ギグワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ギグワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場するギグ・エコノミー関連企業です。オンデマンドエコノミー事業やシェアリングエコノミー事業などを展開しています。2025年10月期は、主力事業での市場環境変化や事業ポートフォリオの見直しもあり減収となりましたが、経常損益は黒字転換を果たしています。


※本記事は、ギグワークス株式会社 の有価証券報告書(第49期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ギグワークスってどんな会社?


多様な働き方を支援するギグ・エコノミーのプラットフォーマーとして、BPOやシェアオフィスを提供しています。

(1) 会社概要


1977年に設立され、1999年に「スリープロ」へ商号変更、2003年に東証マザーズへ上場しました。その後、持株会社体制への移行やグループ再編を経て、2019年に現在の「ギグワークス」へ商号変更しています。2022年の市場区分見直しにより、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

連結従業員数は780名、単体では66名です。筆頭株主は代表取締役社長の村田峰人氏が代表を務める資産管理会社で、第2位も同氏が代表を務める投資会社です。第3位には取引関係のある大手システムインテグレーターが名を連ねており、創業家と事業パートナーが主要株主となっています。

氏名 持株比率
村田ホールディングス 17.31%
SPRING INVESTMENT 9.48%
大塚商会 5.44%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長執行役員は村田峰人氏です。社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
村田 峰人 代表取締役社長執行役員 ウィルクリエイト等を経て、2014年より同社代表取締役社長。村田ホールディングス代表取締役社長を兼任。2023年よりギグワーカー少額短期設立準備取締役を兼務。
浅井 俊光 取締役常務執行役員事業開発部長 1999年スリープロ入社。マーケティング室長、事業開発部長等を歴任。2022年より現職。GALLUSYS代表取締役社長を兼任。
小島 正也 取締役常務執行役員管理本部長 野村證券、SBIホールディングス等を経て2017年入社。2022年より現職。ギグワークスクロスアイティ代表取締役社長を兼任。
松沢 隆平 取締役常務執行役員CFO 税理士法人を経て2010年入社。財務経理部長等を歴任し2022年より現職。nex取締役等を兼任。
瀬川 大介 取締役(監査等委員) リコー執行役員、リコーリース代表取締役社長等を歴任。2022年より同社取締役(監査等委員)。


社外取締役は、平野伸一(元アサヒビール代表取締役社長)、栗原博(元富士ゼロックス代表取締役社長)、久保欣(元マウスコンピューター社長室長)、松本隆(元そごう・西武代表取締役社長)、加地誠輔(元日本商工ファイナンス社長)、江木晋(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「オンデマンドエコノミー事業」、「Web3サービス事業」、「デジタルマーケティング事業」、「システムソリューション事業」、「シェアリングエコノミー事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) オンデマンドエコノミー事業


企業と個人をつなぐオンデマンドサービスとして、セールスプロモーション、コールセンター、フィールドエンジニア、コンストラクション(工事)等の業務を一括提供しています。また、イベント企画運営サービスも手掛けています。

クライアント企業から業務委託料等を受け取る収益モデルです。運営は主にギグワークスアドバリューが行っており、イベント関連はGreenLightが担当しています。登録ギグワーカーを活用し、繁閑に合わせた柔軟なサービス提供を行っています。

(2) Web3サービス事業


ブロックチェーン技術を応用したアプリ開発・運営や、企業向けAIチャットツールの提供を行っています。代表的なサービスとして「Snap to Earn」アプリなどがあります。

アプリ内課金や広告収入、企業からの利用料等が主な収益源となります。運営は主にGALLUSYSが行っています。独自トークンの上場など、Web3領域でのエコシステム構築を推進しています。

(3) デジタルマーケティング事業


通信販売事業として、テレビショッピングやカタログ、インターネットを通じた商品の販売を行っていました。

一般消費者への商品販売による売上が収益源です。運営は日本直販が行っていましたが、同社グループは2025年4月に同社の全株式を譲渡しており、現在は事業展開していません。

(4) システムソリューション事業


システムの受託開発や、IT人材の派遣・紹介、CRMシステムの開発・販売などを行っています。開発技術者やシステムエンジニアによるプロフェッショナルサービスが中心です。

顧客企業からのシステム開発受託費、人材派遣料、製品ライセンス料等が収益源です。運営は主にギグワークスクロスアイティが行っています。自社製品「デコールCC.CRM」の販売にも注力しています。

(5) シェアリングエコノミー事業


シェアオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィスなどのワークスペースを提供しています。個人事業主から大手法人まで、規模を問わず利用可能な施設を展開しています。

