※本記事は、くら寿司株式会社 の有価証券報告書(2025年10月期、2024年11月1日 ~ 2025年10月31日、2026年1月27日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
くら寿司は、すしを主力とする直営の回転すし店をチェーン展開しています。同社グループは、くら寿司と連結子会社4社で構成されており、国内外で事業を展開しています。
単体従業員数は1,794名、連結従業員数は2,854名です。セグメントは日本、北米、アジアの3つです。
くら寿司は、すしを主力とする直営の回転すし店のチェーン展開を主たる事業としています。海外には4社の連結子会社があり、グローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
くら寿司は、外食産業において独自のビジネスモデルを展開する企業です。従業員の平均年齢や勤続年数から、比較的若手が多く活躍し、活気のある職場環境がうかがえます。同社グループは、従業員を最大の経営資源と捉え、働きがいと成長を重視した環境整備に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員一人ひとりの成長を支援し、多様な働き方を尊重する環境づくりを進めています。平均勤続年数や平均年齢から、若手社員がキャリアを築きながら長く活躍できる傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,213,450円 |
| 平均勤続年数 | 7.6年 |
| 平均年齢 | 32.4歳 |
| 単体従業員数 | 1,794人 |
| 連結従業員数 | 2,854人 |
| 単体のグループ内比率 | 62.9% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、お客様や社会に貢献する商品・サービスを提供し、事業を持続的に発展させるためには、一人ひとりが働きがいを感じ、自己成長できる人材育成環境が不可欠であると考えています。従業員を最大の経営資源と認識し、グローバル展開を見据えて働きやすく成長を目指せる職場環境を提供しています。
具体的には、「見えないところこそ大切にする」という行動指針の実践を重視し、サービス業としての基本項目(スマイル・スピーディー・クリーン)の習得に向けた教育・研修、役割・役職に適応した研修を通じて、向上心と主体性のある人材を育成しています。また、年齢や性別、国籍に関わらず多様な人材が最大限力を発揮できるよう、多様な雇用形態や仕事内容を提供することで、働きやすく働きがいのある職場環境の整備を進めています。
人材育成と社内環境整備に関する具体的な取り組みとして、役職・階層別研修、人材マネジメントシステムによるeラーニング研修、JOB型人事制度、専門職制度を導入しています。さらに、ライフステージに合わせた多様な働き方(勤務地エリア限定勤務、時短勤務等)や、海外勤務チャレンジ制度、外国人採用の促進、障害者雇用の促進にも取り組んでいます。従業員との定期的なコミュニケーションを促進するため、1on1面談や定期的なパルスサーベイも実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 77.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 92.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 70.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 117.1% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率(目標) | 2030年度までに85%(2025年度 77.4%) |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
くら寿司は、すしを主力とする直営の回転すし店をチェーン展開している企業です。同社グループは、日本国内だけでなく北米やアジアにも事業を展開し、グローバルに飲食事業を推進しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、回転すし店の直営チェーン展開を主たる事業としています。お客様に安心・安全で快適な食事を提供するため、特許技術である抗菌寿司カバー「鮮度くん」の設置や、お客様入れ替わりごとの備品交換といった取り組みを行っています。また、食べ終わった皿でゲームに挑戦できる「ビッくらポン!」や、サプライズサービス、新サービス「スマイルチャレンジ」など、エンターテインメント性も追求し、楽しい食体験を提供しています。
収益は、主に各地域の店舗における飲食サービスの提供から得ています。同社グループの事業は「日本」「北米」「アジア」の3つの報告セグメントで構成されており、それぞれの地域で事業活動を展開しています。
日本
国内においては、都心部でのインバウンド需要拡大を背景に、質の高い商品を中心としたフェアや話題性の高いコンテンツとのコラボ企画を展開しています。原材料価格に応じた商品設計の見直しや適正な原価管理も実施しています。大阪・関西万博への出店や、プレミアム回転寿司「無添蔵 中目黒店」の展開も進めています。
収益は、回転すし店での飲食サービスの提供から得ています。運営は、くら寿司が行っています。
北米
米国では積極的な新規出店を継続しており、米国でも人気の高いコンテンツとのコラボ企画を展開しています。一般管理費の抑制にも努め、売上高は順調に推移しています。
収益は、回転すし店での飲食サービスの提供から得ています。運営は、Kura Sushi USA,Inc.が行っています。
アジア
台湾では、「ちいかわ」や「PEANUTS」といった人気キャラクターとのコラボ企画や、季節に合わせたフェアを積極的に展開しています。販売促進の強化にも努め、売上高は順調に推移しています。
収益は、回転すし店での飲食サービスの提供から得ています。運営は、亞洲藏壽司股份有限公司が行っています。
