※本記事は、株式会社ハイレックスコーポレーション の有価証券報告書(第82期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハイレックスコーポレーションってどんな会社?
自動車の遠隔操作システムであるコントロールケーブル等で世界トップクラスのシェアを持つ自動車部品メーカーです。
■(1) 会社概要
1946年11月に前身となる時田産業が設立され、1963年11月に宝塚索導管として営業を開始しました。1977年6月に大阪証券取引所市場第二部へ上場を果たし、2006年5月には現在のハイレックスコーポレーションへ商号を変更しています。2012年11月にはサンメディカル技術研究所を子会社化し、医療機器分野へも展開しています。
同社グループの従業員数は連結12,071名、単体904名です。筆頭株主は資産管理会社と見られる寺浦興産で、第2位は資産管理業務を行う外国法人、第3位は公益財団法人寺浦奨学会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 寺浦興産 | 28.05% |
| CEPLUX- THE INDEPENDENT UCITS PLATFORM 2 | 4.32% |
| 公益財団法人寺浦奨学会 | 4.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は寺浦太郎氏です。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 寺浦 太郎 | 代表取締役社長 | 2000年4月富士ピー・エス入社。2002年9月同社入社。常務取締役、専務取締役などを経て、2020年1月より現職。 |
社外取締役は、正木靖子(弁護士、元兵庫県弁護士会会長)、吉川博巳(元大塚製薬工場専務取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「北米」「中国」「アジア」「欧州」「南米」の各報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 日本
国内において、自動車用コントロールケーブル、ウインドレギュレータ、ドアモジュール等の製品の製造および販売を行っています。また、医療機器(補助人工心臓等)の製造・販売や輸入販売も行っています。
主な顧客は国内自動車メーカー等です。収益はこれらの顧客に対する製品の販売によって得ています。運営は主にハイレックスコーポレーション、ハイレックス関東、ハイレックス島根などの子会社が行っています。
■(2) 北米
米国およびメキシコにおいて、自動車用コントロールケーブル、ウインドレギュレータ、ドアモジュール等の製造および販売を行っています。
主な顧客は北米市場の自動車メーカー等です。収益は製品の販売により得ています。運営はHI-LEX AMERICA INC.やHI-LEX MEXICANA,S.A.DE C.V.などの現地子会社が行っています。
■(3) 中国
中国において、自動車用コントロールケーブル、ウインドレギュレータ、ドアモジュール等の製造および販売を行っています。
主な顧客は中国市場の自動車メーカー等です。収益は製品の販売により得ています。運営は重慶海徳世拉索系統集団有限公司などの現地子会社が行っています。
■(4) アジア
韓国、インド、インドネシア、ベトナム、タイ等において、自動車用コントロールケーブル、ウインドレギュレータ、ドアモジュール等の製造および販売を行っています。
主な顧客はアジア市場の自動車メーカー等です。収益は製品の販売により得ています。運営は大同ハイレックス、HI-LEX INDIA PRIVATE LTD.などの現地子会社が行っています。
■(5) 欧州
ハンガリー、スペイン、イタリア、チェコ等において、自動車用コントロールケーブル、ウインドレギュレータ等の製造および販売を行っています。また、欧州メーカー向けの設計・営業活動も行っています。
主な顧客は欧州市場の自動車メーカー等です。収益は製品の販売により得ています。運営はHI-LEX HUNGARY CABLE SYSTEM MANUFACTURING LLCなどの現地子会社が行っています。
■(6) 南米
ブラジルにおいて、自動車用コントロールケーブル、ウインドレギュレータ等の製造および販売を行っています。
主な顧客は南米市場の自動車メーカー等です。収益は製品の販売により得ています。運営はHI-LEX DO BRASIL LTDA.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は3,000億円規模で推移していますが、直近では微減となりました。利益面では、経常利益および当期利益が大きく回復し、利益率も改善傾向にあります。特に当期利益は前期比で大幅な増益となりました。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,178億円 | 2,556億円 | 2,986億円 | 3,084億円 | 3,041億円 |
| 経常利益 | 30億円 | -25億円 | 53億円 | 27億円 | 73億円 |
| 利益率(%) | 1.4% | -1.0% | 1.8% | 0.9% | 2.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 37億円 | -31億円 | 3億円 | 50億円 | 17億円 |
※core_data.performance_trendsのデータに基づき、数値の整合性を考慮して表示しています。当期利益については単体の数値が混在している可能性があるため、連結経営指標(HTML)の数値を優先して確認すると、2025年10月期の親会社株主に帰属する当期純利益は84億円です。
■(2) 損益計算書
売上高は微減となりましたが、売上総利益は増加し、利益率も改善しました。営業利益は前期と比較して大幅に増加し、営業利益率も上昇しています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,084億円 | 3,041億円 |
