※本記事は、象印マホービン株式会社 の有価証券報告書(2025年11月期、2024年11月21日 ~ 2025年11月20日、2026年2月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
象印マホービンは、家庭用品の製造、販売およびこれらに付随する業務を営んでいます。同社グループは、子会社11社および関連会社3社で構成され、幅広い家庭用品を提供しています。
単体従業員数は527名、連結従業員数は1,515名です。
主な国内グループ会社は、象印フレスコ、象印ユーサービスなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
象印マホービンは、長年にわたり家庭用品分野で確固たる地位を築いてきた企業です。同社グループは、従業員の多様性を尊重し、働きやすい環境づくりに注力することで、持続的な成長を目指しています。ここでは、同社の給与水準や働き方に関する具体的なデータと、人材育成への取り組みについてご紹介します。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
象印マホービンでは、従業員が長期的にキャリアを形成できる環境が整っていることがうかがえます。平均勤続年数や平均年齢から、安定して働き続けられる傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,350,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.2年 |
| 平均年齢 | 39.8歳 |
| 単体従業員数 | 527人 |
| 連結従業員数 | 1,515人 |
| 単体のグループ内比率 | 34.8% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、同社および一部の連結子会社に適用されています。退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付型の退職給付債務は74.9億円、年金資産は108億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
象印マホービンは「人材は経営活動の源である」という方針を掲げ、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。中期経営計画「BEYOND」では「人的資本経営の推進」を重要課題とし、人材・組織の強靭化を通じて持続的成長の実現を目指しています。
具体的には、若年層に複数の業務を経験する機会を提供したり、専門職制度を導入したりすることで、自ら学び挑戦できる人材の獲得と育成に力を入れています。また、ジョブローテーションによる適切な人員配置や、年代構成・管理職比率の見直しを通じて、成果の最大化とノウハウ継承が可能な組織づくりを進めています。さらに、タレントマネジメントシステムの導入や人事評価制度の見直しにより、人材と組織の成長を支える基盤強化と働きがいの向上に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女間では職群および等級ごとの人数分布に差があるため、賃金において差異が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 104.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 67.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 75.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 象印ファクトリー・ジャパン株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 20.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 84.6% |
▼ 象印ユーサービス株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.7% |
ダイバーシティ&インクルージョン
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率の向上 | 5.9% |
| 障がい者法定雇用率の確保 | 2.5% |
| 男性育児休業取得率の向上 | 105% |
| 従業員エンゲージメントの向上 | 前期より向上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
象印マホービンは、家庭用品の製造と販売を主軸とする企業グループです。日々の暮らしを豊かにする製品を通じて、顧客の生活に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、家庭用品等の製造、販売及びこれらの付随業務を営んでいます。主な事業領域は、調理家電製品、リビング製品、生活家電製品、そして飲食事業を含むその他製品に分かれています。
調理家電製品では、炊飯ジャーやオーブンレンジ、オーブントースター、電気ケトルなどを展開しています。リビング製品では、ステンレススープジャーやワンタッチマグなどのステンレス製品が中心です。生活家電製品には、加湿器、空気清浄機、食器乾燥器などがあります。その他製品には、象印食堂を中心とした飲食事業が含まれています。
収益は主に製品の販売から得ており、国内市場での高単価商品の販売が好調に推移しています。海外売上高も全体の約3割を占めており、グローバル市場での展開も進めています。特定の顧客への売上集中は見られません。為替変動、特に円安は輸入コストに影響を与えるものの、価格転嫁を進めることで採算改善を図っています。
| セグメント | 売上高(2024年11月期) | 売上高(2025年11月期) |
|---|---|---|
| 日本 | - | 614億円 |
| 海外 | - | 169億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で増加傾向にあります。経常利益も同様に増加傾向を示しています。
親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の当期において減少となりました。これは、前期に物流倉庫の移転に伴う固定資産売却益を特別利益として計上していたことによるものです。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 777億円 | 825億円 | 835億円 | 872億円 | 912億円 |
