※本記事は、株式会社ナレルグループ の有価証券報告書(2025年10月期、2024年11月1日 ~ 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
ナレルグループは純粋持株会社であり、単体従業員数は36名、グループ連結従業員数は4,283名です。
同社グループは、建設業およびIT業界向けの技術者派遣、システムエンジニアリングサービスの提供を主な事業としています。深刻化するプロ人材の枯渇を解決し、日本を「課題解決先進国」にすることをミッションに掲げ、連結子会社4社を中心に事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ワールドコーポレーション(建設ソリューション事業)、(連結子会社)ATJC(ITソリューション事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ナレルグループは持株会社として、グループ全体の人材戦略を重視しています。同社グループは人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値向上を目指す方針です。多様性やワークライフバランスの重視、スキルの開発とキャリアパスの構築を推進しており、従業員が長期的に活躍できる環境づくりに注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ナレルグループの単体従業員は、比較的若い年齢層で構成されながらも、一定の勤続年数を示しています。これは、同社が管理部門の従業員を中心に、安定したキャリア形成を支援している傾向がうかがえます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,395,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.1年 |
| 平均年齢 | 39.3歳 |
| 単体従業員数 | 36人 |
| 連結従業員数 | 4,283人 |
| 単体のグループ内比率 | 0.8% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。この制度は国内グループ会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ナレルグループは、人材を企業価値向上のための「資本」と位置づけ、その価値を最大限に引き出すことを重視しています。中長期的な視点から、人材の多様性確保、ワークライフバランスの推進、スキルの開発、そして明確なキャリアパスの構築に力を入れています。
サステナビリティに関する重要事項は、代表取締役が委員長を務めるリスクマネジメント・コンプライアンス委員会で検討され、取締役会に報告される体制が整っています。これは、人材戦略が経営の重要課題として位置づけられていることを示しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
同社は男女間で同一の賃金制度を適用しており、同一職種、同一職位内において男女間の格差を設けていません。現在生じている男女の賃金の差異は、管理職の男性比率が高いこと等の要因によるものです。
▼ ㈱ワールドコーポレーション
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 34.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 80.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 64.0% |
▼ ㈱ATJC
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 33.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 86.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 87.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 45.6% |
多様性・登用
▼ ㈱ワールドコーポレーション
| 指標 | 目標 | 実績(当連結会計年度) |
|---|---|---|
| 人事評価における最高評価の男女割合差 | 5%以内 | △1.5% |
| 男女の平均勤続年数の差異 | 6ヶ月以内 | 6ヶ月 |
▼ ㈱ATJC
| 指標 | 目標 | 実績(当連結会計年度) |
|---|---|---|
| 採用した従業員に占める女性従業員の割合 | 25% | 37.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ナレルグループは、持株会社としてグループ全体の経営管理を行い、主に建設業とIT業界に特化したプロフェッショナル人材の派遣・サービス提供を通じて収益を上げています。日本が抱えるプロ人材不足という社会課題の解決を目指し、事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、持株会社であるナレルグループと4つの連結子会社で構成されています。主な事業は、建設業向けの技術者派遣とIT業界向けの技術者派遣・システムエンジニアリングサービス(SES)の提供です。これらの事業を通じて、特定の産業分野で技術を持つ専門人材の枯渇という課題解決に取り組んでいます。
収益は、顧客企業への人材派遣やSES契約によるサービス提供から得られています。連結売上収益の大部分は国内からのものであり、特定の主要顧客への収益集中はありません。
建設ソリューション
建設ソリューション事業では、建設・プラント業界向けに施工管理技術者やCADオペレーター等の技術者派遣、および施工図作成の請負業務を行っています。主に建築、土木、空調衛生、電気設備といった幅広い領域を受注しており、全国に事業拠点を有しています。収益は、技術者派遣と請負業務から得ています。運営は、ワールドコーポレーション、コントラフト、一般社団法人全国建設人材協会が行っています。この事業は同社グループの売上収益の大部分を占めており、前期から売上収益が伸長しています。
ITソリューション
ITソリューション事業では、SIer等の開発案件やインフラ管理業務に対し、IT技術者の人材派遣やSES契約による受託サービスを提供しています。主なエンドユーザーは情報通信事業者や金融機関などです。収益は、IT技術者の人材派遣やSES契約によるサービス提供から得ています。運営は、ATJCが行っています。この事業も前期から売上収益が伸長しています。
| セグメント | 売上収益(2024年10月期) | 売上収益(2025年10月期) | セグメント利益(2024年10月期) | セグメント利益(2025年10月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設ソリューション | 193億円 | 216億円 | 26.1億円 | 22.5億円 | 10.4% |
| ITソリューション | 22.9億円 | 25.4億円 | 1.5億円 | 1.4億円 | 5.3% |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの連結業績は、過去5期間にわたり売上収益が継続して増加する傾向を示しています。一方で、直近の当連結会計年度においては、売上収益は増加したものの、営業利益、税引前当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益はいずれも減少となりました。これは、成長投資として技術者の採用を積極的に推進したことによる採用費の増加や、営業・採用部門の人員増加に伴う原価および販売費及び一般管理費の増加が主な要因となっています。
| 項目 | 2021年10月期 | 2022年10月期 | 2023年10月期 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 121億円 | 145億円 | 180億円 | 216億円 | 242億円 |
| 税引前利益 | 15.9億円 | 18.5億円 | 24.8億円 | 30.6億円 | 27.6億円 |
| 税引前利益率 | 13.2% | 12.7% | 13.8% | 14.2% | 11.4% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 10.4億円 | 12.4億円 | 17.4億円 | 21.9億円 | 20.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 127.07 | 150.58 | 209.88 | 255.16 | 238.74 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益(連結)は、前期からわずかに減少する傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少しています。これは、売上収益は増加しているものの、成長投資に伴う採用費や人件費の増加が影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年10月期 | 2025年10月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 5.7百万円 | 5.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 0.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定的に資金を稼ぎ出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元資金を厚くしている状況です。財務基盤は堅固であり、事業活動に必要な資金を自力で生み出す力が備わっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、財務の安定性を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も増加傾向にあり、不測の事態にも対応できる体制が整っています。
