エクシオグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エクシオグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エクシオグループは東京証券取引所プライム市場に上場し、通信キャリアや都市インフラ向けのエンジニアリング事業、および各種企業向けのシステムソリューション事業を展開しています。直近の業績は、売上高が7,877億円(前期比17.4%増)、経常利益が527億円(前期比21.2%増)と好調な増収増益トレンドを維持しています。


※本記事は、エクシオグループ株式会社の有価証券報告書(第72期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. エクシオグループってどんな会社?


通信インフラから都市インフラ、システムソリューションまで幅広いエンジニアリングサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1954年に日本電信電話公社の電気通信設備拡張計画に対応するため協和電設として設立されました。1963年に東京証券取引所市場第二部に上場し、1972年に市場第一部へ指定されました。1991年に協和エクシオへ社名変更し、2018年にはシーキューブや西部電気工業などを子会社化、2021年に現在の社名へ変更しています。

同社グループの従業員数は連結で17,751名、単体で3,781名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同じく信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)、第3位は同社の従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 16.90%
日本カストディ銀行(信託口) 9.50%
エクシオグループ従業員持株会 5.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性4名の計18名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は梶村啓吾が務めており、社外取締役の比率は約38.5%となっています。

氏名 役職 主な経歴
梶村啓吾 代表取締役社長 NTTドコモビジネス等を経て、2020年にNTTドコモビジネスエンジニアリング代表取締役社長に就任。2024年に同社代表取締役副社長となり、2025年より現職。
舩橋哲也 代表取締役会長 NTTドコモビジネス等を経て、2019年に同社代表取締役社長に就任。2023年に情報通信エンジニアリング協会代表理事・会長に就任し、2025年より現職。
渡部則由紀 取締役専務執行役員都市インフラセグメント長電気・環境・スマートエネルギー事業本部長 1985年に同社へ入社し、電気・環境事業本部の各要職を歴任。2020年に専務執行役員に就任し、2022年に取締役専務執行役員となり、2025年より現職。
今泉文利 取締役常務執行役員グローバルビジネス本部長EXEO GLOBAL Pte.Ltd.代表取締役社長 NTTドコモビジネス等を経て、2017年に同社入社。2018年よりEXEO GLOBAL Pte. Ltd.代表取締役社長を務め、2022年より現職。
林茂樹 取締役常務執行役員財務部長兼経営企画部長CFO NTTドコモビジネス等を経て、2021年に同社入社。2022年に執行役員財務部長CFOに就任し、2024年に取締役常務執行役員となり、2025年より現職。
田中幸治 取締役常務執行役員西日本本社代表兼関西支店長 NTT西日本等を経て、2023年に同社入社。常務執行役員西日本本社代表兼関西支店副支店長などを経て、2024年に取締役常務執行役員となり、2024年より現職。
前田幸一 取締役常務執行役員システムソリューションセグメント長ソリューション事業本部長 NTTドコモビジネス等を経て、2019年に同社入社。エクシオ・デジタルソリューションズ代表取締役社長などを経て、2025年より現職。
小林正樹 取締役常務執行役員土木事業本部長 NTTインフラネット等を経て、2024年に同社入社し常務執行役員土木事業本部長に就任。2025年より現職。


社外取締役は、小原靖史(元大阪トヨタ自動車社長)、岩﨑尚子(NPO法人国際CIO学会理事長)、望月達史(元全国町村議会議長会事務総長)、吉田佳司(元JFEエンジニアリング副社長)、荒牧知子(荒牧公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「通信キャリア」「都市インフラ」「システムソリューション」事業を展開しています。

(1) 通信キャリア


同社グループは、NTTグループやNCC(新電電)向けの各種通信インフラ設備の構築および保守サービスを提供しています。通信キャリア各社を主な顧客として、高品質な情報通信ネットワークの基盤整備を支援しています。

収益源は通信インフラ設備の構築および保守に伴う請負代金やサービス提供料です。運営は同社のほか、エクシオテックやシーキューブ、西部電気工業、日本電通などが担っています。

(2) 都市インフラ


同社グループは、自治体や官公庁、鉄道会社、民間企業向けに各種通信インフラ設備の構築や保守を提供しています。また、オフィスビルやデータセンターの電気・空調工事、メガソーラー等のスマートエネルギー工事、都市土木工事なども手がけています。

収益源は、これら各種インフラ設備の構築、保守、建設、運転維持管理に基づく請負代金やサービス提供料です。運営は同社およびシーキューブ、西部電気工業、日本電通などが行っています。

(3) システムソリューション


同社グループは、通信キャリアや金融業、製造業をはじめとする各種企業向けに、システムインテグレーションおよびネットワークインテグレーションを提供しています。企業向けサーバ・LANの設計・構築やインターネット環境整備など幅広いITソリューションを展開しています。

