エクシオグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エクシオグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の情報通信エンジニアリング企業。NTTグループ向けの通信インフラ構築を主軸に、都市インフラやシステムソリューション事業も展開しています。当連結会計年度の業績は、都市インフラ及びシステムソリューション事業の拡大により、売上高・経常利益ともに増収増益となりました。


※本記事は、エクシオグループ株式会社 の有価証券報告書(第71期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エクシオグループってどんな会社?


通信インフラ構築の最大手の一角であり、電気・土木・環境分野やシステム開発まで幅広く手がける総合エンジニアリング企業です。

(1) 会社概要


1954年に協和電設として設立され、1991年に協和エクシオへ社名変更しました。2018年にシーキューブ、西部電気工業、日本電通を完全子会社化し、グループ経営体制を強化しました。2021年に現在のエクシオグループへ社名変更し、2024年には子会社再編によりエクシオ・デジタルソリューションズ等が合併し、体制の効率化を進めています。

連結従業員数は17,260名、単体では3,778名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位も同様に日本カストディ銀行です。第3位には同グループの従業員持株会が名を連ねており、安定株主が上位を占めています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 16.19%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 9.77%
エクシオグループ 従業員持株会 4.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性4名(core_data及びHTML提出日現在参照)の計18名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は舩橋哲也氏です。社外取締役は5名選任されており、取締役会の監督機能を強化しています。

氏名 役職 主な経歴
舩橋 哲也 代表取締役社長
代表取締役会長
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ代表取締役副社長を経て、2018年同社副社長に就任。2019年より現職。
梶村 啓吾 代表取締役副社長
代表取締役社長
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ代表取締役副社長等を経て、2024年より現職。
三野 耕一 取締役専務執行役員経営企画部長 東日本電信電話北海道支店長等を経て、2014年同社入社。2022年より現職。
渡部 則由紀 取締役専務執行役員電気・環境・スマートエネルギー事業本部長
取締役専務執行役員都市インフラセグメント長電気・環境・スマートエネルギー事業本部長
1985年同社入社。電気・環境事業本部電気本部長等を経て、2022年より現職。
光山 由一 取締役常務執行役員グループ事業推進部長 東日本電信電話取締役等を経て、2016年同社常務執行役員。2019年より現職。
今泉 文利 取締役常務執行役員グローバルビジネス本部長 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ部門長を経て、2017年同社入社。2022年より現職。
林 茂樹 取締役常務執行役員財務部長CFO(Chief Financial Officer)
取締役常務執行役員財務部長兼 経営企画部長CFO(Chief Financial Officer)
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ部門長等を経て、2021年同社入社。2024年より現職。
田中 幸治 取締役常務執行役員西日本本社代表兼 関西支店長 西日本電信電話執行役員等を経て、2023年同社常務執行役員。2024年より現職。


社外取締役は、小原靖史(元トヨタ東京カローラ社長)、望月達史(元総務省自治行政局長)、吉田佳司(元JFEエンジニアリング副社長)、荒牧知子(公認会計士・税理士)、岩﨑尚子(早稲田大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンジニアリングソリューション(通信キャリア、都市インフラ)」および「システムソリューション」事業を展開しています。

(1) エンジニアリングソリューション(通信キャリア)


NTTグループやNCC(新電電)向けに、各種通信インフラ設備の構築・保守を行っています。具体的には、光ファイバ網の構築や携帯電話基地局の建設などが含まれます。

収益は、通信事業者等の顧客から、設備構築工事や保守業務の対価として受け取ります。運営は、エクシオグループやシーキューブ、西部電気工業、日本電通といった主要グループ会社が担っています。

(2) エンジニアリングソリューション(都市インフラ)


自治体や民間企業向けに通信インフラを構築するほか、オフィスビルやデータセンター等の電気・空調工事、無電柱化などの土木工事、環境プラントの建設・運営を行っています。

