※本記事は、株式会社セレコーポレーションの有価証券報告書(第35期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セレコーポレーションってどんな会社?
アパート経営の提案から設計、施工、賃貸管理までをワンストップで提供するアパート専門メーカーです。
■(1) 会社概要
1993年に分譲マンションの販売を目的として創業しました。2002年にニツセキハウス工業より工業化住宅等の営業権を譲り受け、現在の請負事業を開始し、同年社名を現在のセレコーポレーションに変更しています。2019年には自社一貫生産における構造部材の高品質化を目的として千葉工場を設置しました。
同社グループの従業員数は連結で198名、単体で198名です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社であるジェイコーポレーションで、第2位はマキテック、第3位は光通信KK投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ジェイコーポレーション | 57.86% |
| マキテック | 11.54% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.44% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長執行役員は山口貴載氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山口貴載 | 代表取締役社長執行役員 | 1987年日本電気ホームエレクトロニクス入社。2002年同社入社。経営企画部長、管理本部長等を経て2023年代表取締役社長執行役員に就任。2024年より現職。 |
| 西本昌善 | 取締役常務執行役員開発カンパニー長 | 1989年ニツセキハウス工業入社。2002年同社入社。営業本部長、技術本部長等を歴任し、2020年賃貸住宅事業事業統括責任者に就任。2026年より現職。 |
| 鈴木謙一 | 取締役常務執行役員千葉工場カンパニー長 | 1994年ニツセキハウス工業入社。2002年同社入社。営業本部長、賃貸開発事業事業統括責任者、リフォームカンパニー長等を経て、2026年より現職。 |
| 大嶋正史 | 取締役常務執行役員 | 1984年住宅ローンサービス入社。2007年セレアセットアドバイザーズ代表取締役。2011年同社入社。社長室長やリスク管理室長等を経て、2023年より現職。 |
| 小栗聡 | 取締役常務執行役員 | 1995年横山勝男公認会計士事務所入所。2007年同社入社。管理本部経営管理部長や千葉工場カンパニー長等を歴任し、2026年より現職。 |
| 竹内毅 | 取締役常務執行役員 | 1992年石川島播磨重工業入社。2003年新日本監査法人入所。2006年公認会計士登録。2024年同社に執行役員経営企画部長として入社し、2025年より現職。 |
社外取締役は、渡辺衛男(元旭化成不動産レジデンス代表取締役社長)、白石徹(Sコンサルティング有限会社代表取締役)、奥地正敏(ブラジル戸田建設代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「賃貸住宅事業」「賃貸開発事業」「賃貸経営事業」を展開しています。
■(1) 賃貸住宅事業
アパートの企画、設計、施工などを行っています。主な顧客は、土地を保有し有効活用を検討しているオーナーです。平面に高さを加えた立体的な空間設計を重視し、自社製造の鋼材と自社施工による付加価値の高いアパート建築を提供しています。
収益源は、顧客からのアパート建築請負代金です。コンサルティングから設計、施工管理まで一貫して手掛け、自社工場での部材製造により品質を管理しています。本事業の運営はセレコーポレーションが主に行っています。
■(2) 賃貸開発事業
自社で仕入れた土地にアパートを建築し、販売を行っています。主な顧客は、土地を保有していない富裕層です。資産価値が高い都内の城南・城西エリアを中心に、駅近の立地や見栄えの良い整形地を厳選し、豊かな資産承継に貢献できる物件を企画しています。
収益源は、顧客への土地および建物の販売代金です。将来にわたり価値を維持できる付加価値の高いオリジナルブランドのアパートを建築して販売しています。本事業の運営はセレコーポレーションが主に行っています。
■(3) 賃貸経営事業
アパートの管理受託によるプロパティマネジメント業務等を行っています。入居者の募集から入退去管理、家賃回収、日常の建物点検や清掃といった維持管理業務までを幅広く担い、長期的な資産運営をサポートしています。
収益源は、一括借上や家賃集金代行等による継続的な賃貸管理手数料収入のほか、リフォームやリノベーション工事の請負代金などです。本事業の運営はセレコーポレーションおよび子会社のセレレントパートナーズが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上高および経常利益ともに拡大基調にありましたが、直近の期では販売商品の絞り込み等により減収減益に転じました。一方、経常利益率は5パーセント台から8パーセント台へと改善傾向を示しており、収益性の向上がうかがえます。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 184億円 | 214億円 | 231億円 | 239億円 | 202億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 13億円 | 17億円 | 20億円 | 17億円 |
| 利益率(%) | 5.3% | 5.9% | 7.2% | 8.5% | 8.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 112億円 | 9億円 | 11億円 | 14億円 | 11億円 |
■(2) 損益計算書
