Umios 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Umios 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するUmiosは、水産資源、食材流通、加工食品を主力事業として展開しています。最新の有価証券報告書によると、水産物の販売単価上昇や主力商品の収益性改善が寄与し、当期の売上高は1兆1059億円で前期比増収、営業利益も312億円と増収増益の業績トレンドを示しています。


※本記事は、Umios株式会社の有価証券報告書(第82期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. Umiosってどんな会社?


水産・食品分野におけるソリューションカンパニーとして、水産資源の調達から加工、販売まで独自のバリューチェーンを展開しています。

(1) 会社概要


1943年に西大洋漁業統制として設立され、後に大洋漁業へ商号変更しました。2007年にマルハグループ本社とニチロが経営統合し、2014年にマルハニチロへ商号変更して東証一部に上場しました。その後、2026年3月に海を起点とした価値創造力を表現するためUmiosへと社名変更を行いました。

同社グループは連結で12,479名、単体で1,738名の従業員を擁しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位には事業会社である大東通商が名を連ねており、第3位にも信託銀行が位置しています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.34%
大東通商 9.76%
日本カストディ銀行(信託口) 6.27%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役会長は池見賢氏、代表取締役社長執行役員は安田大助氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
池見賢 代表取締役会長 1981年同社入社。海外業務部部長役、執行役員等を経て、2020年代表取締役社長、2026年4月より現職。
安田大助 代表取締役社長執行役員 1985年同社入社。水産第一部長、常務執行役員等を経て、2025年取締役、2026年4月より現職。
小梶聡 取締役専務執行役員 2003年ニチロ入社。商品技術開発部長、常務執行役員等を経て、2025年取締役専務執行役員に就任し現職。
山嵜睦 取締役(監査等委員)常勤 1988年同社入社。北米事業部部長役、経理部部長役等を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、奥田かつ枝(株式会社九段緒方総合鑑定代表取締役)、外ノ池佳子(弁護士)、ブラッドリーエドミスター(弁護士)、高松信彦(元新日本製鐵知的財産部長)、大野泰一(元三菱UFJ信託銀行専務執行役員)、木村吉男(元農林中央金庫執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「水産資源」「食材流通」「加工食品」の報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

水産資源事業


国内外で漁業を行う漁業ユニット、国内でクロマグロやブリの養殖を行う養殖ユニット、北米を拠点に豊富な水産資源を背景とした加工・販売を展開する北米ユニットで構成されています。安全で高品質な水産物の安定的かつ持続可能な供給を顧客に提供しています。

顧客やグループ内の関係会社への漁獲物および製品の販売を通じて収益を得ています。運営はUmiosのほか、大洋エーアンドエフ、オーストラルフィッシャリーズ、ウエストワードシーフーズなどの子会社が主体となって事業を展開しています。

食材流通事業


水産物の調達・市場流通ネットワークを持つ水産商事ユニット、多様な業態向けに水産商材や業務用商材の製造・販売を行う食材流通ユニット、国内外の農畜産物を取り扱う農畜産ユニットで構成され、業態ニーズに応じた商品提案を行っています。

顧客への買付品および製造した商品の販売を主な収益源としています。大都魚類や神港魚類、ヤヨイサンフーズのほか、欧州展開を統括するウミオスヨーロッパホールディングスなどの子会社群が各機能の運営を担っています。

加工食品事業


国内外で家庭用冷凍食品、缶詰、フィッシュソーセージ、ちくわ、デザート、調味料、フリーズドライ製品、ペットフード等の製造・販売を行う加工食品ユニットと、化成品の製造・販売を行うファインケミカルユニットで構成されています。

多様な加工食品や化成品の製品販売により収益を得ています。運営はUmiosのほか、アイシア、ウミオス北日本、タイに拠点を置くKFフーズリミテッドやキングフィッシャーホールディングスリミテッドなどの子会社が行っています。

その他事業


報告セグメントに含まれない事業として、冷凍品・飼料等の保管を行う物流事業や輸配送、不動産業等を展開しています。

顧客からの保管料や荷役料、および不動産賃貸による収益を得ています。主な運営はウミオスロジなどの子会社が行っており、グループ全体のインフラを支えています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は着実な右肩上がりの成長を続けており、1兆円を超える規模に拡大しています。一方、経常利益は300億円前後で比較的安定して推移していますが、売上の拡大に伴い利益率は3%前後で微減傾向にあります。原材料費や物流コストの上昇が影響しているとみられます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 8667億円 10205億円 10307億円 10786億円 11059億円
経常利益 276億円 335億円 311億円 323億円 313億円
利益率(%) 3.2% 3.3% 3.0% 3.0% 2.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 109億円 85億円 176億円 183億円 162億円