収益源は、システム構築や保守、ネットワークインテグレーションの提供に伴うサービス対価です。運営は同社のほか、エクシオ・デジタルソリューションズなどの子会社が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の売上高は増加傾向にあり、特に直近の売上高は大きく成長しています。経常利益も一時的な減少を経たものの、直近2期間で連続して増加し、収益性の回復と向上を示しています。利益率も安定して推移しており、堅調な業績拡大が伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 5,948億円 6,276億円 6,141億円 6,708億円 7,877億円
経常利益 452億円 338億円 369億円 435億円 527億円
利益率(%) 7.6% 5.4% 6.0% 6.5% 6.7%
当期利益 205億円 279億円 241億円 185億円 251億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移する一方で、営業利益率はわずかに改善しており、効率的な事業運営と増収効果が収益の増加に寄与していることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 6,708億円 7,877億円
売上総利益 1,005億円 1,147億円
売上総利益率(%) 15.0% 14.6%
営業利益 425億円 520億円
営業利益率(%) 6.3% 6.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が284億円(構成比45.4%)、退職給付費用が5億円(同0.8%)を占めています。また、売上原価のうち、外注費が1,422億円(構成比50.6%)、経費が1,057億円(同37.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


すべてのセグメントで売上高が増加しており、特にシステムソリューション事業が大幅な増収を記録しました。都市インフラ事業も堅調に伸びており、事業の多角化と成長戦略が全体の業績拡大に貢献していることが伺えます。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
通信キャリア 2,525億円 2,557億円
都市インフラ 2,177億円 2,485億円
システムソリューション 2,006億円 2,836億円
連結(合計) 6,708億円 7,877億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 68億円 332億円
投資CF -184億円 -150億円
財務CF 29億円 -165億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均とほぼ同じ水準である一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は49.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「技術力を培う 豊かさを求める 社会に貢献する」という企業理念のもと、すべてのステークホルダーから信頼される誠実で透明性の高い経営の実現を目指しています。多彩なエンジニアリングとソリューションの提供により、豊かな生活環境を創り出す企業集団として社会への貢献を掲げています。

(2) 企業文化


同社グループは、コンプライアンス・プログラムの実施や内部監査制度の充実を通じて、業務の有効性と効率性を確保する文化を重んじています。「安全・品質の確保」を最重要課題と位置づけ、すべての役員・従業員が安全と品質を最優先に行動する「安全品質文化」の形成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは「2030ビジョン」および「中期経営計画(2026~2030)」を策定し、持続的成長と企業価値の向上を目指しています。2030年度の業績目標として以下を掲げています。

* 売上高:9,000億円以上
* 営業利益(率):770億円(8.5%)
* ROE:12.0%
* EPS:260円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「顧客志向の強化と徹底」「先進技術への挑戦」「人財中心の経営の実践」を成長ドライバーに掲げています。通信インフラ事業ではコスト効率化による利益最大化、社会インフラ事業では電気設備分野へのリソースシフト、システムソリューション事業では生成AI等への対応力向上による持続的成長を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは人財を最重要の経営資源と位置づけ、「人財中心の経営の実践」を成長ドライバーに掲げています。競争力のある人財確保、変革リーダー・戦略的人財の育成、事業動向に応じた内部リソースの最適配置、エンゲージメント向上と多様な働き方の推進を通じて、人的資本経営の高度化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.1歳 19.1年 8,429,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.1%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 67.8%
男女賃金差異(正規労働者) 72.4%
男女賃金差異(非正規労働者) 78.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年間有給休暇取得率(82.0%)、エンゲージメント調査による総合満足度(85.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報セキュリティに関するリスク


同社グループは顧客の重要な情報を扱っており、サイバー攻撃や不正アクセス、端末の紛失等による情報流出やシステム障害が発生した場合、顧客からの信頼低下や損害賠償義務の発生等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 資材・原材料等の調達価格の高騰


自然災害や地政学的リスクの高まりなどにより、資材や原材料の安定的な調達が困難になるリスクがあります。また、エネルギー価格や物流コストの上昇、半導体の供給制約などが重なり調達コストが増加した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) コンプライアンスに関するリスク


建設業法や独占禁止法など様々な法的規制を受けており、法改正等への対応が求められます。従業員による不正行為やハラスメント、個人情報の漏洩などのコンプライアンス違反が発生した場合、社会的信用の失墜により企業評価や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人財の確保・育成に関するリスク


少子化や技術者の高齢化、採用市場の競争激化により、十分な人財を確保・育成できないリスクがあります。最新技術への対応や次世代経営幹部の育成に課題が生じた場合、競争力の低下や業務運営の支障を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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