ノダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ノダ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ノダは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、木質建材および合板の製造販売を主力事業としています。第88期は、住宅着工戸数の減少や合板販売価格の下落等が響き、売上高は前期比減収となりました。利益面では、経常損益および親会社株主に帰属する当期純損益ともに赤字に転落しています。


※本記事は、株式会社ノダ の有価証券報告書(第88期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ノダってどんな会社?


ノダは、住宅用内装材や合板、繊維板(MDF)などの製造・販売を行う総合木質建材メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1938年、静岡県にて合板の製造販売を目的として設立されました。1960年にプリント合板の製造販売を開始し、1989年に現在の商号である株式会社ノダへ変更しました。1995年には東京証券取引所市場第二部(現スタンダード市場)に上場を果たしています。近年では2024年に株式会社アリモト工業を連結子会社化するなど、事業基盤の拡大を進めています。

2025年11月30日現在、同社グループの従業員数は連結で1,798名、単体で1,031名です。筆頭株主は野田有一氏で、第2位は野田周子氏、第3位は三井物産株式会社となっています。

氏名 持株比率
野田有一 17.90%
野田周子 6.50%
三井物産 4.40%

(2) 経営陣


同社の役員は男性15名、女性0名の計15名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は野田励氏が務めています。なお、社外取締役比率は18.2%です。

氏名 役職 主な経歴
野田励 代表取締役社長 サントリーを経て同社入社。建材事業部長、代表取締役副社長などを歴任し2018年より現職。
野田四郎 代表取締役専務 石巻合板工業代表取締役社長を経て、2021年より現職。
髙津原健太郎 常務取締役建材事業部長 1988年同社入社。建材事業部長、取締役などを経て2016年より現職。
宮田佳明 取締役ICTソリューション推進部担当兼海外事業推進室長 富士通を経て同社入社。経営企画部長などを歴任し2025年より現職。
良知正啓 取締役経営企画部長兼総務部長兼人事部長 1991年同社入社。人事部長、総務部長などを経て2025年より現職。
新美泰 取締役建材製造本部長 1996年同社入社。建材製造本部副本部長を経て2023年より現職。
天岸知樹 取締役繊維板事業部長 1998年同社入社。繊維板事業部副事業部長を経て2023年より現職。
服部裕仁 取締役製品開発部長 1988年同社入社。製品開発部長を経て2024年より現職。
渡邉慎也 取締役物流部長 1988年同社入社。物流部長を経て2024年より現職。


社外取締役は、塩坂健(NK化成相談役)、髙井章光(髙井総合法律事務所代表パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「木質建材事業」および「合板事業」を展開しています。

(1) 木質建材事業


建材製品(内装材・外装材・住宅機器他)や繊維板(MDF)の製造・販売を行うほか、住宅関連工事の請負や外構構造物の設計・施工を手掛けています。主な顧客は住宅メーカーや建材商社、工務店などです。省施工製品や高付加価値製品の提供により、多様化するニーズに対応しています。

収益は製品販売や工事請負による対価です。製造は同社のほか、アドン株式会社、スラインダー社等が担い、販売は同社および株式会社ナフィックスが行っています。また、株式会社ナフィックスは住宅関連工事を、株式会社アリモト工業は外構構造物の設計施工を請け負っています。

(2) 合板事業


建築資材として使用される合板の製造および販売を行っています。国産材を使用した針葉樹合板や輸入南洋材合板などを取り扱っており、市場の需要動向に応じた製品供給を行っています。また、持続可能な森林循環に貢献するため、間伐材の積極的な受け入れも進めています。

収益は合板製品の販売対価です。製造および販売は主に同社、石巻合板工業株式会社、および関連会社のサンヤン社が行っています。また、石巻合板工業株式会社は製造工程の一部をアイピーエムサービス株式会社に委託しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年11月期をピークに減少傾向にあります。利益面では、2022年11月期に高い利益率を記録しましたが、その後は原材料価格の高騰や販売価格の下落等が影響し、利益率が低下しました。直近の2025年11月期およびその前期は当期純損失を計上し、厳しい業績となっています。

項目 2021年11月期 2022年11月期 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 646億円 810億円 732億円 670億円 647億円
経常利益 42億円 103億円 50億円 7億円 -0.3億円
利益率(%) 6.6% 12.8% 6.9% 1.0% -0.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 16億円 4億円 -49億円 -3億円

