※本記事は、東洋紡株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東洋紡は、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維・商事、不動産、その他といった多岐にわたる事業を展開する化学メーカーです。包装用フィルムやバイオ製品、エンジニアリングプラスチック、エアバッグ用基布などの製造・加工・販売を同社グループ各社とともに手掛けています。
単体従業員数は2,885名、連結従業員数は9,398名です。同社グループの事業セグメントは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維・商事、不動産、その他の6つです。
主な国内グループ会社は、東洋紡エムシー(環境・機能材他)、東洋紡STC(フィルム)、東洋紡せんい(機能繊維・商事)、東洋紡エンジニアリング(その他)、日本エクスラン工業(機能繊維・商事他)などです。
同社グループは、エアバッグ用基布事業の強化のためタイへ拠点を集約しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東洋紡は、素材とサイエンスを基軸に社会課題解決を目指す企業グループです。長期的な視点での事業展開と、従業員の成長や働きがいを重視する人材戦略が特徴として挙げられます。持続可能な社会への貢献を掲げ、従業員が安心して活躍できる環境づくりにも注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、安定した環境でキャリアを築いている従業員が多い傾向が見られます。単体従業員数はグループ全体の約3割を占めており、中核を担う存在であることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,853,737円 |
| 平均勤続年数 | 14.2年 |
| 平均年齢 | 40.1歳 |
| 単体従業員数 | 2,885人 |
| 連結従業員数 | 9,398人 |
| 単体のグループ内比率 | 30.7% |
同社および一部の連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を採用しています。退職一時金制度もあり、給与と勤務期間に基づいた一時金または年金が支給されます。
確定給付制度における退職給付債務は495億円、年金資産は487億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
東洋紡グループは、長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」と「2030年中期経営計画」で策定した「価値創造ストーリー」の実現に向け、人材を最も重要な経営資本と位置付けています。組織や会社を超えて新たな価値を創造する「共創・変革人材」の育成、変化に適応し人材を活かす「しなやかで強い組織」の構築、そして多様な人材が共に高め合い安心と働きがいを実感できる「風土の醸成」を三つの柱として人事・労務施策を展開しています。
従業員の報酬は、月例賃金、賞与、福利厚生、非金銭的報酬を含む全体で、採用・定着、モチベーション向上、能力開発を図ることを目指しています。月例賃金は、役割に応じた基本給と各種手当で構成され、社会動向や経営環境、労働組合との交渉を経て決定されます。賞与は業績連動方式を採用し、個人の成果も反映される仕組みです。マネジメント層には、より職責や会社・所属部門業績を重視した別の報酬体系が適用されます。
人材育成においては、企業理念体系「TOYOBO PVVs」の体現を目指し、新卒から管理職まで各種研修を通じて浸透を図っています。また、事業環境の変化に対応するため、全社共通教育、技術者教育、専門技術・知識教育を整備し、グローバル人材育成にも力を入れています。次世代経営人材の育成にも注力し、社内外の研修や「全社人材会議」を通じて計画的な育成と部門横断的な人材配置を進めています。
社内環境整備では、多様な人材が働きがいを実感できる職場環境の構築を目指しています。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進し、女性活躍推進や障がい者雇用、LGBTQ+相談窓口の設置などに取り組んでいます。健康経営にも積極的に取り組み、従業員の健康意識向上、生活習慣改善、メンタルヘルス対策を強化しています。働き方改革として、育児・介護支援制度の充実、男性の育児休業取得促進、シニア社員制度の導入、超過重労働の撲滅にも取り組んでいます。2022年7月からは新人事制度を運用し、従業員一人ひとりの能力向上と自律的な学びを支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.6% |
| 男性育児休業取得率 | 116.2% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 68.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 51.5% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 連結子会社1
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
▼ 連結子会社2
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.2% |
| 男性育児休業取得率 | 133.0% |
▼ 連結子会社3
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.6% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
人材育成
| 指標(KPI) | 2025年度実績 |
|---|---|
| 海外基幹人材の日本での研修受講者数 | 17人 |
