ガーデン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ガーデン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場するガーデンは、M&Aを活用し「壱角家」等のラーメン店や「山下本気うどん」等のレストランなど多角的な飲食事業を展開する企業です。直近の業績では店舗網の拡大や価格改定により売上高は増収となっているものの、原材料費や人件費の高騰などの各種コスト増により、利益面では減益となっています。


※本記事は、株式会社ガーデンの有価証券報告書(第11期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ガーデンってどんな会社?


同社は、M&Aを活用してラーメンやうどんなどの幅広い飲食ブランドを展開し、成長を続ける企業です。

■(1) 会社概要


2000年に設立されカラオケ事業を開始しました。2003年に飲食事業へ参入し、2014年に横浜家系ラーメン「壱角家」の1号店を出店しました。2015年に持株会社としてガーデンを設立してグループを再編し、M&Aによる事業拡大を継続した結果、2024年にスタンダード市場への上場を果たしています。

同社は単体で289名の従業員を擁しています。筆頭株主は資産管理業務などを行うマックで、第2位は創業者の川島賢氏、第3位は経営陣である小澤修三氏となっています。

氏名 持株比率
マック 41.97%
川島 賢 21.71%
小澤 修三 2.59%

■(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は川島賢氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
川島 賢 代表取締役社長 1999年マック取締役就任、2000年同社代表取締役就任。2014年イー・ダイニング代表取締役などを経て、2015年同社設立代表取締役会長就任。2018年より現職。
小澤 修三 専務取締役コーポレート本部長 1999年マック入社。2007年同社取締役社長就任。2015年ガーデン設立時に専務取締役就任。2019年専務取締役管理本部長兼経理部長などを経て、2026年より現職。
薫田 勇 取締役第二営業本部長 2005年マック入社。2015年神戸らんぷ亭取締役就任。2016年同社執行役員経営企画本部長、2017年取締役営業本部長等を経て、2025年より現職。
井上 陵太 取締役第一営業本部長 2005年マック入社。2015年神戸らんぷ亭取締役社長就任。2016年同社執行役員営業本部長、2017年取締役営業本部長等を経て、2019年より現職。
小川 哲史 取締役(常勤監査等委員) 1976年レノマコスメティック入社等を経て、2015年同社常勤監査役就任。2016年アドリブ等の監査役を経て、2024年より現職。


社外取締役は、永野正剛(NGNC代表取締役)、角野崇雄(総務代表取締役)、田中達也(KTT法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ラーメン事業」「レストラン事業」「ステーキ事業」などの事業を展開しています。

■(1) ラーメン事業


横浜家系ラーメン「壱角家」や博多豚骨ラーメン「一竜」、味噌ラーメン「萬馬軒」など、幅広いジャンルのラーメンブランドを展開しています。スープの仕込みを一括で行うことで店舗調理を軽減し、ブレのない安定した商品を提供しており、駅前立地を中心に出店しています。

一般顧客から飲食代金を受け取る収益モデルです。ダイナミックプライシングの採用や深夜料金の適用により適正な利益を確保しています。事業の運営はガーデンが行っています。

■(2) レストラン事業


創作讃岐うどん「山下本気うどん」や、ハワイアンレストランなどを展開しています。定番商品に加え、見栄えの楽しさを意識した季節限定メニュー等を開発・提供し、女性客や家族連れなど幅広い層を顧客としています。

一般顧客から飲食代金を受け取る収益モデルです。単価の高い創作商品等の販売により、競合と比べて高い客単価を実現しています。事業の運営はガーデンが行っています。

■(3) その他の飲食・関連事業


丼ぶりを提供するステーキ事業、肉料理専門の寿司店などを展開する寿司事業、さらに保有ブランドの営業ライセンスを貸与するフランチャイズ事業や、店舗物件情報の早期取得を目的とした不動産事業も手掛けています。

一般顧客からの飲食代金のほか、フランチャイズ事業では加盟店からの経営指導料、食材の卸売代金、ロイヤルティ等を受け取る収益モデルです。これらの事業運営もガーデンが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

■(1) 業績推移


売上高は店舗網の拡大に伴い、継続して増収基調で推移しています。一方、経常利益は出店に伴う各種費用や原材料費高騰などのコスト増の影響を受け、直近では減益となっています。

項目 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期 2026年2月期
売上高 78.0億円 118.4億円 153.1億円 171.6億円 179.0億円
経常利益 19.3億円 5.2億円 14.4億円 17.2億円 12.1億円
利益率(%) 24.7% 4.4% 9.4% 10.0% 6.8%
当期純利益 8.9億円 2.5億円 10.7億円 12.1億円 6.3億円

