※本記事は、マーチャント・バンカーズ株式会社 の有価証券報告書(2025年10月期、2024年11月1日 ~ 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
マーチャント・バンカーズは、日本企業や中国等の海外企業への不動産投資事業を主軸としています。株式・不動産・売掛金を担保とした貸金業や再生可能エネルギー分野へのプロジェクト投資なども手掛けており、投資回収によるキャピタルゲインや賃料収入が主な収益源です。
単体従業員数は2名、連結従業員数は2名です。セグメントはマーチャント・バンキング事業の1つです。
主な国内グループ会社は、MBKプロパティ(不動産の管理、運営事業)、エストニアン・ジャパン・トレーディング・カンパニー・ホールディングスなどです。
同社グループは、当連結会計年度において事業セグメントをマーチャント・バンキング事業の単一セグメントへ変更しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
マーチャント・バンカーズは、少数精鋭の組織体制で事業を展開しています。従業員の定着を重視し、働きやすい環境づくりに力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的年齢層が高く、長く勤めている従業員が多い傾向が見られます。これは、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、参考となる情報です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,053,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.2年 |
| 平均年齢 | 52.0歳 |
| 単体従業員数 | 2人 |
| 連結従業員数 | 2人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
マーチャント・バンカーズは、複数事業主制度による総合設立型の厚生年金基金に加入しています。これは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の両方の性質を持つ制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中長期的な企業価値向上のため、ダイバーシティによる個々の力の掛け合わせを重要な戦略と位置付けています。国籍、性別、年齢、学歴、職歴など、様々な立場の価値観や経験を生かした組織づくりを行っています。
従業員の定着率向上を図るため、独自の休暇制度を設けています。入社より3ヶ月を経過した従業員には、年に一度「シーズン休暇」と称した休日を含めた連続7日間の特別休暇が付与されます。
また、入社3年を経過した従業員には「ボーナス休暇」と称した連続10日間の特別休暇が3年ごとに付与されます。これらの休暇は資格取得や自己研鑽の機会としての趣旨を含み、同休暇と認定された場合、対象者には別途補助金等が支給されます。要介護状態にある家族がいる従業員は介護休暇を取得することができ、今後も人材育成及び社内環境整備に関して、組織の多様性を目指し努めていく方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
マーチャント・バンカーズは、マーチャント・バンキング事業を主軸に、不動産投資や貸金業、再生可能エネルギー分野への投資を手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、マーチャント・バンキング事業を主な事業としています。この事業では、日本企業および中国等の海外企業への不動産向け投資事業を行っています。また、株式、不動産、売掛金を担保とした貸金業や、再生可能エネルギー分野へのプロジェクト投資などの投資事業も展開しています。
主な収益源は、株式や不動産等の投資回収によるキャピタルゲインです。加えて、所有する不動産からの賃料収入も主な収益源となっています。その他の収益には、賃貸収入、投資収益、営業貸付収益が含まれています。
同社グループはマーチャント・バンキング事業の単一セグメントであるため、事業別の詳細な区分は行っていません。前期には店舗運営事業も存在しましたが、当期中に完全撤退しています。
当期は株式会社アズ企画設計、株式会社サルトラ、株式会社リレーション、株式会社第一寶亭留といった特定の顧客への販売実績が確認できます。本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、地域ごとの売上高の記載は省略されています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は変動を伴いながら推移しています。経常利益は、黒字と損失を繰り返しており、当期は経常損失を計上しました。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に変動が大きく、当期は純損失となっています。
当期は、賃貸用不動産の売却や投資有価証券の評価損、新株発行に伴う株式交付費や株主優待費用が影響し、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上しました。営業活動によるキャッシュ・フローは継続して収入を確保しており、本業でのキャッシュ創出力は維持されている傾向が見られます。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 27.2億円 | 43.5億円 | 15.4億円 | 44.5億円 | 33.8億円 |
| 経常利益 | 2.2億円 | 1.4億円 | △85百万円 | 100百万円 | △32百万円 |
