※本記事は、東亜建設工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東亜建設工業は、建設事業を主軸とし、建設に附帯する事業、不動産事業、船舶の建造・修理など多岐にわたる事業活動を展開しています。同社グループは、国内土木・建築工事に加え、東南アジアやアフリカを中心に海外での工事も手掛けています。
単体従業員数は1,880名、連結従業員数は2,145名です。セグメントは国内土木事業、国内建築事業、海外事業、その他の4つです。
主な国内グループ会社は、東亜鉄工(その他)、東亜機械工業(同)、信幸建設(同)、東亜エージェンシー(同)、東亜海運産業(同)などです。
2025年7月1日付で、連結子会社の東亜ビルテックが東亜リアルエステートに吸収合併され、東亜リアルエステートは東亜リアテックに商号変更しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東亜建設工業は、建設業という専門性の高い分野で事業を展開しており、従業員の専門能力と経験を重視する傾向が見られます。同社では、長期的なキャリア形成を支援する人材育成と、多様な働き方を推進する環境整備に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期的にキャリアを築きやすい環境にあることがうかがえます。中堅層が厚く、安定した組織基盤を持つ傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 10,193,864円 |
| 平均勤続年数 | 17.8年 |
| 平均年齢 | 44.0歳 |
| 単体従業員数 | 1,880人 |
| 連結従業員数 | 2,145人 |
| 単体のグループ内比率 | 87.6% |
なお、直近の主要子会社のデータは以下の通りです。
| 会社名 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|
退職給付制度として、同社および連結子会社は確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両制度を採用しています。これらの制度は国内グループ会社および海外子会社を含む従業員に適用されています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は157億円、年金資産は248億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、長期ビジョン<TOA2035>の実現に向け、人材を最重要経営資源と位置付けています。事業規模の拡大と生産性向上を両立させるため、量的確保と質的高度化を同時に進める人的資本経営を推進しています。中期経営計画(2026~2028)では、「社会の要請に応える人材と事業の成長」を基本方針とし、経営戦略と人材戦略を一体で推進する方針です。
従業員の給与は、経営戦略と人材戦略を踏まえ、個人の成果・能力、職務内容、責任の大きさを総合的に勘案して決定されます。総合職の基本給は職能給と職務給で構成され、職能給は能力の伸長を評価する人事考課に応じて、職務給は担当職務内容と責任の大きさに応じて決定されます。賞与は会社業績と個人の成果を反映させる仕組みとなっており、社会情勢や労働市場の動向も考慮し、適切な処遇水準の維持・向上に努めています。
具体的な人材戦略としては、各事業戦略に即した人材の確保と育成に取り組んでいます。国内土木事業では若手作業所長の育成、国内建築事業では現場運営の中核となる人材の強化、海外事業ではグローバル人材の計画的育成を進めています。全社共通の取り組みとして、全社員リクルーター制度やインターンシップの強化、退職後の知見を活かす「カムバック採用」の拡充、2026年度からのシニアS制度導入などがあります。
また、各事業の人材戦略を加速させる全社人材戦略として、DE&Iの推進、次世代経営人材の育成、従業員エンゲージメントの向上に注力しています。DE&I推進では、2030年度に女性管理職数を25名以上とする目標を掲げ、地域限定総合職制度の導入やリーダーシップ研修、アンコンシャスバイアス研修などを実施しています。経営人材育成では、経営人材育成計画(サクセッションプラン)の再整備を進め、20代後半から30代前半の総合職全員を対象とした経営人材基礎研修や、選抜型の研修を実施しています。従業員エンゲージメント向上に向けては、カエル会議、360度フィードバック、TOAダイアログといったオープンなコミュニケーションを促進する施策や、テレワークを中心とした柔軟な働き方を推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
女性管理職比率および男女賃金差異は女性活躍推進法に基づき、男性育児休業取得率は育児介護休業法に基づき算出されています。賃金には基本給、各種手当、賞与等が含まれ、通勤手当等は除かれています。正規雇用労働者には社外への出向者が含まれ、パート・有期雇用労働者には派遣社員が除かれています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 97.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 58.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 62.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期雇用労働者) | 43.5% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 信幸建設
女性管理職比率および男女賃金差異は女性活躍推進法に基づき算出されています。賃金には基本給、各種手当、賞与等が含まれ、通勤手当等は除かれています。男女の賃金差異の要因は、上位職階に占める女性従業員の割合が男性のそれと比較して低いことが挙げられ、給与体系における差異はありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 57.22% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 59.29% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期雇用労働者) | 45.48% |