■(2) 損益計算書


増収に伴い売上総利益は増加しましたが、各種コストの上昇により営業利益率が低下しています。

項目 2025年2月期 2026年2月期
売上高 171.6億円 179.0億円
売上総利益 121.6億円 124.2億円
売上総利益率(%) 70.9% 69.4%
営業利益 18.5億円 13.0億円
営業利益率(%) 10.8% 7.3%


販売費及び一般管理費のうち、雑給が34億円(構成比30%)、地代家賃が18億円(同17%)を占めています。売上原価は当期原料仕入高が55億円(構成比100%)を占めています。

■(3) セグメント収益


主力のラーメン事業をはじめ、レストラン事業やフランチャイズ事業が増収となり全体を牽引しています。一方で、ステーキ事業や寿司事業は減収となりました。

区分 売上(2025年2月期) 売上(2026年2月期)
ラーメン事業 115.7億円 122.8億円
レストラン事業 27.4億円 28.6億円
ステーキ事業 14.9億円 13.4億円
寿司事業 4.8億円 4.7億円
フランチャイズ事業 6.6億円 7.3億円
その他 0.4億円 0.3億円
連結(合計) 171.6億円 179.0億円

■(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年2月期 2026年2月期
営業CF 14.2億円 10.7億円
投資CF -8.2億円 -17.7億円
財務CF 35.6億円 7.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

■(1) 経営理念


「イマをHAPPYに!」という企業理念のもと、来店する顧客をはじめ、関わる全ての人達が、幸せ・元気・笑顔になれる空間作りを経営の基本方針として掲げています。

■(2) 企業文化


各社の異なる価値観や多様な企業風土をプラスに融合させるため、「GARDEN」という庭で手を取り合って歩んでいくという想いを社名に込めています。また、ロゴの形を数字の「6」に見立て、「調和と融合・正しい選択と決断」という意味から、6つの行動指針を定めています。

■(3) 経営計画・目標


事業拡大と企業価値の向上を目指し、以下の数値を重要な経営指標と位置づけています。

* 営業利益率:10%以上
* ROA(総資産経常利益率):10%以上
* ROE(自己資本当期純利益率):10%以上

■(4) 成長戦略と重点施策


過去の経験に基づくM&Aにより既存事業とのシナジーを創出し、規模の拡大と新たな飲食ブランドの獲得を進めています。直営店舗は、一定の降客数が見込める駅周辺や商業施設等を候補地として新規出店を推進しています。また、人材の採用・確保や教育制度の充実を図ることで、接客業として顧客から選ばれる店舗づくりを重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

■(1) 人材戦略・方針


飲食業界で人手不足が続く中、優秀な人材の採用・育成を持続可能な経営の重要手段と位置づけています。シルバー層や女性、外国人など多様な人材の積極的な登用を進めるほか、ワークライフバランスを重視した労働環境の提供を目指しています。独自の教育プログラムやキャリア面談を通じて、自己成長と組織の発展を支援しています。

■(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年2月期 38.0歳 5.3年 5,481,159円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

■(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.6%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 70.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 78.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 90.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

■(1) 経済情勢の変化や地政学的リスクの顕在化


物流の停滞や世界的なエネルギー資源・原材料価格の高騰がリスクとなります。異常気象による不作や地政学リスクにより、飲食事業における食材の仕入れが困難になったり、価格が著しく上昇した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

■(2) 季節的変動及び天候・平均気温による影響


売上の大部分を占めるラーメン業態の店舗は、気温が低下する冬季が繁忙期となります。そのため、悪天候による人流の減少や、異常気象による平均気温の上昇などで想定した売上が減少した場合、同社の経営成績等に影響を与える可能性があります。

■(3) 直営店舗の賃貸に関するリスク


同社の直営店舗の出店は、そのほとんどが賃借であり、賃貸人に対して敷金及び保証金を差し入れています。賃貸人の財政状態が悪化し、敷金等の一部または全部が回収不能になることや、店舗の継続使用が困難となった場合、同社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

ガーデンの転職研究 2026年2月期決算に見るキャリア機会

ガーデンの2026年2月期決算は、売上高178億円と過去最高を更新。不振店を主力業態へ変える「独自再生モデル」の成功や、萬馬軒・高田屋のM&A、タイ進出など構造改革が加速しています。「なぜ今ガーデンなのか?」、成長フェーズにある同社で転職希望者が担える役割を整理します。