セレコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セレコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。アパート経営のコンサルティング、設計・施工、賃貸管理を一貫して行うアパート専門メーカー。直近の業績は、賃貸住宅事業の単価上昇や管理戸数の増加により、売上高・各利益ともに前期を上回り、増収増益で着地しました。


#記事タイトル:セレコーポレーション転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社セレコーポレーション の有価証券報告書(第34期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セレコーポレーションってどんな会社?


アパート経営のコンサルティングから設計・施工、賃貸管理までを一貫して手掛ける「アパート専門メーカー」です。

(1) 会社概要


1993年に創業し、2002年にニツセキハウス工業より工業化住宅等の営業権を譲り受け、請負事業を開始しました。その後、事業基盤を固め、2022年3月に東京証券取引所市場第二部へ上場し、同年4月の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。現在もアパート経営に関わる事業を展開しています。

連結従業員数は186名、単体従業員数は186名です。筆頭株主は創業者の親族が代表を務める資産管理会社であるジェイコーポレーションで、発行済株式の57.86%を保有しています。第2位はマキテック(11.54%)、第3位は光通信(7.18%)となっています。

氏名 持株比率
ジェイコーポレーション 57.86%
マキテック 11.54%
光通信 7.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長執行役員は山口貴載氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
山口 貴載 代表取締役社長執行役員 1987年日本電気ホームエレクトロニクス入社。2002年同社入社。経営企画部長、管理本部長、経営統括本部長を経て、2024年5月より現職。
西本 昌善 取締役常務執行役員 1989年ニツセキハウス工業入社。2002年同社入社。営業本部長、技術本部長、賃貸住宅事業事業統括責任者を経て、2023年5月より現職。
鈴木 謙一 取締役常務執行役員リフォームカンパニー長 1994年ニツセキハウス工業入社。2002年同社入社。営業本部長、賃貸開発事業事業統括責任者を経て、2024年6月より現職。
土屋 雅美 取締役常務執行役員 1991年ニツセキハウス工業入社。2002年同社入社。PM営業部長、賃貸経営事業事業統括責任者を経て、2023年5月より現職。
大嶋 正史 取締役常務執行役員 1984年住宅ローンサービス入社。2011年同社入社。管理本部事業管理部長、社長室長内部統制委員長を経て、2023年5月より現職。
小栗 聡 取締役常務執行役員千葉工場カンパニー長 1995年会計士事務所入所。2007年同社入社。管理本部経営管理部長、経営統括本部経営管理管掌を経て、2025年3月より現職。


社外取締役は、渡辺衛男(元旭化成ホームズ顧問)、白石徹(Sコンサルティング代表取締役)、奥地正敏(元ブラジル戸田建設社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「賃貸住宅事業」「賃貸開発事業」「賃貸経営事業」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 賃貸住宅事業


土地を所有するオーナーに対し、アパート経営を通じた資産活用や人生設計の課題解決を提案し、アパートの企画・設計・施工を行っています。空間設計を重視したオリジナル工法を用い、自社工場で製造した部材による自社施工が特徴です。

収益は、アパート建築請負契約に基づく請負代金としてオーナーから受領します。運営は主にセレコーポレーションが行っています。

(2) 賃貸開発事業


土地を持たない富裕層に対し、資産価値の高いエリア(城南・城西エリア等)の土地を仕入れ、付加価値の高いアパートを建築して販売しています。投資利回りよりも、将来にわたり価値が残る立地や物件の質を重視した提案を行っています。

収益は、土地および建物の販売代金として購入者から受領します。運営は主にセレコーポレーションが行っています。

(3) 賃貸経営事業


アパートの管理受託やプロパティマネジメント業務を行っています。入居者募集、家賃回収、建物メンテナンスなどの運営管理に加え、リフォームやリノベーション工事も手掛けています。