| セグメント | 売上高(2024年10月期) | 売上高(2025年10月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 1,740億円 | 1,764億円 |
| 北米 | 359億円 | 421億円 |
| アジア | 251億円 | 266億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期にわたり継続して増加傾向にあります。直近の当連結会計年度においても、前期から売上高の増加が続いています。経常利益は、過去数期で変動が見られましたが、直近の当連結会計年度では前期からわずかに減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、過去数期で増加傾向を示しており、当連結会計年度においても前期から増加しています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,477億円 | 1,831億円 | 2,114億円 | 2,350億円 | 2,451億円 |
| 経常利益 | 31.7億円 | 24.6億円 | 28.8億円 | 62.2億円 | 61.8億円 |
| 経常利益率 | 2.1% | 1.3% | 1.4% | 2.6% | 2.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 19.0億円 | 7.4億円 | 8.6億円 | 32.3億円 | 36.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 47.98 | 18.76 | 21.72 | 81.18 | 90.74 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加しています。これは、従業員一人ひとりの売上貢献度が高まっていることを示しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期からわずかに減少しました。米国における新規出店費用や人件費の上昇が、収益面に影響を与えたことが要因として挙げられます。
| 指標 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 83.2百万円 | 85.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.0百万円 | 1.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
くら寿司グループの財務状況は、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている段階を示しています。これにより、事業の持続的な成長を目指していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が40.0%となっており、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)は6.1%で、プライム市場平均を下回っています。手元資金として242億円の現金及び預金を確保しており、事業運営の安定性につながる基盤が整っていると言えます。
| 指標 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 729億円 | 863億円 |
| 自己資本比率 | 40.5% | 40.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.8% | 6.1% |
| 現金及び預金 | 230億円 | 242億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは148.7億円の収入となっており、安定して資金を生み出していることがわかります。これは主に税金等調整前当期純利益と減価償却費によるものです。一方で、投資活動によるキャッシュフローは185.5億円の支出となっており、有価証券の取得や有形固定資産の取得に資金を投じていることが示されています。これにより、フリーキャッシュフローは36.8億円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュフローは49.5億円の収入で、連結子会社の増資による収入が主な要因です。全体として、本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に積極的に充てている状況であり、事業拡大への意欲がうかがえます。
| 項目 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 183.6億円 | 148.7億円 |
| 投資CF | △103.5億円 | △185.5億円 |
| 財務CF | △40.1億円 | 49.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 80.2億円 | △36.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、原材料である魚介類の一部を輸入しているため、為替変動が原材料調達価格に影響を及ぼす可能性があります。また、海外戦略として米国や台湾で多店舗展開を進めていますが、事業展開する国における政治、経済、社会の変化など、予期せぬ事象により業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
出店計画に見合った人材の確保と育成が計画通りに進まない場合、店舗運営に支障をきたし、同社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
くら寿司は、食の安心・安全を追求し、日本の寿司文化を世界に広げることを目指す企業です。創業以来、添加物を排除した商品提供を徹底し、持続可能な社会づくりにも貢献しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
