イメージワン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イメージワン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する、医療画像システム等のヘルスケア事業と衛星画像処理等の地球環境事業を展開する企業です。直近の業績は、主力事業の伸び悩みや不採算案件の影響等により大幅な減収となり、営業損失および当期純損失を計上する厳しい状況が続いています。


※本記事は、株式会社イメージワン の有価証券報告書(第42期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. イメージワンってどんな会社?


医療現場のIT化を支援するヘルスケア事業と、衛星画像や再生可能エネルギーを扱う地球環境事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1984年に設立され、画像処理機器の輸入販売を開始しました。2000年には大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現スタンダード市場)へ上場を果たしています。その後、2010年にISO27001認証を取得し情報管理体制を強化、2019年には再生可能エネルギー事業や電子カルテ事業へ参入するなど事業領域を拡大しました。2024年には医療経営管理システム等の自社製品販売を開始しています。

2025年9月30日現在、従業員数は単体で42名です。筆頭株主は同社と業務提携を行うabc株式会社(旧GFA株式会社)で、第2位は楽天証券、第3位は貸借取引の決済業務等を行う日本証券金融となっています。abc株式会社とは医療及び投資関連事業などで業務提携を行っています。

氏名 持株比率
abc株式会社(旧GFA株式会社) 8.59%
楽天証券 4.82%
日本証券金融 3.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は川倉歩氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
川倉 歩 代表取締役社長 1994年因幡電機製作所入社。ジェンス代表取締役を経て、2018年同社取締役就任。2023年9月より現職。
横山 惠一 取締役 1987年アシスト入社。マイクロソフトでの製品マネージャー等を経て、オプティム執行役員等を歴任。2025年4月より現職。
津田 由 行 取締役 1992年東京リコー入社。ステラ・グループ代表取締役、プロジェホールディングス取締役等を歴任。Total Foods代表取締役。2025年12月より現職。
鈴 木 政 司 取締役 1999年國悦電氣工事(現FD)創業。2007年同社代表取締役。2025年12月より現職。


社外取締役は、宮﨑和彦(元テレコムオンライン社長)、保津章一(JCインベストメント代表取締役)、大谷龍生(弁護士)、佐々木健郎(公認会計士・税理士)、田中紀行(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ヘルスケアソリューション事業」および「地球環境ソリューション事業」を展開しています。

(1) ヘルスケアソリューション事業


医療機関向けに、医療画像保管・配信・表示システム(PACS)や電子カルテ、放射線部門情報システムなどの開発・販売を行っています。また、医療経営管理システムや支払代行サービス、遠隔画像診断支援サービスなども提供しており、医療現場のDX化や経営効率化を支援しています。

主な収益源は、医療機関等の顧客に対するシステムや機器の販売代金、および保守サービス料です。また、新型コロナウイルス対策関連の検査機器や消耗品の販売も行っています。運営は主に同社が行っています。

(2) 地球環境ソリューション事業


建設・測量現場で活用される三次元画像処理ソフトウェア「Pix4D」シリーズや計測ツールの販売を行うGEOソリューション分野、太陽光発電所の売買を行うエネルギー分野、トリチウム分離技術などの原子力関連分野を展開しています。

収益源は、ソフトウェアのライセンス販売料、計測機器等の商品販売代金、太陽光発電所の売却益などです。運営は同社が行っており、一部の研究開発等は関連会社の創イノベーション株式会社と共同で進めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2023年9月期までは連結、2024年9月期以降は単体の数値となります。直近の業績は、売上高が減少傾向にあり、利益面では営業損失、経常損失、当期純損失と赤字が続いています。特に直近期では売上が大きく落ち込んでいます。

項目 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上収益(または売上高) 33億円 30億円 16億円 9億円
経常利益 -3.6億円 -7.1億円 -8.7億円 -4.5億円
利益率(%) -10.9% -23.8% -55.4% -51.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -4.8億円 -6.6億円 -8.9億円 -5.6億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な減少に伴い、売上総利益は黒字を確保したものの、販管費を賄いきれず営業損失となっています。コスト削減等の取り組みは見られますが、依然として厳しい収益構造が続いています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 16億円 9億円
売上総利益 -1.2億円 2.5億円
売上総利益率(%) -7.4% 28.9%
営業利益 -8.4億円 -4.1億円
営業利益率(%) -54.1% -47.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.3億円(構成比34.4%)、賞与引当金繰入額が0.2億円(同2.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