各事業戦略に即した人材戦略
1級土木・建築施工管理技士合格率は、当該事業年度に実施された1級土木・建築施工管理技術検定における第2次検定合格者数を受験者数で除した割合です。35歳以下の作業所長人数は、各事業年度内に任用された人数を合計しています。協力会社合同技術研修受講者数は、協力会社の従業員の受講者数を累計しています。直接要員とは現場(作業所)に常駐し、施工管理を担当する従業員を指します。作業所長・次席級とは、当該事業年度末日現在においてこれらの職責を担える人数を合計しています。45歳以下の作業所長人数は、2025年度以降に任用された人数を累計しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数(連結) | 2,145人 |
| 新卒採用者数(総合職) | 103人 |
| キャリア採用者数(総合職) | 41人 |
| 自己都合離職率(総合職) | 1.7% |
| 土木職新卒採用者数(総合職) | 59人 |
| 1級土木施工管理技士合格率 | 71.1% |
| 35歳以下の作業所長人数 | 20人 |
| 協力会社合同技術研修受講者数 | - |
| 建築職 従業員数(直接要員) | 229人 |
| 建築職新卒採用者数(総合職(施工管理)) | 25人 |
| 作業所長・次席級人数 | 106人 |
| 45歳以下の作業所長人数 | 13人 |
| 1級建築施工管理技士合格率 | 15.4% |
| 海外トレーニー派遣人数 | 14人 |
| 国際人材従業員数(総合職) | 36人 |
DE&I
準幹部職・幹部職は課長職以上の役職に就くことのできる職階を指します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒採用者(総合職)に占める女性の割合 | 10.7% |
| 女性管理職数 | 8人 |
| 女性準幹部職・幹部職数 | 15人 |
| 障がい者雇用率 | 3.1% |
経営人材の育成
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 経営人材育成選抜研修受講者数 | 29人 |
従業員エンゲージメントの向上
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員エンゲージメント指標 | 3.7 |
| 育児休業取得率(女性) | 100.0% |
| 育児休業取得率(男性) | 97.4% |
人的資本データシート(提出会社)
各指標の数値は、障がい者雇用率を除いて各事業年度末日現在のものを表示しています。臨時従業員を除く従業員数(期末)、平均年齢、平均勤続年数に係る各指標においては、人的資本経営の観点から同社から社外への出向者を含み、他社から同社への出向者を除いています。障がい者雇用率は、障害者雇用促進法に基づき各事業年度6月1日時点のものを表示しています。育児休業平均取得日数は、厚生労働省が推奨する方法により当該年度に育児休業を終了し復帰した従業員の平均取得日数を記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 2,097人 |
| うち女性従業員数 | 310人 |
| 臨時従業員を除く従業員数(期末) | 1,948人 |
| うち女性従業員数 | 236人 |
| (女性従業員比率) | 12.1% |
| 平均年齢 | 44.9歳 |
| 平均勤続年数 | 17.4年 |
| うち男性総合職 | 17.1年 |
| うち女性総合職 | 10.1年 |
| 総合職従業員数 | 1,665人 |
| うち女性総合職従業員数 | 205人 |
| (女性総合職従業員比率) | 12.3% |
| 一般職(実務職)人数 | 16人 |
| うち女性一般職従業員数 | 16人 |
| 準幹部職・幹部職人数 | 834人 |
| 女性準幹部職・幹部職人数 | 15人 |
| 管理職数 | 764人 |
| うち女性管理職数 | 8人 |
| (女性管理職比率) | 1.0% |
| 国際人材総合職人数 | 36人 |
| 国際人材準幹部職・幹部職人数 | 3人 |
| 新卒採用者数(総合職・一般職) | 103人 |
| うち女性採用者数 | 12人 |
| (女性採用者数/新卒採用者数) | 11.7% |
| うち女性総合職人数 | 11人 |
| (女性総合職人数/新卒採用者数) | 10.7% |
| 入社3年以内離職率 | 3.4% |
| 障がい者雇用率(法定雇用率) | 3.1% |
| 年次有給休暇取得率 | 55.1% |
| 育児休業取得率(女性) | 100.0% |
| 育児休業取得率(男性) | 97.4% |
| 育児休業平均取得日数(女性) | 384.6日 |
| 育児休業平均取得日数(男性) | 42.0日 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東亜建設工業は、建設事業を主軸に、国内外でインフラ整備や建築プロジェクトを手掛ける企業グループです。幅広い事業領域で社会基盤の構築に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、建設事業を中心に、建設に附帯する事業、不動産事業、船舶の建造・修理などの事業活動を展開しています。収益は主に、顧客との契約に基づく工事請負から得ています。
同社グループの事業は、「国内土木事業」「国内建築事業」「海外事業」「その他の事業セグメント」の4つの報告セグメントで構成されています。
国内土木事業
同社の国内土木工事や設計受託等に関する事業です。港湾・鉄道・道路などのインフラ・社会資本の整備に継続的に取り組んでいます。収益は、主に国内の官公庁や民間からの土木工事請負から得ています。
国内建築事業
同社の国内建築工事や設計受託等に関する事業です。物流施設を中心とした特命案件や企画提案案件、設計施工案件の受注拡大に取り組んでいます。収益は、主に国内の民間からの建築工事請負から得ています。
海外事業
同社の海外工事全般に関する事業であり、現地法人であるPT TOA TUNAS JAYA INDONESIAやR2TOA CORPORATIONが営む事業です。東南アジアを中心にアフリカ・南アジアなどにおいて、海上土木工事などに取り組んでいます。収益は、主に海外の大型工事請負から得ています。
