ASAHI EITOホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ASAHI EITOホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のASAHI EITOホールディングスは、衛生陶器や洗面機器などの製造販売を行う住まい事業と、太陽光発電システム施工等の暮らし事業を展開する企業グループです。直近の決算では売上高が増加したものの、営業損失および当期純損失を計上しており、赤字が継続しています。


※本記事は、ASAHI EITOホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第75期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ASAHI EITOホールディングスってどんな会社?


衛生陶器・洗面機器等の製造販売を主力とし、太陽光発電施工や不動産事業など多角化を進める持株会社です。

(1) 会社概要


同社は1950年に衛生陶器製造を行う丹司製陶株式会社として設立され、1964年にアサヒ衛陶へ商号変更しました。1967年には大阪証券取引所市場第二部に上場を果たしています。2011年にはベトナムに子会社を設立し海外展開を開始しました。その後、2023年に持株会社体制へ移行し、現社名であるASAHI EITOホールディングスへ商号変更しました。

2025年11月30日現在、同社グループの連結従業員数は146名ですが、提出会社は純粋持株会社であるため従業員はいません。筆頭株主は香港法人のGLOBAL SEMICONDUCTOR SPECIAL GAS LIMITEDで、第2位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
GLOBAL SEMICONDUCTOR SPECIAL GAS LIMITED 14.55%
瀬戸口 正章 5.62%
楽天証券株式会社共有口 3.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長グループCEOは星野和也氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
星野 和也 取締役会長兼社長グループCEO(代表取締役) セブンスター貿易代表取締役などを経て、2021年同社代表取締役会長に就任。2023年より現職。
上野 泰志 取締役 1992年同社入社。執行役員営業本部副本部長、取締役海外事業部長などを歴任し、2024年より現職。
成田 豊 取締役 リベラルファイン代表取締役などを経て、2021年同社取締役に就任。アサヒニノス取締役を兼任し現職。
田中 威之 取締役 長谷工コーポレーション入社後、京繊代表取締役などを経て、2021年同社執行役員に就任。2022年より現職。
紀 斌昆 取締役 住友商事北京エリア代表などを経て、浙江西亜特特種気体有限公司ゼネラルマネージャー等を務める。2025年より現職。


社外取締役は、棟朝英美(棟朝英美税理士事務所代表)、味谷祐介(MAソリューション代表取締役)、花房裕志(弁護士法人レクシード代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「住まい事業」、「暮らし事業」、「投資事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

**(1) 住まい事業**
衛生陶器、水洗便器セット、洗面化粧台などの衛生機器・洗面機器の製造、仕入、販売を行っています。また、建築仕上塗材の販売も手掛けています。主な顧客は住宅設備関連の代理店や工務店などです。
収益は、製品や商品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は、主にアサヒ衛陶、VINA ASAHI CO.,LTD.、山本窯業化工が行っています。

**(2) 暮らし事業**
太陽光発電システムおよび蓄電池システムの施工販売、施設管理、不動産販売を行っています。また、新たに希ガス事業も開始しています。
収益は、システム施工販売代金や不動産販売収入、施設管理料などから得ています。運営は、主にアサヒノーブルガス、アサヒニノス、アサヒエレベーション、フラグシップス、アサヒピュアケミが行っています。

**(3) 投資事業**
M&Aおよび不動産賃貸事業を行っています。
収益は、不動産賃貸料などから得ています。運営は、主にASAHI EITOホールディングスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は第71期の18億円から第75期の43億円へと増加傾向にあります。一方で、経常損益は第72期以降赤字が続いており、第75期も2.9億円の経常損失となりました。当期純損失も継続しており、収益性の改善が課題となっています。