| 経常利益 | 67.9億円 | 58.1億円 | 65.0億円 | 74.0億円 | 83.0億円 |
| 経常利益率 | 8.7% | 7.0% | 7.8% | 8.5% | 9.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 45.1億円 | 36.6億円 | 44.4億円 | 64.6億円 | 59.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 66.69 | 54.09 | 65.64 | 96.63 | 92.30 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から増加となりました。
当事業年度の従業員増加が、1人あたり売上高の減少に影響している可能性があります。これは、Lin & Partners Distributors Limitedの取得によるものです。従業員1人あたりの営業利益が増加していることは、組織全体の収益創出力が向上している傾向を示しています。
| 指標 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 66.0百万円 | 60.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.5百万円 | 4.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
象印マホービンは、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。本業で得た資金を適切に活用し、事業の安定性と成長性を両立させている状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定しています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準であり、強固な財務体質を示しています。ROEはプライム市場平均を下回っていますが、手元資金は十分な水準を維持しており、事業活動を支える安定した基盤があると言えます。
| 指標 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 873億円 | 896億円 |
| 自己資本比率 | 75.3% | 75.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.6% | 6.8% |
| 現金及び預金 | 337億円 | 332億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、その資金を事業活動に充てている状況を示しています。当期における営業活動によるキャッシュフローは99.3億円のプラスとなり、税金等調整前当期純利益や減価償却費、売上債権の減少が主な増加要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは△21.4億円のマイナスで、定期預金の預入や有形・無形固定資産の取得による支出が主な要因です。これにより、本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出すフリーキャッシュフローは77.9億円のプラスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは△90.9億円のマイナスで、配当金の支払い、自己株式の取得、長期借入金の返済が主な減少要因です。このキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を行いながら、株主還元や借入金の返済も着実に進めていることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性につながる堅実な経営基盤があると言えます。
| 項目 | 2024年11月期(前期) | 2025年11月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 55.1億円 | 99.3億円 |
| 投資CF | △0.3億円 | △21.4億円 |
| 財務CF | △63.8億円 | △90.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 54.8億円 | 77.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、家電メーカー等との競合が激化する中で、製品価格の下落圧力やリベート要求が強まる傾向にあります。また、海外事業における現地通貨建て資産や輸入製品の決済において、為替レートの変動が業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
象印マホービンは、「暮らしをつくる」という企業理念のもと、家庭用品ブランドの深化と「食」と「暮らし」のソリューションブランドへの進化を目指しています。変化する社会に対応し、お客様の生活課題を解決する企業として持続的な成長を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの企業理念は、創業以来「暮らしをつくる」と定められています。経営方針としては、「BRAND INNOVATION(ブランド革新)~家庭用品ブランドの深化と「食」と「暮らし」のソリューションブランドへの進化~」を掲げています。
国内における人口や世帯数の減少、少子高齢化の進行、海外新興国における生活水準の向上、デジタル化の急速な進展など、人々の暮らしが変化・多様化していく中で、従来の家庭用品メーカーとしてのブランド継続だけでは持続的な成長が難しいと考えています。将来にわたりお客様に支持され、持続的な成長を実現するためには、こうした環境の変化に適応し、生活者の食や暮らしに関する不満や負担を、商品やサービスを通じて解決(ソリューション)していくことを目指しています。そのため、ZOJIRUSHIブランドの革新が不可欠であると認識しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループでは、人材育成方針において「人材は経営活動の源である」と掲げています。会社は人が動かしており、人材を最も重要な経営資源であると考えているためです。