| 経常利益率 | 8.1% | 3.3% | △5.5% | 2.2% | △0.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 71百万円 | △66百万円 | 99百万円 | 1.8億円 | △86百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 2.48 | △2.25 | 3.37 | 6.23 | △2.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの売上高および営業利益は減少しましたが、連結従業員数がそれ以上に減少したため、従業員1人あたり売上高および従業員1人あたり営業利益はともに増加しています。この変化は、組織のスリム化や効率化の進展を示唆している可能性があります。
| 指標 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 1,482.2百万円 | 1,691.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 108.8百万円 | 142.6百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
マーチャント・バンカーズの財務状況は、自己資本や手元資金の厚み、そしてキャッシュフローの動きから確認できます。これらの情報は、同社グループの事業運営の安定性を示すものです。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
マーチャント・バンカーズの財務基盤は、自己資本比率と手元資金の状況から確認できます。当期の自己資本比率は30.1%であり、前期の25.5%から上昇しています。これはプライム市場の非製造業平均24.2%と比較して高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期が△1.9%で、前期の4.4%からマイナスに転じています。プライム市場平均の9.4%を下回る水準です。
現金及び預金は当期末で16.0億円となり、前期末の12.7億円から増加しています。手元資金の増加は、不測の事態への耐性を示すものです。
これらの財務状況は、同社グループの事業運営における安定性や成長性を示すものです。
| 指標 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 41.8億円 | 46.5億円 |
| 自己資本比率 | 25.5% | 30.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.4% | △1.9% |
| 現金及び預金 | 12.7億円 | 16.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
マーチャント・バンカーズのキャッシュフローは、当期において営業活動によるキャッシュフローが23.6億円の収入となり、前期の31.4億円の収入から減少しています。これは主に棚卸資産の減少額や減価償却費の計上によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△13.0億円の支出となり、前期の△49.7億円の支出から減少しました。有形固定資産や暗号資産等の取得による支出が主な要因です。
財務活動によるキャッシュフローは△7.8億円の支出となり、前期の21.3億円の収入から支出に転じています。長期借入金の返済による支出が主な内訳です。
これらの結果、フリーキャッシュフローは当期に10.5億円のプラスとなり、前期の△18.3億円から改善しました。本業で得た資金が投資を上回っており、資金繰りに余裕がある状況を示しています。これは、事業の安定的な運営を支える要素となります。
| 項目 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 31.4億円 | 23.6億円 |
| 投資CF | △49.7億円 | △13.0億円 |
| 財務CF | 21.3億円 | △7.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △18.3億円 | 10.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、中国を中心とした東アジア地域向けに投資活動を行っており、外国為替相場の動向が財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外での事業展開においては、現地の法令・商習慣の変更、政治・経済情勢の急変、テロ・戦争などのリスクが内在しています。
投資業の性質上、市場取引や特定の相対取引において競合他社が存在し、取引価格や機会に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、投資業や本社部門の管理業務に従事する役職員に相当の知識、能力、業務経験を求めており、少数精鋭の体制を敷いています。
このため、基幹人員の退職や休職等により、業務上の不都合が生じるリスクがあります。
代替人員の確保、採用活動の充実、業務委託先の活用などの施策を実施している状況です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
マーチャント・バンカーズグループは、投資会社として多様な投資活動を通じて持続的な企業成長を目指しています。事業家としての視点と独立系の強みを活かし、ダイナミックな事業展開と堅実な経営を両立させる企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