| 売上総利益 | 310億円 | 340億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.0% | 11.2% |
| 営業利益 | 4億円 | 34億円 |
| 営業利益率(%) | 0.1% | 1.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が74億円(構成比24%)、研究開発費が46億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントの売上高を見ると、日本、中国、南米で増収となった一方、北米、アジア、欧州では減収となりました。特に欧州での減少幅が大きくなっています。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 507億円 | 535億円 |
| 北米 | 1,045億円 | 1,030億円 |
| 中国 | 475億円 | 480億円 |
| アジア | 741億円 | 710億円 |
| 欧州 | 289億円 | 257億円 |
| 南米 | 27億円 | 30億円 |
| 連結(合計) | 3,084億円 | 3,041億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ハイレックスコーポレーションのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に利益の増加により前年同期比で増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や定期預金の預入による支出があったものの、有価証券の売却や定期預金の払戻し等により収入が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少や配当金の支払い、自己株式の取得等により支出が増加しました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度に比べ増加しました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 118億円 | 120億円 |
| 投資CF | 4億円 | 7億円 |
| 財務CF | -45億円 | -69億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、創業の理想として「この仕事を通じて社会に貢献する。」「この仕事を通じて立派な人を創る。」を掲げています。この理想の実践と実現に向けて努力し続けることが、企業価値の向上につながるものと考えています。
■(2) 企業文化
創業の理想を実現するための両輪として、経営信条「良品・安価・即納」を定めて社会貢献への道を示し、社訓「信義誠実」「和衷協力」「不撓不屈」「業務奉仕」を定めて人間形成の道を示しています。これらを基本理念・企業文化として守り育てています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、以下の安定的な確保と拡大を重視しています。
* 社業の健全性を示す自己資本と営業利益
* 株主にとっての収益性を示すROE(自己資本利益率)
* 配当の原資となる親会社株主に帰属する当期純利益
■(4) 成長戦略と重点施策
自動車用ドアクロージャーシステム製品、モジュール製品で世界のトップサプライヤーとなることを目指し、新たにグループに迎えたハイレックスアクトとのシナジー追求等に取り組みます。重点課題として、技術融合による新たな「付加価値」の創出、部品内製化やDX推進による「利益」の追求、顧客への「提案力」の向上、および多様性を重視した「人財」への投資促進を掲げています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「元気な会社にする」というビジョンのもと、組織活動の強化、個人の成長、モチベーション向上、組織のモラール向上を目的とした施策に取り組んでいます。若手や女性社員の積極的なリーダー起用、DXによる業務高度化、グローバルな人的資本の強化を進め、収益力向上の施策を企画・実行できる人財への投資を促進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 44.1歳 | 17.9年 | 5,591,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.0% |
| 男性育児休業取得率 | 30.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 50.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 63.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 41.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、主任級にある者に占める女性労働者の割合(1%)、男女の平均勤続年数の差(4年以下)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場環境の変化
主な取引先である自動車関連メーカーの生産動向や、主要市場(北米、中国、アジア、欧州)の景気変動の影響を受けます。また、同社製品の装着率の変動も業績に影響を与える可能性があります。これに対し、顧客要望の先取りや付加価値製品の開発、非自動車分野の拡大に取り組んでいます。
■(2) 為替変動の影響
世界各地で事業を展開しているため、為替相場の変動が業績や財務状況に影響を及ぼします。為替予約や現地調達化などの対策を講じていますが、リスクを完全に回避することは困難であり、急激な変動はリスクとなります。
■(3) 海外進出に存在するリスク
海外での事業活動において、予期せぬ法規制の変更、政治・経済情勢の悪化、人材確保の困難さ、労働争議、テロや戦争による社会的混乱などのリスクが存在します。カントリーリスクの検討や現地人材の育成等により対応を進めています。



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