収益は、官公庁や民間企業から、工事請負代金や施設の維持管理料として受け取ります。運営は、エクシオグループや各エリアのグループ会社が主体となって行っています。

(3) システムソリューション


通信キャリアや金融・製造業向けのシステム構築・保守(SI)や、企業内ネットワークの設計・構築(NI)を提供しています。

収益は、企業顧客から、システムの開発費や保守運用費、ネットワーク機器の販売代金等として受け取ります。運営は、エクシオグループおよびエクシオ・デジタルソリューションズ等が中心となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、売上高は概ね右肩上がりで推移し、直近では6,708億円に達しています。経常利益も安定して黒字を確保しており、当期は435億円と前期比で増加しました。利益率は6〜7%台で推移しており、堅実な収益性を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 5,733億円 5,948億円 6,276億円 6,141億円 6,708億円
経常利益 382億円 452億円 338億円 369億円 435億円
利益率(%) 6.7% 7.6% 5.4% 6.0% 6.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 242億円 278億円 279億円 241億円 185億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約15%前後で安定しており、営業利益率も6%台を維持しています。増収効果に加え、採算性改善の取り組みが奏功し、各段階利益で増益を達成しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 6,141億円 6,708億円
売上総利益 892億円 1,005億円
売上総利益率(%) 14.5% 15.0%
営業利益 341億円 425億円
営業利益率(%) 5.6% 6.3%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が258億円(構成比45%)、退職給付費用が8億円(同1%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増益を達成しました。特に都市インフラ事業はデータセンターや電気工事が好調で大幅な増収増益となりました。通信キャリア事業は売上が微減ながらも利益率は向上し、システムソリューション事業も増収増益と好調に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
通信キャリア 2,535億円 2,525億円 168億円 211億円 8.4%
都市インフラ 1,772億円 2,177億円 110億円 129億円 5.9%
システムソリューション 1,834億円 2,006億円 63億円 84億円 4.2%
連結(合計) 6,141億円 6,708億円 341億円 425億円 6.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**積極型**:営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 419億円 68億円
投資CF -136億円 -184億円
財務CF -306億円 29億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「技術力を培う 豊かさを求める 社会に貢献する」という企業理念を掲げています。この理念のもと、情報通信ネットワークの構築をはじめとした多彩なエンジニアリング及びソリューションを提供し、豊かな生活環境を創り出す企業集団として社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


2030年に向けたビジョンとして「Engineering for Fusion ~社会を繋ぐエンジニアリングをすべての未来へ~」を掲げています。多様な技術の融合により、情報通信基盤だけでなくあらゆる社会インフラにソリューションを展開し、日本のみならずグローバルレベルで社会課題の解決に貢献する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画(2021~2025年度)の最終年度である2025年度の計画として、以下の数値目標を掲げています。なお、売上高については2024年度に前倒しで中期経営計画目標を達成しています。

* 売上高:7,100億円
* 営業利益:470億円(営業利益率 6.6%)
* ROE:9.2%
* EPS:146円

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的な企業価値向上を目指し、各事業セグメントでメリハリのある運営を行います。通信キャリア事業では子会社再編等による生産性向上、都市インフラ事業ではデータセンターなどの大型工事展開と選別受注による収益性向上、システムソリューション事業では高付加価値化とトータルソリューション提供を推進します。グローバル分野では構造改革による利益創出を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財第一主義」を掲げ、公正な評価・処遇と育成を通じて従業員と会社の持続的な豊かさを目指しています。急速な技術革新に対応するため、「変革リーダー育成プログラム」等の多様な研修を実施し、エンジニアリング技術者やIT・DX人財の育成に注力しています。また、多様性を尊重した組織づくりや働き方改革、健康経営も推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.7歳 18.7年 7,756,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.0%
男性育児休業取得率 35.3%
男女賃金差異(全労働者) 69.1%
男女賃金差異(正規) 73.6%
男女賃金差異(非正規) 82.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年間有給休暇取得率(78.5%)、エンゲージメント調査による総合満足度(84.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報セキュリティ事故の発生


顧客の技術データや個人情報を取り扱っているため、サイバー攻撃や紛失・盗難等による情報流出やシステム停止が発生した場合、信用の低下や損害賠償により業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、専門組織「EXEO-SIRT」による監視や社員教育等で対策を強化しています。

(2) 資材・原材料等の調達価格の高騰


資材や原材料の調達が、災害や社会不安、業績悪化等により困難になった場合、施工遅延のリスクがあります。また、価格高騰や物流コスト、労務費の上昇は業績に悪影響を与えます。対策として、早期発注や調達先の多様化、価格転嫁等の取り組みを行っています。

(3) 人財の確保・育成


少子高齢化や採用競争の激化により、十分な人財を確保・育成できない場合、競争力低下や業務運営への支障が生じる可能性があります。通年採用やグローバル人財の獲得、処遇改善、教育研修の充実、エンゲージメント向上施策等により、人財の定着と育成に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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