| 従業員一人当たりの教育投資額(教育時間) | 30千円/年(12.21時間) |
社内環境整備(土台の構築)
| 指標(KPI) | 2025年度実績 |
|---|---|
| 管理職に占める女性比率 | 5.6% |
| 年休取得率 | 80.8% |
| 過重労働者比率(3ヶ月連続で一定の基準を超えた人数/対象者数) | 0.13% |
| 男性の育児休業取得率 | 取得率116.2% 平均取得日数35.7日 |
| 健康経営ホワイト500認定 | 健康経営優良法人2026(大規模法人部門)認定 |
| 従業員エンゲージメントスコア肯定的回答率(日常の業務遂行に関する項目) | 47% |
| 従業員エンゲージメントスコア肯定的回答率(多様な意見や考え方の尊重に関する項目) | 50% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東洋紡は、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維・商事、不動産など多岐にわたる事業を展開する化学メーカーです。幅広い分野で製品やサービスを提供し、社会の様々なニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、高機能な素材や製品の開発・製造・販売を通じて収益を上げています。特にフィルム事業が最大の売上を占め、環境・機能材、機能繊維・商事事業がこれに続いています。各事業セグメントは、それぞれの専門分野で独自の製品や技術を提供しています。
日本国内での売上高が最も大きく、中国、東南アジア、その他の地域でも事業を展開し、グローバルに収益を得ています。特定の顧客への売上高が連結損益計算書の10%以上を占める相手先はありません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| フィルム | 1,668億円 | 1,752億円 |
| 環境・機能材 | 1,108億円 | 1,101億円 |
| 機能繊維・商事 | 981億円 | 896億円 |
| ライフサイエンス | 343億円 | 345億円 |
| その他の事業セグメント | 78.3億円 | 76.7億円 |
| 不動産 | 41.5億円 | 45.0億円 |
フィルム
包装用フィルムや工業用フィルムなどの製造・加工および販売を行っています。包装用フィルムでは消費者の節約志向により荷動きが低調に推移しましたが、新設備の生産性改善により収益が改善しました。工業用フィルムでは、セラミックコンデンサ用離型フィルムや液晶偏光子保護フィルムが堅調に推移し、当期の売上高は前期から増加しました。
収益は、フィルム製品の提供から得ています。運営は、東洋クロス等が行っています。
環境・機能材
エンジニアリングプラスチック、工業用接着剤、光機能材料、機能フィルター、スーパー繊維、アクア膜、不織布などの製造・販売を手掛けています。エンジニアリングプラスチックや工業用接着剤の販売が増加した一方で、VOC回収装置の出荷が減少しました。当期の売上高は前期からわずかに減少しました。
収益は、機能性材料や環境関連製品の提供から得ています。運営は、東洋紡エムシー等が行っています。
機能繊維・商事
エアバッグ用基布、機能衣料、アパレル製品、衣料テキスタイル、衣料ファイバーなどの製造・販売を行っています。衣料繊維事業では中東向け特化生地の販売が伸びたものの、エアバッグ用基布事業では減産の影響を受け、当期の売上高は前期から減少しました。
収益は、機能性繊維製品やアパレル関連製品の提供から得ています。運営は、TOYOBO INDUSTRIAL MATERIAL (THAILAND) LTD.、東洋紡せんい、東洋紡STC等が行っています。
ライフサイエンス
診断薬用酵素などのバイオ製品、医薬品、医用膜、医療機器などの製造・加工および販売を行っています。診断薬用原料酵素の需要は堅調でしたが、中国市況の影響で診断薬用試薬の販売が低調となり、新工場の立ち上げ遅れも影響しました。当期の売上高は前期からわずかに増加しました。
収益は、バイオ製品や医療関連製品の提供から得ています。運営は、Spinreact, S.A.U.等が行っています。
その他の事業セグメント
建物・機械等の設計・施工、情報処理サービス、物流サービスなどを提供しています。これらのインフラ事業は概ね計画通りに推移しました。当期の売上高は前期からわずかに減少しました。
収益は、エンジニアリングや物流サービスなどの提供から得ています。運営は、東洋紡エンジニアリング、東洋紡ロジスティクス等が行っています。
不動産
不動産の販売・賃貸・管理などを行っています。当期の売上高は前期から増加しました。
収益は、不動産の賃貸や管理サービスから得ています。運営は、東洋紡不動産等が行っています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で緩やかな変動を見せています。当期は前期からわずかに減少しましたが、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は大幅に増加しました。特に親会社株主に帰属する当期純利益は、前期から大きく改善しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、直近5年間で増加傾向にあり、当期も堅調な収入を確保しています。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは継続して支出が続いており、事業への投資を積極的に行っている状況がうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,757億円 | 3,999億円 | 4,143億円 | 4,220億円 | 4,216億円 |
| 経常利益 | 231億円 | 65.9億円 | 69.6億円 | 106億円 | 229億円 |
