく依存しています。これらの媒体社との良好な関係維持に努めていますが、何らかの事情により広告枠の提供が滞るような事態となった場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 検索エンジンの寡占状態


SEO対策サービスは、寡占状態にあるGoogleやYahoo! JAPANの検索エンジンに大きく依存しています。検索エンジンのアルゴリズム更新や、新たな検索エンジンの台頭に対して適切に対応できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。