アイ・ケイ・ケイホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アイ・ケイ・ケイホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の婚礼事業会社。ゲストハウス・ウェディングを主軸に、介護、食品、フォト事業等を展開しています。2025年10月期は、施行単価の上昇やフォト事業等の増収があったものの、既存店施行組数の減少や人件費等のコスト増により、売上高は前期比3.5%減、経常利益は同25.1%減の減収減益となりました。


※本記事は、アイ・ケイ・ケイホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第30期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アイ・ケイ・ケイホールディングスってどんな会社?


ゲストハウス型婚礼施設を全国展開する企業。持株会社体制のもと、介護・食品・フォト・海外人材など多角化を進めています。

(1) 会社概要


1995年に設立し、2000年にゲストハウス・ウェディング事業を開始しました。2010年にJASDAQへ上場し、2012年に東証一部(現プライム市場)へ指定替えとなりました。2017年にはインドネシアへ進出し海外展開を開始。2021年に持株会社体制へ移行して現社名に変更し、フォト事業や食品事業などの多角化を推進しています。

連結従業員数は1,033名、単体(持株会社)では75名です。筆頭株主はエム・ケイ・パートナーズで、第2位は同社代表取締役会長兼社長CEOです。第3位には従業員持株会が入っており、経営陣と従業員が主要な株主となっています。

氏名 持株比率
エム・ケイ・パートナーズ 33.75%
金子 和斗志 10.50%
アイ・ケイ・ケイホールディングス従業員持株会 3.74%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役会長兼社長CEOは金子和斗志氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
金子 和斗志 代表取締役会長兼社長CEO 1974年金子興業(現アイ・エス)入社。1995年同社社長。2021年より現職。
中 嶋 大 祐 取締役副社長婚礼事業本部長兼 フォト事業担当兼部長兼 海外人財事業担当兼部長兼 デジタルマーケティング推進担当 2007年同社入社。営業企画部長、フォト事業部長を経て2025年1月より現職。
寺 澤 大 輔 取締役介護事業担当兼部長兼 人事担当兼部長 1995年同社入社。人事部長、経営企画部長を経て2023年1月より現職。
森 田 康 寛 取締役婚礼事業担当兼部長兼 海外事業開発担当兼部長 2004年同社入社。経営管理部長、海外事業開発部長を経て2021年11月より現職。
小 田   豊 取締役システム担当兼部長 三越伊勢丹HD、カブドットコム証券を経て2020年同社入社。2021年1月より現職。
阿 部 慶 介 取締役(常勤監査等委員) 福岡銀行支店長、福岡銀行監査部主任調査役を経て2024年1月より現職。
中 村 亮 介 取締役(監査等委員) 2010年弁護士登録。2014年中村国際法律事務所開設。2020年1月より現職。


社外取締役は、平山知宏(ルームクリップ執行役員CTO)、楠典子(税理士)、伊藤晴輝(公認会計士)、梅山香里(中小企業診断士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「婚礼事業」「介護事業」「食品事業」「フォト事業」および「その他」事業を展開しています。

婚礼事業

挙式・披露宴に関する企画・運営等のサービスを提供しています。国内の地方都市を中心にゲストハウス・ウェディング形式の施設を展開するほか、インドネシアなどの海外でも事業を行っています。

収益は、挙式・披露宴の施行に伴い顧客から受け取る対価です。運営は主にアイ・ケイ・ケイおよびPT INTERNATIONAL KANSHA KANDOU INDONESIAが行っています。

介護事業

有料老人ホームの運営および介護サービス等の提供を行っています。高齢者のライフスタイルに応じたサービスを展開しています。

収益は、施設入居者からの利用料や介護報酬等です。運営はアイケアが行っています。

食品事業

引出物・引菓子およびギフト商品等に関する企画、開発、販売業務を行っています。自社工場での製造による安全・安心な商品提供に注力しています。

収益は、商品の販売代金です。運営は明徳庵が行っています。

フォト事業

フォトウェディングおよび写真スタジオ等の企画・運営等のサービスを提供しています。ロケーション撮影など多様化するニーズに対応しています。

収益は、撮影プランやアルバム制作などのサービス料です。運営はAmbihoneが行っています。

その他(海外人財事業)

主として海外人財の職業紹介および人財派遣等の企画・運営等のサービスを提供しています。

収益は、企業への人財紹介手数料や派遣料等です。運営はアイ・ケイ・ケイユナイテッドリンクが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高はコロナ禍の影響から回復し2024年10月期には233億円まで拡大しましたが、2025年10月期は225億円と微減しました。経常利益も2024年10月期に25億円を記録した後、当期は19億円へと減少しています。一方、当期利益は特別損失の計上等がありつつも、税金費用の減少等により増益基調を維持しています。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 115億円 191億円 220億円 233億円 225億円
経常利益 -6.1億円 21.0億円 20.1億円 25.3億円 18.9億円
利益率(%) -5.3% 11.0% 9.1% 10.9% 8.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -4.1億円 14.0億円 13.4億円 17.0億円 19.6億円

