※本記事は、株式会社学情 の有価証券報告書(2025年10月期、2024年11月1日 ~ 2025年10月31日、2026年1月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
学情は、第二新卒者や20代・30代の転職希望者、大学・短大新卒者向けに、企業PR・情報提供サービス、各種採用コンサルティング、人材紹介・人材派遣業務を提供しています。特に近年は、キャリア採用への関心の高まりを受け、「中途採用集合品」のサービス提供を強化しています。
単体従業員数は392名です。
学情は、第二新卒者や20代・30代の転職希望者、大学・短大新卒者向けの企業PR・情報提供サービス、採用コンサルティング、人材紹介・人材派遣業務を本体で展開しています。また、官公庁や地方公共団体の雇用対策事業も受託しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
学情は、人材サービスを主軸とする企業として、従業員の成長とキャリア形成を重視する環境が特徴です。若手社員が多く活躍しており、実力主義に基づいた評価制度を通じて、個人の能力を最大限に引き出すことを目指しています。多様な働き方を支援し、変化に対応できる人材育成に力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的若年層の従業員が多く、平均勤続年数もそれに伴い短めの傾向にあります。これは、活発な人材の流動性や、若手社員が早期にキャリアを築く機会が多いことを示唆していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,915,259円 |
| 平均勤続年数 | 6年7ヶ月 |
| 平均年齢 | 30歳10ヶ月 |
| 単体従業員数 | 392人 |
同社は確定拠出年金制度を採用しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、人的資本を企業成長の根幹と位置付け、従業員一人ひとりがその能力と個性を最大限に発揮し、自律的にキャリアを形成できる環境の整備に注力しています。パーパスである「つくるのは、未来の選択肢」は、求職者や学生だけでなく、社員にも多様な働き方やキャリアパスを提示し、その実現を支援することを目指しています。
近年、AIやテクノロジーの進展、社会構造の変化に対応するため、人事制度の改定を実施しました。新制度では、生成AIやテクノロジーを活用した生産性向上、創造的思考力、レジリエンス、リーダーシップといった能力を重視し、変化への適応力と継続的な学習意欲を有する人材を評価する仕組みを導入しています。より実力主義を志向し、「成果を上げた者が正当に評価される制度」とすることで、社員の成長と挑戦を強力に後押しする方針です。
「企業の成長」と「個人の成長」の両立を目的に、主体的に考え行動できる自律型人材の育成を推進するための人材育成プログラムを実施しています。従業員一人ひとりが自身のキャリアのオーナーであるという「キャリアオーナーシップ」の醸成を図り、仕事を通じて「成長実感」や「組織貢献実感」を得られるよう、教育・育成プログラムおよび各種研修を提供しています。管理職の多様性も重視しており、若手人材やキャリア採用者など多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に登用し、能力開発やキャリア形成を支援する仕組みを強化しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合は10.2%ですが、管理職候補者に占める女性労働者の割合は40.4%となっています。同社では「適正な抜擢」を基本としており、年齢やジェンダーに関わらず能力や実績に応じて管理職に登用しています。また、男女の賃金差異については、時短勤務や役割・担当職務を限定した働き方を選択する女性従業員が多いことが要因の一つとなっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金差異(全労働者) | 63.1% |
| 労働者の男女の賃金差異(正規雇用労働者) | 61.4% |
| 労働者の男女の賃金差異(パート・有期労働者) | 86.2% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める経験者採用の比率 | 20.03% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
学情は、若手層に特化した人材サービスを提供する企業です。新卒採用から中途採用まで、幅広いキャリアステージを支援するサービスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
学情は、新卒者から20代・30代の転職希望者まで、若手層に特化した人材サービスを提供しています。企業へのPR・情報提供、採用コンサルティング、人材紹介・人材派遣が主な事業内容です。
同社の事業は大きく「中途採用集合品」「新卒採用集合品」「新卒採用個別品」の3品目に分けられます。近年は企業のキャリア採用ニーズの高まりを受け、「中途採用集合品」のサービス提供を強化しています。
具体的には、20代向け転職情報サイト「Re就活」やITエンジニア経験者向け「Re就活テック」、30代キャリア人材向け「Re就活30」といったインターネットサービスを展開しています。また、合同企業セミナー「転職博」やエージェントサービス「Re就活エージェント」も提供し、多様なニーズに応えています。
新卒採用向けには、インターネット就職情報サイト「Re就活キャンパス」や合同企業セミナー「就職博」を通じて、企業と学生のマッチングを創出しています。さらに、ダイレクトメールの制作・発送代行や選考中の学生情報管理など、企業の採用活動をオーダーメイドで支援する採用アウトソーシング業務も手掛けています。
