※本記事は、川上塗料株式会社 の有価証券報告書(2025年11月期、2024年12月1日 ~ 2025年11月30日、2026年2月20日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
川上塗料は、塗料等の製造販売を主な事業内容としています。同社グループは、子会社1社および関連会社1社で構成され、塗料の製造から販売までを一貫して手掛けています。
単体従業員数は131名、連結従業員数は132名です。同社グループは塗料の製造・販売事業の単一セグメントで事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、ダイヤス化成(塗料販売業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
川上塗料は、塗料の製造・販売を主軸とする企業です。同社グループの給与水準や働き方には、安定した事業基盤と従業員の定着を重視する姿勢が反映されていると考えられます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、長期的なキャリア形成を支援し、人材の定着を重視する傾向が見られます。安定した環境で腰を据えて働きたいと考える方にとって、魅力的な職場環境であると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,779,792円 |
| 平均勤続年数 | 17.8年 |
| 平均年齢 | 45.5歳 |
| 単体従業員数 | 131人 |
| 連結従業員数 | 132人 |
| 単体のグループ内比率 | 99.2% |
同社は、確定給付型の退職一時金制度と確定拠出年金制度を設けており、連結子会社は退職一時金制度を設けています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職給付債務は7.2億円となっています。なお、退職一時金の支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「人と技術で豊かな未来を創造しよう」「地球にやさしさを 暮らしに彩りを お客様に満足を」を経営の基本理念として掲げています。この理念のもと、「技術力を高め、環境に優しく信頼性の高い製品を提供すること」を基本方針とし、中長期的な企業価値向上のために人的投資を重要な経営課題と認識しています。
心身ともに健康で充実した状態でこそ従業員が意欲的に活躍できるとの考えに基づき、健康と安全に配慮し、多様な人材が働きがいを感じながら能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に尽力しています。具体的には、残業時間の削減や年次有給休暇の取得推進、出産・育児・介護に関連する諸制度の周知・情報提供を通じて、仕事と生活の調和を実現できる健康で働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
また、女性活躍推進のための職場環境整備の検討や、次世代育成支援、定期健診の拡充などにも取り組んでいます。中核人材における多様性の確保も重要視しており、性別や経歴を問わず多様な視点や価値観を持つ役職員を採用し、各人の能力を発揮できる環境整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性社員の平均継続勤務年数 | 15.8年 |
| 男性社員の平均継続勤務年数 | 18.3年 |
| 女性社員の平均継続勤務年数目標 | 2030年3月31日までに20年以上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
川上塗料グループは、塗料の製造販売を主な事業内容としています。同社グループは、川上塗料、子会社1社、関連会社1社で構成されています。
同社グループは塗料の製造・販売事業の単一セグメントで事業活動を展開しています。製造は川上塗料が行い、調色加工も手掛けています。販売は、川上塗料が一部直接需要家へ販売するほか、主に特約店を通じて行われています。
収益は、合成樹脂塗料、油性塗料、ラッカー、塗料希釈剤、関連製品、その他の製品販売から得ています。特に合成樹脂塗料が売上高の大部分を占める構成となっています。
同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が90%を超えており、国内市場が中心です。また、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める特定の主要顧客は存在していません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
川上塗料グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は緩やかな増加傾向を示していましたが、直近の期間ではほぼ横ばいとなりました。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の期間にかけて減少傾向にあります。
当連結会計年度は、売上高が前年と比較してわずかに増加したものの、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は前年を下回る結果となりました。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 53.1億円 | 56.3億円 | 61.4億円 | 59.1億円 | 59.3億円 |
| 経常利益 | 2.1億円 | 2.1億円 | 2.4億円 | 1.4億円 | 96百万円 |
| 経常利益率 | 4.0% | 3.8% | 3.9% | 2.4% | 1.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.5億円 | 1.6億円 | 2.0億円 | 1.7億円 | 72百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 146.76 | 162.91 | 203.89 | 171.34 | 72.65 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