前期間との比較では、売上高の減少に伴い売上総利益や営業利益も減少していますが、販売価格の見直し等が奏功し、売上総利益率は上昇しています。付加価値の追求による利益率の改善が進んでいることが確認できます。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 239億円 | 202億円 |
| 売上総利益 | 47億円 | 44億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.7% | 21.7% |
| 営業利益 | 20億円 | 17億円 |
| 営業利益率(%) | 8.4% | 8.4% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が8.1億円(構成比30.4%)、賞与引当金繰入額が2.5億円(同9.2%)を占めています。
■(3) セグメント収益
賃貸住宅事業は販売商品の戦略的な絞り込みにより減収となりましたが、利益率は改善し増益を確保しています。賃貸開発事業は物件売却棟数の減少により大幅な減収減益となりました。賃貸経営事業は管理受託率の向上等により堅調に推移し、増収増益となっています。
| 区分 | 売上(2025年2月期) | 売上(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 賃貸住宅事業 | 93億円 | 84億円 |
| 賃貸開発事業 | 46億円 | 13億円 |
| 賃貸経営事業 | 100億円 | 105億円 |
| 連結(合計) | 239億円 | 202億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的な状況です。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15億円 | -16億円 |
| 投資CF | -1億円 | -6億円 |
| 財務CF | -6億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「子どもたちの 子どもたちの 子どもたちへ」を企業理念に掲げています。日本の豊かさを作り出した先人たちに敬意を表し、その豊かさがさらに広がる未来を描くため、社会に貢献する永続企業であることを目指しています。また、「ゲストに最高の笑顔と感動を届け続ける」ことを事業目的としています。
■(2) 企業文化
同社は、価値創造のために守るべき原則として「信頼」「人財」「変化」を行動指針に定めています。「信頼」は約束を守り続けることで得られる価値であり、「人財」は社員こそが最も大切な財産であるという信念を表しています。「変化」は環境の変化をいち早く読み取り、積極果敢に挑んでいく姿勢を示しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2030年に向けた長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定しており、企業価値の極大化と物心両面の「しあわせ」の実現を目指しています。アパート専門メーカーとしてニッチトップを実現し、高付加価値の追求による粗利益率の向上を図ります。
* 時価総額:250億円
* 売上高:300億円
* 営業利益:30億円
* 営業利益率:10%
* ROE:9%
* PBR:1倍
* 平均年収:900万円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「持続可能な安定的成長」を経営方針に掲げ、事業ドメインを東京圏・若者・鉄骨造アパートに絞り込むニッチ戦略を推進しています。付加価値の向上により他社との価格競争を排し、独自のビジネスモデルを確立することが重点施策です。具体的には、人的資本経営の実践や、デジタル化による生産性の向上に取り組んでいきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人的資本を経営の根幹に位置づけ、長期経営ビジョンと連動した人材戦略を推進しています。社内教育機関「セレアカデミー」を通じて次世代経営者の育成を図るほか、ジョブ型人事制度を導入し、個々の社員が最大限に力を発揮できる環境を整備しています。また、時間単位有給休暇や在宅勤務等の導入による働き方の多様化を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 43.9歳 | 8.9年 | 7,914,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は関連法令による公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設業界における技術人材の不足
建設業界全体で職人の後継者不足が課題となる中、同社グループが必要とする技術人材を安定的に確保できない場合、施工能力の低下や持続的成長が制約される可能性があります。対応策として、協力業者との連携や自社内での職人育成体制の構築を検討しています。
■(2) 不動産市況や建築コストの外部環境変動
賃料水準や不動産市況の変動、保有資産の価値下落、建築資材価格の動向、土地仕入環境の変化などにより、建設受注や収益性が影響を受けるリスクがあります。同社グループでは、原価低減や生産性向上、多様な管理メニューによる収益安定化を通じてリスクの軽減に努めています。
■(3) アパート建築における品質管理
同社グループは設計から施工、検査に至る各工程で多層的な検査体制を敷き品質向上に努めています。しかし、想定を超える契約不適合責任等が発生した場合には、多額の費用負担や社会的評価の低下を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。品質管理の実効性向上と再発防止の徹底に継続して取り組んでいます。



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