同社の売上高は「就職情報事業」が大部分を占めており、その中でも「中途採用商品」が前期から大きく伸びています。特に「Re就活」は前期比128.4%と好調に推移し、全体の成長を牽引しました。一方で、新卒採用の早期化に伴い、「Re就活キャンパス」の売上高は前期比96.6%と減少傾向にあります。
同社は日本国内を主な事業領域としており、海外の外部顧客への売上高はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
学情の直近の業績は、売上高が増加した一方で、各利益は減少する傾向を示しています。当事業年度の売上高は前期から増加となりました。
しかし、営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも前期から減少しています。これは、求職者向けプロモーションの強化による売上原価の増加や、生産性向上のための教育研修強化、システム管理費の増加、販売促進プロモーションの強化による販売費及び一般管理費の増加が主な要因です。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
学情の従業員数は単体で392人です。従業員の平均年齢は30歳10ヶ月、平均勤続年数は6年7ヶ月となっています。平均年間給与は5,915,259円です。
同社では、管理職候補者に占める女性労働者の割合が40.4%となっており、年齢やジェンダーに関わらず能力や実績に応じた管理職登用を進める方針を示しています。また、男性労働者の育児休業取得率は100.0%であり、多様な働き方を支援する環境が整っていることがうかがえます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、本業で安定的に資金を生み出し、手元資金を厚くしています。現在は成長投資期と位置づけており、将来に向けた投資も進めている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率はプライム市場平均(製造業46.8%、非製造業24.2%)と比較して非常に高い水準にあります。手元資金である現金及び預金等も増加傾向を示しています。この高い自己資本比率と潤沢な手元資金は、同社の財務基盤が安定していることを示しています。これにより、事業環境の変化にも対応しやすく、雇用や給与の安定性にもつながる可能性があります。
| 指標 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産合計 | 144億78百万円 | 148億79百万円 |
| 自己資本比率 | 86.4% | 86.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 39億30百万円 | 46億85百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは19.0億円の増加となっており、本業で安定して資金を生み出している状況です。これは主に税引前当期純利益の増加によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは3.7億円の増加を示しており、投資有価証券の売却・償還収入が取得支出を上回ったことが要因です。
財務活動によるキャッシュ・フローは△15.1億円の減少となっており、配当金の支払いや自己株式の取得による支出が主な要因です。フリーキャッシュ・フローは22.7億円のプラスであり、本業で得た資金が投資活動を上回る形で確保されています。このキャッシュフローの状況は、同社が安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も適切に管理していることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 項目 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 16.3億円 | 19.0億円 |
| 投資CF | 1.8億円 | 3.7億円 |
| 財務CF | △12.6億円 | △15.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 18.1億円 | 22.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、景気動向による雇用情勢の影響を受けやすく、想定を超える景気後退や経済環境の変化が発生した際は、業績に影響を与えるリスクがあるとしています。また、若手人材の減少やフリーランス・副業など多様な働き方の拡大により、正社員雇用の割合が相対的に減少した場合、事業活動や業績に影響をもたらす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人口構造の変化により若手人材が減少した場合、需給バランスの不均衡が同社の事業活動や業績に影響をもたらす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
学情は、「つくるのは、未来の選択肢」というパーパスを掲げ、人材ビジネスを通じて社会に貢献することを目指しています。働き手のキャリア形成を支援し、企業の成長を後押しする企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「つくるのは、未来の選択肢」をパーパスに掲げ、これからを担う世代に一つでも多くの選択肢を示すことを経営方針としています。就職活動における「キャリアスタート」、転職を通じた「キャリアチェンジ」、自身の可能性をひらく「キャリアアップ」を支援しています。
