※本記事は、株式会社ガーデン の有価証券報告書(第10期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ガーデンってどんな会社?
「壱角家」や「山下本気うどん」等の飲食ブランドを展開する企業です。M&Aによる店舗取得と業態転換による再生・収益化に特徴があります。
■(1) 会社概要
2015年に設立され、2016年にグループ会社7社を完全子会社化して持株会社体制へ移行しました。2018年にはグループ会社12社を吸収合併し事業を統合しています。その後、2020年に「壱角家」の海外フランチャイズ1号店をオープンするなど展開を広げ、2024年11月に東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たしました。
同社の従業員数は286名(単体)です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるマックで、第2位は創業者の川島賢氏です。経営権は創業者とその関連会社が過半数を保有しており、安定した株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| マック | 43.61% |
| 川島 賢 | 22.57% |
| ガーデン従業員持株会 | 2.19% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は川島 賢氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川島 賢 | 代表取締役社長 | 有限会社マック(現マック)代表取締役、株式会社ユウシン代表取締役などを経て、2018年より現職。 |
| 小澤 修三 | 専務取締役管理本部長 | 有限会社マック入社後、株式会社マック取締役社長、マイビス株式会社監査役などを経て、2020年12月より現職。 |
| 薫田 勇 | 取締役第二営業本部長 | 株式会社マック入社後、マイビス株式会社取締役社長、当社取締役営業本部長などを経て、2025年3月より現職。 |
| 井上 陵太 | 取締役第一営業本部長 | 株式会社マック入社後、株式会社神戸らんぷ亭取締役社長、当社取締役営業本部長などを経て、2019年1月より現職。 |
| 小川 哲史 | 取締役(常勤監査等委員) | 日本交通株式会社入社、当社常勤監査役などを経て、2024年5月より現職。 |
社外取締役は、永野 正剛(公認会計士・税理士)、角野 崇雄(公認会計士・税理士)、田中 達也(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ラーメン事業」「レストラン事業」「ステーキ事業」「寿司事業」「フランチャイズ事業」および「その他」事業を展開しています。
■ラーメン事業
横浜家系ラーメン「壱角家」を主力とし、博多豚骨ラーメン「一竜」や「だるまのめ」などを提供しています。駅前立地の路面店や商業施設内のフードコートを中心に出店し、幅広い顧客層を獲得しています。
収益は、来店客からの飲食代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。
■レストラン事業
「山下本気うどん」やハワイアンレストランを展開しています。「山下本気うどん」はSNS映えするメニュー開発や店舗の洗練化によりブランド価値を高めています。
収益は、来店客からの飲食代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。
■ステーキ事業
「鉄板王国」や「情熱のすためしどんどん」などを展開しています。リーズナブルな価格でステーキやハンバーグ、丼メニューを提供し、日常食としての需要を取り込んでいます。
収益は、来店客からの飲食代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。
■寿司事業
「回転寿司プレミアム海王」や「肉寿司」を展開しています。インバウンド需要に対応した高付加価値メニューや、肉料理専門の寿司という独自性のあるサービスを提供しています。
収益は、来店客からの飲食代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。
■フランチャイズ事業
「壱角家」や「一竜」、「肉寿司」、「山下本気うどん」等のブランドにおいて、加盟店への経営指導や食材の卸売りを行っています。国内外でフランチャイズ展開を進めています。
収益は、加盟店からのロイヤルティや食材卸売代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。
■その他
店舗開発部において、店舗物件情報の早期取得を目的とした不動産事業を行っています。
収益は、不動産仲介手数料や転貸借による収益によって得ています。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は直近5期間で着実に成長しており、特にここ数年は大幅な増収傾向にあります。経常利益に関しても、2021年2月期は赤字でしたが翌期以降は黒字化し、高い利益率を維持しています。M&Aや新規出店、既存店の回復が寄与し、事業規模と収益性の両面で拡大が続いています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 87億円 | 78億円 | 118億円 | 153億円 | 172億円 |
| 経常利益 | -3.8億円 | 19.3億円 | 5.2億円 | 14.4億円 | 17.2億円 |
