※本記事は、のむら産業株式会社 の有価証券報告書(第61期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. のむら産業ってどんな会社?
同社は、米穀業界向けの包装資材と包装機械を主軸とする包装関連事業を展開しています。「人に優しい新技術」をモットーに、企画から販売まで手掛ける提案力が特徴です。
■(1) 会社概要
同社の歴史は1959年、前身となる有限会社野村紙業の設立に始まります。1966年にはポリエチレン製の米穀精米袋を開発し販売を開始、1970年には精米用の全自動計量包装機を完成させました。2018年にパックウェルを完全子会社化して物流梱包事業へ本格参入し、2021年にJASDAQ(現・東証スタンダード)へ上場を果たしました。
現在、同社グループは連結従業員数112名、単体85名の体制で事業を行っています。大株主構成については、筆頭株主は代表取締役社長の清川悦男氏であり、第2位は精米機メーカーであるサタケ、第3位は包装資材メーカーのシコーとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 清川 悦男 | 10.52% |
| サタケ | 8.42% |
| シコー | 5.27% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は清川悦男氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 清川 悦男 | 代表取締役社長 | 1981年同社入社。首都圏事業部長、常務、専務を経て2009年に社長就任。2016年より現職。営業本部本部長を兼務。 |
| 西澤 賢治 | 常務取締役 | 1996年同社入社。経営企画部長、社長室長等を経て2022年常務就任。現在は管理本部本部長を務める。 |
| 松本 博 | 取締役 | 2002年同社入社。機械事業部長、経営企画部長等を歴任。2015年取締役就任。現在は機械部部長を務める。 |
社外取締役は、松井敏行(元マツボー代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「包装関連事業」および「物流梱包事業」を展開しています。
■(1) 包装関連事業
米穀精米袋を中心とした食品包装資材の企画・販売と、精米工場向けの自動計量包装機等の企画開発・製造販売を行っています。顧客は米穀卸、小売、外食企業などで、近年は環境配慮型製品にも注力しています。
収益は、包装資材や機械の販売代金として顧客から受け取ります。資材は継続的な取引が見込め、機械は設備投資需要に対応します。運営は主にのむら産業が行い、一部の包装資材は子会社の山葉印刷が製造・供給しています。
■(2) 物流梱包事業
通販事業者や製造業向けに、商品の保護・固定・封函を行う梱包機械および梱包資材を販売しています。海外メーカー製の多様なラインナップを取り扱い、導入支援やメンテナンスも提供します。
収益は、エアー緩衝材製造機等の機械販売および専用フィルム・紙資材等の消耗品販売から得ています。運営は子会社のパックウェルおよびBJT JAPANが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高、利益ともに増加傾向にあります。特に当期は、コメ価格高騰に伴う消費者ニーズの変化への対応や、海外向け機械販売の再開などが奏功し、売上高は70億円台に乗せ、利益面でも過去最高水準を更新するなど、順調な成長を続けています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 51億円 | 55億円 | 60億円 | 66億円 | 71億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 4億円 | 4億円 | 5億円 | 8億円 |
| 利益率(%) | 6.4% | 6.8% | 7.5% | 7.7% | 10.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 2億円 | 3億円 | 3億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に加え、原価率の改善が進んだことで売上総利益が増加しました。販管費はほぼ横ばいに抑制されたため、営業利益率は大きく改善しています。増収効果が利益拡大に直結する収益構造となっています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 66億円 | 71億円 |
| 売上総利益 | 17億円 | 19億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.2% | 26.9% |
| 営業利益 | 5億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 7.6% | 10.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4億円(構成比34%)、支払手数料が1億円(同11%)を占めています。売上原価については、商品および製品の仕入・製造コストが主体であり、売上原価率は73.1%となっています。
■(3) セグメント収益
包装関連事業は、資材・機械ともに好調で増収増益となりました。特に機械部門は利益率改善に寄与しています。物流梱包事業は、物流業界の荷動き鈍化や顧客の低コスト資材へのシフトにより減収となりましたが、のれん償却終了や販管費抑制により増益を確保しました。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) | 利益(2024年10月期) | 利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 包装関連事業 | 57億円 | 62億円 | 5億円 | 7億円 | 11.0% |
| 物流梱包事業 | 10億円 | 9億円 | 0.3億円 | 1億円 | 8.1% |
| 連結(合計) | 66億円 | 71億円 | 5億円 | 8億円 | 10.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
のむら産業は、物流梱包事業において、環境配慮型資材へのシフトによる減収があったものの、新規顧客開拓や提案型営業の推進により、営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に増加しました。投資活動では、有形固定資産の取得に資金を使用しました。財務活動では、主に配当金の支払いに資金が用いられました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5億円 | 10億円 |
| 投資CF | -1億円 | -0.5億円 |
| 財務CF | -2億円 | -1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「人に優しい新技術」をモットーに、常に使う人の身になっての商品づくりに努め、取引先とのビジネスを通じて社会に貢献することを経営理念としています。また、変化する社会環境の中でイノベーションを起こし続け、信頼される企業を目指すことを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は、「挑戦(Challenge)」「スピード(Speed)」「誠実(Sincerity)」「元気(Genki)」を行動指針とし、それぞれの頭文字をとった「CSSG」経営を実践しています。個々の成長と企業の成長を追求するだけでなく、顧客に寄り添える企業文化の醸成を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、株主価値及び資本効率を高める経営を重視しており、主たる経営指標として自己資本利益率(ROE)を掲げています。収益性と効率性の高い経営に努めることで、目標達成を目指しています。
* ROE(自己資本利益率):24.1%(当期実績)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、既存事業の強化に加え、新市場開拓と成長戦略の推進を掲げています。特に、包装資材と機械のシナジーを活かした提案力の強化や、M&A・業務提携による事業拡大を進める方針です。
* 包装関連事業:既存製品の品質維持・改良、米穀市場以外(食品、肥料、ペット関連等)への販路拡大。
* 物流梱包事業:環境配慮型商材の拡販、新規顧客の開拓。
* 全社:IT活用による業務効率化、M&Aや業務提携による新商品・サービスの創出。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を最も重要な経営資源と位置づけ、全社研修や自己研鑽の支援を通じて人材育成に取り組んでいます。また、多様な人材が活躍できるよう、時短勤務や育児休業の取得を促進し、働きやすい職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 46.1歳 | 12.2年 | 6,086,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 米の生産・消費動向による影響
同社グループの主力事業は米穀業界向けであり、売上の大半を占めています。天候不順による米の不作や、人口減少・食の嗜好変化による米消費量の減少が起きた場合、包装資材や機械の受注が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料価格の変動リスク
包装資材の主原料は石油化学製品であり、原油価格の影響を受けます。原油価格の著しい変動があった際、仕入価格の上昇分を販売価格に転嫁できない場合、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) 製造工程の外部委託リスク
包装機械の製造工程の大部分を特定の外注先2社に依存しています。これら外注先の経営状況の変化等により取引継続が困難となり、代替先の確保が遅れた場合、製品供給に支障をきたし業績に影響を及ぼす可能性があります。



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