これらの活動を通して、働き手が自己効力感や幸福感を実感できることを大切にしています。若手社会人や学生に“未来の選択肢”を示すことで、次世代の活躍をサポートし、企業の成長、ひいては日本経済の活力向上に貢献することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、人的資本を企業成長の根幹と位置付け、従業員一人ひとりが能力と個性を最大限に発揮し、自律的にキャリアを形成できる環境の整備に注力しています。人事制度を改定し、生成AIやテクノロジーを活用した生産性向上、創造的思考力、レジリエンス、リーダーシップといった能力を重視する方針です。
変化への適応力と継続的な学習意欲を有する人材を評価する仕組みを導入し、実力主義を志向することで、社員の成長と挑戦を後押しする企業風土です。また、コンプライアンスガイドラインやサステナビリティ基本方針などを策定し、事業活動の持続的な成長に取り組んでいます。管理職の多様性を重視し、若手人材やキャリア採用者など多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に登用しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、キャリア採用領域の基幹サービス「Re就活」の成長強化を経営上の重要事項と認識しています。サービスを提供する求職者・企業双方を拡大するため、積極的な広告宣伝投資で「Re就活シリーズ」の認知度・ブランド力向上を図っています。
個人情報保護体制の継続的な強化も重点課題であり、従業員への教育・研修を通じて全社で取り組みを継続強化しています。組織体制の強化も重要なテーマであり、自社メディアを通じた採用強化、適正な配置、多様な人材が活躍できる環境整備、人材育成・定着を促進しています。事業拡大に伴うマネジメント候補者の育成にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、取締役会および監査役会を設置しています。取締役会は、社外取締役を含む複数の取締役で構成され、経営に関する重要事項の審議と業務執行状況の監督を行っています。監査役会は、社外監査役を含み、客観的かつ公平な立場から意思決定の妥当性や業務執行状況の監視を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は、代表取締役社長の資産管理会社であるアンビシャスです。その他、信託銀行や事業会社、同社代表取締役社長の個人名も上位株主として名を連ねており、創業家が経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アンビシャス | 16.80% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.58% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.04% |
| 朝日新聞社 | 5.80% |
| 朝日学生新聞社 | 5.80% |
なお、アンビシャスは、同社代表取締役社長中井大志の資産管理会社であります。
また、2025年10月22日付の大量保有報告書変更報告書によると、SMBC日興証券及び三井住友DSアセットマネジメントが2025年10月15日現在で株式を所有している旨が記載されていますが、議決権行使基準日現在の実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含められていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性7名・女性3名)で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は中井大志氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中井 大志 | 取締役社長 (代表取締役) 全般 | 2001年9月同社入社、2018年1月同社取締役、2020年1月同社取締役副社長、2022年1月同社代表取締役社長より現職。 |
| 中井 清和 | 取締役会長 (代表取締役) 全般 | 1976年11月同社創業、1977年11月同社設立、代表取締役社長、2022年1月同社代表取締役会長より現職。 |
| 乾 真一朗 | 取締役 コーポレート本部・メデ ィアビジネス本部担当 | 1996年4月同社入社、2018年2月同社執行役員、2023年1月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、辻内章氏(辻内公認会計士事務所所長・指名・報酬諮問委員会委員)、笹川祐子氏(イマジンネクスト代表取締役社長・指名・報酬諮問委員会委員)、宮田喜好氏(朝日新聞社取締役コーポレート統括/管理・人材/働き方改革/コンプライアンス担当)、和田裕美氏(HIROWA代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会および監査役会を通じてコーポレートガバナンス体制を構築しています。社外取締役は、取締役会の意思決定の客観性を高め、独立した第三者の立場から経営を監督する機能を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、株主総会で決定された報酬総額の限度内で、経済情勢や従業員給与とのバランスを考慮し、各役員の職責に応じた水準とすることを基本方針としています。業務執行取締役の報酬は、金銭報酬としての基本報酬と非金銭報酬としての譲渡制限付株式報酬で構成されています。一方、監督機能を担う社外取締役には基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 1.7億円 | 57.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 9.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 14百万円 | 2.3百万円 |
なお、取締役の人数は無報酬の取締役2名を除いたものです。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。