※本記事は、大村紙業の有価証券報告書(第62期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 大村紙業ってどんな会社?
大村紙業は段ボールシートやケース等の紙器梱包資材の製造販売を展開し、地域密着型の経営を行っています。
■(1) 会社概要
1965年3月、段ボールケースの製造販売を目的として設立されました。1970年9月に段ボールシートの製造を開始。1992年12月にラベルの製造を開始し、1996年7月には段ボールパレットの製造を開始しました。2004年12月にジャスダック証券取引所に上場を果たしています。
同社の従業員数は235名です。筆頭株主は保険代理業等を営むその他の関係会社であるサンオオムラで、第2位および第3位は創業者一族である大村日出雄氏と大村八重子氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| サンオオムラ | 30.49% |
| 大村 日出雄 | 10.55% |
| 大村 八重子 | 4.94% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は牧山光人氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 牧山 光人 | 代表取締役社長 | 1967年4月同社入社。大阪事業部長、営業本部長、常務取締役、管理部長、専務取締役などを経て、2022年6月より現職。 |
| 八巻 和彦 | 専務取締役管理本部長 | 1995年10月同社入社。管理部総務課課長、管理部次長、管理部部長、取締役管理本部長などを経て、2022年6月より現職。 |
| 澤内 弘光 | 取締役 | 1996年4月同社入社。2014年1月三重事業部長を経て、2026年6月より現職。 |
| 大村 慶子 | 取締役 | サンオオムラ取締役などを経て、2001年5月サンオオムラ代表取締役社長に就任。2026年6月より現職。 |
社外取締役は、神保一徳氏(税理士法人プラネット社員税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「紙器梱包資材等の製造販売」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 段ボールシート・段ボールケース
同社は、小ロット・多品種生産・短納期を強みとして、段ボールシートや段ボールケースの受注生産を行っています。東北から関西まで13箇所の生産拠点を設け、地域密着型の工場展開による迅速なサービスを提供しています。
収益は、顧客であるユーザー企業への段ボール製品の製造・販売を通じて得ています。運営は同社が主体となって行っています。
■(2) ラベル・その他
段ボール製品に加え、ラベルの製造販売や、段ボール・ラベルのデザイン、ディスプレイ関係の請負等も行っています。包装設計デザイン研究所と連携し、取引先に対するデザインの提案も実施しています。
収益は、顧客へのラベルや包装資材等の販売、ならびにデザインやディスプレイ業務の請負代金として受け取っています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の単体業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は概ね増加傾向にあり、直近5年間で順調に推移しています。経常利益は原材料価格上昇などの影響を受けつつも、適正な製品価格への見直しにより当期は増加に転じました。当期純利益についても、前期の赤字から大幅な黒字へと回復しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 50億円 | 54億円 | 57億円 | 59億円 | 60億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 3億円 | 4億円 | 3億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | 4.7% | 5.0% | 6.2% | 4.8% | 6.0% |
| 当期純利益 | 1億円 | 0.3億円 | 2億円 | -1億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微増となりましたが、売上原価の減少により売上総利益は増加し、売上総利益率も改善しました。これに伴い、営業利益も前期から大きく増加し、収益性の向上が見られます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 59億円 | 60億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 16億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.9% | 27.4% |
| 営業利益 | 3億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 4.6% | 5.9% |
販売費及び一般管理費のうち、発送費が4億円(構成比32%)、給料及び手当が3億円(同24%)を占めています。売上原価の内訳としては、当期製品製造原価が39億円(構成比89%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的となる末期型の状態となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1億円 | -0.9億円 |
| 投資CF | -0.8億円 | -1億円 |
| 財務CF | -2億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.3%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.7%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、小ロット・多品種生産・短納期を武器に個性化・多様化しているユーザーのニーズに対応し、より充実したサービスを提供し続けることを第一に考えています。迅速なサービスの提供を通じて、機動力に富んだメーカーとして高い信頼を集めることを目指して経営を行っています。
■(2) 企業文化
同社は、全員が「経営参画」をモットーに日々努力をする企業文化を大切にしています。各事業部においては売上面及び利益面でさらなる向上を図りつつ、コスト意識を高め、効率の良い製造部門を目指しています。また、テレビ会議等を通じて各事業部で発生した問題点を全社的に共有し、品質や生産性の向上に努めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、企業価値の増大を図っていくための客観的な指標として、以下の数値を経営上の目標に掲げています。
* 売上高経常利益率:5%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、地域密着型の工場展開による迅速なサービスの強化を成長戦略として掲げています。具体的には、内部体制の強化によるデータ分析の活用と原価の徹底見直し、従業員教育の強化を推し進め、利益の確保に努めます。また、年間を通じて販売イベントを組むとともに、包装設計デザイン研究所と連携し、受注量の増加と安定経営を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員が持続的成長をもたらす最も重要な財産であると考え、全社員が経営参画を通じて自己実現でき、生き生きと働ける職場環境の向上を図っています。地域に根差した特色のある企業となるため、社員一人ひとりが包装資材に関するスキルを高め、顧客や社会に貢献できる人材の育成に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 47.5歳 | 14.9年 | 5,043,936円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営陣への依存リスク
同社の取締役は経営戦略に関して専門的な知識・技術を有し重要な役割を果たしています。退任による影響を最小限にするため、後任者への入念な知識・技術の継承と段階的な権限委譲を行っており、専門知識が必要な部門では教育活動を実施しています。
■(2) 主要材料の価格変動リスク
主要材料である原紙価格が国内外の経済の影響により大幅に変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。経済環境や市況を考慮して仕入先との価格交渉を継続的に行い、情報管理と在庫管理を重視することで影響の最小化に努めています。
■(3) 関連当事者との取引リスク
同社は関連当事者との取引を行っており、これらの取引条件や方針に変更が生じた場合、事業運営や財務状況に一定の影響を与える可能性があります。



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