※本記事は、株式会社神戸物産 の有価証券報告書(第40期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 神戸物産ってどんな会社?
同社は「業務スーパー」のフランチャイズ本部として、独自商品の開発から生産、流通までを一貫して行う製販一体体制が特徴の企業です。
■(1) 会社概要
1981年に創業者が食品スーパーを開業し、2000年に「業務スーパー」FC1号店を出店しました。2006年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、2013年には東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。その後も全国展開を進め、2021年には業務スーパーの47都道府県への出店を達成するなど、順調に事業規模を拡大しています。
現在の連結従業員数は1,674名、単体では610名体制です。大株主構成については、筆頭株主は創業者の資産管理を行う公益財団法人、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位も同様に信託銀行となっており、創業家関連と機関投資家が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 公益財団法人業務スーパージャパンドリーム財団 | 31.71% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.49% |
| 特定有価証券信託受託者 SMBC信託銀行 | 2.63% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長は沼田博和氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 沼田 博和 | 代表取締役社長 | 2009年同社入社。取締役を経て2012年より現職。外食事業推進本部等の担当役員を兼任。 |
| 田中 康弘 | 代表取締役副社長 | 2001年同社入社。経営企画部門長等を経て2012年より現職。総務部等の担当役員を兼任。 |
| 木戸 康晴 | 取締役 | 2018年同社入社。経理部部長等を経て2022年より現職。経理部・財務部担当役員を兼任。 |
| 浅見 一夫 | 取締役 | 2005年同社入社。工場管理部門長等を経て2007年より現職。西日本工場管理部担当役員を兼任。 |
| 西田 聡 | 取締役 | 2002年同社入社。横浜営業所所長等を経て2009年より現職。海外事業部担当役員等を兼任。 |
| 渡邉 秋仁 | 取締役 | 2003年同社入社。横浜営業所所長等を経て2018年より現職。CS推進部担当役員等を兼任。 |
| 正田 晃一 | 取締役(常勤監査等委員) | 2016年同社入社。財務部執行役員兼部長、補欠監査役を経て2022年より現職。 |
社外取締役は、家木健至(家木公認会計士事務所所長)、野村祥子(堂島法律事務所弁護士)、町田美紗(町田公認会計士事務所代表)、稲田優(弁護士法人神戸シティ法律事務所カウンセル弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「業務スーパー事業」、「外食・中食事業」、「エコ再生エネルギー事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 業務スーパー事業
「業務スーパー」のフランチャイズ本部として、商品の企画・開発・調達を行い、加盟店へ商品を供給しています。また、国内外の連結子会社で食品の生産も行っています。顧客は主に一般消費者および業務用ユーザーです。
収益は、加盟店への商品卸売による売上や、店舗売上高に応じたロイヤリティ収入などが主な源泉です。運営は同社および国内外の連結子会社が行っています。
■(2) 外食・中食事業
大型ビュッフェ「神戸クック・ワールドビュッフェ」、焼肉オーダーバイキング「プレミアムカルビ」、惣菜店「馳走菜」を展開しています。一般消費者を顧客とし、店舗での飲食・販売サービスを提供しています。
収益は、直営店舗における一般消費者からの飲食・商品代金や、フランチャイズ店舗からのロイヤリティ収入などが主な源泉です。運営は同社および株式会社サガミベーカリー等の連結子会社が行っています。
■(3) エコ再生エネルギー事業
太陽光発電所および木質バイオマス発電所を運営し、再生可能エネルギーを活用した発電事業を行っています。顧客は主に電力会社等の電気事業者です。
収益は、固定価格買取制度等に基づく電気事業者への売電収入が主な源泉です。運営は同社が行っています。
■(4) その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、観光事業などを展開しています。
収益は、当該事業におけるサービス提供対価等が源泉となります。運営は同社および連結子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は3,621億円から5,517億円へと右肩上がりで成長を続けています。経常利益も291億円から481億円へと大幅に拡大しており、特に直近の2025年10月期は大幅な増益を達成しました。利益率も8%台後半と高い水準を維持しており、収益性を伴った成長が継続しています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,621億円 | 4,068億円 | 4,615億円 | 5,079億円 | 5,517億円 |
| 経常利益 | 291億円 | 321億円 | 300億円 | 316億円 | 481億円 |
| 利益率(%) | 8.0% | 7.9% | 6.5% | 6.2% | 8.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 167億円 | 197億円 | 178億円 | 194億円 | 277億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。営業利益率は6.8%から7.2%へと改善しており、本業の収益性が向上していることがわかります。増収効果に加え、コストコントロールが機能していることが業績拡大に寄与しています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 5,079億円 | 5,517億円 |
| 売上総利益 | 584億円 | 665億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.5% | 12.0% |
