※本記事は、株式会社pluszero の有価証券報告書(第8期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. pluszeroってどんな会社?
AIやIT等の技術を統合活用したソリューションを提供し、第4世代AI「AEI」の研究開発に取り組む企業です。
■(1) 会社概要
2017年に前身となるautomateが設立され、2018年にpluszeroが新設分割により設立されました。同年よりAIソリューションの提供を開始し、2022年10月に東証グロース市場へ上場しました。AIと各種テクノロジーを統合的に活用したソリューション提供事業を展開しています。
同社の従業員数は単体で113名です。筆頭株主は代表取締役会長兼CEOの小代義行氏で、第2位は取締役副社長兼CIOの永田基樹氏、第3位は代表取締役社長兼COOの森遼太氏となっており、創業メンバーおよび経営陣が主要株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小代 義行 | 25.76% |
| 永田 基樹 | 11.88% |
| 森 遼太 | 10.98% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名、計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼CEOは小代義行氏、代表取締役社長兼COOは森遼太氏です。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小代 義行 | 代表取締役会長兼CEO | マイクロソフト等を経てユニーク等を設立。2020年3月に同社入社、同年10月より現職。 |
| 森 遼太 | 代表取締役社長兼COO | LIVE with G代表取締役等を経て2017年にautomate設立。2018年7月同社設立と共に代表取締役社長、2020年10月より現職。 |
| 永田 基樹 | 取締役副社長兼CIO | automate設立等を経て2018年同社設立と共に取締役副社長。formalogic代表取締役等を歴任し、2024年11月より現職。 |
| 大澤 遼一 | 取締役副社長兼CGO | 野村総合研究所を経て2021年同社入社。取締役営業部部長、CSO等を歴任し、2025年1月より現職。 |
| 浅川 燿佑 | 取締役CFO | 2019年6月同社取締役就任。経営管理部部長、コーポレート推進本部部長等を歴任し、2024年11月より現職。 |
社外取締役は、宇陀栄次(元セールスフォース・ジャパン代表取締役社長)、影山泰仁(ケイジーコンサルティング代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソリューション提供事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) プロジェクト型
顧客の経営課題解決や課題達成に向けた相談から、具体的なサービス・システムの設計、開発、保守運用までをワンストップで提供します。AIやDXに関するオーダーメイド型のソリューションや、AEIサービスの初期開発・導入支援などが含まれます。
収益は、顧客との請負契約や準委任契約に基づき、サービス・システムの納品やエンジニア・コンサルタントの稼働提供に対する対価として得ています。運営は主にpluszeroが行っています。
■(2) サービス型
「仮想人材派遣」に関連する技術情報の提供や、開発ライセンス・利用ライセンスの供与を行っています。また、これに付随する開発や関連事業・サービスの立ち上げ支援、AEI基礎技術のAPI提供なども展開しています。
収益は、業務提携先などに対する技術情報の提供料やライセンス料として受け取っています。運営は主にpluszeroが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は継続的に成長しており、直近5期間で約3倍の規模に拡大しています。利益面でも第5期以降は黒字化が定着し、経常利益、当期純利益ともに増加傾向にあります。特に直近の第8期は売上高の伸長とともに利益率も大きく向上しており、収益性の改善が進んでいます。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5.1億円 | 7.3億円 | 8.9億円 | 12.2億円 | 15.5億円 |
| 経常利益 | -0.8億円 | 1.2億円 | 1.6億円 | 2.5億円 | 5.2億円 |
| 利益率(%) | -15.5% | 16.0% | 18.2% | 20.6% | 33.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.8億円 | 1.2億円 | 1.2億円 | 1.5億円 | 3.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加率に対して売上原価の増加率は低く抑えられており、売上総利益率は上昇しています。また、販売費及び一般管理費は前期比で減少しており、売上高に対する比率が大きく低下しました。この結果、営業利益率は大幅に改善し、収益性が高まっています。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 12.2億円 | 15.5億円 |
| 売上総利益 | 7.0億円 | 9.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 57.6% | 58.5% |
| 営業利益 | 2.5億円 | 5.2億円 |