川上塗料グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、従業員一人ひとりの売上貢献度が向上していることを示しています。
一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から当期にかけて減少しています。これは、売上高の増加に対して、原材料価格の高騰や諸経費の増加が影響し、利益率が低下したことが要因と考えられます。
| 指標 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 43.2百万円 | 44.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.7百万円 | 0.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
川上塗料グループの経営の安定性について、財務基盤と資金の流れ、そして事業を取り巻くリスクの観点から見ていきます。同社グループの財務状況やキャッシュフローの動向は、将来の事業展開や雇用環境を理解する上で重要な情報となります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
川上塗料グループの財務基盤は、自己資本比率やROE、手元資金の状況から確認できます。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較すると低い水準ですが、前期からは増加しています。ROEはプライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金の状況は、事業の安定性や将来の成長投資の余力を示す指標となります。
| 指標 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 32.2億円 | 33.3億円 |
| 自己資本比率 | 38.0% | 38.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.4% | 2.2% |
| 現金及び預金 | 19.1億円 | 18.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
川上塗料グループのキャッシュフローは、事業活動、投資活動、財務活動のそれぞれで資金がどのように動いているかを示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは2.8億円の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費、仕入債務の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△2.8億円の減少となっており、生産設備の増強・維持更新や研究開発設備のための有形固定資産の取得による支出が主な要因です。フリーキャッシュフローは6百万円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、わずかながら余剰資金を生み出している状況です。
財務活動によるキャッシュフローは△33百万円の減少となりました。これは長期借入れによる収入があった一方で、長期借入金の返済や配当金の支払があったことによるものです。同社グループは本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行っています。
| 項目 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.4億円 | 2.8億円 |
| 投資CF | △1.5億円 | △2.8億円 |
| 財務CF | 20百万円 | △33百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △9百万円 | 6百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、輸出取引において外国為替相場の変動リスクを負っており、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、原材料は石油関連製品への依存度が高く、石油・ナフサ価格の動向が塗料原料の価格に大きな影響を及ぼす懸念があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
川上塗料は、「人と技術で豊かな未来を創造しよう」という理念のもと、地球環境への配慮と顧客満足を追求する企業文化を築いています。技術力を高め、信頼性の高い製品を提供することで、社会に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「人と技術で豊かな未来を創造しよう」と「地球にやさしさを 暮らしに彩りを お客様に満足を」を経営の基本理念として掲げています。技術力を高め、環境に優しく信頼性の高い製品を提供することを基本方針としています。
更なる顧客満足度の向上を目指し、品質改善と顧客への即応体制を強化しています。また、環境対応型塗料の拡充に努め、新規需要の創出や顧客要求に応えることで営業基盤の拡大に注力しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、サステナビリティを中長期的な企業価値向上のための経営重要課題と認識し、経営会議での協議を経て取締役会で審議・決定しています。従業員の健康と安全に配慮し、多様な人材が働きがいを感じながら能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に尽力しています。