その他の事業セグメント
同社の不動産の開発、販売、賃貸に関する事業や、関係会社が営む建設機械の製造・販売及び修理事業、PFI事業等を含んでいます。収益は、不動産関連事業やその他の事業活動から得ています。
同社グループの売上高は、国内だけでなく海外からも得られており、特に東南アジアやアフリカ地域での事業展開が見られます。特定の顧客としては、国土交通省からの売上高が一定の割合を占めています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 国内土木事業 | 1,411億円 | 1,560億円 |
| 国内建築事業 | 1,104億円 | 942億円 |
| 海外事業 | 657億円 | 923億円 |
| その他の事業セグメント | 133億円 | 161億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、同様に増加傾向を示しています。特に当連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から増加しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,198億円 | 2,136億円 | 2,839億円 | 3,305億円 | 3,587億円 |
| 経常利益 | 101億円 | 66.1億円 | 166億円 | 201億円 | 246億円 |
| 経常利益率 | 4.6% | 3.1% | 5.9% | 6.1% | 6.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 73.8億円 | 48.4億円 | 105億円 | 149億円 | 194億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 95.70 | 56.14 | 127.73 | 187.94 | 248.40 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から増加しています。従業員1人あたり営業利益も、前期から増加しており、生産性の向上がうかがえます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と組織効率の向上を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 161.0百万円 | 167.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 10.0百万円 | 11.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
財務の安定性から、東亜建設工業の現在地を示します。同社グループは、本業で安定した資金を創出し、将来に向けた投資も行っています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
東亜建設工業グループの財務基盤は、純資産と自己資本比率の推移、そして手元資金の状況から確認できます。自己資本比率は企業の安定性を示す重要な指標であり、ROE(自己資本利益率)は資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを示します。手元資金の厚みは、不測の事態や景気変動に対する耐性を示すものです。これらの指標は、入社後の雇用や給与の安定性を判断する上で参考となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,079億円 | 1,179億円 |
| 自己資本比率 | 35.6% | 38.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.7% | 17.4% |
| 現金及び預金 | 416億円 | 494億円 |
同社グループの自己資本比率は当期で38.2%となっており、プライム市場の非製造業平均(24.2%)より高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は当期で17.4%となり、プライム市場平均(9.4%)と比較して高い水準となっています。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
東亜建設工業グループのキャッシュフローは、本業の事業活動、将来に向けた投資活動、そして資金調達や返済などの財務活動における資金の流れを示しています。当連結会計年度では、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅に増加し、投資活動によるキャッシュ・フローは減少しています。これにより、フリーキャッシュ・フローはプラスに転じています。これは、本業で安定的に資金を創出し、財務活動による資金減少を補いながら、手元資金を増加させている状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △143億円 | 480億円 |
| 投資CF | 0.9億円 | △15.4億円 |
| 財務CF | △12.5億円 | △391億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △142億円 | 465億円 |
建設業では、工事期間中に未成工事支出金が積み上がることで、営業キャッシュフローが一時的にマイナスになる場合があります。大型案件の進捗状況によって変動する特性があります。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、建設資材やエネルギー価格の高騰により工事採算が悪化するリスクを認識しています。また、建設市場の変動により工事原価が上昇し、収益性が不安定化する可能性も挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、少子高齢化や若年層の入職者減少により人手不足が継続し、十分な人材を確保できないリスクを認識しています。特に、技術者・技能者の不足や高齢化の進行は、技能継承の停滞や現場管理力の低下、過重労働による離職増加、施工品質や安全性、事業継続性への影響が懸念されるとしています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東亜建設工業は、「高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす」ことを社是とし、社会の持続的な発展と企業価値向上を両立させる経営を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