| 営業利益率(%) | 20.6% | 33.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.5億円(構成比39%)、役員報酬が0.6億円(同16%)を占めています。売上原価においては、労務費が5.4億円(構成比82%)、経費が1.2億円(同18%)となっています。
■(3) セグメント収益
ソリューション提供事業におけるプロジェクト型案件の契約単価上昇や、AEI関連売上の増加等により、売上高は前期比で増加しました。
| 区分 | 売上(2024年10月期) | 売上(2025年10月期) |
|---|---|---|
| ソリューション提供事業 | 12.2億円 | 15.5億円 |
| 連結(合計) | 12.2億円 | 15.5億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
pluszeroは、新株予約権の行使による収入が財務活動による資金獲得の主な要因となっています。営業活動では、ソリューション提供事業の売上拡大に伴い、売上債権や契約資産が増加したものの、税引前当期純利益の獲得やソフトウェア償却費の計上により、資金獲得額は前年を大きく上回りました。投資活動では、ソフトウェア取得のための支出がありました。
| 項目 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.0億円 | 4.3億円 |
| 投資CF | -0.9億円 | -1.6億円 |
| 財務CF | 0.2億円 | 0.2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人の可能性を広げる」というビジョンを掲げています。このビジョンを実現するために、「知の創発により、新しい選択肢を生み出す」をミッションとしています。少子高齢化を好機と捉え、AIやロボットの導入により日本の生産性を世界一にし、人々の可処分時間や所得を増やすことを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「ユニークなプロフェッショナルであれ」をバリューとして掲げています。社名の由来でもある「0」という概念が数学を発達させたように、全く新しい概念やアイデアを創出することによって、世の中に革新的な変化をもたらすことを目指す姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
収益の「継続性」と「高成長性」の実現を重要視し、経営指標として「売上高成長率」と「売上総利益率」を管理しています。売上高成長率を一定以上に維持しつつ、高い売上総利益率を維持しながらAEIへの投資を継続することで、中長期的な高成長と営業利益の最大化を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
第4世代AIとして独自に定義した「AEI(Artificial Elastic Intelligence)」の開発と実用化に注力しています。特に、人間のように意味を理解してタスクを実行できる「仮想人材派遣」の実現を目指し、製造業や情報通信業などをターゲットに、パートナー企業との連携や自社サービスの開発を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「優秀な技術陣の採用・育成」を顧客課題解決の最有力の手段と捉えています。優秀な人材をインターンとして積極的に受け入れ、育成・抜擢を行っています。また、性別、国籍、年齢等の属性に制限を設けず、多様な人材の確保と育成を進める方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月期 | 31.1歳 | 3.0年 | 6,792,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務に基づく公表項目としてこれらを選択していないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、技術系に対応できるエンジニアの割合(81%)、大学院生以上の人材の割合(48%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) イノベーションへの対応
IT業界は技術革新や顧客ニーズの変化が速く、同社も自然言語処理や機械学習を活用した競争力あるサービス提供に取り組んでいます。しかし、予想以上の急速な技術革新や代替技術の出現により競争力を維持できない場合、新規受注の減少や解約などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 法的規制等によるインパクト
現在、インターネット関連事業そのものを規制する法令はありませんが、今後新たな規制の制定や既存法令の解釈変更があった場合、事業が制約される可能性があります。これにより、同社の事業展開や業績に悪影響が生じるリスクがあります。
■(3) 事業開発の確実性
新サービスや新規事業への取り組みに伴い、システム投資や人件費等の追加支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規事業の拡大が予測通りに進まない場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 採用及び育成について
事業拡大に伴いエンジニアやマネージャーの確保・育成を進めていますが、計画通りに進まず必要な人材を確保できない場合、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。特にインターン生を含めた優秀な技術陣の確保は同社の競争力の源泉であるため、重要な課題と認識しています。



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