※本記事は、テクノアルファ株式会社 の有価証券報告書(第36期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年02月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. テクノアルファってどんな会社?
半導体製造装置の輸入販売を中心に、舶用機器やシステム開発なども手掛ける技術商社兼メーカーです。
■(1) 会社概要
1989年12月に英国Dodwell社よりハイテク部門の営業譲渡を受け設立され、翌年ワイヤボンダーの販売を開始しました。2007年にヘラクレス市場へ上場し、2011年にはペリテックを子会社化してSI事業を強化しました。2022年4月の市場区分見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。
2025年11月30日時点で、連結従業員数は87名(単体53名)です。筆頭株主は元役員の青島勉氏で、第2位は古川雄一氏、第3位は同社取締役副社長の中村泰三氏となっており、個人株主が上位を占める構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 青島 勉 | 11.54% |
| 古川 雄一 | 3.55% |
| 中村 泰三 | 2.66% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は稲垣映磨氏が務めています。取締役3名のうち1名が社外取締役であり、社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 稲垣 映磨 | 代表取締役社長 | 2001年入社。システム開発グループマネージャー、執行役員、取締役を経て、2023年1月より現職。株式会社ペリテック代表取締役社長も兼務。 |
| 中村 泰三 | 取締役副社長 | 1997年入社。半導体装置グループマネージャー、執行役員、取締役エレクトロニクスグループマネージャーを経て、2023年2月より現職。 |
社外取締役は、北野孝輔(弁護士・信和総合法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エレクトロニクス事業」「マリン・環境機器事業」「SI事業」「サイエンス事業」を展開しています。
■エレクトロニクス事業
主にパワー半導体製造プロセスの後工程で使用される製造装置(ワイヤボンダー等)、検査機器、電子材料などを扱っています。また、液晶ディスプレイ製造用装置の輸出や、自社開発のFA装置の販売も行っています。
収益は、これらの装置・材料等の販売代金および、設置・調整・トレーニング・保守サービス料から得ています。運営は主にテクノアルファが行っています。
■マリン・環境機器事業
大型船舶に搭載されるライフボート(救命艇)、ボートダビット(昇降装置)、舶用クレーン等の舶用機器を販売しています。また、食品・化学業界向けに液体分離・ろ過用の膜やシステムも提供しています。
収益は、国内外メーカーから調達した機器や、製造委託した製品の販売代金、および保守サービス料から得ています。運営は主にテクノアルファが行っています。
■SI事業
自動車や電子機器業界向けに、試験・計測システムの受託開発や、自社製品の開発・販売を行っています。システムインテグレーターとして、ハードウェアを含めた設置・調整等のサポートも提供します。
収益は、試験・計測システムの開発受託費や製品販売代金、保守サービス料から得ています。運営は主に連結子会社の株式会社ペリテックが行っています。
■サイエンス事業
理化学分野の機器(イメージング関連装置等)の開発・製造および輸入販売を行っています。主な顧客は国内の大学や研究所です。
収益は、機器の販売代金および設置・調整・保守サービス料から得ています。運営は主にテクノアルファが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2022年11月期に増収増益を達成した後、2024年11月期には一時的に減収となりましたが、当期(2025年11月期)は売上高・各利益ともに大きく回復し、過去最高水準を記録しました。特に経常利益率は13.3%と高い水準に達しており、収益性が大幅に向上しています。
| 項目 | 2021年11月期 | 2022年11月期 | 2023年11月期 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 43億円 | 44億円 | 40億円 | 45億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 3億円 | 2億円 | 3億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 5.7% | 8.1% | 5.5% | 8.0% | 13.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 2億円 | 1億円 | 2億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は40億円から45億円へと増加しました。増収効果に加え、売上総利益率が約29.0%から約33.9%へと改善したことで、売上総利益が大きく増加しました。これにより、販売費及び一般管理費の増加を吸収し、営業利益は前期の約2倍となる6億円に伸長しました。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 40億円 | 45億円 |
| 売上総利益 | 12億円 | 15億円 |
| 売上総利益率(%) | 29.0% | 33.9% |
| 営業利益 | 3億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 7.0% | 13.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3億円(構成比28.6%)、賞与が1.0億円(同10.2%)を占めています。
