グッドコムアセット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グッドコムアセット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の不動産会社。投資用マンション「GENOVIA」シリーズの企画・開発・販売・管理を主力事業とします。第20期は、販売戸数の減少等により売上高546億円(前期比減)、経常利益26億円(前期比減)と減収減益となりました。


※本記事は、株式会社グッドコムアセット の有価証券報告書(第20期、自 2024年11月1日 至 2025年10月31日、2026年1月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グッドコムアセットってどんな会社?


自社ブランドマンション「GENOVIA」を展開する投資用不動産の専門企業です。

(1) 会社概要


同社は2005年に設立され、2008年に自社ブランド「GENOVIA」シリーズの販売を開始しました。2016年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場し、2018年には市場第一部へ指定替え(現プライム市場)を果たしました。2025年には、戸建事業や再販事業を行う株式会社Livenup Groupを連結子会社化し、事業領域を拡大しています。

2025年10月31日時点の従業員数は連結で245名、単体で105名です。筆頭株主は同社代表取締役社長の長嶋義和氏で、第2位は長嶋氏の資産管理会社です。

氏名 持株比率
長嶋 義和 17.34%
long-island 15.14%
長嶋 弘子 11.84%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は長嶋義和氏で、社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
長嶋 義和 代表取締役社長 1993年株式会社トーシンワールド入社。2005年同社入社。株式会社グッドコム代表取締役社長などを経て、2008年7月より現職。
東 真生樹 専務取締役管理本部長 2005年株式会社アプロード入社。2006年同社入社。管理部総務・人事教育グループリーダー、取締役執行役員などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、松山昌司(松山公認会計士事務所代表)、小田香織(公認会計士)、野間幹晴(一橋大学大学院教授)、杉山央(弁護士法人赤れんが法律事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホールセール」「リテールセールス」「リアルエステートマネジメント」「Livenup Group」および「その他」事業を展開しています。

ホールセール

国内外の法人に対して、自社ブランドの新築マンション「GENOVIA」シリーズを販売しています。1部屋単位から1棟単位まで幅広く対応しており、近年では不動産ファンドへの販売も行っています。
運営は主に同社が行っています。

リテールセールス

国内外の個人投資家に対して、自社ブランドの新築マンション「GENOVIA」シリーズを販売しています。将来の年金対策や生命保険の代替、相続税対策として活用されています。
運営は主に同社が行っています。

リアルエステートマネジメント

販売したマンションの入居者募集などの賃貸管理業務や、マンション管理組合から受託する建物管理業務を行っています。また、不動産賃貸借契約時に借主の保証人となる家賃債務保証事業も展開しています。
運営は主に株式会社グッドコムおよび株式会社ルームバンクインシュアが行っています。

Livenup Group

戸建住宅や収益不動産の開発・販売、中古住宅のリノベーション、賃貸管理などを行っています。
運営は主に株式会社Livenup Groupおよびその子会社が行っています。

その他

新規上場および上場後IR・資本政策に関するコンサルティング業務や、不動産小口化商品販売事業、不動産ファンド事業を行っています。
運営は主に株式会社キャピタルサポートコンサルティング、株式会社グッドコムアセット投資顧問などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第19期に売上高・利益ともに大きく伸長しましたが、第20期は減収減益となりました。利益率は低下傾向にあり、第20期の利益率は4.7%となっています。

項目 2021年10月期 2022年10月期 2023年10月期 2024年10月期 2025年10月期
売上高 342億円 400億円 222億円 598億円 546億円
経常利益 32億円 43億円 18億円 49億円 26億円
利益率(%) 9.2% 10.8% 8.1% 8.3% 4.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 22億円 27億円 11億円 33億円 15億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も減少しました。一方、販売費及び一般管理費は増加しており、結果として営業利益率は低下しています。

項目 2024年10月期 2025年10月期
売上高 598億円 546億円
売上総利益 89億円 79億円
売上総利益率(%) 14.9% 14.4%
営業利益 55億円 29億円
営業利益率(%) 9.1% 5.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が11億円(構成比22%)、租税公課が7億円(同15%)を占めています。売上原価は売上高に連動して推移しています。

(3) セグメント収益


ホールセール事業とリテールセールス事業が売上の大半を占めていますが、両セグメントともに前期比で減収となりました。一方、M&AによりLivenup Groupが新たな収益柱として加わりました。

区分 売上(2024年10月期) 売上(2025年10月期)
ホールセール 443億円 394億円
リテールセールス 129億円 98億円
リアルエステートマネジメント 25億円 23億円
Livenup Group - 31億円
その他 0.4億円 0.4億円
連結(合計) 598億円 546億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

グッドコムアセットのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益があったものの、仕入債務の減少などにより資金が減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得や子会社株式の取得による支出が主な要因となり、資金が減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払いがあった一方で、長期借入れによる収入がそれを上回ったため、資金が増加しました。

項目 2024年10月期 2025年10月期
営業CF 259億円 -11億円
投資CF -7億円 -26億円
財務CF -216億円 15億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、Purposeとして「不動産を安心と信頼のできる財産としてグローバルに提供し、社会に貢献する」を掲げ、Visionとして「21世紀を代表する不動産会社を創る」ことを目指しています。立地や仕様にこだわった投資用不動産を提供することで、ステークホルダーへの責任を果たし、企業価値の向上を図ることを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、理念を深く理解し、自ら調べ、考え、動き、実現する人材の育成を重視しています。また、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮するため、個々を尊重し合える組織風土の下、多様な人材がいきいきと働ける職場環境の整備を進め、エンゲージメントの向上に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中期経営計画において、2030年10月期に売上高6,000億円の達成を目標としています。グループの強みを活かし、スピード重視かつ資金効率の良い戦略を遂行することで、目標達成を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


成長戦略として、不動産ファンド事業の推進と積極的なM&Aを掲げています。手付金のみの仕入による資金効率の良さを活かしつつ、ファンドへの一括販売で資金回転率を高める方針です。また、M&Aによりエリア拡大や物件ラインナップの増加を図り、総合不動産業への進化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、事業拡大を加速させるため、優秀な人材の確保と定着、育成を重要課題としています。PurposeとVisionに共感する人材を育成し、ワークライフバランスを推進することで、多様な人材が長期的に活躍できる環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年10月期 31.0歳 4.6年 7,720,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.8%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 51.9%
男女賃金差異(正規) 53.7%
男女賃金差異(非正規) 64.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、Scope1排出量(77.0t-CO2)、Scope2排出量(43.1t-CO2)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 仕入に関するリスク

同社は東京23区を中心に用地や物件の仕入を行っていますが、地価や建築費の上昇により、仕入価格が販売価格に転嫁できない場合や、経営環境の変化により契約内容が不利になる可能性があります。また、マンション建築事業主からの仕入において、事業主の都合等で建築工期が遅延した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 不動産引渡時期等による業績の変動リスク

同社の売上計上基準は引渡基準であるため、工事の遅延や天災等により引渡しが遅れた場合、または法人等への一括引渡しにより、特定の期間に売上や利益が偏重する可能性があります。これにより、四半期や通期の業績が大きく変動するリスクがあります。

(3) 販売に関するリスク

ホールセールでは経済環境や金利動向の変化、リテールセールスでは投資意欲の減退が業績に影響を与える可能性があります。また、不動産ファンド事業やLivenup Group事業においても、市場環境の変化や建築費の高騰などが利益確保を困難にするリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。