※本記事は、アルテック株式会社 の有価証券報告書(第50期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アルテックってどんな会社?
産業機械の商社機能と、ペットボトル用プリフォーム製造のメーカー機能を併せ持つ企業です。
■(1) 会社概要
1976年に産業機械の輸入販売を目的に設立。1998年に東証二部、2000年に東証一部へ上場しました。2002年にタイ現地法人を設立し、中国でのプリフォーム製造事業も開始しました。2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行し、現在は商社と製造の二軸でグローバル展開を進めています。
連結従業員数は418名、単体従業員数は135名です。筆頭株主は個人株主の竹内猛氏で、第2位は大手金融機関の三菱UFJ銀行、第3位は関西チューブです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 竹内猛 | 6.65% |
| 三菱UFJ銀行 | 3.67% |
| 関西チューブ | 3.52% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長は池谷壽繁氏です。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 池谷壽繁 | 代表取締役社長 | 2001年同社入社。財務部長、経理部長、総務部長、経営企画部長などを歴任し、2021年2月より現職。 |
| 張能徳博 | 取締役 | 1976年同社入社。事業部長、専務取締役、中国事業部門管掌などを経て、2010年社長、2021年会長に就任。2025年2月より現職。 |
| 井上賢志 | 取締役執行役員デジタルプリンタ事業部長兼デジタルプリンタ営業部長 | 2000年同社入社。上海現地法人総経理、デジタルプリンタ営業部長などを経て、2022年3月より現職。 |
| 山根清秋 | 取締役執行役員第2産業機械事業部長兼CRESTRONソリューション営業部長 | 1999年同社入社。オプト事業部部長、AS営業部長などを経て、2024年12月より現職。 |
| 澁谷博規 | 取締役執行役員容器包装システム事業部長兼飲料システム営業部長 | 1999年同社入社。蘇州現地法人総経理、プリフォーム営業部長などを経て、2024年2月より現職。 |
| 奥田哲太郎 | 取締役執行役員物流システム事業部長兼物流システム営業部長 | 1999年同社入社。上海現地法人総経理、インドネシア現地法人社長などを経て、2024年2月より現職。 |
| 李暁敏 | 取締役執行役員プリフォーム事業統括 | 2004年蘇州現地法人入社。営業部長、広州現地法人総経理などを経て、2025年2月より現職。 |
社外取締役は、荒井敏明(元東銀リース常務)、中尾光成(NKRパートナーズ代表)、中辻義則(中辻義則公認会計士事務所代表)、中野敬子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「商社事業」「プリフォーム事業」を展開しています。
■(1) 商社事業
印刷・包装業界向けのデジタル印刷機やラミネーター、食品・化粧品業界向けの充填装置や異物検査装置、物流関連の自律走行ロボットなどを取り扱っています。顧客は国内および海外の製造業者等です。
機械装置の販売代金や保守サービス料が主な収益源です。運営は主にアルテック、ALTECH ASIA PACIFIC CO.,LTD.、PT.ALTECH ASIA PACIFIC INDONESIAなどの海外子会社が行っています。
■(2) プリフォーム事業
飲料用ペットボトルの元となるプリフォームやプラスチックキャップの製造・販売を行っています。また、デザイン開発や試作サービスも提供しており、飲料メーカー等が主な顧客です。
製品の販売代金が主な収益源です。運営は主にアルテック、連結子会社のアルテック新材料、および中国の現地法人(愛而泰可新材料(蘇州)有限公司など)が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は180億円前後で推移してきましたが、直近では微減となっています。利益面では、原材料価格高騰や事業構造改革の影響などにより経常損失が続いており、直近の2025年11月期は多額の特別損失計上により親会社株主に帰属する当期純損失が拡大しました。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 139億円 | 163億円 | 178億円 | 182億円 | 176億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 5億円 | -10億円 | -3億円 | -1億円 |
| 利益率(%) | 4.7% | 2.9% | -5.4% | -1.4% | -0.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 2億円 | 3億円 | 4億円 | -15億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微減となりましたが、売上総利益は微増し、営業損益は黒字転換しました。一方で、事業構造改革費用や減損損失などの特別損失を計上したため、最終損益は赤字幅が拡大しています。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 182億円 | 176億円 |
| 売上総利益 | 32億円 | 33億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.6% | 18.7% |