| 指標 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 134億円 | 145億円 |
| 自己資本比率 | 56.9% | 58.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 17.1% | 14.9% |
| 現金及び現金同等物 | 45.2億円 | 48.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益の計上により、安定的に資金を獲得しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産やその他の金融資産の取得による支出があり、将来に向けた投資を行っている状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや長期借入金の返済により資金を使用しています。本業で稼いだ資金を投資に回し、さらに借入金の返済や株主への還元も行えていることから、資金繰りは健全な状態にあると言えます。
| 項目 | 2024年10月期(前期) | 2025年10月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 23.1億円 | 23.0億円 |
| 投資CF | △6百万円 | △198百万円 |
| 財務CF | △18.7億円 | △19.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 23.0億円 | 21.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、建設業界向けの人材派遣事業を中心としており、国内の建設投資動向に一定程度の影響を受ける可能性があります。経済情勢の悪化により建設投資が変動した場合、就業時間の短縮化や契約条件の悪化、中途解約等が生じるリスクがあります。また、技術者人材の確保は同社グループの成長における重要な経営課題であり、国内の技術者需給の逼迫や採用コストの増加が経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループでは、約4,000人の派遣技術社員が在籍しており、労務管理に関する規制強化や不適切な労務管理、労働安全衛生や雇用関係に関する紛争が発生した場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。派遣先の就業環境における労災事故のリスクも認識しており、不測の事態に遭遇した場合には損害賠償金の負担や社会的信用失墜等につながる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ナレルグループは、プロ人材の枯渇という社会課題の解決を目指し、ITと人材育成の力を通じて業界の未来を支えることを重視しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ナレルグループは、「深刻化するプロ人材の枯渇を解決し、日本を『課題解決先進国』にする」ことをミッションとしています。
ビジョンとしては、ITと人材育成の二つの技術を組み合わせ、「生産性を高める業務変革」と「プロ人材の育成と安定供給」の実現を目指しています。
専門技術を持つ人材不足の問題解決に事業領域を絞り、「プロ人材」に焦点を当てている点が同社グループの特徴です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、血の通った「人材育成」の組織文化と育成技術を事業基盤としています。
各業界で求められる専門知識とビジネススタンスを備えた人材を安定供給する体制を構築している会社です。
人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことが中長期的な企業価値向上につながると考えています。
人材の多様性やワークライフバランスの重視、スキルの開発とキャリアパスの構築を推進する方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、技術者人材の確保と育成を重要な経営課題としています。
採用者数の拡大、退職率の低減、技術者のスキルアップに取り組む方針です。
具体的には、ブランディング強化や自社採用メディア「セコカンNEXT」の活用、研修・フォロー強化、キャリア形成支援制度「ゼロプロ成長サイクル」の高度化などを推進しています。
また、テクノロジー普及による省人化に対応するため、建設DX企業との協業を通じたICT導入に係る人材供給も課題としています。
さらに、建設業における時間外労働時間の上限規制適用に対し、派遣技術社員の勤怠状況把握と適切な対応を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ナレルグループは監査等委員会設置会社であり、取締役会が業務執行の決定と監督を行う体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ナレルグループの株主構成を見ると、筆頭株主は村松屋商店であり、同社の代表取締役である小林良氏の資産管理会社です。このことから、創業家が同社グループの経営に深く関与していることがうかがえます。また、上位株主には投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズV号やAP CAYMAN PARTNERS III, L.P.といった投資ファンドも名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 村松屋商店 | 33.75% |
| 投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズV号 | 12.00% |
| AP CAYMAN PARTNERS Ⅲ,L.P. | 4.10% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役は小林良氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小林 良 | 代表取締役 | 1990年3月株式会社タケフジ入社、2008年11月株式会社ワールドコーポレーション設立代表取締役。2019年11月同社(現ナレルグループ)代表取締役より現職。 |
| 柴田 直樹 | 専務取締役 | 2000年4月株式会社夢真ホールディングス入社、2011年5月株式会社ワールドコーポレーション入社。2022年1月同社専務取締役より現職。 |
| 後藤 洋平 | 取締役 | 2005年4月日興シティグループ証券株式会社入社、2015年10月株式会社地域経済活性化支援機構入社。2025年1月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、羽鳥良彰氏(公認会計士・監査等委員)、島田圭子氏(コーン・フェリー・ジャパン株式会社シニア・クライアントパートナー・監査等委員)、西村隆志氏(株式会社アドバンテッジパートナーズパートナー・監査等委員)、爲近幸恵氏(TXL法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会における監査・監督機能の充実を図っています。監査等委員は全員が社外取締役で構成されており、取締役会の意思決定の適法性確保に助言・提言を行う体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ナレルグループの役員報酬は、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)に対しては固定報酬と譲渡制限付株式による非金銭報酬等が支給されています。報酬額は企業業績や各取締役の経営能力、貢献度などを考慮して決定されます。監査等委員である取締役の報酬は、株主総会で定められた限度内で、監査等委員会での貢献度を勘案し協議により決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.2億円 | 39.5百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に就任した役員を含みます。また、無報酬の社外取締役(監査等委員)1名は報酬の支給対象人数に含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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