ガーデン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ガーデン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の飲食企業です。横浜家系ラーメン「壱角家」や「山下本気うどん」などのブランドを運営し、M&Aによる店舗再生と収益化に強みを持ちます。2025年2月期は、主力ブランドの出店加速やインバウンド需要の取り込みにより、売上高172億円(前期比12.1%増)、経常利益17億円(同19.5%増)の増収増益でした。


※本記事は、株式会社ガーデン の有価証券報告書(第10期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ガーデンってどんな会社?


「壱角家」や「山下本気うどん」等の飲食ブランドを展開する企業です。M&Aによる店舗取得と業態転換による再生・収益化に特徴があります。

(1) 会社概要


2015年に設立され、2016年にグループ会社7社を完全子会社化して持株会社体制へ移行しました。2018年にはグループ会社12社を吸収合併し事業を統合しています。その後、2020年に「壱角家」の海外フランチャイズ1号店をオープンするなど展開を広げ、2024年11月に東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たしました。

同社の従業員数は286名(単体)です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるマックで、第2位は創業者の川島賢氏です。経営権は創業者とその関連会社が過半数を保有しており、安定した株主構成となっています。

氏名 持株比率
マック 43.61%
川島 賢 22.57%
ガーデン従業員持株会 2.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は川島 賢氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
川島 賢 代表取締役社長 有限会社マック(現マック)代表取締役、株式会社ユウシン代表取締役などを経て、2018年より現職。
小澤 修三 専務取締役管理本部長 有限会社マック入社後、株式会社マック取締役社長、マイビス株式会社監査役などを経て、2020年12月より現職。
薫田 勇 取締役第二営業本部長 株式会社マック入社後、マイビス株式会社取締役社長、当社取締役営業本部長などを経て、2025年3月より現職。
井上 陵太 取締役第一営業本部長 株式会社マック入社後、株式会社神戸らんぷ亭取締役社長、当社取締役営業本部長などを経て、2019年1月より現職。
小川 哲史 取締役(常勤監査等委員) 日本交通株式会社入社、当社常勤監査役などを経て、2024年5月より現職。


社外取締役は、永野 正剛(公認会計士・税理士)、角野 崇雄(公認会計士・税理士)、田中 達也(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ラーメン事業」「レストラン事業」「ステーキ事業」「寿司事業」「フランチャイズ事業」および「その他」事業を展開しています。

ラーメン事業

横浜家系ラーメン「壱角家」を主力とし、博多豚骨ラーメン「一竜」や「だるまのめ」などを提供しています。駅前立地の路面店や商業施設内のフードコートを中心に出店し、幅広い顧客層を獲得しています。
収益は、来店客からの飲食代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。

レストラン事業

「山下本気うどん」やハワイアンレストランを展開しています。「山下本気うどん」はSNS映えするメニュー開発や店舗の洗練化によりブランド価値を高めています。
収益は、来店客からの飲食代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。

ステーキ事業

「鉄板王国」や「情熱のすためしどんどん」などを展開しています。リーズナブルな価格でステーキやハンバーグ、丼メニューを提供し、日常食としての需要を取り込んでいます。
収益は、来店客からの飲食代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。

寿司事業

「回転寿司プレミアム海王」や「肉寿司」を展開しています。インバウンド需要に対応した高付加価値メニューや、肉料理専門の寿司という独自性のあるサービスを提供しています。
収益は、来店客からの飲食代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。

フランチャイズ事業

「壱角家」や「一竜」、「肉寿司」、「山下本気うどん」等のブランドにおいて、加盟店への経営指導や食材の卸売りを行っています。国内外でフランチャイズ展開を進めています。
収益は、加盟店からのロイヤルティや食材卸売代金によって得ています。運営は主に同社が行っています。