| 利益率(%) | -% | 24.7% | 4.4% | 9.4% | 10.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -4.5億円 | 8.9億円 | 2.5億円 | 10.7億円 | 12.1億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益、営業利益ともに増加しています。原価率や販管費率のコントロールにより、営業利益率は約10%の水準を維持または向上させており、収益性の高い事業運営が継続されています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 153億円 | 172億円 |
| 売上総利益 | 107億円 | 122億円 |
| 売上総利益率(%) | 69.8% | 70.8% |
| 営業利益 | 15億円 | 18億円 |
| 営業利益率(%) | 9.9% | 10.8% |
販売費及び一般管理費のうち、雑給が31億円(構成比30%)、地代家賃が16億円(同16%)を占めています。売上原価に関しては、原材料費などが主な内訳となります。
■(3) セグメント収益
各事業ともに概ね堅調に推移しています。主力のラーメン事業が売上の過半を占め、着実に伸長しました。レストラン事業やステーキ事業も売上を伸ばしています。寿司事業は組織改編の影響等を含みつつ推移しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| ラーメン事業 | 102億円 | 116億円 |
| レストラン事業 | 24億円 | 27億円 |
| ステーキ事業 | 14億円 | 15億円 |
| 寿司事業(旧肉寿司含む) | 4億円 | 5億円 |
| フランチャイズ事業 | 7億円 | 7億円 |
| その他 | 0.5億円 | 0.4億円 |
| 連結(合計) | 153億円 | 172億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は23.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「イマをHAPPYに」という理念を掲げ、来店する顧客をはじめ、同社に関わる人々が幸せ・元気・笑顔になれる空間作りを目指しています。QSCA(クオリティ、サービス、クレンリネス、アトモスフィア)の向上を通じて、衛生的で安全な店舗運営と品質の高い商品提供に努めています。
■(2) 企業文化
「GARDEN」という社名には、M&Aにより融合した各社の異なる価値観や文化をプラスに融合させ、庭で手を取り合って歩んでいくという想いが込められています。また、ロゴの形を数字の「6」に見立て、「調和と融合・正しい選択と決断」を意味する6つの行動指針を掲げ、組織の一体感を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
事業拡大と企業価値向上を目指し、客観的な経営指標として営業利益率、ROA(総資産経常利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)の数値を重視しています。また、安定的な配当実施のため配当性向の目標も設定しています。
* 営業利益率:10%以上
* ROA:10%以上
* ROE:10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
M&Aによる成長と直営店舗の新規出店を軸としています。特に主力ブランドである「壱角家」と「山下本気うどん」の出店を継続し、駅前立地やフードコートへの展開を進めます。また、アプリやメディアを活用した集客強化、海外を含むフランチャイズ展開の加速により、持続的な成長と競争優位性の確立を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の確保を事業成長の礎とし、シルバー層、女性、外国人等を積極的に登用しています。労働関連法令を遵守し、ライフワークバランスを重視した労働環境を提供することを目指しています。また、充実した教育制度により、顧客から選ばれる店舗と会社の確立を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 39.0歳 | 5.6年 | 5,441,311円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.4% |
| 男性育児休業取得率 | 62.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 79.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 86.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(18.62%)、次期離職率目標(16.62%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済情勢の変化や地政学的リスク
原材料やエネルギー価格の高騰、円安、国際情勢の不安定化は、食材仕入価格の上昇を招く可能性があります。これらが著しく進行した場合、同社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保と育成
事業拡大には適正な人員確保が不可欠ですが、飲食業界は恒常的な人手不足にあり、特に深夜営業店舗などでの要員確保が課題です。採用難や離職の増加、最低賃金上昇等による人件費高騰は、事業展開や収益性に影響を与える可能性があります。
■(3) 特定取引先への依存
主力事業であるラーメン事業において、主要食材(スープ、タレ、麺)を特定取引先である株式会社ギフトから仕入れています。何らかの理由で同社からの供給が滞った場合、事業運営に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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