セレコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セレコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セレコーポレーションは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、アパートの企画・設計・施工を担う賃貸住宅事業、アパートの建築・販売を行う賃貸開発事業、管理受託等の賃貸経営事業を展開しています。業績トレンドとしては、販売商品の絞り込み等の影響により、直近の通期決算では減収減益となっています。


※本記事は、株式会社セレコーポレーションの有価証券報告書(第35期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セレコーポレーションってどんな会社?


同社は東京圏に特化し、若者向けアパートの企画から施工、賃貸管理までを自社一貫体制で提供しています。

(1) 会社概要


1993年に分譲マンション販売を目的にデトム販売を創業しました。2002年に現社名のセレコーポレーションへ商号変更し、アパート建築等の請負事業を開始しています。2011年に保証業務を担うセレレントパートナーズを設立し、2019年には千葉工場を新設しました。2022年に東京証券取引所へ上場を果たしています。

従業員数は連結で198名、単体で198名となっています。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社であるジェイコーポレーションで、第2位は事業会社のマキテック、第3位は光通信KK投資事業有限責任組合という株主構成です。自社開発物件の組成から管理までを担う独自の体制を構築しています。

氏名 持株比率
ジェイコーポレーション 57.86%
マキテック 11.54%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.44%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長執行役員は山口貴載氏が務めており、社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山口貴載 代表取締役社長執行役員 1987年日本電気ホームエレクトロニクス入社。2002年同社入社。セレレントパートナーズ代表取締役等を経て、2024年より現職。
西本昌善 取締役常務執行役員開発カンパニー長 1989年ニツセキハウス工業入社。2002年同社入社。執行役員営業本部長、賃貸住宅事業事業統括責任者等を経て、2026年より現職。
鈴木謙一 取締役常務執行役員千葉工場カンパニー長 1994年ニツセキハウス工業入社。2002年同社入社。執行役員営業本部長、賃貸開発事業事業統括責任者等を経て、2026年より現職。
大嶋正史 取締役常務執行役員 1984年住宅ローンサービス入社。2011年同社入社。内部監査室長やリスク管理室長等を歴任し、2023年より現職。
小栗聡 取締役常務執行役員 1995年公認会計士事務所入所。2007年同社入社。経理本部長や経営管理管掌等を経て、2026年より現職。
竹内毅 取締役常務執行役員 1992年石川島播磨重工業入社。監査法人を経て2006年公認会計士登録。2024年同社入社。2025年より現職。


社外取締役は、渡辺衛男(元旭化成不動産レジデンス取締役会長)、白石徹(元みずほ証券)、奥地正敏(元ブラジル戸田建設代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「賃貸住宅事業」「賃貸開発事業」「賃貸経営事業」の報告セグメントで事業を展開しています。

賃貸住宅事業


東京圏エリアに特化し、単身者など若者向けアパートの企画、設計、施工を提供しています。土地を保有するオーナーに対し、資産活用や収益獲得、事業承継といった課題を解決するためのコンサルティングを行い、空間設計を重視した付加価値の高い物件の建築を提案しています。

アパートの建築請負代金として顧客から収益を獲得しています。自社製造の鋼材を使用し、プランニングから設計、施工管理までを一貫して手掛ける体制を敷いています。本事業の運営は同社(セレコーポレーション)が主体となって行っています。

賃貸開発事業


土地を保有していない富裕層や投資家を主な顧客とし、豊かな資産承継に貢献できるようなアパートの建築および販売を行っています。都内の資産価値が維持しやすい城南・城西エリアにおいて、駅近の立地など富裕層のニーズを満たす土地を自社で仕入れ、物件を開発しています。

開発した土地とアパートの販売代金から収益を獲得しています。将来にわたり価値を維持できる付加価値の高いアパートを建築し、投資利回りや資産価値を重視する顧客へ提供するモデルです。本事業の運営は同社が行っています。

賃貸経営事業


アパートの管理受託によるプロパティマネジメント業務を中心としたストック事業を展開しています。自社施工物件だけでなく、他社の施工・管理物件についても管理を受託し、入居者の募集から入退去管理、家賃回収、日常の建物点検や清掃、さらにはリフォーム工事の提案までを担っています。