その他

店舗開発部において、店舗物件情報の早期取得を目的とした不動産事業を行っています。
収益は、不動産仲介手数料や転貸借による収益によって得ています。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5期間で着実に成長しており、特にここ数年は大幅な増収傾向にあります。経常利益に関しても、2021年2月期は赤字でしたが翌期以降は黒字化し、高い利益率を維持しています。M&Aや新規出店、既存店の回復が寄与し、事業規模と収益性の両面で拡大が続いています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 87億円 78億円 118億円 153億円 172億円
経常利益 -3.8億円 19.3億円 5.2億円 14.4億円 17.2億円
利益率(%) -% 24.7% 4.4% 9.4% 10.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -4.5億円 8.9億円 2.5億円 10.7億円 12.1億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益、営業利益ともに増加しています。原価率や販管費率のコントロールにより、営業利益率は約10%の水準を維持または向上させており、収益性の高い事業運営が継続されています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 153億円 172億円
売上総利益 107億円 122億円
売上総利益率(%) 69.8% 70.8%
営業利益 15億円 18億円
営業利益率(%) 9.9% 10.8%


販売費及び一般管理費のうち、雑給が31億円(構成比30%)、地代家賃が16億円(同16%)を占めています。売上原価に関しては、原材料費などが主な内訳となります。

(3) セグメント収益


各事業ともに概ね堅調に推移しています。主力のラーメン事業が売上の過半を占め、着実に伸長しました。レストラン事業やステーキ事業も売上を伸ばしています。寿司事業は組織改編の影響等を含みつつ推移しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期)
ラーメン事業 102億円 116億円
レストラン事業 24億円 27億円
ステーキ事業 14億円 15億円
寿司事業(旧肉寿司含む) 4億円 5億円
フランチャイズ事業 7億円 7億円
その他 0.5億円 0.4億円
連結(合計) 153億円 172億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は23.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「イマをHAPPYに」という理念を掲げ、来店する顧客をはじめ、同社に関わる人々が幸せ・元気・笑顔になれる空間作りを目指しています。QSCA(クオリティ、サービス、クレンリネス、アトモスフィア)の向上を通じて、衛生的で安全な店舗運営と品質の高い商品提供に努めています。

(2) 企業文化


「GARDEN」という社名には、M&Aにより融合した各社の異なる価値観や文化をプラスに融合させ、庭で手を取り合って歩んでいくという想いが込められています。また、ロゴの形を数字の「6」に見立て、「調和と融合・正しい選択と決断」を意味する6つの行動指針を掲げ、組織の一体感を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


事業拡大と企業価値向上を目指し、客観的な経営指標として営業利益率、ROA(総資産経常利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)の数値を重視しています。また、安定的な配当実施のため配当性向の目標も設定しています。

* 営業利益率:10%以上
* ROA:10%以上
* ROE:10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


M&Aによる成長と直営店舗の新規出店を軸としています。特に主力ブランドである「壱角家」と「山下本気うどん」の出店を継続し、駅前立地やフードコートへの展開を進めます。また、アプリやメディアを活用した集客強化、海外を含むフランチャイズ展開の加速により、持続的な成長と競争優位性の確立を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の確保を事業成長の礎とし、シルバー層、女性、外国人等を積極的に登用しています。労働関連法令を遵守し、ライフワークバランスを重視した労働環境を提供することを目指しています。また、充実した教育制度により、顧客から選ばれる店舗と会社の確立を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 39.0歳 5.6年 5,441,311円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.4%
男性育児休業取得率 62.5%
男女賃金差異(全労働者) 66.8%
男女賃金差異(正規雇用) 79.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 86.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(18.62%)、次期離職率目標(16.62%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢の変化や地政学的リスク


原材料やエネルギー価格の高騰、円安、国際情勢の不安定化は、食材仕入価格の上昇を招く可能性があります。これらが著しく進行した場合、同社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保と育成


事業拡大には適正な人員確保が不可欠ですが、飲食業界は恒常的な人手不足にあり、特に深夜営業店舗などでの要員確保が課題です。採用難や離職の増加、最低賃金上昇等による人件費高騰は、事業展開や収益性に影響を与える可能性があります。

(3) 特定取引先への依存


主力事業であるラーメン事業において、主要食材(スープ、タレ、麺)を特定取引先である株式会社ギフトから仕入れています。何らかの理由で同社からの供給が滞った場合、事業運営に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。