(2) 損益計算書


直近の損益状況を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しており、売上総利益率も改善しています。営業利益についても増益を確保し、本業の稼ぐ力は安定的に維持されていることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 10786億円 11059億円
売上総利益 1456億円 1540億円
売上総利益率(%) 13.5% 13.9%
営業利益 304億円 312億円
営業利益率(%) 2.8% 2.8%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料が319億円(構成比26%)、発送配達費が225億円(同18%)を占めています。売上原価は売上高に対する構成比が86%となっており、原材料調達にかかる費用の割合が大きい事業構造となっています。

(3) セグメント収益


セグメント別に見ると、食材流通事業が売上高の過半を占める主力事業です。当期は全セグメントで増収となりましたが、利益面では構造改革が進んだ水産資源事業が黒字転換を果たした一方で、食材流通および加工食品事業はコスト増や原材料高の影響を受けて減益となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
水産資源 1276億円 1294億円 -39億円 24億円 1.9%
食材流通 7511億円 7699億円 180億円 158億円 2.0%
加工食品 1798億円 1858億円 139億円 101億円 5.4%
その他 202億円 208億円 42億円 37億円 17.9%
調整額 - - -18億円 -8億円 -
連結(合計) 10786億円 11059億円 304億円 312億円 2.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た利益で借入金の返済を行い、投資も手元の資金で賄っている健全型の状態です。企業の収益力を測るROEは9.3%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も32.9%でいずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「For the ocean, for life -海といのちの未来をつくる-」をパーパスとして掲げ、海を起点とした価値創造力で食を通じて人も地球も健康にするソリューションカンパニーへの変革を目指しています。また、誠実を旨とし、本物・安心・健康な食から広がる豊かなくらしとしあわせに貢献することをミッションとして定めています。

(2) 企業文化


同社はパーパスとミッションを実現するために大切にする価値観として、「JOY(喜び)」「PIONEER(開拓者)」「SUSTAINABILITY(持続可能性)」「SINCERITY(誠実)」「EXPERIENCE(経験)」の5つのバリューズを定めています。これまでのやり方にとらわれず、変化を受け入れて挑戦し、社内外と共創していく企業文化の醸成を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は2025年度から2027年度までの3カ年を対象とするグループ中期経営計画「For the ocean, for life 2027」を策定し、持続的成長と企業価値の向上に取り組んでいます。最終年度である2027年度に向けて、以下の財務目標を掲げています。

* 営業利益:400億円
* ROIC:5.0%
* ネットD/Eレシオ:1.0倍

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「持続的なタンパク質の提供」と「健康価値の創造」を軸に、マーケティングと研究・開発を強みである調達・加工・食材提供力に繋げる消費者起点のバリューサイクルをグローカルに展開する戦略を推進しています。環境的・経済的に持続可能性の高い事業への選択と集中や、食材流通および加工食品領域における海外展開の強化を重点施策として位置づけています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人財を「価値を生み出す資本」と捉え、社会・環境・消費者・ともに働く仲間に誠実に向き合い、新たな価値創造に挑戦し続ける人財の育成を掲げています。採用から配置、育成に至る人事基盤の整備と、経営リーダーやグローバル・DX・サステナビリティ領域を牽引する中核人財の計画的な育成を両輪として人的資本の最大化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.0歳 14.4年 7,831,821円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.0%
男性育児休業取得率 76.7%
男女賃金差異(全労働者) 63.0%
男女賃金差異(正規雇用) 69.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 81.9%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(32.8%)、キャリア採用比率(37.5%)、障がい者雇用率(2.54%)、健康診断受診率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料価格の変動リスク


同社の事業では、水産物や農畜産物などを多岐にわたり調達しています。これらの原材料の需要動向や漁獲高の変動などにより仕入価格が高騰した場合、棚卸資産の評価損が発生するほか、調達コストの上昇が利益を圧迫するリスクがあります。対策として調達先の分散化や在庫水準の適正化を進めています。

(2) 原油・エネルギー価格の高騰


漁業や水産物の輸配送、加工施設の稼働において多量のエネルギーを使用するため、原油価格の高騰は動燃料コストや発送配達費の上昇に直結します。同社は設備の省エネ化や効率的な操業、物流の効率化などを通じてコスト増の抑制に努めていますが、予想を超える価格上昇は業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) カントリーリスクと海外市場動向


同社は北米や欧州をはじめ世界各地で事業を展開しています。進出国および周辺諸国の政治・経済の変動、法制度の変更、他国の関税政策などの影響により、販売価格や調達コストが変動するリスクがあります。これに対し、進出エリアの分散や情報収集の強化、調達網の最適化を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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