ポエック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ポエック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場企業。環境・エネルギー関連機器、動力・重機関連機器、防災・安全関連機器の製造・販売を行うグループです。第37期はM&A効果や各セグメントの好調により、売上高101億円(前期比20.8%増)、経常利益9.9億円(同129.2%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、ポエック株式会社の有価証券報告書(第37期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

ポエック転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. ポエックってどんな会社?

環境・エネルギー、動力・重機、防災・安全の3分野で、ニッチトップ製品や技術力を活かした事業を展開しています。

(1) 会社概要

1989年に広島県福山市で設立され、水処理機器の販売からスタートしました。2003年に三和テスコを子会社化し製造機能を強化、2017年にJASDAQ(現 東証スタンダード)へ上場を果たしました。その後もM&Aを積極的に推進し、2024年にはコーベックスやアイエススプリンクラーを子会社化するなど、事業領域を拡大しています。

現在のグループ体制は連結従業員数275名、単体67名です。筆頭株主は創業者の来山哲二氏で、第2位は東洋額装、第3位は来山美佐子氏です。経営陣やその関係者が主要株主となっており、オーナーシップの強い資本構成といえます。

氏名 持株比率
来山 哲二 13.78%
東洋額装 4.42%
来山 美佐子 3.02%

(2) 経営陣

同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は松村俊宏氏、社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
来山 哲二 取締役会長(代表取締役) 1970年極東機械製作所(現テラル)入社。1989年同社設立とともに社長就任。三和テスコ等のグループ会社社長を歴任し、2019年より現職。
松村 俊宏 取締役社長(代表取締役) 1976年中国三鉱入社。山尾産業等を経て2000年同社入社。営業部長、常務取締役等を歴任し、2021年より現職。
寒川 貴宣 専務取締役 1982年大日本コンクリート工業入社。1989年同社入社。営業部長、常務取締役を経て2014年より現職。
三谷 俊二 常務取締役業務部長 1986年谷口美容入社。1989年同社入社。業務部長等を歴任し、2014年より現職。
村本 修 常務取締役 1980年住友石炭鉱業入社。同年三和鉄工(現三和テスコ)入社。同社社長等を経て2023年より現職。
吉本 貞幸 取締役管理部長 1987年日本タイプライター入社。エフピコ等を経て2008年同社入社。管理部長を務め、2013年より現職。
佐藤 宏之 取締役経営企画部長 1986年野村證券入社。髙木証券、エイチ・エス証券等の執行役員を経て2022年同社入社。2024年より現職。


社外取締役は、森紀男(元マツダ機電社長)、大植伸(大植法律事務所代表)です。

2. 事業内容

同社グループは、「環境・エネルギー」、「動力・重機等」、「防災・安全」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 環境・エネルギー

ポンプ類・撹拌機等の水処理機器、景観配慮型防潮壁、オゾン関連機器、熱交換器、水産養殖設備等の製造・販売を行っています。また、納入機器の修理・メンテナンス等の技術サービスも提供しています。

機器の販売代金およびメンテナンス料が主な収益源です。運営は主にポエック、三和テスコ、協立電機工業、マリンリバー、PBS、コーベックスが行っています。

(2) 動力・重機等

船舶用エンジン台板や燃料噴射弁部品などの船舶用機械・部品、ボイラーや圧力容器などのプラント関係機器の製造・販売を行っています。高度な溶接技術や精密加工技術を強みとしています。

製品の販売代金が主な収益源です。運営は主に三和テスコおよび東洋精機産業が行っています。

(3) 防災・安全

スプリンクラー消火設備用加圧送水装置「ナイアス」や耐衝撃型スプリンクラーヘッド等の製造・販売・設置を行っています。「ナイアス」は電源不要で稼働する特徴を持ち、医療・福祉施設等へ導入されています。

機器の販売代金および設置工事代金、保守サービス料が主な収益源です。運営は主にポエック、三和テスコ、アイエススプリンクラーが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