| 営業利益 | -1億円 | 0.2億円 |
| 営業利益率(%) | -0.8% | 0.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が10億円(構成比32%)を占めています。売上原価においては、商品及び製品の期首棚卸高や当期仕入高などが構成要素となります。
■(3) セグメント収益
商社事業は大型機械の検収完了等により増収増益となり、セグメント利益も確保しました。一方、プリフォーム事業は販売数量の減少により減収となりましたが、生産効率改善等により赤字幅は縮小しました。
| 区分 | 売上(2024年11月期) | 売上(2025年11月期) | 利益(2024年11月期) | 利益(2025年11月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 商社事業 | 87億円 | 90億円 | 6億円 | 8億円 | 8.6% |
| プリフォーム事業 | 95億円 | 86億円 | -5億円 | -5億円 | -6.1% |
| 連結(合計) | 182億円 | 176億円 | -1億円 | 0.2億円 | 0.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
アルテックは、営業活動により資金を獲得しましたが、投資活動と財務活動で資金を使用しました。営業活動では、減損損失や事業構造改善費用等の調整があったものの、棚卸資産の減少等により資金獲得に繋がりました。投資活動では、工場用地等の売却収入があったものの、設備投資支出により資金を使用しました。財務活動では、借入金の返済やリース債務の返済等により資金を使用しました。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5億円 | 6億円 |
| 投資CF | 10億円 | -1億円 |
| 財務CF | -4億円 | -10億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「お客様とのきずなを深め、常に新領域にはばたき、幅広い知見で業界をきわめ、価値創造企業として社会に貢献する。」を企業理念として掲げています。また、変革・挑戦を導くパートナーとして顧客と共に歩み、新たな可能性を届けることを経営理念としています。
■(2) 企業文化
社名の由来である「高度な技術(ALT+TECH)」を追求する姿勢を持っています。企業理念のシンボルマークには「絆」「翔」「究」の三要素が込められており、既存の枠組みを超えて世界へ羽ばたきながら、一層の進化を遂げる姿を目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
「中期経営計画2026-2028」を策定し、最終年度である2028年11月期の数値目標として以下を掲げています。
* 売上高:200億円
* 営業利益率:3%以上
* 自己資本利益率(ROE):5%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「事業構造改革の貫徹」を基本方針とし、以下の重点施策を推進します。商社事業ではリサイクル容器などの新規商権開拓や既存顧客の深耕、プリフォーム事業では不採算事業からの撤退による早期黒字化や、中国での収益改善、国内でのコスト低減・品質向上を目指します。
* 既存領域に留まらない新規商権開拓の推進
* 生産コストの抜本的な見直し
* 人材の適材適所配置とキャリアプランの醸成
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「グローバルな商社力」と「ものづくり力」を両輪で強化し、市場価値創造に貢献できる人材や、経営視点を持つ次世代リーダー、DXによる変革をリードできる人材を求めています。人事制度改革を通じて、職種・役職別のスキル定義や最適な教育を実施する方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 46.5歳 | 12.3年 | 6,720,000円 |
※平均年間給与は賞与および基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男女賃金差異については、女性活躍推進法の規定による公表項目として選択していないため、記載を省略しています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得日数(12.2日/年)、男性育児休業取得率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) カントリーリスク
中国や東南アジア等で事業を展開しており、これらの地域の政治・経済・法規制の変化が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ウクライナ・中東情勢等の地政学リスクによる原材料価格高騰やサプライチェーン混乱も懸念されます。
■(2) 固定資産の減損リスク
不動産、機械装置、金型などの固定資産を保有しており、収益性の低下により減損処理が必要となった場合、業績が悪化する可能性があります。実際、直近の決算ではプリフォーム事業等で減損損失を計上しています。
■(3) 自然災害・感染症等のリスク
国内外の拠点で大規模な自然災害や感染症が発生した場合、事業活動の停止や物流寸断、サプライチェーン被害等により、製品供給の遅延や停止が生じ、事業継続に影響を与える可能性があります。



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