利用者からの月額会員費や施設利用料が収益源です。運営は主にnexが行っています。首都圏を中心に多数の拠点を展開し、提携先を含めたネットワークを提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2023年10月期をピークに減少傾向にあります。利益面では、2024年10月期に経常赤字となりましたが、2025年10月期には経常利益が黒字に転換しました。一方で、当期純利益は2023年10月期以降、マイナスでの推移が続いています。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 212億円 229億円 264億円 254億円 223億円
経常利益 9.4億円 4.8億円 1.1億円 -4.3億円 0.1億円
利益率(%) 4.4% 2.1% 0.4% -1.7% 0.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 7.6億円 8.7億円 -4.5億円 -3.8億円 -7.5億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しました。売上総利益率も低下していますが、営業利益は黒字を確保しています。販管費の削減が進んでおり、利益体質の改善が図られています。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 254億円 223億円
売上総利益 60億円 49億円
売上総利益率(%) 23.5% 22.1%
営業利益 -4.0億円 0.2億円
営業利益率(%) -1.6% 0.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が15億円(構成比30%)、業務委託費が6.0億円(同12%)、広告宣伝費が4.8億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


オンデマンドエコノミー事業は安定して推移していますが、デジタルマーケティング事業は事業譲渡に伴い大幅な減収となりました。システムソリューション事業とシェアリングエコノミー事業は増収増益で好調に推移しています。Web3サービス事業は先行投資により赤字となっています。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期)
オンデマンドエコノミー事業 102億円 103億円
Web3サービス事業 2.5億円 1.6億円
デジタルマーケティング事業 53億円 13億円
システムソリューション事業 46億円 48億円
シェアリングエコノミー事業 49億円 57億円
連結(合計) 254億円 223億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ギグワークス社のキャッシュ・フローは、前連結会計年度比で大幅な増加となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益や棚卸資産の減少等があったものの、関係会社株式売却益が大きく影響し、前年度の支出から収入に転じました。投資活動によるキャッシュ・フローは、長期貸付金の回収が主な収入源となり、前年度の支出から大幅な収入増となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や社債償還による支出が継続しました。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF -4.5億円 3.6億円
投資CF -2.6億円 8.4億円
財務CF -3.0億円 -4.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「日本一のギグ・エコノミーのプラットフォーマーになり、労働市場に革命を起こす」をビジョンに掲げています。単なる仕事の仲介にとどまらず、プラットフォーマーとして飛躍することを目指し、多様な働き方の提供を通じて社会に貢献していく方針です。

(2) 企業文化


同社は、多様な市場ニーズを捉え持続可能な成長を実現するため、「誰もが働きやすい環境」を整えることを重視しています。ダイバーシティや女性活躍推進に積極的に取り組み、部署によっては完全在宅を実施するなど、個人の特性や能力を最大限活かせる柔軟な職場環境の整備を進めています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、高い成長性と収益性の向上を経営の重要課題と認識しています。具体的な数値目標として、成長性については「売上高対前年比率」、収益性については「売上高営業利益率」を重要な経営指標に設定し、持続的な成長と企業価値の向上に努めています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後は、M&Aの積極活用による事業領域の拡大とシナジー創出を戦略としています。特に、ITを軸とした既存事業の強化に加え、Web3領域での収益基盤の確立や、シェアリングエコノミー事業における拠点拡大・高付加価値化を推進します。また、不採算事業の売却による「選択と集中」を進め、収益性の高い筋肉質な経営体質への転換を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、優秀なスタッフの確保を事業拡大に不可欠と考え、登録スタッフ(ギグワーカー)との信頼関係強化に注力しています。福利厚生や研修システムの充実を図り、満足度向上を目指しています。また、社内においてはダイバーシティ&インクルージョンを推進し、多様なキャリアパスや働き方を促すことで、従業員の多様性を新たな事業創出に活かす方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 45.9歳 11.0年 4,833,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.3%
男女賃金差異(正規) 72.8%
男女賃金差異(非正規) 28.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性労働者の割合(12.1%)、労働者の年次有給休暇取得率(71.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業展開における市場環境と競争


IT業界の技術革新スピードは速く、教育コストの増加や単価競争が業績に影響する可能性があります。コールセンター事業では大手や新規参入による競争激化、シェアオフィス事業では賃料相場の変動や競争激化のリスクがあります。また、Web3事業などの新規領域では先行投資が継続しており、計画通りに進捗しない場合の影響が懸念されます。

(2) 法的規制の変更への対応


労働者派遣法やフリーランス保護法など、労働環境に関わる法改正の影響を受けます。同社は法令遵守に努めていますが、規制強化や解釈の変更が生じた場合、事業運営やコストに影響を及ぼす可能性があります。また、個人情報保護法の改正に伴う対応や、改正下請法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)への対応も重要課題として認識しています。

(3) ギグワーカーとの取引リスク


多数の登録スタッフ(ギグワーカー)が稼働するビジネスモデルであるため、業務上の事故やトラブル、法的責任が生じるリスクがあります。安全衛生管理やコンプライアンス体制を強化していますが、万が一の事態が発生した場合、損害賠償や社会的信用の低下により業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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