売上高は着実に右肩上がりで推移しており、特に直近の第37期は100億円を突破しました。利益面でも、経常利益は4億円台から一気に9億円台へと倍増し、当期純利益も過去最高水準を記録しています。利益率も大幅に改善しており、成長性と収益性が高まっていることが読み取れます。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 63億円 58億円 71億円 84億円 101億円
経常利益 3.0億円 2.9億円 4.2億円 4.3億円 9.9億円
利益率(%) 4.7% 5.0% 6.0% 5.1% 9.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.6億円 -0.6億円 1.4億円 1.2億円 6.1億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しており、売上総利益率は23.8%から26.3%へ改善しました。営業利益は前年の5.6億円から9.1億円へと約1.6倍に伸長し、営業利益率も9.0%に達しています。売上規模の拡大が利益創出に直結する収益構造となっています。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 84億円 101億円
売上総利益 20億円 27億円
売上総利益率(%) 23.8% 26.3%
営業利益 6億円 9億円
営業利益率(%) 6.6% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5億円(構成比27%)、役員報酬が3億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益

全セグメントで増収増益を達成しました。主力の「環境・エネルギー」は水産養殖設備や新規子会社の寄与で堅調に推移しました。「動力・重機等」は大型案件の進捗や高付加価値製品の受注により利益が大幅増となりました。「防災・安全」は新規子会社の参画や医療・福祉施設向けの販売好調により、売上高・利益ともに倍増以上の成長を見せています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
環境・エネルギー 44億円 52億円 2億円 3億円 4.8%
動力・重機等 36億円 39億円 5億円 7億円 18.6%
防災・安全 4億円 10億円 1億円 1億円 14.5%
連結(合計) 84億円 101億円 6億円 9億円 9.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は28.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「お客様第一主義」を経営理念としています。世界に通用する技術・商品の開発、社員一人一人の個性の尊重及び力の結集、社会の変化を先取りし自らも進化する、これらのことを総合し、企業価値の増大を図ることを経営基本方針として掲げています。

(2) 企業文化

同社は、行動指針の一つとして「コンプライアンス」を掲げ、法令や定款を遵守し実践する体制の浸透を図っています。また、原価低減を利益拡大と競争優位性のための必須事項と位置づけ、製造リードタイム短縮や在庫削減に取り組むなど、効率性と品質向上を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標

同社グループは、事業規模を拡大しつつ利益の増大を目標としており、その達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高営業利益率を重視して経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策

既存事業の拡大と付加価値向上を目的に、M&Aを積極的に推進する方針です。また、買収先を含めたグループ全体のガバナンス強化、製造子会社における原価低減による競争優位性の向上、および多様な人材の確保・育成を重点課題として挙げています。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

多様化する顧客ニーズや事業拡大に対応するため、営業力・企画提案力を持つ人材や専門スキルを備えた人材の確保を重視しています。外部からの採用に加え、グループ内での人材交流を積極的に行うなど、機動的な人材戦略により企業体質の強化を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 39.8歳 11.1年 5,188,487円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員における女性比率(23.0%)、管理職に占める女性労働者の割合(17.5%)、有給休暇取得率(62.6%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製造コストの変動

製造上必要となる多数の資機材を調達しており、原材料価格が直接製造原価に結びついているため、製造コストの変動により業績が左右されやすくなっています。市況変動により調達価格が高騰した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品の安全性

環境、エネルギー、防災等に関連する機器を扱っており、製品の安全性を最重要課題としていますが、万が一品質低下や安全性に問題が生じた場合、製造中止や損害賠償請求、ブランド信用の低下により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 補助金制度の変更

防災・安全事業のスプリンクラー消火装置などは、国や自治体の補助金を活用して導入されるケースがあります。補助金の採択漏れや制度の変更・廃止により顧客の購買意欲が減退した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。