※本記事は、株式会社アールエイジ の有価証券報告書(第39期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アールエイジってどんな会社?
同社は、賃貸管理やサブリースを行うストック型の「運営管理事業」を中核に、都心部に特化した不動産開発も手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
同社は1986年に有限会社光建として設立され、1994年に現在の社名へ変更しました。2007年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2018年には市場第二部へ市場変更を行っています。2021年にはBHAGコーポレーションが親会社となり、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。
現在の従業員数は連結で17名、単体で16名と少数精鋭の体制をとっています。筆頭株主は、同社代表取締役が代表を務めるBHAGコーポレーションで、第2位は同社代表取締役の向井山達也氏、第3位は大川真美氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| BHAGコーポレーション | 50.02% |
| 向井山 達也 | 3.91% |
| 大川 真美 | 3.77% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名(うち社外取締役1名を含む)の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役は向井山達也氏が務めています。社外取締役比率は約43%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 向井山 達也 | 代表取締役 | 1994年同社入社。営業推進部長、常務、副社長を経て2000年より現職。BHAGコーポレーション代表取締役を兼任。 |
| 笠原 賢一 | 専務取締役空間事業本部長 | 1993年同社入社。営業部長、執行役員を経て2003年取締役就任。2019年より現職。 |
| 松原 愛 | 取締役管理本部長 | 2002年同社入社。経営企画室ユニットリーダー等を経て2019年より現職。 |
| 秋谷 嘉徳 | 取締役空間事業本部運営管理部長 | 2006年同社入社。空間事業本部仲介コンサル事業部ユニットリーダーを経て2021年より現職。 |
社外取締役は、浅野彰博(元松屋フーズ常勤監査役)、岩﨑剛幸(ムガマエ代表取締役)、荒内智美(スプリング法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「運営管理事業」および「開発販売事業」を展開しています。
■運営管理事業
自社所有物件およびサブリース物件の賃貸運営、オーナーからの管理受託物件のマネジメント、不動産仲介等を行っています。ストック型事業として同社グループの収益の柱となっており、仲介活動を通じて市場ニーズを把握する役割も担っています。
収益は、入居者からの賃料収入や、不動産オーナーからの管理手数料、仲介手数料等が主な源泉です。運営は主に同社および子会社のアールエイジ・テクニカル・サービスが行っています。
■開発販売事業
中長期的な安定収入確保を目的とした賃貸物件市場において、競争力の高い物件の企画開発を行っています。市場の二極化を見据え、都心部にフォーカスした開発を展開しており、稼働後は自社所有物件として保有、または販売後もサブリースや管理受託を行うことで運営管理事業の収益源ともなっています。
収益は、開発した賃貸事業用不動産の投資家やファンド等への販売代金が主となります。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年10月期から2025年10月期までの業績を見ると、売上高は30億円台から40億円台で推移しています。2024年10月期は大型物件の売却により売上高・利益ともに大きく伸長しましたが、2025年10月期はその反動で減収減益となりました。利益率は変動があるものの、経常利益率は10%を超える水準を維持しています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 33億円 | 37億円 | 34億円 | 47億円 | 33億円 |
| 経常利益 | 4億円 | 6億円 | 5億円 | 8億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | 11.4% | 15.4% | 13.9% | 17.2% | 12.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 4億円 | 3億円 | 5億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、前期は大型物件の販売があったため売上高・利益ともに高水準でしたが、当期は通常の巡航速度に戻った形です。売上原価率は低下しており、売上総利益率は約31%から約32%へと改善しています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 47億円 | 33億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 10億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.1% | 31.6% |
| 営業利益 | 9億円 | 5億円 |
| 営業利益率(%) | 18.8% | 15.4% |
販売費及び一般管理費のうち、租税公課が1.2億円(構成比23%)、給与及び手当が1.2億円(同22%)、役員報酬が1.1億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
運営管理事業は安定的に推移しており、売上高・利益ともに微増となりました。一方、開発販売事業は前期の大型物件売却の反動により、売上高が約78%減、セグメント利益が約82%減と大きく減少しました。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) | 利益(2024年10月期) | 利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 運営管理事業 | 28億円 | 29億円 | 6億円 | 6億円 | 20.4% |
| 開発販売事業 | 19億円 | 4億円 | 5億円 | 1億円 | 23.3% |
| 連結(合計) | 47億円 | 33億円 | 9億円 | 5億円 | 15.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金と借入金を原資として、将来のための投資を積極的に行っている「積極型」です。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 21億円 | 4億円 |
| 投資CF | -14億円 | -17億円 |
| 財務CF | 1億円 | 8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.0%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も31.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「徹底したお客様中心主義」を経営方針として掲げています。常にお客様目線で物事を捉え、お客様の立場で判断することを全社員が心がけ、顧客の声に真摯に耳を傾けることで、ニーズに応えたサービスの提供を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、賃貸仲介サービス等を通じて得られるユーザーの多様化するニーズを独自の企画開発力で具現化し、競争力の高い物件を供給することを強みとしています。また、ユーザー本位の使い方・住まい方ができる空間を創造する企業を目指し、安心・安全・清潔を追求した快適な住環境の提供を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、運営管理事業を柱とした安定的かつ持続的な成長を目指しています。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、長期的には以下の指標の向上を重視しています。
* 売上高経常利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
都心部への人口転入超過を背景とした底堅い賃貸需要を捉えるため、都心部にフォーカスした開発を行っています。用地取得競争が激化する中、高い専門性とネットワークを活かして迅速な意思決定を行い、優良な事業用地の取得と競争力の高い賃貸事業用不動産の企画開発に注力していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、性別や国籍、年齢に関係なく実績と能力を重視した人材登用・評価を行うとともに、社員に対する適切な研修の実施や働きやすい社内環境の整備(労働時間管理、有給休暇取得推進等)に取り組んでいます。また、DX化による業務効率向上も推進し、人的資本の充実を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 38.4歳 | 9.9年 | 5,446,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不動産市況の変動
不動産価格の下落局面では、買い控えや流動性の低下、評価損の発生等により業績に影響が出る可能性があります。また、地価の乱高下や競合激化により有用な情報の入手が困難になった場合、自社開発物件の供給計画に支障をきたす可能性があります。
■(2) 開発販売事業の在庫リスク
同社は十分な検討の上で土地を取得し企画開発を行っていますが、突発的な市況変動、建築コストや金利の上昇、金融市場の信用収縮等が生じた場合、計画通りの販売が行えず在庫として滞留し、業績や資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 有利子負債への依存
不動産取得資金を主に借入金で調達しているため、事業拡大過程ではフリー・キャッシュ・フローがマイナスとなりやすく、有利子負債比率が高まる傾向があります。金利上昇や金融環境の変化により資金調達が困難になった場合、プロジェクトの進捗や経営成績に影響が出る可能性があります。
■(4) 人材の確保・育成
顧客ニーズを具現化する商品・サービスの実現には、幅広い知識と経験を有する優秀な人材が不可欠です。中途採用や育成環境の整備に取り組んでいますが、求める人材の確保・育成が計画通り進まなかった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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