| 経常利益率 | 6.1% | 1.6% | 1.7% | 2.5% | 5.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 129億円 | △6.5億円 | 24.6億円 | 20.0億円 | 112億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 144.75 | △7.37 | 27.87 | 22.73 | 126.65 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、当期に前期から増加しました。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も当期に前期から大きく増加しており、生産性の向上が見られます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化や組織効率化の進展を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 42.3百万円 | 44.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.7百万円 | 3.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で得た資金を投資に回しつつ、手元資金を確保している状態を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、前期から増加傾向にあり、財務基盤の強化が進んでいます。プライム市場の製造業平均と比較すると、自己資本比率とROE(自己資本利益率)は下回る水準となっています。手元資金である現金及び預金は増加しており、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。これらの財務状況は、同社グループが安定した事業運営を継続していく上での基盤を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2,320億円 | 2,520億円 |
| 自己資本比率 | 31.6% | 34.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.0% | 5.5% |
| 現金及び預金 | 286億円 | 311億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費や税金等調整前当期純利益の増加により、資金の収入となりました。本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出が主な要因となり、資金の支出となりました。これは将来に向けた事業基盤の強化や成長投資を継続していることを示唆しています。
その結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローはプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還や長期借入金の返済、配当金の支払いなどにより資金の支出となりました。これは、借入金の返済を進めつつ、株主への還元も行っていることを示しています。これらの資金の流れから、同社グループは本業で安定した資金を創出し、成長投資を行いながらも財務健全性を維持していることがうかがえ、雇用や給与の安定性にもつながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 301.2億円 | 450.3億円 |
| 投資CF | △463.9億円 | △270.8億円 |
| 財務CF | 104.9億円 | △165.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △162.7億円 | 179.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、米国通商政策の変更や各国の金融政策の見直し、地政学的情勢の変動などにより、生産や販売が縮小するリスクを認識しています。また、原油価格や為替の変動、原材料の需給バランスの変動により、購入価格が高騰し、生産や販売に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や雇用情勢の変化により、高度な専門性を持つ人材や将来の幹部となる人材を確保・育成できない場合、組織の競争力低下や事業活動の停滞につながるリスクがあることを認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東洋紡は、創業以来の精神『順理則裕』を企業理念とし、社会への貢献を通じて持続的な成長を目指す会社です。人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループとして、未来を見据えた変革を進めています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
東洋紡グループは、創立者である渋沢栄一の『順理則裕』(なすべきことをする、なすべからざることはしない。順理を貫くことで、世の中をゆたかにし、自らも成長する)を企業理念としています。この創業精神に基づき、企業理念体系「TOYOBO PVVs」を再整理しました。
長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」では、「素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続ける」ことをビジョンに掲げています。同社グループは「安心してくらせる「ゆたか」な社会の実現と企業価値向上のスパイラルアップ」というありたい姿の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
東洋紡グループは、企業理念体系「TOYOBO PVVs」を体現する人材育成と組織開発に取り組んでいます。「Values:大切にすること」として「変化を恐れず、変化を楽しみ、変化をつくる」ことを掲げています。