収益は、オーナーからの管理手数料や工事代金、入居者からの家賃(一括借上の場合)などで構成されます。運営はセレコーポレーションおよび子会社のセレレントパートナーズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで推移しており、事業規模が拡大しています。利益面でも、経常利益や当期純利益が増加傾向にあり、特に直近の第34期は売上高、各利益ともに過去最高水準となっています。利益率も改善傾向にあり、効率的な収益体質への転換が進んでいることが伺えます。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 171億円 184億円 214億円 231億円 239億円
経常利益 11億円 10億円 13億円 17億円 20億円
利益率(%) 6.5% 5.3% 5.9% 7.2% 8.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 112億円 9億円 11億円 14億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しており、売上総利益率は17.2%から19.7%へと改善しました。販売費及び一般管理費も増加していますが、増収効果と利益率の改善により、営業利益率は7.1%から8.4%へと向上しています。全体として収益性が高まっていることが確認できます。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 231億円 239億円
売上総利益 40億円 47億円
売上総利益率(%) 17.2% 19.7%
営業利益 16億円 20億円
営業利益率(%) 7.1% 8.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が7.2億円(構成比27%)、賞与引当金繰入額が3.4億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


賃貸住宅事業は引渡棟数が減少したものの単価上昇により増収となりました。賃貸開発事業は物件売却棟数の減少により減収となりましたが、利益率は改善しています。賃貸経営事業は管理受託率の向上やオーナーサービスの強化により増収となり、安定的なストック収益基盤として成長しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
賃貸住宅事業 86億円 93億円
賃貸開発事業 50億円 46億円
賃貸経営事業 95億円 100億円
連結(合計) 231億円 239億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

セレコーポレーションは、事業活動を通じて資金を獲得し、投資や財務活動に充当しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を計上したものの、法人税等の支払があったことで獲得した資金となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得に資金を使用しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い及び短期借入金の返済により資金を使用しました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 43億円 15億円
投資CF -3億円 -1億円
財務CF -5億円 -6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「子どもたちの 子どもたちの 子どもたちへ」という企業理念を掲げています。日本の未来を担う若者に住まいの選択肢を増やし、素晴らしい未来を拓く一翼を担うことで社会貢献を目指しています。また、永続企業として社会に貢献し続けることを重視しています。

(2) 企業文化


価値創造のために「信頼」「人財」「変化」を行動指針としています。「信頼」は約束を守り続けることで得られる価値、「人財」は社員を大切な財産とする考え方、「変化」は環境変化への対応と自らの進化を恐れない姿勢を表しています。これらを原則として日々の事業活動を行っています。

(3) 経営計画・目標


2030年に向けた長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定しています。アパート専門メーカーとしてニッチトップの実現と、高付加価値追求による粗利益率の向上を目指しています。2030年2月期の数値目標として以下を掲げています。
* 売上高400億円
* 営業利益40億円
* 営業利益率10%
* ROE10%
* PBR1倍

(4) 成長戦略と重点施策


アパート専門メーカーとして、若者のニーズに合った空間設計とモノづくりによる差別化で付加価値を提供し、「持続可能な安定的成長」を目指します。具体的には、IoTスマートアパートの商品化や省エネ設備の導入による競争力強化、人的資本経営の実践、生産性の向上、技術力の強化などを重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「ビジョン2030」達成のため、優秀な人財の確保と育成を最重要課題と位置づけています。社員一人ひとりの役割と責任を明確にするジョブ型人事制度や、カンパニー制による次世代経営者の育成を導入しています。社員を「人財」と表記し、魅力ある人財への成長が会社の成長につながると考えています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 43.8歳 8.8年 7,431,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は関連法令による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 気候変動


東京圏(1都3県)に事業エリアを限定しているため、同エリアで大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、建築現場や管理物件の損壊、建築資材の供給停止などが生じる可能性があります。これにより、復旧費用の発生や工期の遅延、リーシング活動への支障など、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 法的規制等


建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法など多数の法令規制の下で事業を行っています。法改正への対応不備や想定外の法令違反が生じた場合、事業活動の制限や行政処分を受ける可能性があり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 品質管理


設計・施工・検査等の品質基準を定め、徹底した品質管理を行っていますが、想定を超える契約不適合責任等が発生した場合、補修費用の発生や社会的信用の失墜により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。