マーチャント・バンカーズグループは、投資会社としてさまざまな投資活動の成果により、持続的な企業成長を実現することを基本方針としています。事業会社の実績を活かした丁寧なハンズオン投資を行い、投資の規模や業種、スキームを限定しないダイナミックな投資活動を展開しています。収益の安定化や財務健全性、手元資金の状況、その他の経営リスクに配慮した慎重な投資姿勢を堅持しています。投資活動によるキャピタル・ゲインの追求と安定した収益基盤の構築を目指しており、今後は企業投資活動や不動産仲介等による手数料収益など、収益の幅を広げる取り組みを進める方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、効率的な経営管理体制を目指し、あらゆるコストの削減に果断かつ継続的に取り組む企業風土です。志と自己規律を高めて法令順守・遵法精神の向上に努め、徹底した対話を通じて経営戦略の共有化を図り、企業価値向上に努めています。また、ダイバーシティを重要な戦略と位置づけ、国籍、性別、年齢、学歴、職歴など多様な価値観や経験を活かした組織づくりを進めています。役員および従業員は「マーチャント・バンカーズ・グループ行動規範」に則り行動しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
マーチャント・バンカーズグループは、経営基盤の強化と持続的な事業成長を実現するための重要課題として、専門知識や豊富な経験を持った人材の確保・育成・組織化に取り組んでいます。また、グループ全体のコンプライアンス体制とリスク管理体制の強化をさらに進め、引き続き経営の健全性確保に努める方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
マーチャント・バンカーズは、監査役会設置会社として、取締役会と監査役会を設置しています。事業に精通した取締役による経営効率の維持・向上と、監査役会による監査・監督機能の充実を通じて、健全な経営体制の実現に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
マーチャント・バンカーズの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるアートポートインベストです。上位株主には複数の事業会社や投資会社が名を連ねており、多様な主体によって支えられている資本構成となっています。特定の株主グループが経営に影響力を持つ傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アートポートインベスト | 32.80% |
| ぽると | 15.72% |
| TOTAL NETWORK HOLDINGS LIMITED | 14.75% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は髙﨑正年氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙﨑 正年 | 代表取締役社長 | 1990年4月国際証券株式会社(現三菱UFJモルガンスタンレー証券株式会社)入社。2003年4月アートポート入社。2013年2月アートポートインベスト代表取締役。2022年6月同社代表取締役社長兼CEOより現職。 |
| 加藤 東司 | 取締役 | 1987年4月SEDIC入社。1990年10月松下プロモーション(現アートポート)入社。2020年6月同社入社、執行役員経営管理部長。2025年1月同社取締役CFOより現職。 |
| サム・ガーボウ | 取締役 | 1989年6月Golden Harvest (HK) Limited入社。2017年7月MBK Asia Limited入社、ディレクター。2023年6月同社取締役より現職。 |
| 山﨑 佳奈子 | 取締役 | 2004年6月マザーバード入社。2016年9月同社入社。2023年3月同社執行役員CFO兼財務経理部長。2025年1月同社取締役経理部長より現職。 |
| 西村 豊一 | 取締役 | 1986年4月プレイロード入社。1999年6月アートポート入社。2010年8月ラファン代表取締役。2016年3月アートポートインベスト代表取締役。2019年6月同社取締役より現職。 |
| 川戸 淳一郎 | 取締役 | 1988年4月弁護士登録。2014年10月クラウドバンク取締役。2016年1月川戸淳一郎法律事務所所長。2024年1月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、川戸淳一郎氏(川戸淳一郎法律事務所所長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。社外監査役が半数以上を占める監査役会が、中立的かつ客観的な経営監視を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
マーチャント・バンカーズの役員報酬は、株主総会で承認された総枠の範囲内で、取締役会が決定しています。報酬は主に基本報酬で構成されており、業績連動報酬や株式報酬、役員退職慰労金制度は設けていません。社外取締役の報酬は、その独立性を考慮し、抑制的な水準で定められています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 18百万円 | 2.9百万円 |
| 社外取締役 | 1名 | 2百万円 | 2.4百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 7百万円 | 2.4百万円 |
合計で10名の役員に対し、総額27.1百万円の報酬が支払われています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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