東亜建設工業の経営理念は、「皆様の信頼と期待にお応えし、皆様と共に発展して行くこと」です。
社是として「高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす」を掲げています。
同社グループは「長期ビジョン〈TOA2035〉」において、「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」というありたい姿を掲げています。
このビジョンの実現に向けて、事業戦略とサステナビリティ戦略を一体的に推進する方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、人材を最重要経営資源と位置づけ、事業規模の拡大と生産性向上を両立させる人的資本経営を推進しています。
「人が集まる会社」を会社のあるべき姿と定め、従業員の幸福度向上と、関わるすべての人が幸せになる環境整備に取り組んでいます。
DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進を持続的な成長を支える重要な全社人材戦略の一つとしています。
男性中心の同質性の高い組織構成から脱却し、多様な属性を持つ従業員一人ひとりが互いを理解しあい、働きがいのある組織を目指しています。
従業員エンゲージメント(幸福度)の向上を重要な戦略の一つとし、従業員個人の幸福度と会社の幸せが連動し、ともに成長していける仕組みを構築することを目指しています。
社内における心理的安全性の浸透を目指し、カエル会議やTOAダイアログなどの施策を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を重要な経営課題として認識しています。
経営方針および経営戦略等に重要な影響を与える可能性があるサステナビリティ関連の重要テーマとして、「気候変動への取組」「労働安全衛生」「人的資本政策」の3つを選定しています。
各事業部門および管理部門における人材戦略・生産性向上策、DX戦略にフォーカスし、組織能力やキャパシティを向上させるための取組みを進めています。
また、アンローダークレーン解体工事における重大災害に関して、外部有識者を交えた社内事故調査委員会を設置し、再発防止策を策定し確実に講じていくとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東亜建設工業は、長期ビジョン〈TOA2035〉を掲げ、社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創ることを目指しています。法令や社会規範の遵守、迅速かつ柔軟な経営体制により、企業活動の健全性と透明性を確保することを基本方針としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、信託銀行や事業会社、従業員持株会など、多様な主体によって支えられていることがわかります。筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、機関投資家が上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.90% |
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 5.50% |
| 太平洋セメント | 5.22% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役兼執行役員社長は早川毅氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 早川 毅 | 代表取締役 兼執行役員社長 | 1989年4月同社入社、2022年6月同社代表取締役兼執行役員社長より現職。 |
| 木村 克尚 | 取締役 兼 執行役員専務 国際事業本部長 | 1990年4月同社入社、2025年4月同社取締役兼執行役員専務国際事業本部長より現職。 |
社外取締役は、国谷史朗氏(弁護士法人大江橋法律事務所パートナー・株式会社ネクソン社外取締役(監査等委員)・株式会社JERA社外取締役)、関根嘉奈子氏(Kyrgyz Investment and Credit Bank社外取締役)、岡村眞彦氏(元三井物産常務執行役員)、半田未知(佐々野未知)氏(コントロールソリューションズ代表取締役社長・公認会計士・税理士・株式会社オークネット社外取締役(監査等委員))、玉井哲史氏(玉井哲史公認会計士事務所代表・公認会計士・稲畑産業社外取締役(監査等委員))です。
同社は2019年6月に監査等委員会設置会社へ移行しています。独立性の高い社外取締役を含む監査等委員である取締役が出席することで、業務の執行状況の監督機能を強化する体制となっています。また、過半数を社外取締役で構成する指名報酬委員会を設置しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、金銭報酬と業績に応じて付与ポイントが変動する株式報酬の非金銭報酬で構成されています。監査等委員である取締役および社外取締役の報酬は、独立性確保の観点から定額の金銭報酬としています。
月額報酬は定額報酬と変動報酬からなり、変動報酬は個々の業績評価結果に応じて5段階で加減算されます。短期インセンティブ報酬は、受注高、連結営業利益、連結純利益、株価(TOPIX対比)を業績指標とし、目標達成度に基づいて支給額が決定されます。非金銭報酬である業績連動型株式報酬は、取締役が株主と株価変動リスクを共有し、中長期的な企業価値向上への貢献意識を高めることを目的としています。
個人別報酬が開示されている役員は、早川毅氏(1.25億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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