ヘルスケアソリューション事業は増収となりましたが、利益面では損失が続いています。地球環境ソリューション事業は、エネルギー分野での大型案件がなかったことなどから大幅な減収となり、損失を計上しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期) 利益(2024年9月期) 利益(2025年9月期) 利益率
ヘルスケアソリューション事業 5億円 7億円 -4億円 -0.6億円 -9.6%
地球環境ソリューション事業 11億円 2億円 -0.2億円 -0.1億円 -6.7%
その他 - - - - -
調整額 - - -4億円 -3億円 -
連結(合計) 16億円 9億円 -8億円 -4億円 -47.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の収益力が低下し営業キャッシュ・フローがマイナスとなる中、投資活動による支出も続き、株式の発行などによる財務活動で資金を調達している「勝負型」の状況です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF -2.1億円 -4.5億円
投資CF -0.3億円 -0.6億円
財務CF -0.4億円 5.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-79.0%で市場平均を大きく下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.9%で市場平均をやや下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「人の健康と地球環境」の分野において、IT医療と再生可能エネルギー及び環境事業を通じ、顧客の迅速かつ的確な意思決定・意志伝達を支援することで、健康的な長寿社会とクリーンなエネルギー社会の創造に貢献することをミッションとして掲げています。

(2) 企業文化


同社は、公明正大な事業運営を基本理念とし、胸を張って正しいと思える仕事を全うすることを重視しています。また、真心を込めて相手に接し、迅速かつ的確なコミュニケーションを通じて組織全体でリスクを防ぐとともに、すべての出来事を「必要」「必然」「最高」と捉え、一喜一憂せずに前向きに行動する姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、売上高と営業利益の継続的な拡大およびROE(自己資本利益率)の向上を目標としています。新たな取り組みに対しては短期的な経営目標数値を策定し、結果にこだわった経営指標を検討するほか、長期的な計画については効率性を重視した指標を検討する方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、業績低迷からの脱却を目指し、「攻めの経営」を掲げています。新規事業の創出による収益基盤の早期確立、M&Aや業務提携による外部リソースの取り込み、既存事業の再構築による付加価値向上を柱としています。

* 医療経営管理システム「ONE Viewer」等の新規事業の収益化
* GEOソリューション分野での新市場開拓
* 不採算事業の選別と撤退・売却の検討
* エクイティファイナンス等による資金調達と管理体制の強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、性別、国籍、採用形態を問わず、個々の適性や能力に応じた人材活用を最重要視しています。多様なバックグラウンドを持つ人材の獲得や、年齢に関係なく能力と経験を重視した人物本位の登用を進めるとともに、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境の整備や、キャリアアップ推進のための人事・研修制度の充実に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 42.8歳 5.5年 6,428,000円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は「女性の職業性格における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 継続企業の前提に関する重要事象等


同社は2019年9月期以降、継続して営業損失を計上しており、直近でも大幅な損失となっています。このため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。同社は新規事業の収益化や不採算事業の見直し、資金調達の実施や管理体制の強化などを通じて、この状況の解消・改善に取り組んでいます。

(2) 訴訟について


同社は、再生EVバッテリーを事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする事業に関する取引において、複数の企業から損害賠償請求等の訴訟を提起されています。訴訟の動向によっては、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は法的正当性を主張・立証していく方針です。

(3) 情報管理に関するリスク


事業活動において顧客の機密情報や個人情報を扱うため、サイバー攻撃やシステム障害などによる情報漏洩やサービス中断が発生した場合、損害賠償請求等により業績や信用に影響を及ぼす可能性があります。同社はISMS認証を取得し管理体制を強化していますが、万全を期すための対策とサイバー保険の付保を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。