■(3) セグメント収益
当期は、マリン・環境機器事業が売上高・利益ともに大幅に伸長し、全社の業績拡大を牽引しました。エレクトロニクス事業は売上・利益ともに横ばいで推移しました。SI事業は増収により黒字転換を果たしましたが、サイエンス事業は増収ながらも赤字となりました。
| 区分 | 売上(2024年11月期) | 売上(2025年11月期) | 利益(2024年11月期) | 利益(2025年11月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| エレクトロニクス事業 | 26億円 | 26億円 | 3億円 | 3億円 | 11.0% |
| マリン・環境機器事業 | 7億円 | 11億円 | 2億円 | 4億円 | 41.4% |
| SI事業 | 6億円 | 7億円 | -0.3億円 | 0.7億円 | 10.7% |
| サイエンス事業 | 1億円 | 2億円 | 0.0億円 | -0.2億円 | -9.9% |
| 連結(合計) | 40億円 | 45億円 | 3億円 | 6億円 | 13.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
テクノアルファは、運転資金を自己資金および短期借入金で調達し、取引銀行との当座貸越契約も活用しています。
当期は、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権・前渡金の減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは大幅な収入に転じました。一方で、棚卸資産の増加が主な支出要因となりました。投資活動では、保険積立金の解約収入があったものの、有形固定資産や無形固定資産の取得、保険積立金の積立により支出となりました。財務活動では、配当金の支払いと短期借入金の返済により、大幅な支出となりました。
| 項目 | 2024年11月期 | 2025年11月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -3億円 | 6億円 |
| 投資CF | -0.2億円 | -0.6億円 |
| 財務CF | 1億円 | -3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「日本のモノづくりを輝かせる」ことを存在意義とし、長期的な目標(Vision)として「日本一のエンジニアリング力を誇るソリューションカンパニー」を掲げています。従来の商社ビジネスに加え、モノづくりを通じた顧客への提供価値拡大を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、「世界と繋がり、技術を磨き、未来へ挑む」を行動基準としています。商社としての「目利き力」とメーカーとしての「エンジニアリング力」を融合させ、顧客の課題解決に取り組む姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2026年11月期から2028年11月期までの中期経営計画を策定しています。最終年度である2028年11月期の数値目標として以下を掲げています。
* 売上高:54億円
* 営業利益:4億9000万円以上
* ROE:10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「ソリューションの洗練化に向けた経営・事業基盤の強化」を中期ビジョンとし、①事業横断による提案力の強化、②エンジニアリング力の深化、③組織力向上に向けた基盤整備、の3点を基本方針としています。
エレクトロニクス事業では半導体市場の成長を背景に検査・FA技術を付加したソリューション提供に注力し、マリン事業では官公庁船向け機器に加えメンテナンスサービスにも着手します。これらを基盤事業としつつ、SI事業を第三の収益の柱として育成する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社はマテリアリティ(重要課題)の一つとして「多様な人材(専門性・バックグラウンド)が主体的に活躍・成長できる環境の整備」および「次世代人材の確保、育成の推進」を掲げています。営業と技術の両面に専門性を持ち、価値創出ができる人材の育成を目指しており、今後は人事制度の見直しや採用・育成戦略の検討を進める方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 46.0歳 | 10.4年 | 7,301,246円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) エレクトロニクス事業への依存について
設立当初からワイヤボンダーを中心としたエレクトロニクス事業の売上高比率が高く、同事業の動向が業績に影響を与える可能性があります。これに対し、新たな商材やビジネスの開拓、自社製品の開発・販売強化を進めています。
■(2) 販売店契約について
各事業において国内外メーカーと販売店契約を締結していますが、メーカーの政策変更等により契約解除や内容変更が生じた場合、特に主力商品であるワイヤボンダーの製造元からの仕入れが困難になった場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 為替の影響について
仕入の多くが外貨建輸入取引であるため、急激な為替変動が業績に影響を与える可能性があります。これに対し、為替予約等のヘッジ手段を講じて輸入原価の安定に努めるとともに、必要に応じて価格改定交渉等を行っています。
■(4) 売上計上基準から生じる業績の変動について
半導体製造装置等は原則検収基準を採用しており、納品や顧客の受入検査の遅れ等により検収が予定期間内に完了しない場合、売上計上時期が翌期となり、業績に影響を与える可能性があります。



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