※本記事は、大村紙業株式会社 の有価証券報告書(第61期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 大村紙業ってどんな会社?
大村紙業は、神奈川県茅ヶ崎市に本社を置き、段ボール製品を中心とした梱包資材を製造・販売するメーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1965年に段ボールケースの製造販売を目的として設立されました。その後、東北から関西にかけて工場を増設し、1995年に株式を店頭登録、2004年にはジャスダック証券取引所へ上場しました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。地域密着型の経営を展開し、小ロット・多品種・短納期の生産体制を構築しています。
現在の従業員数は単体で228名です。筆頭株主は損害保険代理業を行う関連会社のサンオオムラ株式会社で、第2位は同社取締役会長の大村日出雄氏、第3位は大村八重子氏となっており、創業家および関連会社が株式の多くを保有しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| サンオオムラ | 30.49% |
| 大村日出雄 | 10.55% |
| 大村八重子 | 4.94% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名(監査役含む)の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は牧山光人氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 牧山光人 | 代表取締役社長 | 1967年同社入社。大阪事業部長、営業本部長、管理部長などを歴任。常務取締役、専務取締役を経て、2022年6月より現職。 |
| 八巻和彦 | 専務取締役管理本部長 | 1995年同社入社。管理部総務課課長、管理部次長、管理部部長などを歴任。2013年6月より取締役、2022年6月より現職。 |
社外取締役は、鈴木孝明(税理士法人プラネット代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「紙器梱包資材等の製造販売」事業を展開しています。
同社は単一セグメントとして、段ボールシート、段ボールケース、段ボールの版・型の製造販売、ならびにラベルの製造販売を行っています。また、段ボール・ラベルのデザインやディスプレイ関係の請負も手掛けています。小ロット・多品種生産・短納期を強みとし、東北から関西まで13箇所に生産拠点を設けて地域密着型の営業を展開しています。
主な収益源は、顧客への製品販売による代金です。段ボールシートやケースは、主に製造業や物流業者などのユーザーに対して販売されます。運営は主に大村紙業が行っており、損害保険代理店業を行う関連会社のサンオオムラ株式会社との2社でグループを構成しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は48億円から59億円へと着実に増加傾向にあります。一方、利益面では経常利益が2億円台から3億円台で推移していましたが、当期は原材料価格の高騰やコスト増により減益となりました。当期純損益については、固定資産に係る減損損失を計上した影響で赤字となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 48.0億円 | 49.8億円 | 54.2億円 | 57.4億円 | 59.4億円 |
| 経常利益 | 2.8億円 | 2.4億円 | 2.7億円 | 3.6億円 | 2.8億円 |
| 利益率(%) | 5.7% | 4.7% | 5.0% | 6.2% | 4.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.6億円 | 1.3億円 | 0.3億円 | 2.5億円 | -1.1億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高は3.5%増加しましたが、売上原価の増加率がそれを上回り、売上総利益率は低下しました。販売費及び一般管理費も人件費や発送費の増加により膨らんだため、営業利益は前期の3.4億円から2.7億円へと減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 57.4億円 | 59.4億円 |
| 売上総利益 | 15.4億円 | 15.4億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.9% | 25.9% |
| 営業利益 | 3.4億円 | 2.7億円 |
| 営業利益率(%) | 6.0% | 4.6% |
販売費及び一般管理費のうち、発送費が4.0億円(構成比32%)、給料及び手当が3.0億円(同24%)を占めています。売上原価においては、材料費が26億円(売上原価の59%)と大きな割合を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、品目別の売上高を見ると、主力の段ボールケースが前期比5.3%増と堅調に推移し、全体の売上増を牽引しました。一方、段ボールシートは前期比4.0%減となりました。その他(包装資材等)やラベルも増加傾向にあります。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| シート | 10.4億円 | 10.0億円 |
| ケース | 36.9億円 | 38.9億円 |
| ラベル | 1.9億円 | 1.9億円 |
| その他 | 8.1億円 | 8.6億円 |
| 連結(合計) | 57.4億円 | 59.4億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
大村紙業のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
営業活動では、売上債権の減少や未払消費税等の増加が資金増加に寄与した一方、仕入債務の減少や棚卸資産の増加が資金減少の主な要因となりました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出が主な資金減少要因です。財務活動では、配当金の支払いとリース債務の返済が資金減少の要因となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.3億円 | -1.5億円 |
| 投資CF | -2.1億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | -0.8億円 | -1.6億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、小ロット・多品種生産・短納期を武器に、個性化・多様化するユーザーのニーズに対応することを経営方針としています。今後も多様なニーズに対応し、より充実したサービスを提供し続けることを第一に考えていく方針です。
■(2) 企業文化
「地域密着型の工場展開による迅速なサービス」と「機動力に富んだメーカー」としての信頼を重視する文化があります。また、全員が「経営参画」をモットーとしており、個々の事業部や各部門が主体的に課題解決に取り組む姿勢を持っています。安全・安心な職場環境づくりにも注力しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、企業価値の増大を図るために、客観的な経営指標として以下の数値目標を掲げています。
* 売上高経常利益率:5%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、「地域密着型の工場展開による迅速なサービス」の強化に加え、内部体制の強化によるデータ分析の活用と原価の徹底見直しを進めています。また、TV会議を活用した従業員教育の強化や、包装設計デザイン研究所と連携した提案力の向上により、受注量の増加と安定経営を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、多様な人材が最大限に能力を発揮し活躍できる職場環境の整備や、労働安全衛生対策の適切な運用に努めています。また、意欲と能力のある従業員を育成し、適性のある人材を管理職として選任する方針をとっており、技術面においてもきめ細かな育成を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.7歳 | 14.9年 | 5,194,212円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は女性の職業生活における活躍の推進に関する法律および育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定の人物への依存度について
同社の取締役は経営戦略に関して専門的な知識・技術を有し重要な役割を果たしています。特定の人物への依存リスクを軽減するため、後任者への入念な知識・技術の継承や、将来を見据えた段階的な権限委譲を行っています。また、現場レベルにおいても専門的な知識・技術の継承が必要な部門に対して教育活動を実施しています。
■(2) 主要材料の価格変動について
主要材料である原紙の価格は、国内外の経済情勢の影響により変動する可能性があります。価格が大幅に変動した場合、同社の業績に影響を与えるリスクがあります。この影響を最小限にするため、経済環境や市況を検討しながら仕入先との価格交渉を継続的に行い、仕入価格の適正化に努めるとともに、在庫管理を重視しています。
■(3) 関連当事者取引について
同社は、取締役会長の大村日出雄氏から不動産を賃借しており、また関連会社のサンオオムラ株式会社を通じて損害保険に加入しています。これらの関連当事者取引については、取引条件の妥当性などを勘案して行われていますが、将来的に取引条件の変更等が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。



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