項目 2021年11月期 2022年11月期 2023年11月期 2024年11月期 2025年11月期
売上高 18億円 23億円 35億円 40億円 43億円
経常利益 0.1億円 -1.6億円 -4.9億円 -3.2億円 -2.9億円
利益率(%) 0.4% -6.9% -13.9% -8.0% -6.6%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.4億円 -1.6億円 -6.2億円 -3.7億円 -3.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は40億円から43億円へ増加し、売上総利益も12億円から13億円へ増加しました。しかし、販売費及び一般管理費が15億円から16億円へ増加したことなどにより、営業損失は縮小傾向にあるものの、依然として赤字の状態が続いています。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 40億円 43億円
売上総利益 12億円 13億円
売上総利益率(%) 31.0% 30.8%
営業利益 -3.2億円 -2.7億円
営業利益率(%) -8.1% -6.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3.8億円(構成比24%)、運賃及び運送保険料が1.3億円(同8%)を占めています。売上原価は30億円で、売上高に対する構成比は69%となっています。

(3) セグメント収益


当期は、「暮らし事業」が太陽光・蓄電池設備の催事営業の好調などにより増収増益となり、全社の売上増加に寄与しました。「住まい事業」も増収となりましたが、利益面では赤字が続いています。「投資事業」の業績は横ばいでした。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期) 利益(2024年11月期) 利益(2025年11月期) 利益率
住まい事業 25億円 27億円 -3.5億円 -3.2億円 -11.8%
暮らし事業 15億円 17億円 0.2億円 0.2億円 1.4%
投資事業 0.1億円 0.1億円 0.0億円 0.0億円 57.9%
連結(合計) 40億円 43億円 -3.2億円 -2.7億円 -6.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業の営業活動で資金が流出し、投資活動でも支出が先行する一方、財務活動による資金調達でこれらを補う「勝負型」の状態にあります。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF -1.7億円 -1.0億円
投資CF 0.2億円 -0.8億円
財務CF 2.3億円 2.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-36.8%でスタンダード市場平均(7.2%)を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.2%でスタンダード市場平均(製造業57.5%)を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「社会に役立つ企業づくり」を経営理念として掲げています。また、「お客様に満足いただける商品・サービスを、満足価格で、ご要望納期で、安心品質で、ご提供する」ことを最優先とし、「快適で豊かな暮らし」が実感できる住環境を実現することを基本理念としています。

(2) 企業文化


同社グループは、企業経営活動の維持向上の指針として「労使の信頼」、「品質の向上」、「商品の開発」、「収益の確保」を掲げています。これらを経営上の最も重要な課題として位置付け、行動指針として法令遵守、社会規範、社会倫理の遵守を企業活動の前提とすることを徹底しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「売上高経常利益率」を重視し事業運営にあたっています。当連結会計年度における売上高経常利益率はマイナス6.6%となっており、引き続き当該数値の改善に取り組む方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


同社グループは、「住宅設備メーカー企業から「住まいと暮らし」創造企業グループへ」を基本方針とし、事業多様化戦略を推進しています。具体的には、衛生陶器事業に加え、M&Aを通じた新事業展開や、グループ企業の協力による「リフォーム・リノベーション事業」を開始しました。また、太陽光・蓄電池設備の催事営業の本格化や、新たに希ガス事業も開始し、販路拡大と収益改善を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は現在、サステナビリティに係る基本方針を定めていませんが、中核人材の登用等における多様性の確保の重要性は認識しています。社内でのeラーニング等を用いた情報セキュリティや個人情報保護等を中心に従業員教育を展開し、中長期的な人材育成に努めています。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 継続企業の前提に関する事象


同社グループは世界的な情勢不安や円安による原材料価格高騰の影響を受け、十分な収益力及び財務体質の改善に至っておらず、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。これに対し、事業多様化戦略の推進、リフォーム・リノベーション事業や希ガス事業の開始、第三者割当増資等による財務基盤の安定化などの対応策を実施しています。

(2) 海外調達リスク


同社グループは中国、韓国、台湾、タイ、ベトナムより商品を直接または商社を通じて調達しています。これらの国々の政治情勢や政策、調達先の経営方針、経営環境などの変化により影響を受けることがあり、それにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 経済情勢と市場競争


住宅関連業界は、新設住宅着工戸数及びリフォーム工事件数の増減に大きく影響を受けます。市場や同業他社との競合の状況により価格競争の激化が更に進んだ場合、売上高等の業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。