(2) 損益計算書


前期と比較すると、売上高の減少に伴い売上総利益が減少しました。また、販売費及び一般管理費が増加したことで、営業利益率は前期の10.7%から8.1%へと低下しています。収益性の改善が課題となる決算となりました。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 233億円 225億円
売上総利益 140億円 136億円
売上総利益率(%) 60.3% 60.4%
営業利益 25億円 18億円
営業利益率(%) 10.7% 8.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が39億円(構成比33%)、広告宣伝費が12億円(同10%)を占めています。人件費と広告費が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


主力の婚礼事業は、施行単価は上昇したものの施行組数が減少し、減収減益となりました。一方、食品事業やフォト事業は大幅な増収を達成しましたが、新規出店や人件費増により利益面では貢献度が限定的または赤字となっています。介護事業は安定的に推移しています。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期) 利益(2024年10月期) 利益(2025年10月期) 利益率
婚礼事業 219億円 208億円 23億円 17億円 8.0%
介護事業 6.3億円 6.6億円 -0.0億円 0.0億円 0.6%
食品事業 0.5億円 1.2億円 0.7億円 -0.4億円 -34.7%
フォト事業 6.7億円 9.0億円 1.6億円 2.0億円 21.7%
その他 0.1億円 -億円 -0.0億円 -0.0億円 -%
連結(合計) 233億円 225億円 25億円 18億円 8.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)をもとに、借入返済や株主還元を行い(財務CFマイナス)、将来への投資(投資CFマイナス)も行う「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF 40億円 20億円
投資CF -3.1億円 -17億円
財務CF -19億円 -16億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.4%で市場平均(プライム非製造業平均24.2%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「誠実であれ!情熱をもって 挑戦する!」をコアバリューと理念に掲げ、「ご縁ある人々の笑顔のために」をパーパスとしています。また、2028年までに「7年後日本を代表する、ワクワクする未来事業をつくる」というミッションを設定し、誠実・信用・信頼を経営の根底に置いています。

(2) 企業文化


経営理念に基づき「感動創造カンパニー」を目指す文化があります。従業員を「人財」と呼び、国籍・年齢・経験に関係なく能力を発揮できる環境づくりを重視しています。また、公正で透明性の高い経営を行い、全てのステークホルダーから信頼を得ることを重視し、コンプライアンス経営の徹底に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長のため、経営資源の効果的な配分による利益率向上と強固な財務基盤の構築を目指しています。具体的には、収益性指標として「投下資本利益率」、財務バランス指標として「自己資本比率」を重要な経営指標と位置づけ、既存店のリニューアルや人財育成を通じて稼働率向上を図る方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


婚礼事業を柱としつつ、介護、食品、フォト、海外人財など強みを発揮できる分野への進出を国内外で進める方針です。具体的には、情報収集・分析力の強化、課題解決力を持つ人財の採用と育成、既存店のクオリティ維持・強化、および新規事業の開発・創出を重要課題として掲げ、戦略的リニューアルや新規出店を継続します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人は財産であり差別化の重要要素であるとして「人財」と表現し、採用と育成に注力しています。理念研修や実務研修、階層別研修などを通じて、課題発見力・解決力を持つ自立型人財の育成を目指しています。また、国籍や性別等を問わず能力を発揮できる環境整備を進め、優秀な人財の定着を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 34.3歳 9.3年 4,973,813円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 29.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 83.1%
男女賃金差異(正規) 81.7%
男女賃金差異(非正規) 98.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性労働者の割合(22.6%)、年次有給休暇取得率(65.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 婚礼市場の縮小と競争激化

少子化やナシ婚・晩婚化により国内市場が縮小する可能性があります。また、ゲストハウス・ウェディングへの競合参入や価格競争の激化が進んでおり、有力な競合店の出店などにより競争環境が厳しくなった場合、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 婚礼スタイルの変化への対応

顧客の嗜好変化により、ゲストハウス・ウェディングに代わる新たなスタイルが主流となる可能性があります。トレンドの変化への対応が遅れた場合、競争力が低下し、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 人財の確保と育成

優秀な人財の採用・育成・定着は差別化の重要要因です。計画通りに採用や育成が進まない場合、競争力の低下や事業拡大の制約となり、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 感染症および自然災害の影響

新たな感染症の流行や、地震・風水害等の自然災害により、店舗営業の中断や施設の損壊が発生した場合、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。特に婚礼事業は集客を伴うため、感染症の影響を受けやすい特性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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