くら寿司グループは、「食」が安心・安全だった戦前の理想的な食生活を取り戻すという理念を掲げています。創業以来、化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料の『四大添加物』を完全に排除した商品の開発・提供を続けています。
同社は、食の本来あるべき姿をお客様に提供することで社会に貢献し、日本の食文化である寿司を通じて世界の人々の幸せに貢献できる企業を目指しています。2020年1月には、2030年度を最終年度とする「長期構想」を公表し、第二の創業期として日本国内と海外の両輪での拡大を基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
くら寿司グループは、添加物を含まない素材そのものの味わいを追求し、持続可能な社会づくりに取り組むことをサステナビリティの基本方針としています。食の安心・安全の提供を持続可能な成長の基盤と認識しています。
同社グループは、従業員を最大の経営資源と認識し、グローバル展開の中で働きやすく、それぞれの成長を目指せる職場環境を提供することを重視しています。「見えないところこそ大切にする」という行動指針の実践を大切にしています。
多様な人材が最大限力を発揮できるよう、多様な雇用形態や仕事内容を提供することで、働きやすく働きがいのある職場環境を整備する方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
くら寿司グループは、今後の外食産業における厳しい経営環境に対応するため、重点施策に取り組んでいます。効率的な店舗運営のため、AI導入などIT化やDXの取り組みを強化しています。
人材の確保・育成を重要な課題と認識し、「教育日本一企業」を目指した研修会やグローバルな人材育成に注力しています。
水産資源の保全と漁業の持続的な発展に貢献するため、「漁業創生」の取り組みを進め、日本の「魚食文化」を守り持続可能な社会づくりに貢献しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
くら寿司では、監査等委員会設置会社として、取締役会が経営の基本方針を決定し、取締役の職務執行を監督する体制を構築しています。また、監査等委員会が公正かつ客観的な立場から監査を実施しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
くら寿司の株主構成を見ると、筆頭株主はウォルナットコーポレーションであり、これにトラストが続きます。上位株主には創業家とみられる個人名も複数見られ、創業家が関連会社を通じて同社グループの経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ウォルナットコーポレーション | 29.29% |
| トラスト | 11.07% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 6.17% |
| 田中 信 | 3.77% |
| くら寿司従業員持株会 | 1.86% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は田中邦彦氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田中 邦彦 | 代表取締役社長 | 1977年5月個人の寿司店を創業。1984年7月回転寿司くら寿司を開店。1995年11月同社設立、同社代表取締役社長より現職。 |
| 田中 信 | 取締役副社長 | 1998年4月同社入社。2008年11月ウォルナットコーポレーション代表取締役。2014年11月取締役副社長。2019年12月取締役副社長より現職。2021年11月KURAおさかなファーム代表取締役。 |
| 田中 節子 | 取締役 環境事業本部長 | 1995年11月同社入社。取締役営業企画室長、取締役社長室長兼環境対策室長などを経て、2008年11月取締役環境事業本部長より現職。 |
| 尾越 健二 | 取締役 店舗開発本部長 | 2000年10月同社入社。購買本部西日本購買部シニアマネージャー、経営戦略本部シニアマネージャーなどを経て、2025年11月取締役店舗開発本部長より現職。 |
| 岡本 浩之 | 取締役 広報・IR本部長 | 1984年4月三洋電機株式会社入社。2012年7月江崎グリコ株式会社入社。2018年12月同社入社。2021年1月取締役広報宣伝IR本部長。2025年11月取締役広報・IR本部長より現職。 |
| 勝見 哲平 | 取締役 人事本部長 | 2005年4月同社入社。採用部マネージャー、執行役員人事本部長を経て、2025年1月取締役人事本部長より現職。 |
社外取締役は、榎本弘一氏(榎本行政書士事務所所長・アイホーム不動産代表)、大田口宏氏(大雪法律事務所所長・監査等委員)、北川洋士氏(北川洋士会計事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役を含む監査等委員が取締役会での議決権を持つことで、経営の監査・監督機能を強化しています。これにより、客観的かつ中立的な経営監視体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
くら寿司では、役員の報酬について、取締役会が各取締役の職務や業績に応じて算定する方針を定めています。また、監査等委員の報酬は監査等委員会の協議により決定されます。さらに、譲渡制限付株式による報酬制度も導入されており、経営陣のインセンティブ設計に活用されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 98百万円 | 14.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 3百万円 | 3.0百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 7百万円 | 2.3百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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