また、「TOYOBO Spirit~9つの約束」として、「挑戦(先取、創造、遂行)」「信頼(安全へのこだわり、お客さま満足、現場・現物・現実)」「協働(双方向の意思疎通、多様性の確保・活用、やってみる機会の提供)」を実践する行動指針としています。
同社グループは「人」を最も重要な経営資本と位置づけ、多様な人材が共に高め合い、安心と働きがいを実感できる職場環境と風土の醸成を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
東洋紡グループは、2025中期経営計画において「安全・防災、品質の徹底」「未来への仕込み」「土台の再構築」を着実に進めてきました。2030中期経営計画では、「安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底」を大前提とし、「未来への布石」「基盤づくり・強化」を重点施策としています。
具体的には、人的資本の強化、TX(Toyobo-Transformation)の推進、リスクマネジメント体制の整備に取り組んでいます。
また、サステナビリティ経営として「Innovation」と「People」「Planet」「Prosperity」のアプローチを整理し、気候変動対応や人材の多様性確保にも注力しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東洋紡は、2025年6月の定時株主総会決議により監査等委員会設置会社へ移行しました。取締役会は社外取締役の割合を高め、経営の監督機能強化を図っています。また、指名・報酬等諮問委員会を設置し、透明性と公正性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
東洋紡の株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、次いで日本カストディ銀行(信託口)が続きます。これらは信託業務に係る株式を保有する機関投資家です。また、東洋紡従業員持株会も上位株主として名を連ねており、従業員による安定的な株式保有も特徴の一つです。特定の事業会社や創業家が上位を占める構成ではありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.40% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 8.01% |
| 東洋紡従業員持株会 | 2.59% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
東洋紡の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長兼社長執行役員は竹内郁夫氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 酒井 太市 | 取締役 兼 専務執行役員 (代表取締役) 環境安全防災本部長 生産技術部門、調達・物流 総括部統括 | 1986年同社入社。生産技術統括部長、執行役員、常務執行役員を経て、2024年4月より取締役兼専務執行役員として環境安全防災本部長、生産技術部門、調達・物流総括部を統括する現職。 |
| 楢原 誠慈 | 取締役会長 | 1988年同社入社。財務部長、執行役員、取締役社長兼社長執行役員を歴任し、2021年4月より取締役会長の現職。株式会社SCREENホールディングス社外取締役、株式会社繊維会館代表取締役会長も務める。 |
| 相良 誉仁 | 取締役 兼 社長特命事項担当 | 1990年同社入社。メディカル事業総括部長、執行役員、常務執行役員を経て、2026年4月より取締役として社長特命事項を担当する現職。 |
社外取締役は、播磨政明氏(弁護士・大阪府公害審査会会長)、福士博司氏(元味の素代表取締役・雪印メグミルク社外取締役・メンバーズ社外取締役)、髙瀬正子氏(元シスコシステムズ専務執行役員・テクノプロ・HD社外取締役・グローブライド社外取締役)、神崎夕紀氏(協和発酵バイオ代表取締役社長・キリンHD常務執行役員・ダイフク社外取締役)、入江昭彦氏(元大阪瓦斯執行役員・大阪ガス都市開発社外監査役)、新免和久氏(公認会計士・新免公認会計士事務所代表・積水化学工業社外監査役)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役の割合を高めることで経営の監督機能強化を図っています。監査等委員である取締役は取締役会における議決権を有し、経営の監督を強化する体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
東洋紡の役員報酬は、持続的な企業価値向上と株主との価値共有を目的として設計されています。取締役(社外取締役および監査等委員である取締役を除く)および執行役員の金銭報酬は、役位に応じた基本報酬と前年度業績に連動する短期インセンティブ報酬で構成されています。これに加え、非金銭報酬として譲渡制限付株式報酬が年1回付与される仕組みです。社外取締役および監査等委員である取締役の報酬は、独立性を考慮し定額の金銭報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 2.6億円 | 51.8百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 23百万円 | 23.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 64百万円 | 8.0百万円 |
役員報酬の総額は3.53億円であり、対象となる役員の合計人数は15名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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