残業時間の削減や年次有給休暇の取得推進、出産・育児・介護関連制度の周知・情報提供を通じて、仕事と生活の調和を実現できる環境づくりを進めています。女性活躍推進や次世代育成支援、定期健診の拡充にも取り組んでいます。中核人材における多様性の確保も重視しており、性別や経歴を問わず多様な視点や価値観を持つ役職員を採用し、能力を発揮できる環境整備を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、経営環境の課題に対処するため、複数の重点テーマに取り組んでいます。販売の強化においては、顧客満足度向上を目指し、顧客との協業深化による製品開発や、サステナビリティを意識した製品の提案型販売による新規需要開拓に尽力しています。
新製品の開発では、CO2削減や環境に配慮した塗料ニーズに応えるため、省エネルギーに貢献する低温焼付型塗料やVOC放出を削減できる粉体塗料、特化則物質低減塗料などの開発に注力しています。生産性向上と生産能力増強に向けては、設備の増設・更新や人材育成、生産管理方式・レイアウトの見直し、生産設備の合理化・最適化を検討しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
川上塗料は、取締役会、監査役会、経営会議を設置し、これらの組織を通じて業務執行を行う体制を構築しています。経営の健全性と透明性を重視したコーポレート・ガバナンスを基本方針としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
川上塗料の筆頭株主はサイブリッジであり、事業会社が上位に名を連ねています。また、川上塗料共栄会といった取引先持株会も上位株主として同社を支える特徴的な資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| サイブリッジ | 15.60% |
| 川上塗料共栄会※1 | 7.42% |
| 三井物産ケミカル | 7.32% |
| 日本カストディ銀行(三井住友信託銀行再信託分・三井化学退職給付信託口) | 5.72% |
| 川上塗料従業員持株会 | 4.63% |
なお、株式会社サイブリッジより提出された大量保有報告書の変更報告書において、サイブリッジグループ株式会社が2025年10月9日現在で46千株(株式等保有割合4.69%)を保有している旨が記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は西村聰一氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西村 聰一 | 代表取締役社長 | 1985年三井物産株式会社入社。2005年三井物産(上海)貿易有限公司副総経理兼基礎化学品・石化原料部長。2018年三井物産株式会社理事三井物産(上海)貿易有限公司董事・総経理。2024年2月同社顧問、同年2月代表取締役社長に就任。2026年2月より現職。 |
| 松下田佳子 | 常務取締役 経営企画部担当 | 1997年センチュリー監査法人入所。2012年2月同社取締役経理部長。2021年6月取締役経理本部長兼システム室長。2025年2月より常務取締役経営企画部担当に就任、現職。 |
| 稲葉 哲也 | 取締役 技術本部長兼 東京技術部長 | 1995年同社入社。2018年東京技術グループ主席研究員。2022年技術本部長兼東京技術部長。2024年2月より取締役技術本部長兼東京技術部長に就任、現職。 |
| 木佐貫弦一 | 取締役 営業本部長兼 営業企画室長 | 1984年同社入社。2017年九州営業所長。2022年西日本営業部長兼九州営業所長兼広島営業所長。2025年2月より取締役営業本部長兼営業企画室長に就任、現職。 |
| 木田 幸作 | 取締役 生産本部長兼 本社工場長 | 1989年同社入社。2021年技術本部部長。2023年品質管理統括センター長。2023年12月本社工場長。2025年2月より取締役生産本部長兼本社工場長に就任、現職。 |
| 秋山 素寛 | 取締役 経理本部長兼 システム室長兼 経営企画部長 | 1994年同社入社。2017年経理部長代理。2021年経理部長。2025年2月より取締役経理本部長兼システム室長兼経営企画部長に就任、現職。 |
| 本吉 洋 | 取締役 サプライチェーン統括本部長兼 総務部担当 | 1984年三井物産株式会社入社。2004年ブラジル三井肥料株式会社代表取締役社長。2011年小野田化学工業株式会社取締役専務執行役員。2025年2月より同社理事サプライチェーン統括本部長付、同年2月理事サプライチェーン統括本部長。2026年2月より取締役サプライチェーン統括本部長兼総務部担当に就任、現職。 |
社外取締役は、林拓史氏(林公認会計士・税理士事務所所長)です。
同社は監査役会設置会社であり、監査役3名のうち2名が社外監査役として客観的かつ中立的な立場から経営を監視しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
川上塗料の役員報酬は、業績向上と企業価値増大への意欲を高めることを基本方針としています。社外取締役を除く取締役には固定報酬と業績連動報酬が支給され、業績連動報酬は連結経常利益額を指標としています。社外取締役および監査役の報酬は、独立性と客観性の観点から固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 9名 | 70百万円 | 7.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 13百万円 | 13.1百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 11百万円 | 2.8百万円 |
取締役報酬として記載された金額には、使用人兼務役員の使用人給与相当額は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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