| 営業利益 | 344億円 | 399億円 |
| 営業利益率(%) | 6.8% | 7.2% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃が91億円(構成比34%)、賃金給料及び諸手当が59億円(同22%)を占めています。売上原価は売上高に対して88%程度で推移しています。
■(3) セグメント収益
主力の業務スーパー事業は、店舗数の純増に加え、PB商品のメディア露出効果などにより増収増益となり、全社業績を牽引しています。外食・中食事業も、惣菜店「馳走菜」の順調な出店や既存店の認知度向上により増収となり、利益も確保しています。エコ再生エネルギー事業は安定的に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) | 利益(2024年10月期) | 利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 業務スーパー事業 | 4,891億円 | 5,305億円 | 374億円 | 435億円 | 8.2% |
| 外食・中食事業 | 141億円 | 165億円 | 10億円 | 11億円 | 6.7% |
| エコ再生エネルギー事業 | 46億円 | 47億円 | 11億円 | 11億円 | 23.3% |
| その他 | 0.6億円 | 0.5億円 | -0.3億円 | -0.2億円 | -41.7% |
| 調整額 | 0億円 | 0億円 | -52億円 | -58億円 | -% |
| 連結(合計) | 5,079億円 | 5,517億円 | 344億円 | 399億円 | 7.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主にフランチャイジーからのロイヤリティやライセンスフィー、商品仕入高から生み出されています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資等に資金が充てられております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、金融機関からの借入やエクイティファイナンス等により、必要な資金を調達しております。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 308億円 | 421億円 |
| 投資CF | -102億円 | -89億円 |
| 財務CF | -56億円 | -111億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「食の製販一体体制」の確立を基本方針としています。原材料の調達からオリジナル商品の開発、販売に至るまでを一貫して行うことで、お客様に「プロの品質とプロの価格」で「安全・安心」な商品を安定的に供給し、笑顔あふれる豊かなくらしに貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、人材の成長を持続的な発展の原動力と捉え、「失敗を糧にして失敗から学んだことを改善して次にチャレンジする」という方針を重視しています。世の中の変化に迅速に対応し、チャレンジし続ける姿勢を大切にするとともに、性別や国籍にとらわれない人員登用を行う文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、中期ビジョンとしてPB商品の強化と業務スーパーを中心とした事業の継続的な成長を掲げています。具体的な数値目標としては、各事業年度において実施すべき施策を効率的に策定し、企業価値の向上に努めていますが、有価証券報告書内に特定の中期数値目標(KPI等)の記載はありません。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「外食・中食事業の拡大」「国内PB商品の生産能力強化」「業務スーパーの継続的な成長」を基本方針としています。具体的には、自社グループ工場への設備投資による生産能力増強や省人化、独自の品質管理体制の強化、サステナビリティへの取り組み推進、および優秀な人材の確保と育成に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「食のインフラ企業」として、社会に不可欠な価値を創造するため、優秀な人材の確保に努めています。性別や国籍にとらわれず能力や成果に応じた登用を行い、ワークライフバランスを重視して従業員のエンゲージメント向上を図ることで、企業と従業員が共に成長できる環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 38.5歳 | 7.9年 | 5,297,720円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.4% |
| 男性育児休業取得率 | 83.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 54.0% |
| 男女賃金差異(正規) | 70.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 122.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(11.4%)、有給休暇取得率(84.1%)、女性の育児休業取得率(116.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替変動の影響
世界各国より商品を輸入しており、主に米ドルやユーロで決済しています。為替ヘッジ等は行っていますが、急激な為替変動が発生した場合、仕入コストの変動などを通じて経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 不測の事態による仕入価格変動
鳥インフルエンザ等の疾病、カントリーリスク、天候不順、エネルギーコスト上昇等により、代替品の確保が困難になったり、仕入価格が大幅に変動したりする可能性があります。価格優位性のある輸入商品は代替が難しく、欠品や販売価格上昇につながる恐れがあります。
■(3) PB商品への依存度
同社グループでは、売上総利益に占めるPB(プライベートブランド)商品の割合が高い水準にあります。そのため、何らかの要因によりPB商品の売上が減少した場合、グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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