(2) 損益計算書


売上高は減少しており、売上総利益率も低下傾向にあります。販売費及び一般管理費はほぼ横ばいで推移していますが、売上総利益の減少に伴い営業損益が悪化し、直近では営業損失となりました。コスト構造の変化や販売環境の厳しさが利益圧迫の要因となっています。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 670億円 647億円
売上総利益 135億円 131億円
売上総利益率(%) 20.1% 20.2%
営業利益 4.4億円 -0.5億円
営業利益率(%) 0.7% -0.1%


販売費及び一般管理費のうち、運賃諸掛が39億円(構成比30.0%)、給料手当が27億円(同20.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


木質建材事業は新築戸建向けの販売減により減収となりましたが、固定費削減や前期の減損による償却費減少で黒字転換しました。合板事業は需要低迷と販売価格下落により減収減益となりました。全社的には減収となり、全体調整後の営業損益は赤字となっています。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期) 利益(2024年11月期) 利益(2025年11月期) 利益率
木質建材事業 403億円 398億円 -0.1億円 8億円 2.0%
合板事業 267億円 249億円 22億円 9億円 3.6%
連結(合計) 670億円 647億円 4.4億円 -0.5億円 -0.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ノダは、営業活動によるキャッシュ・フローで、売上債権の減少などにより収入を得ましたが、仕入債務の減少などにより支出も発生しました。投資活動によるキャッシュ・フローでは、設備投資などにより支出が先行しました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、借入による収入があったものの、借入金の返済や配当金の支払いなどにより、収入となりました。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF 36億円 16億円
投資CF -29億円 -54億円
財務CF -14億円 5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、主体的に価値創造に挑戦することで個人の成長を促し、さらなる社会貢献を実現できる企業となることを理念としています。社会に果たすべきミッションとして、木の良さを活かした快適な空間創造への寄与と、木を無駄なく使用し持続可能な森林循環へ貢献することを掲げています。

(2) 企業文化


同社は「共生・誠実・しんか(深化・進化・伸化・新化)」をコアバリューとしています。また、理念実現のための基本姿勢として、SDGsとリンクしたCSV(共通価値の創造)の推進、ガバナンスの強化に加え、コミュニケーションと挑戦を促す企業文化の醸成を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は持続的な企業価値向上のため、収益力の強化と企業体質の強化に努めています。経営指標として「営業利益」「経常利益」などの損益項目に加え、「自己資本比率」「売上高経常利益率」を重視し、高い収益力を維持する経営の実践を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


ビジョン2030「木の心地よさを住まいから様々な空間へ」を掲げ、木の良さを活かす事業領域への集中や、バリューチェーンにおける競争力強化を図っています。具体的には、新築戸建市場だけでなく、リフォーム市場や非住宅分野(公共・商業施設等)への販路拡大を推進しています。また、国産材の活用や原材料調達の多様化、DX推進による業務効率化、サステナビリティへの取り組みを通じ、経営基盤の強化と社会貢献の両立を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、個人の成長が企業の成長と社会貢献につながると考え、専門性を高めることや部署を超えた共創を重視しています。人材育成においては、OJTや階層別研修、資格取得奨励などを実施し、次世代人材を育成しています。また、テレワークや時短勤務などの制度整備、ハラスメント研修、社員意識調査などを通じて、働きやすい環境づくりと労働生産性の向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 44.2歳 19.2年 5,728,256円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.5%
男性育児休業取得率 70.6%
男女賃金差異(全労働者) 78.3%
男女賃金差異(正規雇用) 81.5%
男女賃金差異(非正規) 62.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業取得者の職場復帰率(100%)、育児休業等・育児目的休暇の取得人数(男性17名、女性5名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新設住宅着工戸数について


同社グループの業績は新設住宅着工戸数、特に持家と分譲戸建ての動向に強く影響を受けます。国内の少子高齢化等により着工戸数の減少が予想される中、非住宅市場やリフォーム市場の開拓に注力し、依存度の軽減を図っています。

(2) 原材料価格の変動等について


製品である輸入合板・MDFや原材料は、国際相場や為替の影響を受けやすく、仕入価格の変動が業績に影響を与える可能性があります。また、木材資源国の規制等による調達難のリスクもあります。同社は調達先の多様化や為替対策により、リスク軽減に努めています。

(3) 自然災害等による影響について


地震や火災などの大規模災害が発生した場合、生産・営業拠点の損害やサプライチェーンの寸断により、業績に重大な影響が及ぶ可能性があります。同社は耐震対策や防災訓練、損害保険による備えを行っていますが、完全な回避は困難な場合があります。

(4) 製品販売価格の下落について


国内競合他社との競争激化により、製品販売価格の下落や販売数量の減少が生じ、収益性が低下するリスクがあります。同社は高付加価値製品の開発や市場シェアの拡大に取り組み、競争力の維持・向上を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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