従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全・衛生的で働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。中期経営計画『BEYOND』では、「人材・組織の強靭化」を重点課題の一つとして設定しています。また、ブランド価値を高める丁寧なコミュニケーションも重視する姿勢を示しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
2030年までの経営方針である「BRAND INNOVATION」に向けて、同社グループは「領域の水平的拡大」、「領域の垂直的拡大」、「経営基盤の強化」の三次元的拡大に取り組んでいます。また、「事業を通じた社会課題解決」および「経営基盤の強化」の領域で、ESGにおける4つの重要課題を特定し、継続して実行しています。
具体的には、「持続可能な地球環境への貢献」「社会課題に対応する商品・サービスの提供」「価値創造にチャレンジする人材/職場づくり」「ステークホルダーに信頼されるガバナンス体制の確立」を掲げています。新たな中期経営計画『BEYOND』では、「人材・組織の強靭化、それを支えるDX」と「ブランドを軸とした企業価値の持続的向上」を主要戦略として取り組む方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
象印マホービンは、取締役会の構成とガバナンス体制を通じて、経営の迅速性、健全性、透明性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
象印マホービンの株主構成を見ると、筆頭株主はCLEARSTREAM BANKING S.Aが占めています。また、代表取締役社長執行役員である市川典男氏をはじめ、市川姓の個人株主が複数上位に名を連ねており、創業家が経営に一定の影響力を持っていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| CLEARSTREAM BANKING S.A(常任代理人 香港上海銀行東京支店) | 16.01% |
| 市川 典男 | 8.50% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.18% |
| 和幸 | 6.60% |
| 市川 昌宏 | 4.83% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は14名(男性11名・女性3名)で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表取締役社長執行役員は市川典男氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 市川 典男 | 代表取締役社長執行役員 | 1981年同社入社。商品第一開発部長、取締役商品第一開発部長を経て、2001年より同社代表取締役社長。2020年より同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 松本 龍範 | 取締役常務執行役員国内営業担当 | 1984年同社入社。執行役員営業部長、取締役国内営業本部長兼営業部長を経て、2024年より同社取締役常務執行役員国内営業担当より現職。 |
| 宮越 芳彦 | 取締役常務執行役員国際営業本部長 | 1984年同社入社。執行役員国際部副部長、取締役国際営業本部長兼国際部長を経て、2025年より同社取締役常務執行役員国際営業本部長より現職。 |
| 真田 修 | 取締役常務執行役員管理担当 | 1984年同社入社。執行役員経理部長、取締役管理本部長を経て、2024年より同社取締役常務執行役員管理担当より現職。 |
| 造田 英治 | 取締役常務執行役員経営企画部長 | 1990年同社入社。経営企画部長、執行役員経営企画部長を経て、2025年より同社取締役常務執行役員経営企画部長より現職。 |
| 大上 純 | 取締役常務執行役員国内営業本部長 | 1986年同社入社。営業推進部長、執行役員国内営業本部副本部長兼東京支社長を経て、2025年より同社取締役常務執行役員国内営業本部長より現職。 |
| 山根 博志 | 取締役常務執行役員生産開発本部長 | 1993年同社入社。第一事業部副部長、執行役員生産開発本部長を経て、2025年2月より同社取締役執行役員生産開発本部長、同年11月より常務執行役員生産開発本部長より現職。 |
社外取締役は、伊住弘美氏(株式会社ミリエーム相談役)、戸田奨氏(シヤチハタ取締役・指名・報酬委員会委員長)、金井宏彰氏(金井ホールディングス代表取締役)、塩野香苗氏(塩野香苗税理士事務所所長・監査等委員)、宇都宮一志氏(清和法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)、西村智子氏(西村智子公認会計士事務所所長・監査等委員)です。
同社は2020年2月19日より監査等委員会設置会社に移行しています。社外取締役は客観的かつ中立的な立場から経営の監督や助言を行い、企業統治の実効性向上に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
象印マホービンの役員報酬は、基本報酬、業績連動報酬としての金銭報酬、および譲渡制限付株式報酬で構成されています。社外取締役と監査等委員である取締役の報酬は基本報酬のみです。業績連動報酬は連結の親会社株主に帰属する当期純利益を指標とし、企業価値の持続的な向上を目指すインセンティブとして設計されています。報酬の決定は、社外取締役が主要な構成員である指名・報酬委員会での審議を経て、取締役会で決定される体制となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 8名 | 3.3億円 | 41.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 17百万円 | 17.0百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 45百万円 | 6.4百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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