家賃の集金代行や一括借上等に伴う継続的な賃貸管理手数料をオーナーから受け取ることで収益を獲得しています。また、保険代理店業務や家賃保証なども派生ビジネスとして展開しています。本事業の運営は同社および子会社のセレレントパートナーズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大を続け、直近の前期には239億円に達しましたが、当期は販売商品の戦略的絞り込み等により202億円へと減少しています。経常利益も売上の変動と連動する形で推移しており、前期の20億円から当期は17億円へと減益になりました。しかし、利益率自体は8%台を維持しています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 184億円 214億円 231億円 239億円 202億円
経常利益 10億円 13億円 17億円 20億円 17億円
利益率(%) 5.3% 5.9% 7.2% 8.5% 8.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 112億円 9億円 11億円 14億円 11億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益は前期から減少しています。一方で、原価高騰の影響を販売価格へ転嫁する取り組み等により、売上総利益率は上昇しました。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 239億円 202億円
売上総利益 47億円 44億円
売上総利益率(%) 19.7% 21.7%
営業利益 20億円 17億円
営業利益率(%) 8.4% 8.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が8億円(構成比30%)、賞与引当金繰入額が2億円(同9%)を占めています。売上原価については、不動産賃貸管理原価が84億円(構成比53%)、完成工事原価が65億円(同41%)を占めています。

(3) セグメント収益


賃貸住宅事業は販売商品を絞り込んだ影響で売上が減少しました。賃貸開発事業も物件の販売が計画通り進まなかったことから大幅な減収となっています。一方で、賃貸経営事業は管理受託率の向上やオーナーサービスの強化が奏功し、増収を達成しています。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
賃貸住宅事業 93億円 84億円
賃貸開発事業 46億円 13億円
賃貸経営事業 100億円 105億円
連結(合計) 239億円 202億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業CF、投資CF、財務CFのすべてがマイナスとなっており、本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的となる末期型の傾向を示しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 15億円 -16億円
投資CF -1億円 -6億円
財務CF -6億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「子どもたちの 子どもたちの 子どもたちへ」を企業理念に掲げています。日本の豊かさを作り出した先人に敬意と感謝を抱きつつ、その豊かさがさらに広がる未来を描くため、社会に貢献する永続企業であることを使命としています。若者に住まいの選択肢を増やし、素晴らしい未来を拓く一翼を担うことを目指しています。

(2) 企業文化


「信頼」「人財」「変化」を行動指針としています。日々の活動を通じて社会やゲストからの信頼を培い、社員を何より大切な「人財」として育成することを重視しています。また、環境の変化をいち早く読み取り、自らも変化を恐れず進化し続けることで、豊かな未来を切り拓く価値観が根付いています。

(3) 経営計画・目標


2030年に向けた長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定し、企業価値の極大化と社員の物心両面の「しあわせ」の実現を目指しています。2030年2月期を目標年度として、以下の重要指標を掲げています。

* 時価総額 250億円
* 売上高 300億円
* 営業利益 30億円
* 営業利益率 10%
* ROE 9%
* PBR 1倍
* 平均年収 900万円

(4) 成長戦略と重点施策


「アパート専門メーカー」として、東京圏・若者・鉄骨造アパートにターゲットを絞り込むニッチトップ戦略を推進しています。付加価値の高い「My Style vintage」などの商品を拡充し、自社工場での生産効率向上やIoT設備の導入を進めています。また、人的資本経営の実践やデジタル化による生産性向上に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


社員を最大の財産と捉え、「人材」ではなく「人財」と位置づけています。「ビジョン2030」達成のため、社内教育機関「セレアカデミー」を通じた自己研鑽の環境整備や、ジョブ型人事制度の導入により個々が最大限に力を発揮できる体制を推進しています。役職定年制の導入による次世代登用や、多様な人財の確保にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 43.9歳 8.9年 7,914,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は関連法令による公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 後継者や技術職の確保難


適切な経営者後継者の育成遅れや、建設業界における職人の後継者不足により必要な技術人財が確保できない場合、施工能力の低下や持続的成長の制約となり、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 外部環境の変動


賃料水準や不動産市況の変動、建築資材価格の動向、土地仕入環境の変化などにより、建設受注の減少や収益性が悪化した場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) 品質管理の不備


設計、製造、施工の各工程において徹底した品質管理を行っていますが、想定を超える契約不適合責任等が発生した場合、多額の費用の発生や社会的評価の低下により、同社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(4) 商品開発における競争力低下


圧倒的な差別化による付加価値の提供を中核としていますが、競合による類似商品の投入や市場ニーズの変化により十分な差別化が図れない場合、競争優位性が保てず業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。