※本記事は、川上塗料株式会社 の有価証券報告書(第111期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 川上塗料ってどんな会社?
1901年創業の老舗塗料メーカーで、独自の技術力を活かした合成樹脂塗料や環境対応型製品の開発・製造を行っています。
■(1) 会社概要
1901年に創業し、国産初のエナメル・ワニス製造に着手しました。1945年に川上塗料株式会社へ改組し、1953年には大阪証券取引所への上場を果たしています。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東京証券取引所スタンダード市場および名古屋証券取引所メイン市場に上場しています。
同社グループの従業員数は連結で132名、単体で131名です。筆頭株主はサイブリッジ、第2位は取引先持株会である川上塗料共栄会、第3位は三井物産の子会社であり重要な取引先でもある三井物産ケミカルです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| サイブリッジ | 15.60% |
| 川上塗料共栄会 | 7.42% |
| 三井物産ケミカル | 7.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は西村 聰一氏が務めています。社外取締役比率は9.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西村 聰一 | 代表取締役社長 | 三井物産入社後、機能化学品本部肥料事業部長などを経て、2024年より現職。 |
| 松下 田佳子 | 常務取締役 | センチュリー監査法人を経て同社に入社。経理部長、取締役経理本部長等を歴任し、2025年より現職。 |
| 稲葉 哲也 | 取締役 | 同社入社後、東京技術部長、技術本部長などを経て、2024年より現職。 |
| 木佐貫 弦一 | 取締役 | 同社入社後、西日本営業部長兼九州営業所長等を経て、2025年より現職。 |
| 木田 幸作 | 取締役 | 同社入社後、品質保証部長、品質管理統括センター長、本社工場長などを経て、2025年より現職。 |
| 秋山 素寛 | 取締役 | 同社入社後、経理部長などを経て、2025年より現職。 |
| 本吉 洋 | 取締役 | 三井物産入社後、小野田化学工業取締役などを経て同社に入社。理事サプライチェーン統括本部長を経て、2026年より現職。 |
社外取締役は、林 拓史(林公認会計士・税理士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「塗料の製造・販売事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
合成樹脂塗料をはじめとする各種塗料の製造および販売を行っています。顧客は主に国内の製造業企業であり、製品は特約店を通じた販売のほか、一部は直接需要家へ販売されています。近年は環境対応型塗料の拡充にも注力しています。
主な収益源は、顧客への塗料製品の販売代金です。製造および調色加工は主に同社が行い、販売については同社および子会社のダイヤス化成、関連会社の友進商会が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は50億円台後半から60億円前後で推移しています。経常利益は原材料価格の高騰等の影響を受け、第110期以降減少傾向にあり、利益率も低下しています。当期純利益も同様に減少傾向が見られます。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 53.1億円 | 56.3億円 | 61.4億円 | 59.1億円 | 59.3億円 |
| 経常利益 | 2.1億円 | 2.1億円 | 2.4億円 | 1.4億円 | 1.0億円 |
| 利益率(%) | 4.0% | 3.8% | 3.9% | 2.4% | 1.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.5億円 | 1.6億円 | 2.0億円 | 1.7億円 | 0.7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は微増となりましたが、売上総利益および営業利益は減少しています。原材料費やエネルギー価格の高止まり、物流費などのコスト増が利益を圧迫しており、営業利益率は前期間と比較して低下しました。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 59.1億円 | 59.3億円 |
| 売上総利益 | 10.5億円 | 10.1億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.7% | 17.0% |
| 営業利益 | 0.9億円 | 0.5億円 |
| 営業利益率(%) | 1.6% | 0.9% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が2.6億円(構成比27%)、運賃及び荷造費が1.6億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は塗料の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略されていますが、製品別の売上高では主力の合成樹脂塗料が堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年11月期) | 売上(2025年11月期) |
|---|---|---|
| 塗料事業 | 59.1億円 | 59.3億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
川上塗料は、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。営業活動によるキャッシュ・フローは、塗料の製造・販売事業から生み出されるものであり、投資活動によるキャッシュ・フローは、主に設備投資等に充てられております。財務活動によるキャッシュ・フローは、金融機関からの借入等により資金調達を行っております。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.4億円 | 2.8億円 |
| 投資CF | -1.5億円 | -2.8億円 |
| 財務CF | 0.2億円 | -0.3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「人と技術で豊かな未来を創造しよう」および「地球にやさしさを 暮らしに彩りを お客様に満足を」を経営の基本理念として掲げています。この理念のもと、社会に貢献し続ける企業を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、「技術力を高め、環境に優しく信頼性の高い製品を提供すること」を基本方針としています。顧客満足度の向上を目指し、品質改善や即応体制の強化に取り組むとともに、環境対応型塗料の開発などを通じて社会のニーズに応える姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画において、計画期間を「投資を強化し体質を改善する期間」と位置づけ、持続的成長を成し得る企業体質の構築を進めています。最終年度の数値目標として以下を掲げています。
* 2027年11月期 売上高:66億27百万円
* 2027年11月期 経常利益:2億65百万円
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向け、同社は「販売の強化」「新製品の開発」「生産性向上と生産能力増強」「コストの削減」を優先的に対処すべき課題として挙げています。特にサステナビリティを意識した製品開発や提案型販売による新規需要の開拓、生産設備の合理化・最適化による収益基盤の強化に注力する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員の健康と安全に配慮し、多様な人材が能力を発揮できる職場環境の整備に注力しています。残業時間の削減や有給休暇の取得推進、育児・介護支援などを通じ、仕事と生活の調和を図るとともに、性別や経歴を問わず多様な視点を持つ人材を採用・登用することで、中長期的な企業価値向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 45.5歳 | 17.8年 | 5,779,792円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員の平均継続勤務年数(15.8年)、男性社員の平均継続勤務年数(18.3年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格の変動
同社グループの製品に使用される原材料は石油関連製品への依存度が高いため、石油・ナフサ価格の動向が塗料原料の価格に大きく影響します。原材料価格が高騰した場合、製造コストの上昇を招き、同社グループの業績に多大な影響を与える可能性があります。
■(2) クレーム補償
技術的・理論的に十分な注意を払って製品設計を行い、顧客との連携強化によりクレーム防止に努めていますが、将来的に製品に関するクレームが発生した場合、補償等により業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 外国為替相場の変動
輸出取引を行っているため、為替変動リスクを負っています。急激な為替相場の変動が発生した場合、同社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。



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